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トークセッション(全7記事)

「これをやりたい。なぜならば~」を習慣に 伊藤羊一氏と尾原和啓氏が語る、0秒で動けるようになる論理思考の鍛え方

2019年9月8日、Yahoo!アカデミアの学長を務める伊藤羊一氏の新著『0秒で動け』の出版記念トークショーが、Yahoo!JAPAN内のコワーキングスペース「LODGE」で開催されました。このイベントには、IT批評家の尾原和啓氏がゲストとして登壇。「左脳と右脳をどう動かすか、自分の軸をどうつくるか」というテーマのもと、すぐに行動に起こすための頭の鍛え方を両名が指南しました。この記事では、お二方の自己紹介や伊藤氏による同著出版の背景などが語られた、トークショー冒頭の様子をお届けします。

両名が“0秒で動いた”ことで実現したトークセッション

伊藤羊一氏:(以下、伊藤)それでは時間になりました。「尾原和啓×伊藤羊一トークショー」って、なんだかものすごく……(笑)。

尾原和啓氏(以下、尾原):演歌っぽい感じですね。

伊藤:そうそう(笑)。あんまり考えていないかのような、そのまんまの。

尾原:すごく考えていない感じですね。

伊藤:じゃあちょっと話しながら、はじめます。みなさんこんばんは。

会場:こんばんは。

伊藤:今日は台風が目前に迫る中……今のところまだ雨は降っていないと思うんですけども。

スタッフ:けっこう降ってる。

伊藤:降ってるんですね。

尾原:降ってるの?

スタッフ:もうけっこう降っています。

伊藤:あら。という悪環境の中、お越しいただきましてありがとうございます。これから2時間、楽しいトークショーをやりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。こちらが尾原さんです。

尾原:よろしくお願いします。

(会場拍手)

伊藤:私は伊藤でございます。今回は、新刊を出したときに尾原さんからFacebookのメッセで。

尾原:いい本だと。

伊藤:いい本だと(笑)。「俺、この日は日本にいるけど、なにかやる?」とお誘いいただいて、なにをやるかあまり意識せず「やる」ということで。

尾原:まさに「0秒で動け」ですよね。

(会場笑)

伊藤:とにかくやろうと。会場も決まっておらずに「やろう」ということだけ決めて。尾原さんは通常バリ島にいらっしゃいまして、日本から帰るのが2日後なので、もうこの日しかないということで時間を決めまして。僕はヤフーの社員なので、LODGEでやろうと。

尾原:伊藤さんは社員なんですか?

伊藤:そうなんですよ。

(会場笑)

尾原:ちなみに去年はどのくらい講演されたんでしたっけ?

伊藤:登壇機会は297回ありました。

(会場笑)

その297回の中で、ヤフーの社員として登壇したのは100回ぐらい。

尾原:やばいですね。

伊藤:たくさんお話ししておりますが、今年になって「さすがに出過ぎだわ」と思って、かなり過激に回数を減らして、今年はおそらく200回ぐらいに。

尾原:減りましたね〜!

伊藤:というわけで、すごく貴重なこの1回でございます。

尾原:そうですね。200分の1。

伊藤:はい。なので楽しんでいただければ。尾原さんとは何回かご一緒したことがあるんですけれども、こうやって1対1でまったりお話しするのは初めてですね。

というか、メッセでも話しているんですよ。そこでどんな話をしているかも含めてなんですけども、これは初めての機会なので、みなさん楽しんでいただければと思います。

尾原:はい、よろしくお願いいたします。

1分→0秒にテレポート?

伊藤:今回は『0秒で動け』という新刊の発刊記念なんですけど、その前に、去年『1分で話せ』という本を出しました。今のところ33万9000部、これは電子書籍を除いた数字です。

尾原:電子書籍を除いてなの!?

伊藤:除いてますよ~! 

(会場笑) 電子書籍を入れるとたぶん40万くらいです。

尾原:やばい! その理由はあとで。

伊藤:Amazonのビジネス書ランキングも一時期、世良公則か寺尾聰かくらいの勢いで。

(会場笑)

尾原:今週のザ・ベストテン!

伊藤:5月から8月まで10週連続1位を続けました。韓国語版や中国語版、台湾、ベトナムと、いろんなとこで翻訳されてきています。

ということで、この流れで『1分で動け』という本を今度出そうという話をSBクリエイティブさんとしていたら、出てきた題名が1分じゃなくて0秒で。

尾原:0秒。

伊藤:ユリ・ゲラーかお前は、みたいな。

(会場笑)

尾原:テレポート。

伊藤:テレポートですね。ちょっとデザインが似ているんですけど、斜めを向いています。これが8月22日に発売しまして、発売日に重版、2週間で3刷りになって初速は好調です。これが今の私の売りです。(スライドを指して)尾原さんは、こちらですね。

尾原:はい。

伊藤:(『アフターデジタル』と『ディープテック』の2冊を指して)2つ売れております。『アフターデジタル』。これをお読みになった方はどのくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

尾原:意外といる。すごい。ありがとうございます。

伊藤:これは、別にここに尾原さんがいらっしゃるからじゃなくて、冗談抜きでおすすめです。なぜなら、やっぱり「今ある潮流を改めてこう解釈すると、こうだよね」というところを、ものすごく読者に寄り添うようなかたちで書いている本なので、これはすごくいいなと思って。僕は大好きですね。

尾原:ありがとうございます。

伊藤:『ディープテック』のほうは、これが好きかどうかはちょっとまだわからない。9月に……。

尾原:昨日PDFを渡したばっかりですね。おかげさまで一昨日校了して、9月19日に発売します。

伊藤:予約段階からものすごく売れていて、Amazonの……。

尾原:人気度ランキング総合1位です。

伊藤:総合1位、ビジネスでも1位?

尾原:ビジネスは5位です。

伊藤:ということで、『ディープテック』はおそらくこっちよりも、ものすごく深い。

尾原:「ディープ」だから「深い」って言っているだけでしょ?

(会場笑)

伊藤:それもありますけど、共著の丸(幸弘)さんという方が、相当やばい人なので、たぶんやばい。

尾原:やばい。ヤフーの安宅(和人)さんにもご推薦をいただいて。

伊藤:そうですね。アフターデジタルこちらヤフーの社長の川邊(健太郎)が、絶賛しています。

どういう話題になるかはわからないですけど、ディープテックの話がもし出てきたら僕は聞くだけです。

尾原:今日は出ないでしょ(笑)。

伊藤:はい。読んでいただいた方もいらっしゃるかと思うんですけども、最初の20分ぐらいは僕の本の概要、「こんなことを考えて書いているんだよ」ということをお話しさせていただいて、その上でまったりトークをしたいと思います。

羊年の長男で“羊一”です

伊藤:ちなみに僕の自己紹介なんですが、僕の名前は「伊藤羊一」で、これはぜひ覚えていただきたいんですが、(洋ではなくて羊なので)氵がつかないです。「氵はつかないです」と20年以上言い続けているんですけど、それでも氵をつけてくるが人けっこういて。別にいいんですけど、僕はもう慣れていますからね。

尾原:未年(ひつじどし)の長男なんですよね。

伊藤:そうなんです。

尾原:というふうに覚えていただいて。

伊藤:そうですね。

尾原:これからは間違わない。

伊藤:未年の長男です。ちなみに僕のおじいちゃんなんて午年の長男だから「一馬」というんですよ。

(会場笑)

その流れで、未年の長男ということで。今はヤフーの社員をやっています。Yahoo! アカデミアといいます。

尾原:何回も「社員」と言うけど、本当は社員じゃないんじゃない?

伊藤:そうアピールしないと、ちょっと……。

伊藤:で、最初は銀行員です。あとグロービスですね、ビジネススクールの先生もやっていまして。

伊藤:ほかに、自分の仕事もいろいろやっています。

伊藤氏が指南する、0秒で動くための頭の鍛え方

伊藤:この『0秒で動け』なんですけれど、構想のメモは、まさにみなさんのお手元に配ったこの落書きが構想のすべてでございます。

これにブワっと書いて、「こんな感じでどうでしょう?」とSBクリエイティブの編集の多根さんとライターの方に、ここに書いてある内容を言語化して、それが本になったというものなんですよ。そちらの本と比べながら読んでいただけると楽しいんじゃないかなと思います。

題名なんですけど、『0秒で動け』というのは、印象として「なにも考えずに踏み出せ!」と、こういうふうに受け取られる。

尾原:そうですね。

伊藤:そういう感じで受け取られるんですけど、そういうことを書いた本ではなくて。ただそういう部分もあって、「いざとなったらもう踏み出せ」ということなんですけど、それよりも、「さっと動けるようになるには、どういうふうに鍛えていったらいいか」を指南している本です。

なので頭の使い方ですね、ロジックはどうすればバッと出てくるのか、ピラミッドストラクチャーはどう作るんだっけ? とか、どういうふうに情報をインプットするんだっけ? とか。

それから自分のマインドですね。どういうふうに、今この目の前にあるイシューと自分のマインドを結びつけるんだっけ? というところを、どう鍛えていったらいいか、指南している本です。

本の内容についてザっとお話ししていきますと、まず実際に動く瞬間があり、そしてその前にスキルとマインドを鍛えておくと。僕にとって、マインド=軸と呼んでいるんですけど、軸とはなんだ? というのは改めてお話ししたいと思うんですが、まずはスキルとマインドです。

これを鍛えて、実際に踏み出す。最終的には自分が動いていくには、人を動かしてかないといけないわけです。自分だけで完結することはないので、何かしら人を動かしていくことが必要だ、これを3つの章立てにしています。

そして軸=マインドの話なので、それを最後に持ってきたという構造になっております。

結論が先、根拠は後付け

伊藤:一言で言うとスキルの部分は、結論を出せば動けるようになる、と考えたんです。

これはいつもそう思っています。結論がないから動けないわけで、その結論を出すためにはどうしたらいいかというと、みなさんも論理思考を何かしら勉強されたりすると思うんですけど、結局はこのピラミッドストラクチャーなんだと。

コンサルタントの方は1つのピラミッドを作るために、3ヶ月くらい時間をかけて練り上げていくわけですが、僕はこれを、それこそ0秒でササッと作れるようになるのがすごく重要なのかなというふうに言っています。

論理思考は、みなさんロジカルシンキングの本で勉強されたりすると思うんですけど、あれは難しく説明しちゃっているんですよね。

この下にいろんな事実があって、その事実をいろいろ考えてみると、こういう1つのメッセージになっていて、そのメッセージを合わせてみると結論になるよねと。下から上に、つまり結論を出すためのツールとしてこれを使うというふうに、だいたい論理思考の本には書いてあるわけです。

それはそれで正しいんですけど、それをやるとものすごく時間がかかるし、コンサルは結論を出すためのプロジェクトとして3ヶ月を要したりするわけです。なので、「けっこうピラミッドストラクチャーって難しいよな」と思うんです。

例えば、ですがものすごいプロジェクトにアサインされて、コンサルティングがやる、とかはまた別として、日常的に「これをやろうか」「やるまいか」とみんな悩んでいますよね。

これをリーダーとして決めきゃいけないときは、だいたい頭の中になんとなく結論を持つことです。ぼやっとではあるけど、まずはその結論を出しちゃおう、根拠を後付けで作ろうよと。

結論と根拠のピラミッドを常に作り続ける

伊藤:そうすると、頭の中にある「なんとなく」のものを出して、そこに「俺、なんでこんな結論を出しちゃったんだっけ?」という順番で考えるんです。まず「吉野家に行きたい」があって、その後、「こういう理由があるから俺は吉野家に行きたいんだ」とか。極端に言えば、それをやると一瞬のうちに結論が出るよねと。

頭の中で「これをやりたい」「なぜならばこうで、こうだから」というのを年がら年中考える。

要するに道を歩きながら、「俺、今気分がいいな」「なぜならば、昨日よく寝て、それから天気が良くて、最近ダイエットしているからだな」みたいな感じでね。

年がら年中この結論と根拠のピラミッドをつくっていると、ひとまず頭の中で結論が出るわけです。「その結論のとおり動けるな」「こういうことをやるといいよね」と。そのための解説を『1分で話せ』でもしているんですけど、『0秒で動け』の本でもそれをやっているのは、そのためなんです。

これが行動する上でのべースになるということですね。これはあとで尾原さんに詳しくおうかがいしたいなと思うことなんですけど、そうは言ってもなにもないところから結論と根拠のピラミッドを常に作ることはけっこう大変ですよね。

やっぱり頭の中ある有象無象、いろんな事実やインフォメーション、こういったものをいっぱい持っているから結論が出しやすいということになっているわけです。だからインプットがすごく大事だなと思っていて、そんなふうに頭の使い方をしています。まず、情報やファクトというものは、やっぱりたくさんの頭の中に仕入れたほうがいい。

頭のなかでいろんな事実をミキサーのようにかき混ぜる

伊藤:それをどうやって仕入れるのかはあとで話します。その次に、これが大事なんですけど、要するに情報を情報のまま頭の中に入れているんじゃないんですね。つまり、「この番組ではこう言っている」「この新聞ではこう言っている」「俺こういうふうに感じている」と、いろんな事実を頭の中で、一年中ミキサーのようにかき混ぜていくんです。

「これはこういうことじゃないか?」みたいにね。今解決しなきゃいけない課題があるわけじゃなくて、頭の中で「リーダーってこういうことじゃないか?」「今の日本ってこうなんじゃないか?」とか、事実から仮結論みたいなものを常に出していく。

例えがなかなか出てこないんですけど。最近、夜歩いていると、道端にゴキブリが出てくることありません? あんまり気づかないですかね? なんかね、今年明らかに多いんですよ。道を歩いているとゴキブリが出てくる。これはまず「ゴキブリを見た」という事実がある。

それから、「ゴキブリ見るよね」というFacebookの投稿が多いと。「南洋化しているのかな」とか思っていると、また次の情報が入ってくるわけです。どうもあの魚市場だった……。

参加者:築地。

伊藤:築地! 築地が豊洲に移ったから、築地のゴキブリがみんな移動して行ったという話が出てきたり。

(会場笑)

あとは「東京以外のところどうだろう」とか、いろんな情報をかき混ぜていくんですね。そうすると、いろんな情報がまたさらに頭の中に入ってくる。これは(本の中の)イマジネーションというところに書いたんですけど、こんなことを繰り返していきます。

事実と事実がつながり、意味の固まりができあがる

そうすると、それは意味の固まりみたいになって増えていくわけです。事実が事実としてじゃなくて1つの意味の固まりみたいになって、頭の中にインストールされていく。そうすると問題が出てきたときに、ピラミッドが作りやすくなる。この結論を早く出すと、サッと動けると。ごめんなさい、なんだか長嶋監督みたいですね。

(会場笑)

「パーンときた球をパーンと打つ」みたいな感じの話で大変恐縮なんですけれども、要するに事実をたくさん仕入れることが大事です。それから、瞬間にこのピラミッドを作るのが大事なんですけど、その間に僕は頭の中で事実をミキサーにかけて育てるようなことをしているんですね。

これをやっていると、いろんなピラミッドがすぐに作れるようになると感じています。僕は自分の行動としてこういう仮説を持っているんですけど、ほかの方がどんなふうに頭を働かせているかを聞いてみたいなと思って、今日は尾原さんとお話ししているんですね。これを繰り返していると。

情報を仕入れたあとは、ひたすら妄想を

伊藤:そして、事実を頭の中にビビッドに入れるためには、「このポインターすごい!」と声に出して言っていると、「これはすごい」というタグがついて頭の中にインストールされるんですね。なんでもかんでも「すごい!」「やばい!」と言い続けていると、それが頭の中に入ってくる。おもしろいと思って情報を仕入れる。

で、その後はもうひたすら妄想ですよね。頭の中で「なんかゴキブリの話が最近よく出るな」とか「リーダーってこういうことか」「みんなこういうことに今興味がありそうだ」とか年がら年中妄想しているんです。

それから、さっきのピラミッドストラクチャーについては、ひとまず頭出しの結論があります。この結論と根拠のピラミッドは、実際に行動してみないと正しいかどうかがわからないわけです。だからひとまず頭出しで、「まぁいいよ」「とりあえず結論はこれだ」と、頭の中でOKを出してひとまず動いてみる。

そうすると「正しかったな」「これは違ったな」がわかるんですね。1回行動してみることができるようになるので、ひとまず頭出しの結論を出してみるのがコツかなと思っています。これがスキルのところですね。

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