なぜラムチョップ店をオープンさせたのか?

河上純二氏(以下、河上):なるほど。俺ね、高岳さんとつきあい長くなってきてるけど、ここで聞いたことがないことを思い出した。「俺が飲食店に打って出たのは、この肉と出会ったからだ」って俺聞いたことがあって。その肉との出会いはどういうかたちで、あのラムチョップ本当にうまいんだけどさ、あのラムチョップの肉とどういうきっかけで出会って、こういうかたちになったの?

高岳史典氏(以下、高岳):たまたま。

河上:ちょっと待って。俺が今すごく導線引いて、俺の導線……すごいめちゃめちゃナビゲーションうまいと言われている俺を、いま一言で片づけたけど。ちょっとやめてくれる? 俺、ブランド崩れちゃうから。

及川真一朗氏(以下、及川):(笑)。

高岳:あんま……え?

河上:だってさ、あの肉、本当においしいんだよ。みんなにも食べてもらいたいんだけど。あんな肉になかなか会えないんだけど、もともとその前は別業界の社長をやっててさ、いきなり飲食業のおいしいラム肉が……オーストラリア? ニュージーランド?

高岳:ニュージーランド。

河上:ニュージーランドのある肉に出会ったから、飲食店に打って出たっていうんだけど、ここの話ちょっと文脈飛んでるじゃん。どうやって出会ってそこに最終決断していったのかは聞いたことないんだけど、それたまたまって片づけないで。

高岳:いやいや、なんかもともとね……あ、これ、視聴を誰が見てるかが出るんだね。

及川:うん、出るよ、これ。

河上:超出るよ。

高岳:すごいね。あれ、啓介君とか見てるじゃん。松嶋啓介、あの……なんか。

河上:そうそう。ここ。でも、誰もコメント寄越してくれないじゃないですか。怖いんじゃない? みなさん、コメントよろしくお願いします。

高岳:はい。みなさんコメント(笑)。

ハワイのホットドッグ店にアポなしで突撃

高岳:それでなんだっけ。あっ、辞めてプータローで自分でなにかするんだという話になったときに、ITはやるつもりがなかったので、IT……というか、LINEのちょっとアドバイザーっぽいことをやってたし、LINEがこれからすごくいいところでその体験はそこでできるので、なにかぜんぜん違うことで目の前でいろんなことが起こること。ITって、さっきのアプリとか、なんか見えないので、だから目の前で起こることがいいなと思って。

そうすると目の前で見えることで、あと僕バブルな生活してるから、例えば店舗1個つくるだけじゃたぶん食っていけないから、たくさん店舗展開できて目の前で起こることというと、そうすると美容サロンであるとかエステティックとかネイルとか飲食とかって思ってたら、たまたま知り合いがハワイにおいしいホットドッグあるからそれを持ってきてくださって。僕のP&Gの先輩が。

河上:でも、まずホットドッグなんだね(笑)。

高岳:ホットドッグ、ホットドッグ。それで本当その翌週末にアポなし突撃でハワイのホットドッグ屋に行って。おいしいということで。Hank'sっていうんですけどね。今でもあります。

河上:食べに行った。うん。

高岳:食べに行ってHankさんがいたから、「日本から来たんだけど、このホットドッグを日本に持っていきたいんだ」と。始めはぜんぜん信じてもらえなくて、ちゃんと契約書とか作ってそこからいっぱい交渉して。

初めはラムチョップには興味がなかった

高岳:やったんだけど、結局ダメで。もちろんほかにもいろんなすてきな交渉相手さんがたくさんいらっしゃって、日本から来たこの間までそのへんのなんかやってたお兄ちゃんがいきなりやって来て、「飲食経験もなにもないけど、ホットドッグ、これやらせろよ」って、ちょっとおかしな話で。

ちゃんと作ったのよ。いろいろ話をしているうちに、なんか「ホットドッグをハワイから日本には持っていけない」と言われて「何で何で?」と。「おいしいホットドッグを僕が持ってくから輸入したらいいじゃん?」と言ったら、狂牛病の関係で食肉加工品って当時、今はどうなのかわからないですけど、要はダイレクトに輸入できなくて「おい、どんすんだ?」みたいな話になって。

そんなこともぜんぜん知らなかったからどうしようと思ったら、クワアイナってわかります? ハワイアンハンバーガー。「あれは同じハワイアンハンバーガーなのに、あれどうなってんだ?」と。

聞くと、あのハンバーグって全部ニュージーランド製なんですよ。「なんだ、このハンバーガー作ってるニュージーランドの会社どこだ?」って言って探して探して、今のラムチョプのところが見つかるんですけど。その社長をつてでたどっていって見つけて、もちろん一番始めは「ソーセージくれ」と。

日本の例えば、当時は少なくともコストコも全部ニュージーランド製だからね。そこが卸してるので。それでおいしいソーセージを卸しているから、「大丈夫、大丈夫。卸してあげるよ。でもね、高岳君、ニュージーランドといえばラムチョップだ。最高のラムチョップを君にあげよう」と言ったから、僕は「ラムチョップはまったく興味がない」って。

(一同笑)

まったく興味がないので、まずはソーセージ。

調理経験ゼロ、それでもオープンを決めた

河上:1回突き返したんだね。

高岳:ソーセージを、言い方はもうちょっとジェントルにしたんですけど、「ラムチョップってね……」「あ、そうなんですか。ソーセージを」と。

河上:なるほど。おもしろいね(笑)。

高岳:そしたら契約を断られちゃったじゃない? うまくいかなかったから、これまずいなと思ったら、「そういえばラムチョップうまいって言ってたな」と。そこが直営でやっている「WAKANUI」というすごく今有名な、東京タワーの前に今ありますけど、当時は麻布十番にあって。

そこはニュージーランドのすばらしいビーフをメインに、ラムチョップは1番目のアペタイザー、1本だけポンっと1番目に出てくる。食った瞬間うまくてね。もうアペタイザーばっかり食べちゃって。ラムチョップばっか食べて「めちゃくちゃうまいな、これ」って。手で。小さいし。それでこれをカジュアルにワインと合わせて売るといいんじゃないかと思って、ラムチョップ、ULTRA CHOPに名前して、ワイン、あれすると。

河上:なるほど。

高岳:と決めたときに、僕はまだ包丁も握れず、調理経験なく、誰1人僕のスタッフはいないときにラムチョップ屋を始めると決定をするという。

河上:そうだよね。

高岳:はい。決定ですね。

45歳の自分がいたら「やめとけ」と言っていた

河上:このへんからやっと僕も彼のアミーゴ関係の中に入れるんだけど。このあともうちょっとあとにね。それはでも、すごい決断だし、びっくりする流れだよね。

高岳:頭おかしいよね。今もし俺の目の前にあの時の45歳の俺がいたら、「やめとけ」って言う。

河上:「やめろ」って言う?

高岳:危ないよ、そんなの。ぜんぜん何もできないのに。誰もスタッフもいないのに。

河上:でも、あの肉、本当うまいぜ!

高岳:あの肉は本当にうまい。

河上:うまいぜ。

高岳:あの肉は本当にうまい。

河上:食べたことない?

及川:ないです。

河上:即食べて。

及川:いや、ぜひお願いします。

河上:即食べて。

磯村:食べたい。

河上:本当に食べて。

高岳:いやいや、あの肉本当に、あの時ね。

河上:びっくりするぐらいやわらかくて、本当にうまいよ。俺のおすすめはプレーン。

及川:プレーン?

河上:なにもしなくていい。プレーンなんだよ。プレーンを何本も食い倒して。

及川:わかりました(笑)。

高岳:プレーン?

河上:プレーン。

及川:いやいや、食べたいです、食べたいです。めっちゃ食べたいですね。

高岳:あの頃、ちょうどさっき言ったホリエモンが刑務所から出てきて。

河上:うん……生々しいんだよ。表現が。

堀江貴文氏も「うまい、うまい」と大絶賛

高岳:それは2000なに、始まった時だから2013年か、の5月に彼出てきて。それで出てきて「飯でも食おうか」って言うから「お茶しよう」ってお茶してたら、彼はやっぱりテクノロジーの人だから、長野のほうに入ってたから、その時も自分の知識欲がすごくて、「LINEの話が聞きたい」と。

「LINEがもう絶対いくと思う。これからすごくなる」と。「だから、LINEの話を聞かせてよ。今もLINEの役員やってるんでしょ。めっちゃ聞かせてよ」とか「中の人会わせてよ」って言うんだけど、「ごめん。LINEの役員どころか、俺ラムチョップ屋なんだよね」って。

(一同笑)

「ラムチョップ屋なんだよね」って言ったら……。

河上:そうだね。まったくLINEにいないからね。

高岳:そうそう。「はぁ?」みたいな話になって。

河上:LINEのラインにいないから。

高岳:LINEのラインにいないから。「えっ、なにそれ」と。「いや、だからラムチョップ食べに来てよ」と。あいつは義理堅いから、オープン前の5月に初めて食べに来たのは彼かな。

河上:へえ。最初のオープン?

高岳:プレオープン。まだオープンする前。僕らがお店をつくってるときに、7月からオープンして、彼5月に出てきて、6月とかに来てくれたんじゃないかな。来て、もともと彼もラムチョップなんてぜんぜん興味ないので、それでマネージャーの人から「堀江30分ぐらいしか時間ないので」って、逆にそこを無理やり作って来て、2時間ぐらい飲んで食って。ラムチョップめちゃくちゃ「これ、うまいうまい」って言って、「帰んないのか?」って。

(一同笑)

高岳:以来、彼は本当もう俺よりラムチョップについて語るぐらい。すごくそれからよきアンバサダーをしてくれて。もちろんお金のやりとりなんか1つもないし。だけど、彼すらすごくびっくりしてた。

河上:なんかすごい不思議なライブドアの流れとラムチョプの流れが交差していろんな人が出入りしてるこの高岳ワールドは、おもしろいよね。

高岳:おもしろいねぇ。もうなんかいろんな人が毎日やって来るからさ、わけわからないもんね。

これからの選択肢を考えたほうがエキサイティング

河上:本当にそう思う。高岳さんって、なにか人生後悔したことってある?

高岳:ないない。

河上:ない。だってさ……。

高岳:めっちゃかわいいおねえちゃんと別れた時は、「あの時ああしとけばよかったかな」と思うときはあるよ。

及川:そういう(笑)。

河上:それは知らん。

高岳:それはあるんだけど、人生をもう1回10年前に戻ってやり直せって言われたらさ、なかなかつらいよね。もうこの人生やりきったほうがいいから。

河上:わかるね。それはね。別に戻らなくていい。

高岳:戻らなくていいよ。このやりきったあとにもしもう1回人生があるんだったら、2度目があるならそれはそれでいいけど、どこにも別にもう戻りたくなくて、選択肢で「あの時ああしてたら」って、そりゃ違う人生はあったかもしれないけど、これが俺の十分ベストな。ベストっていうのは、今からまだ選択肢いっぱいあるから。昔の選択肢を考えるより今からの選択肢のほうがぜんぜん大変だよ。ぜんぜんエキサイティング。

河上:そうね。熱いからね。