影響を受けた起業家は誰?

冨田阿里氏(以下、冨田):質問がいっぱい来てるので、サクサクっと次にいきますね。「スタートアップが大きくなると、なんで野球やサッカークラブの運営をされるんですか?」。

亀山敬司氏(以下、亀山):あ~、カッコいいからなんじゃない、スポーツは。なんか「ちょっといいじゃん」みたいな感じになるんだよね。宣伝効果もあるだろうけど、うちの場合はもともとビジネス的に成り立ちますっていう話で来たのよ。だから日本の球団とかとはちょっと違う理由かな。

日本の球団とかサッカーチームだと、とりあえず収支トントンでも得なわけ。CMになるから。持ってるだけでしょっちゅう名前が出るじゃん。DeNAとか楽天みたいな感じで。それだけでもぜんぜん価値あるわけよ。そのうえファンが、会社に対しても濃いユーザーになるからね。

でも、うちのサッカーチームの場合はまったくそういうのはなくて。ベルギー国だから関係ない。日本の選手を向こうへ送って育てて、ヨーロッパに出すみたいな感じだから。日本の球団とうちのチームとはちょっと違うかな。むしろ「世界デビューへの入り口です」みたいな売り込みだからな。

冨田:ありがとうございます。じゃあみなさんに「誰に影響を受けて起業されたんですか?」という質問に1人ずつ答えてもらいましょう。

鶴岡裕太氏(以下、鶴岡):僕は家入一真さんですね。家入さんにサービスの作り方を学びました。

亀山:家入教に入ってるなって感じだもんね(笑)。

鶴岡:家入様様ですから。

田中邦裕氏(以下、田中):最初家入さんに出資してもらってませんでした?

鶴岡:してもらいました。僕はもともとCAMPFIREでエンジニアをしていたので、その流れです。

亀山:もともと(シェアハウスの)リバ邸にもいたもんね。

鶴岡:いました、いました。毎月3万円で生きてたので、僕。

亀山:そうそう。5年くらい前にリバ邸に遊びに行ったわ。

鶴岡:僕は会社を作った瞬間から亀山さんを知っているんですけど、ぜんぜん投資してくれなかったんですよ。

(会場笑)

亀山:いやいや(笑)。

鶴岡:「お前は絶対失敗する」ってずっと言われてて(笑)。

亀山:酒代はあげたよ。1万円出して「これで酒買ってこい」って言ったら、買ってきたのはビール2、3本で、あとはインスタントラーメンとかわけわかんない食材いっぱい買ってきて。

田中:お腹すいてたんですね(笑)。

亀山:これじゃつまみになんねぇから、みたいな(笑)。あの狭い部屋に10人くらいいたの?

鶴岡:3LDKに12人ですね。

亀山:すし詰めで入ってたもんな。そこで飲んでたよね。それが5年くらい前だっけ?

鶴岡:6年前です。

亀山:6年前か……立派になったなぁ! あのときはリバ邸で「ももクロ」歌って踊ってただけだった。

鶴岡:あんまり言わないでください(笑)。

田中:どんどん黒歴史が(笑)。

今の亀山氏を形作った師匠・リンコさん

冨田:田中さんはどなたに影響を受けて?

田中:なんか影響ありましたかね? 強いて言うなら、スティーブ・ジョブズの本を読んでたときに「『社長になった』って、一生に1回でも自慢できるだけでいいじゃないか」みたいなことを書いてあって。真に受けて、そうだなって思って会社を作りました。

亀山:俺は露店を教えてくれた師匠みたいな人がいてね。

冨田:へ~!

亀山:女の人で、そのころ40歳くらいのおばちゃんなんだけどね。「こういうふうに作ればいいよ」とか、御徒町でアクセサリーの鎖が売ってるからとか。いろいろと教えてもらっていたんだよね。「ここが売れるわよ」とか、穴場を教えてもらったっていう。今があるのはあの人のおかげですよ。

田中:そのおばちゃんはどこに行ったかわからないんですか?

亀山:ちょっとわかんないの。もともと本名も知らないからね。そういう関係だった。

田中:どういう出会いだったんですか?

亀山:若い頃の俺は、300万円の起業資金貯めるためにアルバイトしてたのよ。新宿2丁目でパンツ一丁で踊ったりしてたんだけど(笑)。

そのときには六本木の居酒屋でバイトしてて、始発で帰ろうとして日比谷線駅前で待ってたら、その人が来たの。

田中:へ~、運命的な出会い。

亀山:そこで「タバコの火貸して」とか言われて。話していたら「私のほうが収入多いわね」って言われて、「露店は儲かるわよ」というようなことになって。そこで「弟子にしてください!」って。

田中:へ~! すごい。

亀山:というのが19歳の春でした。

冨田:おばちゃんにその言葉を届けたいですね。

亀山:いまどこにいるのかな。リンコさんって言うんだけどね。

田中:本名かどうかわかんないけどってやつですね。

亀山:「リンコさん! 会いたいです!」って、あとでこれ記事にしといてね。

冨田:みんな記事をシェアしてリンコさんに届けてください。

亀山:SNSで広めてもらって。「リンコさんに会いたい」って言ってます、って。

田中:100人くらい女の人から連絡が来るんちゃいます? 「私です、私です!」って(笑)。

冨田:確かに。あのときのリンコですって(笑)。

亀山:今だとたぶん60歳か70歳くらいだと思うんだけど。

冨田:じゃあ60歳か70歳くらいの方が来るわけですね。

亀山:いやぁ、恩返ししたいねえ。

起業後に採用したい2人目の仲間

冨田:次の質問です。起業の初期段階で、2人目を仲間にするならどんな人がいいですか? もちろんみんなのタイプによると思うけど。

鶴岡:僕はやっぱり、絶対エンジニアさんです。エンジニアがいないと、サービスが世の中に出せないですしね。

亀山:そうだね。

鶴岡:そうですよね(笑)。エンジニアですよね。

冨田:どんなエンジニアがいいですか?

鶴岡:え~。でもやっぱり、作りたい世界観に共感してくれる人のほうがいいですよね。最初って給与もすごく少ないし、労働環境もそんなに整ってなかったりするので。それを楽しめる人がいいなって気はしますけどね。

田中:そういう意味で言うと、私はやりきることが極めて不得意なので、最後まで完遂できる人というか計画力のある人を、2人目に指名したいなと思うんです。これは僕の性格と違う人だからなので。

やっぱり起業って、チームにならないといけないと思うんですよね。機能性だけで人を増やしていくとロクなことがないので。機能性よりは、チームとして有効かどうか。なので、私は自分と違う人を求めたいですね。まじめな答えになっちゃいましたけど。

冨田:いやいやいや(笑)。まじめな答えをありがとうございます。

亀山:俺も暴走しやすいから止めてくれる人がいいかな。うちの場合はお姉さん。うちの姉貴が手堅い人間だったので。俺が予算を使いすぎると思ったら「今お金がないからちょっと待て」って止めてもらう感じだったかな。

「そのうち黒字になります」では、もう信じてもらえない

冨田:ありがとうございます。じゃあ続いて「若手の起業家に求めることは何ですか?」。これはどういう意味で求めるんだろう。質問された方で補足ありますか?

鶴岡:投資とかじゃないですか?

冨田:じゃあ投資ってことだとして。

亀山:それで言うと、俺は「地に足着けてやらなきゃダメよ」ってこと。最近はちょっとフワフワしすぎかな。さっきのWeWorkじゃないんだけど、赤字上場でなんとなくっていうのはどうかと。今回の事件で何が問題だったかと言うと、結局今までは「赤字で上場してもうまくいんじゃないか」って、世間はけっこう夢を見てくれていたわけ。

でも、Amazonの赤字と、それ以外の赤字はちょっと違っていて。Amazonって、いつでも黒字にできる赤字なんだよね。でも、なんとなく「そのうち黒字になりますよ」「売上は伸びてるから大丈夫ですよ」って言ってる会社がけっこう多くて。それが「本当にそうなるのかよ?」みたいに不安を感じられていて、「この株価高いんじゃね?」って言い出した。

たぶん、今日この日が運命の分かれ道で、今日を境に全体の市場が悪くなってくるかもしれない。この何兆円という事件で、たぶんスタートアップ投資に対する考え方が、証券会社やVCとかも含めて、けっこう変わってくると思うんだよね。

今までだったらAIっぽいとか、ITっぽいとか、「将来良くなるから赤字でもいいんだよ」という会社がいたのが、だんだん「ちゃんと利益でないとダメだよ」みたいな話になってくるという。今からそういうところまで考えていかないといけないかな。

どうですか? 鶴ちゃん!

鶴岡:いや、ぜんぜんわからないです。どうしたらいいんですか?(笑)。がんばって事業を伸ばすしかないです。

亀山:BASEはどうなの? 調子いいの? 黒字になった?

鶴岡:亀山さんが評価してくれる会社に近づけるように頑張っています。

亀山:そうなんだ。昔は揉めてたもんね。

鶴岡:「お前の会社は絶対儲かんねぇぞ」って。

(会場笑)

亀山:「儲かんねぇぞ」じゃなくて、俺は「どうやって儲けるの?」って言ったの。どうやって儲けるのって聞いたら「考えてません」って言われたから。

鶴岡:昔はね。ぜんぜん売上とかは意識してなかったので。

田中:亀山さんのほうが正しいんじゃない?

(会場笑)

鶴岡:そういうもんなんです。

売上をどうやって上げるか VS. いかに多くのユーザーに使ってもらうか

亀山:俺はそれを聞いたときに「新しい世界だ!」って思ったわけよ。俺なんてはじめから儲けることを頭の前提においていて、それが5年後でも10年後でも、ちょっと時間かかる絵を描くこともあるんだけど、一応そこにターゲットがあってからやるんだよ。赤字出すことも含めてね。

鶴岡:VCマネーが供給されるので、お金よりもユーザーさんのほうが大切ですよね、っていう話を亀山さんとたぶんしていて。

亀山:あ、そうそう。

鶴岡:亀山さんは「売上どうやって上げるの?」だし。僕は「どうやってユーザーにいっぱい使ってもらうの?」っていう。その話はBASEを作ったときからいっぱいさせてもらいました。

亀山:でもそのあと、自分は順調に成長していったじゃん。だから俺からすると、「けっこうこれもありなのかな?」と思うことがあって。それから俺も真似して、そういうことしてみたら、うまくいかなかったのがいっぱいあって(笑)。

(会場笑)

あんまり言えないんだけどね(笑)。

鶴岡:いやいや(笑)。

亀山:俺なんかはすぐ学習するから、今度は鶴ちゃんを見習って他のこともいろいろやってみようってやったわけよ。でも、やっぱりうまくいかなかった。

鶴岡:それ、僕に言ってくれればやります。

亀山:そうだよね。

鶴岡:ぼくにご用命いただければ。

亀山:結局どっちがっていうんじゃなくて、どっちも正解なんだろうけどね。

鶴岡:ですよね。どっちがいいとかじゃないって話ですよね。

亀山:でもなんとなく、今はどっちかと言うとそっちのやつが多く感じるから。むしろ俺の言う「地に足着けた考え方もしろよ」みたいなね。

鶴岡:確かに時代的には、いつも真逆にいっといたほうがいいですよね。

亀山:今は流れ的に、世間の投資家たちがそういう目線になってきたことだけは間違いないかなと思ってね。前よりは気前が悪くなると思うんだよ。鶴岡のときはめちゃくちゃ……。

鶴岡:よくしていただきました。

亀山:みんな出してくれたわけだからね。ここからは渋いよ~、みんな。今日はVCもいるんだろ? VCの人、手を挙げて。

(会場挙手)

ほら、これからは出さないって顔してるもんな。

(会場笑)