「3年後以内にこれが来る」という見方をしていない

大石良氏(以下、大石):AIとかIoTというキーワードが出てきたんですけれども、ちょっと質問の毛色を変えて、次のテクノロジーとして興味がある分野についてですね。これ、みなさんも興味あるポイントじゃないかなと思うんですけれども。今どういうところに注目していらっしゃるか、小野さんから教えていただいていいですか?

小野和俊氏(以下、小野):僕、これはよくインタビューなどでも聞かれていて、いつもすごくつまらない答えになっちゃうんですね。これ、僕はないんですよ。

というのが、「これはいける」と思うには、自分でコードを書いて触ってみないとわからないので。(新しい技術が)いろいろと通り過ぎて行ったり、いっぱい来たりするじゃないですか。「へー」ってなんとなくそれを受け止めたり、流したりしていて、「おっ」と思ったときにコードを書いてみるか、チームの人に「ちょっと書いてみて」と言って、いけるなと思ったらやるという感じで。

もともと「3年後以内にこれが来る」とか、「半年後以内に来る」という見方をしていないんです。だから、技術のシャワーを浴びていて、ときどき気になったら、「おっ」という感じで。そんなふうに動いているので、「これからこれが来る」というのは、僕はいつも答えがないと言っている。「そう言いましても何か……」とか言われても、「私はちょっとないです」とか言って(笑)。

むしろ、ないほうが良いといいますか。ボクシングなどでもガードをあげていなくて、腕をダラーンとさせていたほうが、柔軟に戦えるようなところがあるじゃないですか。あんまり「これだ」というふうに賭けてもいないし、思ってもないから、受け止めて、なにかピーンときたら、ちょっとコード書いてみて。ダメだと思ったら流してというようなことを、たぶん今後もやっていくんだろうなという。

大石:なるほど、すばらしい。おもしろいですね。漆原さんはいかがですか?

AIは後戻りのできないイノベーションを起こす

漆原茂氏(以下、漆原):バズワード的に言うと、AIやブロックチェーンはものすごく興味があります。AIはAIの中でも深層学習や転移学習、強化学習が、今まさに入り口でドアが開いただけの次元でしかない。

もしかしたら中ではいろいろトライされていて、「まだここまでしか使えないよ」とか、例えば画像認識しても「まだまだ精度低いよ」と思っていらっしゃるかもしれませんが、それはただの入り口ですから。精度が一気に上がってきますし、コンピューターがコンピューターを教えているので、とてつもなく進化するんですよね。

これはまったく戻らない。戻れないイノベーションなんです。これができちゃった世界にいると、なかったことなんて考えられないというのがあると思っています。なので、AIにも非常に関心があります。

あとは、ブロックチェーンのような新しいプラットフォームです。FacebookのLibraも賛否含めて話題ですよね。これまでと違う経済圏、分散データベースというもののパワーは、応用範囲が広いんじゃないかと思っています。だから技術屋としては、そこはキャッチアップしておきたいなぁと思いますね。

大石:なるほど、ありがとうございます。玉川さん、いかがですか?

5G、IoT、宇宙、バッテリー

玉川憲氏(以下、玉川):そうですね。自分の人生を振り返ったときに、「うわ、これはすごいわ」と背筋がブルブルするような体験ってあるじゃないですか。AWSを初めて触って、画面をポチッと押したらサーバーが立ち上がった瞬間とか。最初にFacebookに触ったときの「ソーシャルネットワークってなにこれ?」となった瞬間とか。そういう瞬間に立ち会えることって、すごくうれしいし、楽しいことだなぁと思っています。

直近でいうと、5Gは、なんだかそういう瞬間に立ち会えるかもしれないと思う技術の一つですね。今はまだわからないけど、いずれ「これが、キラーアプリ!」と思えるものが絶対に出ます。

IoTにおいても、何かと何かの組み合わせなのか、ハードと通信を組み合わせたときの新しい体験なのか、今までに見たことがないものが生まれます。それを見届けたいし、どちらかというと生み出す側に回りたいなと思いますね。

もうちょっと中長期で言うと、宇宙というのはすっごいポテンシャルがあります。通信面でもそうですし、エネルギー面でもそうですし、すごくおもしろいと思います。

あとはやっぱりバッテリー。僕、これ10年ぐらい前からいつも言ってるんですけどね。バッテリーにおけるエネルギー密度は、向上にむけて研究開発が続く分野なんですね。この分野が変わると、ものすごいことになるだろうなと。

それこそ埋め込んでも一生動くとか、そういう世界になると本当に違う次元になりますね。そういう意味で、宇宙やバッテリーは、おもしろいなと感じてます。

次のテクノロジーの破壊者はバッテリー

大石:なるほど。実は私も次のテクノロジーの破壊者はバッテリーだ、とずっと言っているんです。バッテリーが来ると、私たちは困るんですけどね。クラウドが終わっちゃうのでね(笑)。

バッテリーですごいイノベーションが起きるとどうなるか? 今みなさんスマホってお持ちじゃないですか。でも、あれって普段は電源を切られていますよね? バッテリーに限りがあるから、電源を切って、通信も切ってとなると思うんですけど、例えばバッテリーが1回充電したら、1年ずっとつなぎっぱなしでも何も問題ありません、となったら、CPUやメモリって余りまくるんですよね。

この余っている時間を全部ブロックチェーンなどでつないで、分散コンピューティングをやろうというのがたぶん普通になって。そうすると、別にAWSやマイクロソフトに全部データを集めておかなくていいじゃん、と。そこらへんにある分散コンピュータでやればいいじゃん、という世界が来るんですよね。

なので、たぶんバッテリーのイノベーションが起きたら、僕らクラウド側の会社はだいぶつらいことになるんじゃないかな。……すみません。これは書かないでもらっていいですか?(笑)

(会場笑)

玉川:IoTをやっていても、最近は省電力のネットワークがいっぱいあるじゃないですか。そういう小さいデバイスを作ると、本体価格のほとんどをバッテリーが占めるんじゃないかとなっちゃうんですよね。そこでバッテリーのイノベーションが起きるとおもしろいなと。

宇宙のエクストリームスポーツ

大石:ちょっと深掘りしたいんですけれど、宇宙というキーワードがありましたよね。小野さんはなにか独特な視点をお持ちじゃないですか。

(会場笑)

宇宙に対して今どういう視点で考えてらっしゃるのか。宇宙ビジネスとか。

小野:宇宙ということだと、大学のときに今のスマートニュースの代表の鈴木健さんとかと、「『宇宙スポーツ協会』を立ち上げよう」という企画があって。大学のときだからもう20年以上前ですけど、宇宙で水球とかやったら、水しぶきがどこまでも飛んでいくわけじゃないですか。

大石:ははは(笑)。

小野:「すげぇ!」みたいな。むちゃくちゃ盛り上がって。でも、ふと現実に戻って、「俺ら、とりあえず卒業しなきゃいけない」って……。

(会場笑)

そういうバカな話をしていたことはありました。でもやっぱり、そういうエクストリームスポーツみたいなものが宇宙でできるというのは、おもしろそうではありますよね。だってジャンプ力とかが、人間の想像を超えてくるわけじゃないですか。スーパーマリオみたいにジャンプできる人とかが、普通にいるわけじゃないですか。そういうものはあったりしました。

大石:なるほど。そんなにビジネスと宇宙が関係するようなところは、今はあんまりないですかね?

小野:そうですね。さっきの独特の視点がというのは、狂ったようにゲームにハマるとか、そういうのは独特なのかもしれないけど、あんまり壮大な「宇宙が」とかそっちは……。むしろ身近なところで、狂ったようにハマるのが僕の独特さなので、宇宙はたぶん僕から一番遠い存在になるんですよね。