影響を受けた起業家は誰?

冨田阿里氏(以下、冨田):質問がいっぱい来てるので、サクサクっと次にいきますね。「スタートアップが大きくなると、なんで野球やサッカークラブの運営をされるんですか?」。

亀山敬司氏(以下、亀山):あ~、カッコいいからなんじゃない、スポーツは。なんか「ちょっといいじゃん」みたいな感じになるんだよね。宣伝効果もあるだろうけど、うちの場合はもともとビジネス的に成り立ちますっていう話で来たのよ。だから日本の球団とかとはちょっと違う理由かな。

日本の球団とかサッカーチームだと、とりあえず収支トントンでも得なわけ。CMになるから。持ってるだけでしょっちゅう名前が出るじゃん。DeNAとか楽天みたいな感じで。それだけでもぜんぜん価値あるわけよ。そのうえファンが、会社に対しても濃いユーザーになるからね。

でも、うちのサッカーチームの場合はまったくそういうのはなくて。ベルギー国だから関係ない。日本の選手を向こうへ送って育てて、ヨーロッパに出すみたいな感じだから。日本の球団とうちのチームとはちょっと違うかな。むしろ「世界デビューへの入り口です」みたいな売り込みだからな。

冨田:ありがとうございます。じゃあみなさんに「誰に影響を受けて起業されたんですか?」という質問に1人ずつ答えてもらいましょう。

鶴岡裕太氏(以下、鶴岡):僕は家入一真さんですね。家入さんにサービスの作り方を学びました。

亀山:家入教に入ってるなって感じだもんね(笑)。

鶴岡:家入様様ですから。

田中邦裕氏(以下、田中):最初家入さんに出資してもらってませんでした?

鶴岡:してもらいました。僕はもともとCAMPFIREでエンジニアをしていたので、その流れです。

亀山:もともと(シェアハウスの)リバ邸にもいたもんね。

鶴岡:いました、いました。毎月3万円で生きてたので、僕。

亀山:そうそう。5年くらい前にリバ邸に遊びに行ったわ。

鶴岡:僕は会社を作った瞬間から亀山さんを知っているんですけど、ぜんぜん投資してくれなかったんですよ。

(会場笑)

亀山:いやいや(笑)。

鶴岡:「お前は絶対失敗する」ってずっと言われてて(笑)。

亀山:酒代はあげたよ。1万円出して「これで酒買ってこい」って言ったら、買ってきたのはビール2、3本で、あとはインスタントラーメンとかわけわかんない食材いっぱい買ってきて。

田中:お腹すいてたんですね(笑)。

亀山:これじゃつまみになんねぇから、みたいな(笑)。あの狭い部屋に10人くらいいたの?

鶴岡:3LDKに12人ですね。

亀山:すし詰めで入ってたもんな。そこで飲んでたよね。それが5年くらい前だっけ?

鶴岡:6年前です。

亀山:6年前か……立派になったなぁ! あのときはリバ邸で「ももクロ」歌って踊ってただけだった。

鶴岡:あんまり言わないでください(笑)。

田中:どんどん黒歴史が(笑)。

今の亀山氏を形作った師匠・リンコさん

冨田:田中さんはどなたに影響を受けて?

田中:なんか影響ありましたかね? 強いて言うなら、スティーブ・ジョブズの本を読んでたときに「『社長になった』って、一生に1回でも自慢できるだけでいいじゃないか」みたいなことを書いてあって。真に受けて、そうだなって思って会社を作りました。

亀山:俺は露店を教えてくれた師匠みたいな人がいてね。

冨田:へ~!

亀山:女の人で、そのころ40歳くらいのおばちゃんなんだけどね。「こういうふうに作ればいいよ」とか、御徒町でアクセサリーの鎖が売ってるからとか。いろいろと教えてもらっていたんだよね。「ここが売れるわよ」とか、穴場を教えてもらったっていう。今があるのはあの人のおかげですよ。

田中:そのおばちゃんはどこに行ったかわからないんですか?

亀山:ちょっとわかんないの。もともと本名も知らないからね。そういう関係だった。

田中:どういう出会いだったんですか?

亀山:若い頃の俺は、300万円の起業資金貯めるためにアルバイトしてたのよ。新宿2丁目でパンツ一丁で踊ったりしてたんだけど(笑)。

そのときには六本木の居酒屋でバイトしてて、始発で帰ろうとして日比谷線駅前で待ってたら、その人が来たの。

田中:へ~、運命的な出会い。

亀山:そこで「タバコの火貸して」とか言われて。話していたら「私のほうが収入多いわね」って言われて、「露店は儲かるわよ」というようなことになって。そこで「弟子にしてください!」って。

田中:へ~! すごい。

亀山:というのが19歳の春でした。

冨田:おばちゃんにその言葉を届けたいですね。

亀山:いまどこにいるのかな。リンコさんって言うんだけどね。

田中:本名かどうかわかんないけどってやつですね。

亀山:「リンコさん! 会いたいです!」って、あとでこれ記事にしといてね。

冨田:みんな記事をシェアしてリンコさんに届けてください。

亀山:SNSで広めてもらって。「リンコさんに会いたい」って言ってます、って。

田中:100人くらい女の人から連絡が来るんちゃいます? 「私です、私です!」って(笑)。

冨田:確かに。あのときのリンコですって(笑)。

亀山:今だとたぶん60歳か70歳くらいだと思うんだけど。

冨田:じゃあ60歳か70歳くらいの方が来るわけですね。

亀山:いやぁ、恩返ししたいねえ。

起業後に採用したい2人目の仲間

冨田:次の質問です。起業の初期段階で、2人目を仲間にするならどんな人がいいですか? もちろんみんなのタイプによると思うけど。

鶴岡:僕はやっぱり、絶対エンジニアさんです。エンジニアがいないと、サービスが世の中に出せないですしね。

亀山:そうだね。

鶴岡:そうですよね(笑)。エンジニアですよね。

冨田:どんなエンジニアがいいですか?

鶴岡:え~。でもやっぱり、作りたい世界観に共感してくれる人のほうがいいですよね。最初って給与もすごく少ないし、労働環境もそんなに整ってなかったりするので。それを楽しめる人がいいなって気はしますけどね。

田中:そういう意味で言うと、私はやりきることが極めて不得意なので、最後まで完遂できる人というか計画力のある人を、2人目に指名したいなと思うんです。これは僕の性格と違う人だからなので。

やっぱり起業って、チームにならないといけないと思うんですよね。機能性だけで人を増やしていくとロクなことがないので。機能性よりは、チームとして有効かどうか。なので、私は自分と違う人を求めたいですね。まじめな答えになっちゃいましたけど。

冨田:いやいやいや(笑)。まじめな答えをありがとうございます。

亀山:俺も暴走しやすいから止めてくれる人がいいかな。うちの場合はお姉さん。うちの姉貴が手堅い人間だったので。俺が予算を使いすぎると思ったら「今お金がないからちょっと待て」って止めてもらう感じだったかな。

「そのうち黒字になります」では、もう信じてもらえない

冨田:ありがとうございます。じゃあ続いて「若手の起業家に求めることは何ですか?」。これはどういう意味で求めるんだろう。質問された方で補足ありますか?

鶴岡:投資とかじゃないですか?

冨田:じゃあ投資ってことだとして。

亀山:それで言うと、俺は「地に足着けてやらなきゃダメよ」ってこと。最近はちょっとフワフワしすぎかな。さっきのWeWorkじゃないんだけど、赤字上場でなんとなくっていうのはどうかと。今回の事件で何が問題だったかと言うと、結局今までは「赤字で上場してもうまくいんじゃないか」って、世間はけっこう夢を見てくれていたわけ。

でも、Amazonの赤字と、それ以外の赤字はちょっと違っていて。Amazonって、いつでも黒字にできる赤字なんだよね。でも、なんとなく「そのうち黒字になりますよ」「売上は伸びてるから大丈夫ですよ」って言ってる会社がけっこう多くて。それが「本当にそうなるのかよ?」みたいに不安を感じられていて、「この株価高いんじゃね?」って言い出した。

たぶん、今日この日が運命の分かれ道で、今日を境に全体の市場が悪くなってくるかもしれない。この何兆円という事件で、たぶんスタートアップ投資に対する考え方が、証券会社やVCとかも含めて、けっこう変わってくると思うんだよね。

今までだったらAIっぽいとか、ITっぽいとか、「将来良くなるから赤字でもいいんだよ」という会社がいたのが、だんだん「ちゃんと利益でないとダメだよ」みたいな話になってくるという。今からそういうところまで考えていかないといけないかな。

どうですか? 鶴ちゃん!

鶴岡:いや、ぜんぜんわからないです。どうしたらいいんですか?(笑)。がんばって事業を伸ばすしかないです。

亀山:BASEはどうなの? 調子いいの? 黒字になった?

鶴岡:亀山さんが評価してくれる会社に近づけるように頑張っています。

亀山:そうなんだ。昔は揉めてたもんね。

鶴岡:「お前の会社は絶対儲かんねぇぞ」って。

(会場笑)

亀山:「儲かんねぇぞ」じゃなくて、俺は「どうやって儲けるの?」って言ったの。どうやって儲けるのって聞いたら「考えてません」って言われたから。

鶴岡:昔はね。ぜんぜん売上とかは意識してなかったので。

田中:亀山さんのほうが正しいんじゃない?

(会場笑)

鶴岡:そういうもんなんです。

売上をどうやって上げるか VS. いかに多くのユーザーに使ってもらうか

亀山:俺はそれを聞いたときに「新しい世界だ!」って思ったわけよ。俺なんてはじめから儲けることを頭の前提においていて、それが5年後でも10年後でも、ちょっと時間かかる絵を描くこともあるんだけど、一応そこにターゲットがあってからやるんだよ。赤字出すことも含めてね。

鶴岡:VCマネーが供給されるので、お金よりもユーザーさんのほうが大切ですよね、っていう話を亀山さんとたぶんしていて。

亀山:あ、そうそう。

鶴岡:亀山さんは「売上どうやって上げるの?」だし。僕は「どうやってユーザーにいっぱい使ってもらうの?」っていう。その話はBASEを作ったときからいっぱいさせてもらいました。

亀山:でもそのあと、自分は順調に成長していったじゃん。だから俺からすると、「けっこうこれもありなのかな?」と思うことがあって。それから俺も真似して、そういうことしてみたら、うまくいかなかったのがいっぱいあって(笑)。

(会場笑)

あんまり言えないんだけどね(笑)。

鶴岡:いやいや(笑)。

亀山:俺なんかはすぐ学習するから、今度は鶴ちゃんを見習って他のこともいろいろやってみようってやったわけよ。でも、やっぱりうまくいかなかった。

鶴岡:それ、僕に言ってくれればやります。

亀山:そうだよね。

鶴岡:ぼくにご用命いただければ。

亀山:結局どっちがっていうんじゃなくて、どっちも正解なんだろうけどね。

鶴岡:ですよね。どっちがいいとかじゃないって話ですよね。

亀山:でもなんとなく、今はどっちかと言うとそっちのやつが多く感じるから。むしろ俺の言う「地に足着けた考え方もしろよ」みたいなね。

鶴岡:確かに時代的には、いつも真逆にいっといたほうがいいですよね。

亀山:今は流れ的に、世間の投資家たちがそういう目線になってきたことだけは間違いないかなと思ってね。前よりは気前が悪くなると思うんだよ。鶴岡のときはめちゃくちゃ……。

鶴岡:よくしていただきました。

亀山:みんな出してくれたわけだからね。ここからは渋いよ~、みんな。今日はVCもいるんだろ? VCの人、手を挙げて。

(会場挙手)

ほら、これからは出さないって顔してるもんな。

(会場笑)

自分の子どもには、正直起業してほしくない

冨田:次にいきます。東京で起業された鶴岡さんと、大分で起業されたお兄さんとの事業の違いってありますか?

鶴岡:めっちゃ詳しくないですか?

冨田:ファンですね。

鶴岡:兄貴が大分で起業していて。事業の違い? 事業の違いって何だろう?

亀山:お兄ちゃんは何やってるの?

鶴岡:兄貴はサブスク系の事業やってて。なんか僕、思ったんですよ。こういうところで若い起業家さんに「起業したいんです」って言われたら、「超いいじゃん。しなよ、しなよ」って言うんですけど。

でも、兄貴が最近ファイナンスとかしてて。兄貴の家族とか、僕は知ってるじゃないですか。奥さんとか、娘さん……僕から見たら姪とかもいるので。彼らを知っていると、なんかもう起業しないでほしいなって思っちゃって。

要は、僕の周りで成功してる人ってほとんどいないんですよ。僕は超運が良かったから。兄貴のほうが大学とかもいいところに行ってるし、僕より優秀だって知ってるんですけど。ただ、それだけじゃどうしようもならない業界だって、僕はこの6年、ここにいてわかったので。

あなたが優秀なのはすごくわかるけれども、この業界って本当に運の良さもすごく大事だから、家族を幸せにしてあげてほしいなって思って。兄貴には「起業最高!」なんて言えない(笑)。

田中:優しいなぁ(笑)。

鶴岡:やっぱり家族に対しては変わるんだなっていうのを知りました。

亀山:自分に娘とか息子ができたら、絶対に起業させないタイプだな。

鶴岡:絶対させない、絶対に(笑)。

人生をかけて起業してはいけない

田中:1つ前の質問に近いのかもしれないですけど、アンダー25の人に絶対言いたいのは「人生をかけるような起業はやめとけ」って話ですね。ほとんど成功しないので。

鶴岡:今日の話、夢がなくなりそう(笑)。

亀山:俺も同じこと言ってる(笑)。人生かけちゃいけないって。

田中:何回も何回も諦めずにやり続けると達成できるものなので。上場ってすごくわかりやすくて、うちは4回失敗してるんですね。5回目でようやく上場申請を受け付けてもらえて、晴れて上場できたんですけれども。

結局ほとんどのケースってうまくいかないんですよ。でも、うまくいかないけどずっとやり続けていたら、結果的にうまくいくっていう矛盾した話なんですけれども。本当にやり続けられるかっていうことで言うと、人生をかけるとやり続けられなくなる。だから、ちょっと距離を置いてずっと続けられたほうが、まだ成功するのかなと思いますけどね。

亀山:でも、40歳くらいになったときにまだ上場できてなかったらどうするの?

田中:アーティストみたいなもんですよね。なんかね。

冨田:田中さんはめちゃくちゃ若いときに上場されてますもんね?

田中:でも18歳で起業して、27歳で上場なので。

冨田:27歳で上場って。

田中:(鶴岡氏を指して)3万円で生活してたって言いましたけど、僕は月1万円で生活してましたからね。

鶴岡:すみません。

田中:いや、自慢してるわけじゃないですよ、生活費安い自慢をしても仕方がないですけど(笑)。貧乏な感じを醸し出してたら、近所のスーパーとかでタダでちくわをくれたりとか。そういうやつが成功してもね。

亀山:株価つかなさそうだね、それ。貧乏っぽい(笑)。

田中:そっか、難しいなぁ。

夢しかないときから応援してくれた人たちを裏切るわけにはいかない

亀山:(鶴岡氏に向かって)基本は投資受けてるから、借金を背負ってるわけじゃないよね。

鶴岡:そうなんですよね。もう割り切るしかないですよね。VCにリスク取ってもらうぞっていう。

亀山:お兄ちゃんもそうなの?

鶴岡:そうです、VCです。

亀山:VCならまだぜんぜんいいよ。自己破産しないで済むし(笑)。

鶴岡:いや、でもやってみると、そういうわけにいかないですよ! やっぱり夢しかないときに、隣で応援してくれてる人を裏切るのは、それなりにやっぱり……。

田中:こういう人に出資したらいいですね。

鶴岡:本当ですよ。ちょっとVCの方々、僕にちょっとお願いします。

(会場笑)

亀山:お前、今ちょっとVCの顔見ながら言ってたんじゃないか? みんな、こういう人にだったら賭けてもいいなと思ったでしょ(笑)。

田中:その考え方、好きですけどね。

鶴岡:絶対にそうですよね。基本的にVCというかお世話になった方に……僕だと家入さんとか松山太河さんとかに「絶対に返さないといけない!」っていう。そういった意味で、IPOってゴールじゃないよね、と言う人の気持ちも超わかるし。

夢しかないとき、本当に売上が1円もないときにリスクを取ってくれている人たちがいて、その人たちにちゃんと恩を返すというのは、そういう起業の方法を取っている僕らから言うとすごく大きなマイルストーンであることは、やっぱり間違いないというか。個人的にはすごく重いですけどね。

「大阪のスタートアップはすごい」という広報の重要性

冨田:ありがとうございます。今一番いいねが付いている質問は、「大阪でスタートアップを増やすために一番必要なものは何だと思いますか?」というものです。 

田中:シンプルに「大阪すごい」って広報することですね。だって「大阪すごい」って感じがしないじゃないですか。僕はこう言いつつもエンジェル出資も大阪の企業が多いし、イベント登壇も大阪が多い。こういう場じゃないところに行ったら大阪の宣伝をめっちゃしまくるんですよね。

なんの因果か、大阪ってイノベーションをすごく標榜してるんですけど、私はイノベーション委員とかになっちゃってですね。とにかく大阪を売り込まないといけないんですけど。

(会場笑)

やっぱり(福岡市長の)高島さんはすごいなと思って。スタートアップ感があるんですよね。大阪っていうと、金にケチだとか、粉もんとか、笑いがどうとかですよね。どうにもこうにもスタートアップと結びつかないブランディングが目立ちます。

知事とか市長とかがもっと出て行って「大阪はスタートアップだ」「イノベーションだ」って言っていれば、もっとスタートアップ感が出るんですよ。だって関西のニュースって、東京から見るとネガティブなものばっかりですよね。関空が沈んだとか。

「関空は大丈夫だった」っていう報道が大阪ではされてるのに、基本的に大阪のポジションって、なんかバカにされる感じの報道が多いんですよね。だからやっぱり広報が重要かなと思います。

福岡市はすごいですよ! 東京で福岡市をちょっとでも小馬鹿にしたような報道があると、福岡市役所がめっちゃクレーム入れますからね。

冨田:へ~!

田中:すごいですよ。ああいう姿勢って、すごく見習わないといけないなと思うし。やっぱりポジティブな「スタートアップがすごく来てる」という報道を、いかに東京のほうでやってもらうかというのはすごく本質的に重要なことだなと思います。雰囲気が重要です。

大阪や東京というくくりで連帯感を持つ意味はあるのか

亀山:俺はそもそも「大阪にスタートアップを」って言ってる段階で、ちょっと違うような気がしていて。東京のやつは、別に東京のスタートアップを良くしようとかあんまり思ってないからね。

俺は石川県民だから、県人会とかあるわけ。「石川県人で盛り上げましょう」とかさ。でも基本的に言うと、別に団体戦じゃないんだから。あくまで個人戦で「うちの会社が」って話じゃない。

だから、地域で区切る必要はなくて、「石川県人会でがんばりましょう!」とか「大阪でやりましょう」っていうこと自体、俺は考える必要がないと思うんだよね。

でも、俺も石川県で起業したし石川県に社員がいるから、こいつらを食わすためにどうしようかって考えるわけよ。そのときは、隣の印刷屋さんよりも東京が安かったら東京まで取引に行ったし、営業するなら東京のほうがいいと思ったら出稼ぎにも来てるわけよ。

会社に外貨を獲得して社員を養えるなら、東京でも大阪でもどこでもいいからって考えないとおかしくなると思うんだよね。

そういった面で言うと、連帯感はときにはいいんだろうけど、ないほうがむしろいいこともあると思う。俺はそうやった中で成長して、今も石川に仕事を回しながら、雇用も守れているからね。

資金を止められて困ったらDMM VENTURESへ

冨田:ありがとうございます。最後の質問の時間になっちゃったんですけど、これだけは手挙げてでも聞きたいという質問があればそっちを優先しますが。

亀山:大阪の勢いのいいとこ見せてよ。

冨田:大丈夫ですか? 手を挙げるほどではない?(笑)。

亀山:勢いないね(笑)。

冨田:じゃあ今一番いいねがついているのはBASEの質問ですが、それは飛ばして。「今日、DMMさんがピッチの中から出資する可能性はありますか? あと今日はawabarに行きますか?」って。

亀山:どうだろうね。今日は23時からawabarいるよ。なにかあったらおいで。飲むだけでもいいよ。

鶴岡:奢ってくれるんですか?

亀山:奢ってあげる。いつも奢ってるだろ。鶴ちゃんも来いよ。

田中:(会場を指して)あ、手が挙がってます。

鶴岡:質問ですね。

質問者:田中さんがおっしゃったエンジニアの採用なんですけど。本当に100人に当たって1人くらいの採用率だったのか、実際のデータってどんな感じだったのかなと。ちょっと詳しく聞きたいなと思って。

田中:だいたい実績で、母集団として100人くらいで書類選考とかしてだいたい1、2名くらい雇えるという統計ですね。その統計をもとに、採用数が100人だったら1万人の母集団が必要だっていう、非常にシンプルな計算だったんですけれども、あながち当たっていなくもなくて。結局最初の年は83人を雇いましたね。

質問者:ありがとうございます。

冨田:ありがとうございます。じゃあお時間ですよね。このあとピッチになるんですけれど、「みなさんにエンジェル出資してますか?」という質問とか、そういうのをもらってて。この3人に連絡を取りたい場合はTwitterでDMとかできるんですかね?

亀山:うちの場合は身近なところだとDMM VENTURESっていうのがあるから。そこでマイナー投資をしたりM&Aしたりしてるから、まぁ「売りたくなったらおいで〜!」って感じかな。

あと起業っていうのはテクノロジーとかだけじゃできなくて、メルカリの(山田)進太郎とかみたいに、バランスのいいやつじゃないと経営できない。(鶴岡氏に向かって)自分も経営やってるからバランスよかったんだろうけどね。

技術はあるけど、営業が足りないとか、財務が足りないとか、リーダーシップが足りないとか、けっこうそういう会社が多いから。そういう何か足りないときに、うちみたいな会社と組むとスケールしやすいというのはあるかな。どうせここにいるVCも今日から資金止めるから。

(会場笑)

止まったときに困ったらうちに来ればいいよ。「最近ケチで出してくれないんですよ!」ってね(笑)。

awabarに行けば「きっかけ」ができる

冨田:素敵なメッセージをありがとうございます。じゃあ鶴岡さんと田中さんにもメッセージをもらって締めていきましょうか。

亀山:(鶴岡氏に向かって)メッセージどうぞ。いいこと言っちゃってよ。こんなんで終わってもあれだから。

鶴岡:え、メッセージですか? 何だろう。

冨田:ちなみに鶴岡さんにはおすすめのエンジェルとか、そういうのを聞かれてた気がする。

鶴岡:エンジェルね。僕は家入さんと太河さんですね。会場にTHE SEEDの廣澤(太紀)くんもいますけど。太河さんは廣澤くんの師匠でもあると思うんで、廣澤くんでもいいかもしれないです。亀山さんはエンジェルしないんですよね?

亀山:ん? エンジェル? 気が向いたらやるよ。DMM VENTURESのほうでやってるからね。

鶴岡:あ、そっちで。でも、やっぱり太河さんは我々からすると憧れの、伝説の投資家だと思いますね。太河さんとはCAMPFIREでインターンしてから会ったので違うんですけど、亀山さんもawabarで会いましたよね。

そのあとグリーの田中さんに投資してもらったのもawabarがきっかけだったし。あと山田進太郎さんとか、(サイバーエージェントの)藤田さんに会ったのもawabarだったし。当時のawabarは、たぶんもっとIT寄りでしたよね。7年前とかですが。

亀山:そうそう。最近はもう誰も来なくなったよね~。

(会場笑)

俺は毎週いるんだけど。

鶴岡:ですよね。

亀山:みんな偉くなったら来なくなるんだよ。

鶴岡:当時のawabarはすごかったですよね。

亀山:そうそう。お前も高い店行ってんだろ、最近。美味いもの食ってるんじゃないの?

鶴岡:ぜんぜんですよ。awabarに行ったらいっぱい知らない人がいて、なんか近寄れない。昔はあんなに人気じゃなかったみたいな(笑)。

田中:もうちょっと閑散としてましたね。

鶴岡:閑散としててほしいですよね。

田中:得してるのは(awabarオーナーの)小笠原さんだけですよね。

ここ30年で、一番インターネットの可能性を信じた会社はGoogle

冨田:ありがとうございます。じゃあ田中さんも最後に締めのメッセージを。

田中:2つあって。謙虚な経営者ってけっこう大切にされます。「無駄に威張っても仕方がないですよ」と言いたいのと、もう1つは遠慮しちゃダメだなと思うんですよ。

だって亀山さんがawabarにいるんだったら、本当に出資してもらいたかったら突撃すりゃいいんです。けっこうモジモジしている起業家の人が多いなと思うんですね。本当にこの人に出資してもらいたかったら、Facebookのダイレクトメッセージでもいいし、Twitterでもメッセージを送れるじゃないですか。

テクノロジーの力で直接コンタクト取ったり情報を得ることができるのに、しないっていうのがあまりにもったいないので。とにかくもう、遠慮はゴミくらいのことをお伝えできればと思います。今日はありがとうございました。

冨田:ありがとうございます。では鶴岡さんから最後締めを。

鶴岡:え、そういうことですか!?  いやいやいや、ないです。ないです。

冨田:メッセージ。

鶴岡:メッセージ? え~?

冨田:若手の起業家に対して。

亀山:なんかいいこと言えよ。「俺を見習え!」みたいな。「俺みたいになるんだ!」とか。

田中:すごい!

鶴岡:いやいやいや。なんかあれなんですよね。僕はやっぱりGoogleってすごいなと思っていて。

田中:知ってますよ!(笑)。

(会場笑)

鶴岡:違う違う(笑)。Googleってやっぱり、過去30年間で一番インターネットを信じた会社だと思うんですよ。チームでずっとインターネットの可能性を信じたと思う。

僕はああなりたいなと思ってて。そうやって1つの未来をずっと信じられるって、今すぐにでもできることなんだけど、意外に僕が今まで会ってきた人にはいないなと思っていて。ずっと同じ未来を信じられる人って、今日からできるのにできないみたいな。

どっちかと言うと「こうやったらユーザーを取れる」とか「こうやったらコストを抑えられる」とか、「こうやったらユーザー獲得がもっと早くなる」とか、そういうテクニック論に逃げちゃう。

でもそれって、人材を獲得したら補えるけど、いい未来を描くってやっぱり経営者にしかできない仕事だと思っていて。僕はそれをずっと意識してきたいなと思っているので。そういう経営者にしかできない仕事を意識してできるといいなって思いました。

冨田:ありがとうございます。

亀山:ここにいるやつらからすればお前が一番身近なんだから、お前が来年どうなってるかがポイントだからね。

鶴岡:わかってます。僕が成功してたらね。

亀山:お前が成功しないと、みんながやる気なくなるからね。

鶴岡:僕は成功します。

亀山:こいつがコケてたら俺のところおいで。

(会場笑)

もうあれはダメだと。鶴岡モデルダメだ、亀山モデルいこうって。

田中:亀山モデルってなんか液晶パネルみたいですね(笑)。

(会場笑)

冨田:ありがとうございました。本当に貴重なお話を聞かせていただいて。みなさん大きな拍手をお願いします。

(会場拍手)

司会:冨田さん、登壇者の皆さん、ありがとうございました。それではこの後は、若手起業家のみなさんの事業プレゼンに移ってまいります!