松永氏が語る、ブランディングの王道パターン

河上純二氏(以下、河上):じゃあちょっとさ、いろいろ企業・経営者のPRについては2人の熱量も伝わってきたし、今後取り組むことも。ちょっと話の視点を少しずらしてさ、その企業経営者以外に、最近ひとりぼっちになっていくフリーランサーが増えてきて、非常にセルフブランディングが大事な時代。純二も独りぼっちみたいなね。

この世界観に対して、個別のセルフブランディングで個人PRみたいな世界も最近出てきてるなぁと思うんだけど、そのへんについて2人の意見みたいなものを聞いてみたいなと思うんだけど。

味岡倫歩氏(以下、味岡):ブランディング難しい……。

河上:どう思う? でも、非常にそういう人って増えててさ。

味岡:はい。王道のパターンはあるなと思うんですけど、やっぱりその人がいかに愛を持って、いかにちゃんと発信しているかみたいなところから分析していくみたいな感じになっちゃうかなと思うので、企業ほどきちんと「こうしたらもっとこうなる」というのがまだ確立されていない。

河上:やっぱさすがね。ちゃんと企業コンサルティング的というかさ、PRコンサル的な入り方で入ってくるね。

味岡:そうでしたか?(笑)。

河上:それぞれの案件に対して(笑)。

河上:それぞれの案件に対して。はい。

河上:人に対してね。まぁ、確かに企業よりもっとバラエティに富んでるし、それぞれのバックグラウンドないしパターンがもっと細分化されていっぱいあるのかもしれないけどね。

純二がすごい思っているのは、端的に言うと、みんなすごく日本人は社内ブランディングめちゃめちゃ上手だったんだろうねと。だから、企業の中で一生懸命認められる方法というのは、大概ある程度のポジションに就いている人はみんなできているのよ。

ノウハウとメソッドだけの社内ブランディングに愛はない

河上:ただ、社会ブランディングが上手にできていないので、それを上手にやってあげらえればうまく違う、自分が違う方向に向かいたいときの道標を立ててあげられるというふうに単純に思っていて。そのやり方を教えてあげる必要があるし、そういうことを伝えてあげる必要があるというのが今の状態かなと思ってるだけど、エリックはどう思う?

松永エリック・匡史氏(以下、松永):僕はたぶん中身は外人なのでちょっと違う考えを持っていて。日本企業の社内ブランディングというのは、派閥に対して自分が合わせることなんだよ。だから、自分を出しちゃダメなんだよ。でも、本来のPRって自分を出すことなんだよ。自分を出すことで自分の居場所を見つけていくんだよ。自分で。でもさ、日本人は合わせようとするじゃん。だから、それって僕からするとPRではないんだよ。ぜんぜん。自分の良さを出していくんじゃなくて。

味岡:ああ、そうかもね。わかりますわかります。

松永:例えば俺が……。

河上:PRではないってこと?

松永:いや、PRでもあるんだよ。良くないPRだと思ってる。

味岡:箱の中に自分をいかにフィットさせるかみたいな。そのPRって外に発信していく、SNSもそうなんですけど、世界中から見られるってなったときに、この箱を取り外したときに想像できなくなっちゃうみたいなことですよね。

松永:そうそう。

味岡:派閥だったら自分の想像の範囲内で「こうしたらこういうリアクションが返ってくる」というのがある程度わかる。

河上:でも、それもノウハウでもありメソッドでもあるじゃない?

松永:だから、ノウハウとメソッドだからダメなんだよ。だって、ノウハウとメソッドに愛はないじゃん。だって合わせるってことになってるんだもん。自分がやりたいことはほかにあるのに我慢してやってますというところに美学を求めてしまったら、「それって違わなくない?」というのが僕の考え。

これは正解はないと思う。だからそれはそれでいいと思うんだけど、俺はそれは嫌い。だから、俺はそういうお客さんはもちろん見ないし、それを共感してくれる人に対してはやろうと思ってる。これは、僕ね、良い悪いじゃないと思うんだよね。

大阪人がもつ不思議なパワー

磯村尚美氏(以下、磯村):コメント入ってる。

河上:本当?

松永:大丈夫?

河上:いや、新規コメント来てるよって。

松永:あら。

味岡:コメント?

松永:大丈夫かな。クレームじゃない?

河上:じゃあちょっと書き込みね。カンダトモヒロさん。あれ、名前言っていいの?

松永:名前ダメだろ。

河上:いや、だって、書いてるんだから大丈夫。

松永:カンダマサキさんね。

河上:いや、トモヒロさんね。

(一同笑)

「Neo-PR経営のお話、大阪でもやって!」って。

味岡:ああ、カンダさん。その方、カンダさん……。

松永:ああ、そう、ちなみに……。

味岡:カンダさん、こんにちは。

松永:なんか音が出てきた。

味岡:あっ、ごめんなさい。

河上:「やって」って。

松永:いや、大阪でやりたい。まずは大阪だと思ってて。

河上:どうして?

松永:やっぱりイキイキしてるからね。あのパワー。パワーとやっぱ愛と熱量じゃないけど。

河上:まぁ、すごいからね。

松永:そこらへんはもうストレートにやって。僕ね、今、本当今年の目標は大阪なんですよ。大阪でやりたい。それで今いろいろ動いてる。動いてます。

河上:大阪。特別なのかな。どうなんだろう?

松永:いや、あのパワーってやっぱり僕みたいな東京人からすると特殊だと思う。

河上:特殊だよね。

松永:あと愛がある。みんなさ、ボケとツッコミには愛があるし。あれが東京にはないんだよね。

味岡:三方よし・四方よしみたいなところもね、大阪の言葉でね。

松永:そうそう。

磯村:私も関西人です。こっちで話すると引かれちゃいます。

松永:でしょ?

磯村:そう、愛情を持って話して……。

松永:冷たい感じないですか? なんか東京の人って?

磯村:東京の人はきつく聞こえるみたいだから、ぜんぜんノリが合わないけど、関西人はそれを何で言ってるかを理解しながら話ができるので、ぽんぽんっと。

松永:愛がなかったらあんなこと言えないですよね。東京であれ言ったら喧嘩になるよね。

磯村:ポカーンとされますね。

松永:そうそう。あとね、やっぱりがんばろうとしてるんだよね。上がっていこうと思っているし、やっぱり東京に負けないようにしたいというそのパワーというのを僕はやりたい。

もしかしたら「東京を経ないで世界でもいいじゃん?」と思ってるし。「東京を中心にというのはなんか違うんじゃないの?」って正直最近思ってる。ちょっとがっくりすることが多いので、やっぱり。

磯村:東京のベンチャーさん半分ぐらい関西人いますよ。

松永:そうそう。実際そうなの。

磯村:そう。

松永:けっこう僕も最近知り合った人みんな「実は向こうなんです」みたいな人が多くて。

磯村:半分か3分の1ぐらいは関西人が乗り込んで支配しに来ています(笑)。

松永:そうそう。

河上:へえ。

松永:いいと思う。したたかさとか大好き(笑)。

河上:大阪はダイレクトにグローバルにアプローチかけてきたらすごいね。

松永:俺ね、そのほうが合うと思う。

味岡:それはそうですね。それはすごそう。パワフルだしね。

グローバル=『キングダム』の門

松永:だから、いちいち東京というのも思い込みじゃん。もしかしたら東京がそう思ってるかもしれないし。地方創生とかも思うけど、もう直ダイレクトでグローバルでいいと思ってるんだよね。いちいち東京を経るからまた面倒くさいことになってるだけで。

河上:なんかあれなんだね。グローバルがグーッと近づいてるんだね。ある意味では。

松永:そういう意味では、俺、東京が一番遠いんじゃないかと思ってるの。だから……。

河上:東京がグローバルに一番遠い?

松永:遠いと思ってる。

河上:ああ、それわかるかもね。

松永:どんどん遠くなってるそと思う。

河上:し、俺にとってはグローバルってやっぱり相変わらず、『キングダム』で言うところのさ、あの門みたいな感じなんだよ。すごくやっぱりさまざまな情報とさまざまな話とさ、さまざま失敗を聞いてきて、めちゃめちゃ頭使ってすごく悩んじゃう存在なのよ。でも、それって逆にいらないのかもしれないね。そういう意味で言うと。

松永:そう。だから、これからってもっと直感とかそういうものを信じるべき時が来ていて。考えて考えて石橋叩いて渡って、気がついたときにはみんな真似されているわけですよ。そんなことやってるんだったら博打だよね。人生博打だから。

河上:俺、PRにもひもづくと思うんだけどさ、前、どこだっけな、俺の知り合いが研究機関系のやつで発表会の時に呼んでもらって行ったときに、西陣織だったと思うんだけど、西陣織のグローバルでの最近の取り組み事例を話されたのよ。

もう完全に日本の昔の着物の西陣織ではなくて、グローバルでの、ホテルのロビーだったり一流ホテルのロビーであったりとかスイートの寝室の壁紙に全部西陣織入ってますみたいな。それをやってきた二代目の社長の話がさ、今思い出したんだけど、そんな感じなのかなと思って。いきなりダイレクトにももうグローバルに行っちゃってるんだよ。ガーンってさ。すごくいいものだと言って認められたんだと思うけど。

味岡:いけますしね、今ね。

松永:いける、うん。

味岡:ネットワークがあればもうなんか。ネットワークっていわゆるIT系のネットワーク、ITネットワークがあればぜんぜんできますもんね。自分でメールを書いて営業してみたいなこと。

東京ではイノベーションが潰されてしまう

松永:俺はなんか東京がなんで離れているかというと、なんか潰すだけの文化に見えちゃってるのね、最近。だから、例えばイノベーションでもそうなんだけど、よくイノベーションの発想力がないからって言ってるんだけど、僕いろんな会社の大企業のイノベーションに関わってきたなかかで、イノベーションは出てるんだよ。いいアイデアもいっぱい出てるし、いい若者がいっぱいいるんだけど、何が違うかといったら、潰すバカな役員がいるんだよ。

これがすごく違っていて。潰したらどんないいものが出たってしょうがなくて、〇〇思考法なんてやったってさ、潰れたらしょうがないじゃん。でも、今ってそれが現実だと思うんだよね。それがどんどん強化されているのを僕は感じていて。

「であれば、それを出してくれるフレキシビリティのあるトップがいるところを出しちゃったほうが早いんじゃないの?」という。そんなもたもたやってるの、僕もストレスたまっちゃうからつきあってられないし。うん。

河上:それがさっきの……あっ、ごめんね。どうぞ。

磯村:けっこうルールがあるみたいな気がしていて。IPOをするにもこの道を通る型みたいなのをみんなはめちゃうので、ビジネスモデルがすごく似てるなとい感じがしますね。

松永:なんか型に入ることに安心感を覚えるんですよ。

磯村:そうかも。

松永:要は前例がない……僕なんて新しいことばっかりやってるから、毎回言われるのが、「じゃあ前例はあるんですか?」って言われるけど、「お前ふざけんな」と。「前例ねえから俺が来てんだろう?」って毎回言ってるんだけど、それを求めるわけ。「いやいや、そう入ってもなにか事例出してください」「だからねえつってんだろう?」みたいなね。もうなんか通すためのロジックというのかな。それを求めちゃうんだよね。

河上:それはそうだね。そういう面もあるね。

松永:そこで「いや、わかりました。俺、クビ賭けて言いますわ」って言ってくれる人がいればいいと思うんだけど、そういう人があんまり見当たらない。結局なんか身を守っちゃっている感じがするんだよね。

河上:なるほどね。

松永:すごい雨だね(笑)。