孫正義の参謀と呼ばれた男

司会者:「最強のナンバー2を語る平成のトップリーダーとは」というテーマで語っていただきたいと思います。モデレーターはCyberBull代表取締役社長の中田大樹さんにお願いしております。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは第1部に入っていきたいと思います。第1部で登壇いただきます嶋聡さんと、モデレーターの中田大樹さんです。みなさま大きな拍手でお迎えください。

(会場拍手)

中田大樹氏(以下、中田):みなさん、おはようございます。さっそく始めていきたいんですけど。トークセッション、孫正義の参謀と呼ばれた男ということで。

今日はうちのサイバーエージェントのナンバー2の日高と、もうお辞めになってるんですけど、孫さんのナンバー2というか、参謀というかたちで傍でがんばってこられた、ソフトバンクの嶋さんにお話をいろいろとおうかがいしていきたいと思っています。

僕、個人的に嶋さんにはいろいろとかわいがっていただいてまして。嶋さんから、いつもうちの藤田と孫さんとのリーダーとしての違いとか、いろんな話を聞いています。これまで僕がけっこういろいろ聞いてきた話を、今日はこの場を借りてみなさんにもどんどんシェアをできればなと思っています。

ちょっと嶋さんの紹介をしていただきながら、僕も聞きながら進めていければというふうに思っているんですが。

嶋さんは実は……みなさん、松下幸之助って知ってますよね? 令和だと知らない可能性があるんですけど(笑)。松下幸之助の政経塾というのがあって、15人くらいですよね? 嶋さん?

嶋聡氏(以下、嶋):(頷く)

中田:1期15人くらいで、松下幸之助のもとで勉強するみたいなところに、嶋さんはまず入られてます。そこから嶋さんは衆議院議員になるんですよね。衆議院議員になって、そのあとにソフトバンクに入るというかたちです。

今は退社されているんですけど、ミクシィだったりいろんなベンチャー企業、スタートアップを含めて社外取締役をやられています。

松下政経塾で松下幸之助の薫陶を受ける

中田:嶋さん、今日は平成のトップリーダーについてですが、昭和のリーダーだと松下幸之助でそのあと平成のリーダーは、たぶんみんなが第一想起するのって孫さんですよね。もともと自分で事業をやるというか、トップリーダーの下でなにかを学んで将来事業に携わりたいと思って松下幸之助の政経塾に入ったりされたんですか?

:みなさん、こんにちは。中田社長からすごく説明をしていただいて。今ご紹介いただいたように松下政経塾っていう、松下幸之助さんが塾長の学校を出ました。松下幸之助さんって知ってる? 丁稚奉公から始めてパナソニックを作った人ですね。そこでやったんですけどね。

そのあとソフトバンクに行って。ソフトバンク時代は社長室長というポストだったんだけど、ソフトバンクの社長が孫正義ということは知ってますね? その孫正義さんと自分の奥さんより長い間一緒にいました(笑)。大変でした(笑)。

今の質問に答えると、松下幸之助さんが作った松下政経塾という学校に入りました。その当時松下幸之助さんが存命で、3次まで試験があった。1次試験は体力試験だった。それは自信があった。

:3次試験、最終試験は松下幸之助本人の面接。30人くらいにして、それを15人にする。2人に1人を選ぶのが松下幸之助の面接。

リーダーの卵を選ぶのです。こちらは藤田さんというすごいリーダーがおられるけど。またリーダーである中田社長もおられるけど。

中田:いやいや、恐れ多いです。

松下幸之助が語った、将来のリーダーを見出す2つの基準

:松下幸之助さんが最終面接で2人に1人を選んでいくときの基準が2つあって。その第一、「その人間、愛嬌があるかどうか」と言うんです。

リーダーというのはね、ビジョンがあります。夢を語る。その夢・ビジョンが事業計画になりますよね。それがまたいろんな計画になっていく。でもそれを実現するのはリーダーじゃなくて、例えば中田社長じゃなくて中田社長を支える社員とか、スタッフとか、ステークホルダーでしょ?

そういうものがリーダーの夢やビジョンに共感してやってくれるには、そのリーダーの説得力も必要だし、先見性も必要だし、いろいろ必要。みなさんも一緒でリーダーの卵なんだから。その第一は、その人間に愛嬌があるかどうかというね。

第一が愛嬌。愛嬌がないとみんな寄ってきてくれないし。そして知恵も出してくれないから、まずは愛嬌。

中田:なるほど。

「その人間、運がいいかどうか」

:もう1つ。「その人間、運がいいかどうか」と言っている。

中田:それは見抜くのは難しそうですよね。

:そう、難しい。経営は決断だからね、すべて。徹底して考えれば数値化できるわけ。51対49になって51を選ぶ。これはわりと簡単な決断。

でも本当は非常によくわからない。将来がわからない中で決断しなくちゃいけない。50対50のときもあるし。実は考えることができないこともある。だけどそのリーダーが決断したものがパタッといいほうに落ちるかどうかというのは、そのリーダーが持っている運だと言うんです。

で、今の質問の話になるんです。今のね、難しいですよ。同じことを敏腕記者さんが松下幸之助に聞いたの。「愛嬌がいいかどうかって見ればわかります。運がいいかどうかって本当にわかるんですか?」と。

松下幸之助が重々しく、「わしにはわかる」と言ったそうです。本当かいなって思うけどね(笑)。

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