2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
デザインのチカラ(全1記事)
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猪爪雄氏(以下、猪爪):よろしくお願いします。デザイナーの猪爪です。私も初めに自己紹介をさせてください。去年の10月にマネーフォワードに入社して、現在はtoC向けのサービスを展開するPFM事業部とデザイン戦略グループに所属し、セルジオと一緒にデザイン戦略グループのリーダーを務めさせていただいております。
東京生まれの東京育ちで、ちょっと顔が東京生まれっぽくないってよく言われるんですけれど(笑)。セルジオのブラジル生まれが羨ましいと思っている今日この頃です。デザイン戦略グループのミッションは全社のデザイナーをつなぎ、マネーフォワードらしい最高のユーザー体験を届けることです。その主な活動内容がこちらの6つの活動です。
先ほどセルジオからブランディングの全体最適とデザイン原則の策定・普及についてお話しさせていただきました。私のほうからはサービスデザインプロセスの策定・普及についてお話しできればと思っています。
まず我々の考えるサービスデザインに「マネーフォワードサービスデザイン(以下、MFSD)」というものがあり、これはユーザーを中心に置いたサービスやプロダクトを開発するための、基本となるメソッドです。現在「Money Forward X」という、金融機関などのパートナー企業の課題を解決するチームが活用しています。
下に書かれている図ですが、企画フェーズ、プロトタイピングフェーズ、実装フェーズ、運用フェーズと大きく4つのフェーズの順に進んでいきます。特徴的なポイントとしてはプロトタイピングフェーズの円が書いてあるところ、調査・分析・アイディア展開・要件定義。
MVP決定、プロトタイプ作成、評価というのをぐるぐる回して、課題や解決策の精度を高めながら進めていくプロセスになっています。MFSDのポイントは3つあって、1つめがチームで課題に対して議論をします。相手が考えることやコンセプトを可視化することによって、チームの共通認識を高めて、何を作ればいいのかをどんどん擦りあわせていくことを続けます。
2つめ、多様なアイディアというのは、先ほどユーザーを中心に置いたと説明させていただきました。ユーザーだけではなくて、エンジニアの視点であったりとかビジネスサイドの視点、さまざまな人たちの視点を取り入れることで、多様な角度からアイディアを生み出していきます。
3つめ、柔軟なプロトタイプ。課題の仮説検証をする際にプロトタイプを柔軟に活用して、さまざまな形でこのアイディアだったり課題だったりを、本当に検証する必要があるのかを確かめてサービス開発のスピードを上げていきます。
これが我々が考えるデザインの力だと思っていて、これらをすることによって最高のユーザー体験に近づくことができると思っています。
次に、具体的な取り組みをお話しさせていただきます。現在Money Forward Xでは先ほどのMFSDを活用しております。
ただ、他の事業部ではまだ活用できていない状況だったので、すべての事業部が活用可能な状態を目指しています。もちろんこれはデザイナーだけではなくて、エンジニアもPOも、ビジネスサイドやCSも使える状態を目指していこうと思っています。
そのためにまずは、トレーニングプログラムのプロトタイプを作成して、これを運用しながらどんどん精度を上げていこうとしております。大きく4つのコースを用意しています。レクチャーは1時間程度のもので、サービスデザインの概要、事例、手法などについて知ることができるコース。ワークショップは2時間から3時間ぐらいで実際の課題に応じたインタビュー、価値分析、アイディア発想法など、いろいろな手法・単位で活用することで学びを深めてもらおうというものです。
1回あたり3時間ぐらいのプログラムを2回、3回程度体験してもらうスプリントによって、対象となるユーザーの現状の体験を整理し、課題と共にアイディアを展開して理想のユーザー体験を可視化していきます。
最後は実際のプロジェクトに入っていって、調査・分析・アイディア展開・プロトタイプ作成評価を繰り返すことを実施していく予定です。
これらのコースに対して参加したいという人がいれば好きなコースを選んでもらって、一番最初はデザイン戦略グループがサポートしながら体験してもらい、価値を感じてもらおうと思っています。
次の段階では、実際に参加してくれた方が、日々の業務の中でこのMFSDを使える状態を目指しています。実際にトレーニングプログラムをもうすでに運用を始めていて、何個かの実際の活用事例をご紹介したいと思います。今まさに開催中なんですけれど(7月9日〜8月28日に開催)、「第1回ビジネスコンテスト」を社内で開催しております。
その時にアイディア創出のサポートで、MFSDのプロセスを利用させていただきました。任意で参加者を集めたところ、けっこう多くの人たちが興味を持ってくれて。エンジニアの方だったりCSの方だったりとか、あとビジネスサイドの方とか。けっこうデザイナー以外の方が多かったですね。みんなでアイディアを考えました。
彼らが悩んでたことって、やっぱり「なんとなくこういう方向のアイディアはあるんだけれど、どうやってこれ具現化すればいいのかわからなくて、ずっと悩みがぐるぐる回ってしまう」みたいな状況だったので、さまざまなデザイン手法を活用して、ユーザーへの価値と「本当にこれ実現できるの?」という実現可能性を探っていきました。
あとは、本当に売れるのかという可能性を考慮した上で、ちゃんとアイディアを具現化して視覚化していきました。ボードの辺りにポストイットがすごい(たくさん)貼ってあると思うんですけれど、実際の様子がこちらです。まず一番初めのチームは、各自がテーマを出した後にチームとして1つのテーマに決めました。そのテーマに対しての体験を、いい意見も悪い意見も全部ポストイットに書き出していって、このテーマに対する体験の全体像を洗い出してもらいました。
次に、その体験をする人ってどんな人だろうというターゲット像、ペルソナみたいなものを可視化します。可視化する際には、性格であったりモチベーションであったり、達成したい目的であったりとか、何をしたいのかというのも洗い出します。その後、ユーザー体験の全体像を可視化するため、右側の白い紙のところにあるように、横に時間軸を置いて全部洗い出してもらいました。
現場の体験における課題を洗い出した後は、次にアイディア出しのプロセスに入ってもらいます。紙を8等分に折って、1分で1アイディアをどんどん書いていくという、デザインスプリントでも有名な”クレイジー8”という手法がベースです。だいたい1人30アイディアぐらいだした後に、みんなで「これいいよね」という投票を行って、一番いい解決策のアイディアを見つけていきました。
最後にその解決策のアイディアから、先ほどと同様に、実現可能性を加味した理想の体験というものを描いてもらって、どんどんアイディアを視覚化していく流れです。どうやってアイディアを作ればいいかわからなかった人たちが、最終的にはビジネスコンテストのアイディアを提出することができました。
こちらは参加者の声ですが、「天才が思いつきで(アイディアを)考えるといったイメージを覆す、再現性の高い洗練されたノウハウを学べた」というものがありました。デザイン手法は、アイディアを拡張したり、収束させたり、可視化したりするためのさまざまなツールがあるので、適切なツールを活用することによって、再現性高く課題の解決策を見つけることができます。
「根本的な課題分析をして問題提起する重要性に気づけました」という声もありました。「デザインというものは一部の感性が豊かな人だけが活用するものだ」と思っている人もいるかもしれないですが、我々が考えるサービスデザインは、論理と感性の両方を活用して課題にアプローチしていきます。
また、「拡散しがちなアイディアを収束させ、1人では思いつけなかった解決策にたどり着けた」という声。拡散しがちなアイディアを収束させ、さまざまな人たちでいろいろなアイディアを可視化することによって、それが刺激となり、自分1人ではたどり着けなかった解決策にたどり着くことができます。そしてチーム全体の共通認識を高めることができます。
他にも、サービスデザインの研修に参加させていただいた際に、社内で勉強会を実施しました。
ここに集まっている人たちはみんな、デザイナー以外のビジネスサイド・CS・エンジニア・マーケティングの方々で、社員の10パーセント近い人たちが興味を持って参加してくれています。また実際のプロダクト開発の現場でも、Money Forward X以外の事業部でも、このMFSDのプロセスを活用し始めていて。僕も昨日、一昨日と、とある拠点に行ってアイディア創出のサポートをしてきたりとか、いろいろな活動をしております。
こちらのワークショップは、社内のカルチャーをもっと普及させる……今もバリューはすでに普及していますが、さらに普及させるために、みんなにノベルティを配ってバリューを常に感じてもらおうという。そのためにはどういったノベルティを作ればいいか、というテーマで実施しました。これらの活動を通して、どんどんサービスプロセスを普及させていければいいなと思っています。
最後にまとめさせていただきます。まずは、チームで課題に対して議論することによって共通認識を高め、ユーザー視点、開発視点、ビジネス視点など、さまざまな視点から多様なアイディアを生み出す。そして、課題を検証するために柔軟にプロトタイプを活用することで、我々は最高のユーザー体験に近づくことができると思っています。
これからもしっかりと努力を続けて、デザインの力を上げていければと思っています。以上で私からの発表は終わりとなります。ありがとうございました。
(会場拍手)
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