グローバルコンテンツチェッカーを据える意味

河上純二氏(以下、河上):なるほどな。ちょっとグローバルな話が出たので、グローバルのぜひそのノウハウとかメソッドみたいなところもさ、みんなが聞きたい部分でもあるから。そのグローバルでのPR広報の上手なやり方みたいな話し方で言うと、とくにスタートアップベンチャーが日本からさらに海外でも認知されて売っていけるようになるためには、どんなことを意識してるといいんだろうね。

松永エリック・匡史氏(以下、松永):僕、たぶんそこはITに頼らなきゃいけないと思っていて。まずね、各国ってやっぱり宗教的なものとかもあるから。例えば色もそうだし、物の形もそうだし、いろんなそういう障壁ってあるわけですよ。やっちゃいけないことってあるんだけど、それって僕らからすると実はぜんぜん普通のことだったりすることが実は✕だったりするわけ。

そういうところっていうのは、僕はもう機械的にチェックできるような機能が必要だと思う。そこでいちいち人で調べるようなものじゃないと思う。だって歴史の話だから。

あとは、そういうグローバルなものに関して、全体をチェックするやっぱりチーフが必要だと思うの。要はグローバルコンテンツチェッカーみたいな、コンテンツ全体をチェックする。このチェックの人はCPSとつながっていて、要は何が大事かといったら、社長が言いたいメッセージと狂っていないかってことをチェックする人が必要なわけですよ。

これってでもまだ定性的なものじゃない? だからそこに定量的に、いわゆるデジタルマーケティングのツールを使って実際にみんながどう思っているかはデータとして取れるわけじゃない? それはもう1つのチェックとして使うべきだと思うのね。

だから、デジタルマーケティングの情報をそれであっちゃこっちゃ変わるというのではなくて、そっちをコントロールするためのモニターとして使うというのが、僕は正しいこれからデジマのデータの使い方だと思う。

データの波で溺れている

河上:なるほどね。ちょっと実際にそのツール、ソリューション的な聞き方をするけど、いま僕はそこまで詳しくないので聞きたいのもあるんだけど、いわゆるグローバルで論調みたいなものを、ソーシャルメディアはもちろん、Webメディア、さまざまなところでのものをある程度トラッキングしていって、イエス・ノー判定、ネガティブ・ポジティブ判定みたいなものを精査するようなツールってかなり精度の高いものが……。

松永:うん、ツールはあるよね。

河上:あるんだ。

松永:ある。ただ、使われ方なんだよね。データサイエンティストっていう話があるんだけど、データってすごく難しくて、1つの情報をどう解釈するかってけっこう文学みたいな深い話なんだよね。

河上:なるほど。捉え方も違ってくる。

松永:捉え方が違う。

味岡倫歩氏(以下、味岡):だからグローバル、英語だとけっこう精度いいけど、日本語になるとダメみたいなのはけっこうあります。

松永:そう、日本人はやっぱり感覚だからね。

味岡:日本語ってやっぱり難しい。皮肉で言ってることがAIのチェックだといいふうに取られちゃったりとかすることもある。

河上:そういった意味では文脈が難しい部分はあるよね。

松永:たぶん言語の問題なのか管理しようとする問題なのかという意味では、言語の問題はもちろんテクニカルのところであるんだけど、そもそもやっぱりデータを僕は軽視していると思っていて。とりあえずマーケティング部がこんな分厚い紙を出してくれば「ああ、なにか出したな」みたいな感覚があるじゃん。要は網羅性を求めるじゃない? いっぱい出してくれって。コンサルタントもバカが多いからさ、たくさん情報出しゃぁさ、仕事してるみたいな……。

河上:言葉を選ばない(笑)。

松永:ああ、すみません。なんか仕事してる感を出すんだけど、そうじゃないんだよね。データって実は少なきゃ少ないほど難しいんだよ。

だから、僕がすごく思っているのは、CPSとかC例えばChief 〇〇 Officer、なんでもいいいんだけど、社長忙しいわけ。もういろんな判断をしなきゃいけない中で、このデータはこうであるということをすごく端的に言わなきゃいけないわけ。もう本当に、変な話、9個ぐらいのKPIで言う必要があって、これってすごく難しいんだよね。そこに頭使っているかというと使ってなくて、大量のデータを取ることでやってるんだよね。

だから俺そういう意味では、今のデータでまずは十分だと思っていて、新たに取るという流れがあるんだけど、もうすでにみんな溺れていると思う。データの波に溺れてて「これどうすればいいんだ?」ってなっちゃってるから、そこを1回きちんと整理するところから始めないと、さらに溺れちゃう。だって、これからどんどんIoTとかでデータを取れるようになってきたら。

河上:そうだね。

情報漏洩で会社が潰れる時代のセキュリティ問題

松永:あと、もう1個心配なのが、セキュリティの問題。みんなまだセキュリティってコストだと思ってるんだけど、これからの時代、どんどんデータが取れてる時代ね、もうセキュリティはサービスと同じぐらい重要なんですよ。そのぐらいお金かけなきゃいけなくて。なんでかといったら、情報が本当に漏れたら会社は一発で潰れる時代になってきたから。

その感覚が海外はあるんだけど、日本は本当ない。なんかやっぱりコスト。セキュリティ、なるべく安くみたいなこと。逆だよ。セキュリティは絶対値引きとかしちゃダメ。逆に値引き交渉したことというのはあなたたちの会社の考え方を言ってるようなもので、「私はお客さんの情報をどうでもいいと思ってますよ」と言ってることを言ってるようなもので、逆にもうさらに「もっとできませんか?」というような姿勢になっていかないといけない。

だから、それはC〇〇だと思うんだよ。Chief Security Officerってもし言うのであれば、そこまで言うべきであって。

河上:今なんで1回オブラートに包んだの?(笑)。

松永:いやいや……一応大人だから。

河上:大人だから。なるほどね(笑)。

松永:大人。

河上:そうね。後回しになりがちだよね。セキュリティゾーンもね。

松永:セキュリティ大事よ。本当大事。

河上:個人情報だしね。

松永:だってさ、バンドエイドに風邪の菌が入ってたら、そのバンドエイドの会社潰れるじゃん? それぐらいセキュリティって大事なんですよ。逆にね、今の話って象徴的で、仕込むこともできるわけよ。あったまいいやつは悪いことするわけよ。

味岡:確かに。

河上:まぁ、そうだよね。

松永:うん。だから、これをどうするかって考えたら、お金と頭いい人を投入しなかったら無理なんだよ。そんな簡単にやったら、悪いやついっぱいいるんだから。うん。そこは変えていかないとまずいと思う。

僕はやっぱりいろんな人と話してて、なんでIT・セキュリティに値引きを求めるのかっていうのは、僕はすごく理解できない。

河上:(笑)。

松永:本当に理解できない。一番大事なところなんだもん。だってさ、トヨタが車を作るときにさ、ブレーキの精度を安売りして、いやいや8割ぐらいでいいわって言うかって言ったらいわないじゃん。今ITってサービスそのものだから、要はITに金をかけないって、今のブレーキになんちゃらと同じ話をしてるんですよ。そんな会社を信用できるかといったらできないよね。

「なんでだろう?」からメソドロジー化していく

河上:まぁ、そうだね。OK、じゃあだいぶ時も経ってきたからもう1つのテーマにいってみようと思うんだけど。人材育成のほうね。人材系、いわゆるPR・広報、経営に近い感覚でPR・広報の取り組める人材を育てますというのがもう1つ最後の3つ目だったと思うんだけど、そこは普通に昔のPR担当のいわゆる専門学校あったのかな。あるのかな。

味岡:ない。ないです。

松永:でも……ない?

味岡:宣伝会議さん、そのぐらいですね。

松永:ああ、そうか。宣伝会議とか。

河上:宣伝会議。

松永:あとは事業構想大学院大学のもう1個のやつもそうだよね。

河上:なるほどね。そこの今度の人材育成のポイントみたいなのをまず聞いてみたいけど、どういうところに力を入れてやっていく感じになるのかな。

味岡:広報さんってこれまでってすごくツールの習得が、ツールというのは例えば「どうやってメディアとつながるの?」とか「どうやってプレスリース書いたらいいの?」とか「どうやって文章を研ぎ澄ませていったらいいの?」みたいな手法に寄ってたんですね。手法はみんなめっちゃ学ぶし、そういう勉強会も山ほどあるし。

でも、手法って考え方があって組み立てて手法を使わないと、まったく意味がないんですね。これをぐるぐるさせないと、ただ手法を知って「プレスリリースこう書けばいいんだ」って言ってやってなんかダメだったっていって、また違う手法に飛びつくみたいなことがすごく起こっているなと思っていて。

なので、一番大本のやっぱり考え方、どうしてそれがいいのかというのをどうやって理解するか。それをいくつもその考え方があるから、それをどうやって組み立てていったらこの手法が一番いいよねっていう、それを組み立てていかないとダメで、私はそれをやっていきたいところですね。

松永:この2人組んでいることの意味って何かといったら、僕は経営のサイドだったので経営の側からPRを見てきたんですよ。だから、僕からすると「働けよ」って思ってたのが正直なところ。今までの会社ね。別にPR一般を言ってるわけじゃなくて。

例えば自分がデジタル事業を立ち上げたときにも、すごく必要だった。だって名前がないところから出さなきゃいけなかった。すごい短期間で。その時に僕が思ったのはやっぱり「働けよ」って思った。

でも、たぶん彼らは彼らの視点で、やっぱり倫歩と話してみるとわかるのは、彼らは彼らの視点でがんばって一生懸命やってたんだよね。でも、届かないんだよ。なんで届かないのかというのを「何でだろう?」ってここで話し合って、それをメソドロジー化しているわけです。

それがだからすごくキーになところで、今までこの手のやつでなかったと思うのが、どっちかだったんだよ。必ずPR側か……まぁでも経営コンサルはいなかったと思うけど、ちょっとコンサル寄りの人かどっちかが「こうだ!」って全部言ってたじゃない? やっぱり共生ですから。共生だから、やっぱりそれぞれの……。

河上:共に生きるね。

松永:そう、共に生きる。話し合ったら、それはだって餅は餅屋ですから。だから、毎回話すと「えっ?」と思うことがお互いにあるわけ。それが大事だと思う。それができることがここらへんのチーミングの強さ。

河上:なるほどね。

松永氏と味岡氏の出会いは6年前

味岡:エリックさん、ちょっと面倒くさいと思ってますもんね。PRと関わるのが。関わるというか、PRの部署の人と関わるのをエリックさんが。

松永:前はね。

味岡:そう、前。前の時は。

松永:前はそう思ってた。やっぱりチェックされるというすごい、自分が書いたものを。僕プレリリースの内容も自分も書いたりするので、そうすると「それをチェックするんだったら、お前書けよ」とかって思うわけよ。

あとメディアの関係も、メディアとやっぱり自分がつながっているから、「俺が話しに行っちゃってるのに、お前ら何してるんだよ?」って思っちゃうわけ。でも、それはそれでやっぱり違ったところがあったり、自分の反省があるわけ。「あっ、これ違ったな」って。

実際に今回セミナーを一緒にやると、現場の人たちと話すことがあるわけですよ。今は僕もう全身で彼らを応援したいもん。すごくもう上がってほしいと思ってる。

河上:いつからPRの人になったっけ?(笑)。

松永:だから会ってから。

味岡:でも、いや、もともと……。

河上:PRの人になってるからさ、「あれ?」と思って。

磯村尚美氏(以下、磯村):いつ出会われたんですか?

味岡:出会ったの本当……。

松永:6年前。

味岡:あっ、そうだそうだ。

松永:そう、6年前。

味岡:2〜3日前に、ええと、なんだっけな。

松永:Facebookで6年前に。

味岡:「友達になりました」みたいなやつ。

松永:そうそう。記念日が出てきた。

磯村:それからコンビを組まれたのは6年前から?

味岡:いや、この春。

磯村:最近。

味岡:この春ですね。

松永:この春ぐらい。

磯村:へえ。

味岡:エリックさん、前の会社を辞められて教授になられるタイミング。いろいろそういう人事というか組織的なものとかもあって、今回みたいな。でも、もともと前職のときに。

松永:すごい仲良いのでしょっちゅう会ってはいたんだけど、ただ、話すことはくだらないことばっかで、お互いの仕事の話なんかしたこと1回もなかった。

味岡:ほぼしたことないです。

松永:それはなかった。

磯村:じゃあ今年の春からペアを組まれて、PRのことを見直されたのも春ぐらいからという。

松永氏の経営手法はPRがベース

松永:そう、ただもう1つ言えるのは、僕自身の経営手法というのが実はPRベースなんですよ。

味岡:そうなんです。それがあったから、もともともうPRという意識がなくやられていてっていうところからですよね。

松永:そうだね。

味岡:うん。

磯村:じゃあコンセプト、根っこの部分がもう一緒で、PRという認識はなかったけど、実はPRのコンセプトと同じようなことと一緒だったから、じゃあ……。

松永:そうそう。だから僕ね、PRの仕事やってたんですよ。

味岡:そう、そうなんですよ。その時はそう思ってなかった。

松永:目立ちたがり屋だから。

河上:それはよくわかる。

松永:JJと一緒。

河上:よく言う。

松永:一緒一緒。

味岡:だって赤ですもんね。

松永:赤。

河上:赤だね。

磯村:JJさん、最近赤着てこない。

河上:赤は着てないね。

磯村:どうしたの?(笑)。

河上:いやいや(笑)。

味岡:(笑)。

松永:落ち着いてきちゃった。

河上:いや、落ち着いてないよ。

味岡:でも、この間ピンクの帽子でやってたからね。

異なるケイパビリティの人たちが素直に話せるのが理想

河上:そうそう。いや、考えることもあってね。なんかすごく……。

磯村:何考えるの?

河上:いや、このあと今後の本当にとくにベンチャー、大きくなろうとしいてるすごい夢大きい大志を抱こうとしているベンチャーの社長にとって、とても大事な道標だと思ってるんですよ。それをうまく俺もキャッチアップしてうまく架け橋をかけていきたいと本当に思っていて。それを噛み砕こうと思ってけっこう今日、珍しく前準備して臨んで。

松永:珍しくかよ(笑)。

磯村:純二さんとエリックさんはどういうご関係だったんですか?

河上:どうだったっけ?

松永:もともとなんか恋人として付き合ってた……。

磯村:ああ、そうなんですね。

松永:違うわ(笑)。

磯村:どっちが。

河上:うん……言いにくい。

(一同笑)

背が小さいから俺はあれなのか、熊っぽいから男顔なのかよくわからない。

磯村:どっちだろう?

河上:どっちでもいいわ(笑)。

磯村:(笑)。

松永:ご想像に。

河上:でも、なんかおもしろいなと思ってね。本当にね。すごくおもしろいと思う。

松永:やっぱり違うケイパビリティとか違う人たちが素直に話せるってことが、僕のやっぱり理想なんですよ。やっぱりほら、否定しがちじゃないですか。例えば僕も実際仕事をしていると、どうしてもやっぱり自分の仕事を早くするためにPRの方々をちょっと否定的に見ちゃうところもあったりするんだけど。

でも、それをきちんと「いや、ちょっと待って。俺間違ってるかもしれない」と思って話すことで、「あっ、なるほど。やっぱり間違ってたわ」って。でも、「ここももうちょっとこうすればいいじゃないの?」ということをお互いに言い合えれば、ちゃんと改善になるじゃないですか。そこがたぶん大事なんだと思う。ディスり合ってたら、たぶん喧嘩してて、もう今頃ここに2人で並んでないと思う。

味岡:そうですね(笑)。

松永:並んでない。

河上:そうだね。ちょっとカップルとして疑われたりしないの? 大丈夫なの?

味岡:大丈夫です。

松永:疑われたこと1回もないよ。どっちかというとJJとカップルとずっと疑われてて。これ何度も言われて「疑惑の2人」とか言われる。

(一同笑)

味岡:ちょっと変わってみます?(笑)。

松永:JJたぶんキスとかするからね。それでね。

河上:そうだね。

味岡:そっかそっか。酔っ払うとね。

松永:俺もたまにちょっとそれでムラっと来たり。

磯村:ムラっと?

河上:(笑)。

松永:あっ、それはないか(笑)。

せっかくいい話してたのに。

味岡:(笑)。

河上:おもしろいね。そうだね。あれ、俺、何言うのか忘れちゃったよ。

磯村:なんかいろいろつなげる役をやりたいんだって。

河上:あ、そうそう。

松永:ぜひやりたいよね。

方法論より人の熱量

河上:うん、やりたいと思う。求めていることも事実だし、もしメソッドだったり、どうしてもすぐにやっぱ切羽詰まると具体論になっちゃうじゃない? 方法論とかさ。「これどうやったらいいんですか?」ってなりがちだから。でも、それが足りていないのも事実で、世界観を持っている社長ってけっこうすてきな社長がいるんだよね。彼らをどう方法論として前にきれいに出していくか。

松永:PRに関して言うと、すごく僕らがやってることというのは、もちろん僕らがなにかをやっていくのもそうなんだけど、育てようと思ってるわけ。結局方法論が〇〇というさ、やっぱりこれは僕がもといたコンサルティングなんかまさにそうなんだ。方法論って本を書いてさ、それでできるんだったら、みんな本1,800円の買えばいいわけじゃん。そんな。そしたら僕らの価値はないわけじゃないですか。

じゃなくて、やっぱり人なんですよ。人がどうやっていくかってすごく大事。人てやっぱり熱量があって、愛があって、その人がやることに意味があるわけですよ。だから、僕らは、僕らが派遣して何をやるということをしたいわけじゃなくて、それぞれのベンチャー、スタートアップの方々でやってるがんばってる人たちを育ててあげたいんだよね。それでこの人たちがすごい活躍してくれてっていう姿を見たいというのが素直なところだよね。

味岡:そうですね。

松永:そこはでも、もともと倫歩はそれをやりたかったんだと思う。ずっと。

味岡:そうです。

松永:そこで僕は共感したし、お手伝いしたいなと思って入ってるという。

味岡:ありがとうございます。

松永:太い幹に僕がこうやってカブトムシみたいにくっついてる。

味岡:いやいや(笑)。

河上:戦略顧問でよろしいんでしたっけ?

松永:Komon

磯村:Komon(笑)。

松永:戦略Komon。