RECLOの基盤は信頼性の高さ

河上純二氏(以下、河上):組織について聞くけれど、今それだけの事業を何人でやられていらっしゃるんですか?

青木康時氏(以下、青木):今80人ぐらいですね。

河上:多いな〜! けっこう大世帯なんだね。

青木:日本が70人で、中国が10人とか、そういう感じです。

河上:一番多いのはどういう人たち?

青木:やっぱり物を使うので、いわゆるフルフィルメント(注:通販やECサイトでお客様が商品を注文してから、手元に届くまでに発生する業務全体)と言って、物流のほう、ロジスティックのところで。

河上:ピッキングしてパッキングして、みたいな。

青木:そうそう、検品してうちはとくに鑑定がもう大量に目利きして、偽物1個も出さないっていうふうにやっているチームもいますし、それから撮影して採寸して、出品するチームもあって、ここがやっぱり一番うちの会社の基盤なので。

河上:なるほどなるほど。

青木:もうここが崩れると、何でもいいんじゃない話になっちゃうので。ここが一番大事ですね。

河上:そこはちゃんと自社のスタッフとして抱えてあげて。

青木:そうです、そうです。

1ヶ月で1人当たり2,000個くらいの品物を鑑定

河上:ちなみに鑑定士の人は何人いらっしゃるの?

青木:今は12人前後ぐらいいますね。

河上:12人前後か。俺はわからないんだけれど、それぞれのところにプロがいるの? 「なんでも鑑定団」みたいに、陶器系だったりとか。

及川真一朗氏(以下、及川):特定の分野に詳しい人だったり。

青木:得意分野みたいな。

河上:バッグとかアクセサリーとか、(鑑定士の方の得意分野は)分かれるの?

青木:これはすし職人の概念に非常に近くて。もちろん見てきた物の量や、鑑定をやってきた領域によって、けっこう得意・不得意というものはあるんですけれども、基本的にいっぱい物が流れてくる場所でやっていれば、それは馴染んでいくので。うちは比較的ネットでやっているので、大量に物が流れてくるんです。

たぶん、普通の質屋さんの5年分の経験を、半年くらいでできちゃうような。それぐらいの量をバーッと見るので。1人が1ヶ月で2,000個くらいの品物を鑑定しているので、1日100個ですよ。そうすると、経験値が増していくので。そういうことをやっていますけどね。

物の所有が期間限定へと変化してきている

河上:ちょっとまめにチェックしよう。コムデギャルソンの小物とか。

(一同笑)

河上:奮発して新品を買ってさ、もうちょっとボロボロになってきたから、何かいいもの出たら買いたいな。

及川:あと家に何があるかを見たほうがいいんじゃないですか?

河上:そうだね-。売れる物ね。何かありそうだな〜。

青木:引っ越しのタイミングとか衣替えのタイミングでよく出てくるじゃないですか。もう物の持ち方って、どんどん期間利用になっていて、いくらで売れるかを意識しながら買うとか。(とくに)若い子はそうなっているし。

河上:(商品を)見ている人も出したいと思う人もいると思うんだけれども、ルールってあるの? なんだか、出す物のルールみたいなものは?

青木:普通にRECLO(リクロ)のサイトで、要らない物があったときに、出品に申し込もうとすると、いつ取りに来てくださいというのを選ぶだけなので。

ファッションアイテム全般を網羅

河上:あ、本当に。ブランド名とか、なんかこのブランドだけとか。

青木:一応「取扱対象ブランド」というものがあるので。

河上:それを見て、ということね。

青木:だいたいの百貨店などで売っているラグジュアリーなものは全部取り扱っていますし、BUYMAさんとかいろんなアライアンス先でやっているものは6,000ブランドぐらいあります。ファストファッション以上はだいたい網羅していて、服も時計もアクセサリーも、ファッションアイテムはいろいろ。フライパンなどはさすがやってないですね。

河上:(笑)。

青木:たまに来るんですよ。たまに(フライパンとかが)来ちゃうので(笑)。

河上:飲みが足りないね。

青木:(笑)あれ? (グラスを見て)増えたな。

人を引き付ける青木氏の強み

河上:ちょっと1回ブレイクじゃないけれども、呉社長からコメント来ているよ。やっぱりほら同じ、「青木さんイメチェンヘアースタイル見てますよ」って言ってます。

青木:いじりが......。

磯村尚美氏(以下、磯村):女性ファン。

河上:あと臼井さん? 白井さん? 「キャー!」って言ってます。

青木:言ってないじゃないですか(笑)。

(一同笑)

河上:言っているよ。

青木:言っているんですか。

河上:「先週引き取りに来ていただきました」「イケメンやな〜と」。(コメントが)いろいろ来てますよ。

青木:へ〜。

河上:さすがですな。そんな青木さんなんだけれど、ちょっとね。さっき百貨店の話もすごかったけど。けっこうの青木さんの営業的な動き(はすごいんですよ)。だから俺もね、別にカミングアウトの話じゃないけど、実は青木さんと会うのって、今日で2回目なのよ。

及川:そうですか。

河上:そうは思えないでしょう。

及川:まったく思えないですね。

河上:強み!

青木:このフレンドリーさがすごいですね(笑)。強み(笑)。

河上:これは強み。俺は(青木さんと会って)2回目なんだけど、1回目からかなり盛り上がってアミーゴ(友人)になったんだけど。やっぱり青木さん自体も、笑顔ももちろん100万ドルだけど(笑)。なんだか引きつけ力があって、やっぱりうまいんだよね。

青木:そうですか?

河上:絶対そう思うよ。

磯村:めっちゃ昭和ですね。100万ドル。

河上:香港の夜景だよ、やかましいわ。

磯村:平成最後だからね。昭和ね。

青木:本当香港ってことですね。うれしいな。

歌手・俳優を目指して、勘当同然で岐阜県から上京

河上:見て涙するわけよ。青木さんの笑顔を見て涙するわけさ。ちょっと過去からさかのぼって聞きたいんだけどさ、まず、どういうふうなことで、ここまでたどり着いてきたの?

(一同笑)

これにたどり着くまでの話さ。

青木:すごい長めのストーリーですね(笑)。どの辺からいきますか?

河上:社会に出たときって、まず何をやっていたの?

青木:もともと僕は岐阜の生まれで、大学も名古屋のほうで。そもそもたぶん上京するつもりがなかったので、その辺にいたんですけれど。ただ実家が商売をやっていたので、自分でやっぱり商売をやりたいという思いはあって、大学は経営学部に行ったんですね。

仲間が司法試験だとか会計士試験だとか税理士試験だとか、いろいろとそういうもの受けはじめて。だから僕も、なにか士業の資格を取ろうと思って、自分も専門学校に行きながら大学にも行っていて、学生時代はけっこう勉強してたんですよ。そのときに、お上りさんで東京に遊びに来たんですよ。

同級生がだいたい大学に行っているじゃないですか。(同級生が)遊びに来たときに、たまたま東京で、芸能人の方と出会って、「やっぱり東京すげえな」と。「友達の友達が普通に芸能人なんだ」という感じで舞い上がって、遊んでいたら。「お前もやってみないか」というふうに誘われて。そんな岐阜の田舎もんが「芸能界に入らないか?」と言われたらほだされるじゃないですか。

河上:最初がそこね。

青木:そうです。それで大学4年のときに、僕、勘当同然で上京してしまって。ぜんぶをやめて。

河上:芸能に賭けて。

青木:「お母さん、ごめん」って。そこで実は歌手と俳優をやらせていただいて。

磯村:歌って、歌って。

青木:歌わない(笑)。

河上:あとで必ず歌わせるから。あとで必ず歌わせますから。

青木:歌わない(笑)。(河上氏のポーズを見て)それたぶん少年隊ですよね?(笑)。

磯村:昭和だ。

河上:チミだけに。

青木:チミだけに。「あたしかい?」ってやつですよね(笑)。

磯村:やっぱり昭和だ。

青木:そこから上京ですよ。

河上:なるほどね。

数億円かけてでも売り出したいと思わせる存在になれ

青木:上京して、いろいろ経験積ませてもらって、けっこうそこでプロフェッショナルリズムというか、生き馬の目を抜く業界じゃないですか。すごい業界じゃないですか。最初に教えられたのが、「お前らの代わりなんかいくらでもおるんや」と。結局、要は「かっこよかろうが、歌が上手かろうが下手だろうが、どうでもいい」と。

ただ、そいつ1人を売り出すのに、プロダクションって、やっぱり何億円とかかかるわけじゃないですか。「それだけのお金をかけたいかどうか、そういう存在にお前がなるかどうか、それだけや」と。それを背中で見せろと。

河上:背中で見せろと。なるほどね。

青木:ということで、「寝るな。バイトするな。24時間365日、夢のために時間を使え」と。「それを見とるぞ」というような。その一言だけを言われて、こう毎日を過ごすんですよ(笑)。無理じゃないですか(笑)。家賃7万円を払って、バイトなしで。そういうところで、けっこう苦しい時間を(過ごしていました)。それこそお風呂なしで、シンクで自分の体を洗ったり。

おばあちゃんの家の上の2階みたいなところに住んで、(部屋の中は)雨漏りしながらみたいな。隣の部屋のテレビが変わると、自分の部屋のテレビも(チャンネルが)変わるんですよ。

(一同笑)

リモコンが一緒なんですよ(笑)。そういうようなところで、暮らして。

河上:しびれるね〜。

生活が立ち行かなくなってたどり着いた営業の仕事

青木:けっこうそこでハングリー精神が(鍛えられましたね)。なんだか東京って、すごい砂漠だなと思って。5年ぐらい経ったときに、枯渇感を味わってですね。

河上:それを5年やってたの?

青木:25、26歳くらいまでやっていました。

河上:は〜。

青木:ようやく、暇を見つけて、なんとかバイトをしなきゃ生活が立ち行かなくなりまして。

河上:そこまで(バイトを)やらなかったってこと? 

青木:やらなかったです。

河上:すごい。

青木:すごい数の金額を借りましたけど(笑)。なんとか効率のいいバイトをしなきゃいけなかったので、そうすると人の3倍しゃべったら3倍もらえるというようなことが書いてある、営業のアルバイトを見つけまして。

(一同笑)

携帯電話の販売とか。

河上:そこが原石だな。

青木:フルコミッションのインセンティブももらえると。時給とは(別に)プラスでなんか何万円ももらえるようなことが(書いてあったんです)。「高卒でもなんと、月給80万円もありかも?」とかって書いてあるって、「これだ!」と思ってそういうバイトをしまして。そこからですね。