謝罪マスターが教える「謝罪のコツ」

福嶋聡氏(以下、福嶋):本日はご来店ありがとうございます。店長の福嶋と申します、本日は、竹中功さんに来ていただきました。前にね、うちの那覇店でも(イベントを)やっていただいて。

テーマは『謝罪力』。なぜこじれる、なぜ炎上する。やっぱり僕らもずっといろいろなかたちで関心があって見てました。吉本でね、謝罪をしてきたというだけで、「これはもう、大概のもんじゃないな」という気がするんですけれども(笑)。

竹中功氏(以下、竹中):いやいや、大概ですよねぇ。

(会場笑)

福嶋:ぜひそのへんのコツとかですね。

竹中:ものすごいトークライブになってきました(笑)。

(会場笑)

竹中:そこから入っていって。

福嶋:すごくお聞きしたいなと思って。

竹中:僕も逆に店長にはねぇ、書店の悩みというか、謝罪もあるし、書店でいうところの「クレーム対応」とかあるじゃないですか。そのへんを聞こうと思ってやってまいりました。

福嶋:よろしくお願いします。

竹中:よろしくお願いします(笑)。

大切なのは、マイナスに振れた針を元に戻すこと

福嶋:ありがとうございます。帯がすごくいいのが、「イカリ→リカイ」。こういう回文な、「相手の怒りを理解に変える、それが謝罪だ」というテーゼはすごく力強い。本当によくわかるんですよね。「これは心の問題なんだ」と竹中さんは何度も言われています。

竹中:そうですよね。

福嶋:それと損害賠償は大事なんだけども、実は別のもんだと。

竹中:順番でいうと、やっぱり感情的とか、精神的なものの解決がいるわけですよね。だいたい、まぁ何かに有事があったときには、もちろんケガをして、足や手の痛みもあるし、ものが壊れたときにはお金で弁償してもらうとかもあります。

大事なことは、心のマイナスに振ってしまった針ですよね。これを元に戻すという意味での感情的とか精神的なものの解決が先に必要。理解ですね。怒りを理解に変えることが大事だと考えています。

福嶋:「コミュニケーション」を何度も強調されていると。

竹中:そうなんですよ。「はよ謝れよ」言うて、謝って済んだらええやないですか。なんやったらその後、味方になってもらったり応援してもらったりするわけですよ。

誰が・誰に・何を詫びるか

福嶋:まずこの本が始まる冒頭部分にこういうふうに書かれています。「気になることがある。テレビを見たり新聞を読んでいると、謝罪が目的になっていないか。そしてまた、その謝罪会見が、ショーアップ化されていないだろうか」。

これはさっきおっしゃった、理解やコミュニケーションとは、ある意味で対極にあるような感じなんですけど、最近の謝罪会見とか謝罪の仕方について、できたら具体的に思うところを教えていただけたらと思います。

竹中:さっきも言ったように、謝罪というのは被害者がおるわけですから、「誰が、誰に、何を詫びるか」が大事なんですね。だから「誰が、誰に、何を」でしょ? それでこの前ですかね、田口さんいう、ちょっと男前の兄ちゃんが大麻で捕まらはって、土下座しはったんですね。で、きれいな土下座をやったんですよ。

これをね、テレビ局の人が僕に「どう思いますか?」って電話かけてきはったですね。「『どう思いますか』? いや、逆にどんな状況ですか?」って訊き返しました。9対1ぐらいで、「土下座は押し付けがましい」「編集しすぎてるんちゃうか?」とか、「土下座なんか必要じゃない」という人が9割ぐらい占めましたと言いはったんですね。

僕の感想は、きっと9割の人は、本来の被害者じゃないんですよね。だってあのときのホンマの被害者は、「KAT-TUN」が好きな、10年来のファン。彼がジャニーズを辞めてからも、自分で活動してることを応援している人が被害者ですよ。

その人に対して、「捕まっちゃったし、ライブも全部なくなっちゃいます。どうもすいませんでした」の土下座なんですけど、関係もない、被害者でもないような、もともと応援していたわけでもない人が「あの土下座は気に入らない」と言うんですね。

僕にしたら「お前に謝っているんじゃないわい!」って言いたいぐらいなんです。テレビってやっぱり視聴率を取らなあかんのでね、もう、なんやったら土下座してるとこを3カメぐらいで撮ってるところもあって、「上手にカット割りしてるやん!」みたいになっててね。

(会場笑)

溺れている犬を棒で突くようなもの

竹中:あれも完全にショーですよね。数字も取らなあかんので、ジャニーズにおった男前のお兄ちゃんが土下座したっていうのは絵になるんでしょうけども、彼が本当に謝った人には、僕はそれで済んだと思ったんで許してあげて、そのあと罪を償えばええですよ。5年か10年かわからんけど、また復活するんやったら、追っかけてる人は「がんばりや」って言って応援すりゃええじゃないですか。

でも、なんかテレビを見てる人たちは、もっと貶めたいというか、もう二度と這い上がらんでええように、一緒になって溺れてる犬を棒でどつきにいってるんですよね。もうそうなると被害者でもないじゃないかと気になって仕方ないですね。

だから言ったように、謝罪は「誰が、誰に、何を謝るか」ということ。対象者がちゃんとおるわけですよ。原田龍二さんの「4WD不倫」とかの件も、いろいろ聞かれました(笑)。知ってます? なんやったっけ? ランドクルーザー。トヨタのランクルの乗ってはるのね。後ろなんか広いから10分で済ましはるらしいんですけどね(笑)。

誰がいちばん悲しんでんねん。それは、また言うたら長い間『水戸黄門』からファンの方もいらっしゃるでしょうけども、いちばん悲しんで苦しんでいるのは奥様であり、子どもさんじゃないですか。子どもさん、上のお兄ちゃん高校生、下の女の子中学生ですよ。

本当にその子らとはまだメールでしかやり取りしてないけども。周りは「嫁さんが許してるんだから、もういいじゃないか」って言うてるんですよ。でも嫁さんが表向きええのかもしれへん。「原田アウト!」言うたからええんかもしれへんけども、あのときにじゃあ、子どもさん2人、ちゃんと現在学校に行ってるんでしょうかね? 下の女の子、中学生、行けてるんでしょうかね。

誰もが被害者になれる時代

僕はそういう意味でいうと、いちばん弱者のことが気になるんで、その人に対しての謝罪、もしくはコミュニケーションが大事。でもテレビはおもしろくて仕方ないですね。「4WDの車、次なんぼで売れんのかなぁ?」「次もまた同じ車買うんですかね?」と言われてる。そこですか? おもしろがり方は。

人の不幸をそんなに喜ぶもんじゃないはずなんですよ。やったことは悪いですよ。やったことは悪い。プレゼントもあげない、ごはんにも連れて行かない、駅まで迎えに行って駅で帰らすみたいな。「なんとぞんざいな」って言われたんですよ。

女の子は女の子で、まぁねぇ、いろいろお付き合いもあったんでいうのは別としても、僕は被害者のことをしっかりと見定めてないことに問題があると思う。やっぱり「誰が、誰に、何を謝るか」っていう論理に乗っかって眺めなあかんのです。

それができてない人が多い。あと言ってるように、本当に被害者でもない人がワーワー言いすぎ。あんたが迷惑かけられてるんやったら、その「KAT-TUN」の田口くんのライブのチケット買ってて、「俺、楽しみにしてたのに、捕まりやがったから行かれへんかったやん」って言うてんねんやったら怒ってください。その人に謝りますよ。

でも、「KAT-TUN」も聞いたことなきゃ、新しい活動も知りもせんのに、「土下座とはなんだ、今の時代に」って、「お前は誰やねん!」って、本当は言いたいですね。でも、今はネットが発達した時代でいうと、誰もが被害者になれると思ってしまうんですね。被害者じゃないですよ。テレビの視聴者ですよ。

火曜サスペンスを見ながら「今日は怖かったなぁ〜」「今日はすぐ犯人わかったからおもろなかったな」って言うて、テレビを見てるのと同じようにニュースを見てる。