気になる汗のメカニズム

ハンク・グリーン氏:誰でもそうですが、ジメジメしている暑い日なんかは特に、外で走ったりすると汗だくになるものです。

とは言え、友人は涼し気な顔をしているのに、あなただけ汗だくだったりすると「自分はひとよりも汗かきなのではないか……?」なんて思ってしまいますよね。

汗をかく量というものは持って生まれたもので人それぞれなのですが、時として汗をかきすぎる場合、それはお医者さんが言うところの「多汗症」なのかもしれません。

いつでも汗びっしょりなあなたに朗報があります。あなたを悩ませる汗ですが、汗をかくという行為は、体温を一定に保つ為には不可欠なのです。汗はあなたの体から蒸発する時に体を冷やしてくれ、体温が上昇しすぎるのを防いでくれるのですから。

手のひらに汗をかく、というのはストレスに対する自動反応だと見れますしね。

単に「人一倍汗かきだ」という人もいます。汗をかく量は、性別や年齢、体調や健康状態などと総合的に関わっていますし、辛い食べ物や飲酒、カフェインの摂取なども汗をかきやすくさせます。

「こういうことを科学的に検証したのか!」なんてちょっと考えてしまいますよね。

多汗症について医師に相談する人は非常に少ない

もし、汗をかくようなことをなにもしていないのに、どうも他のひとたちよりもあせをかきやすいと感じているなら、もしくは急によく汗をかくようになったなら、または日常生活に支障がでるほどの汗をかいているなら、それは多汗症と言えるでしょう。

脇の下や手、足、そして顔に存在する汗腺が過活動であることが、多汗症の主な原因だとだとされています。しかし、全身に汗をかくような場合は、薬物療法や閉経などの影響による一時的なものであると考えられるでしょう。

また、汗をかき過ぎるのは、不安症や糖尿病が原因である場合もあります。

2004年の研究によると、合衆国における成人のおおよそ3パーセントは多汗症の類いだとされていますが、その半数以下の人しか、医師にそのことについての相談を持ちかけていないとのあたりがつけられています。

医師の診療を受ければ、原因がわからなかったり、しょっちゅう汗をかいたりする原因を特定することができるのですから、何の相談もしないというのは残念な話です。

原因が特定できなかったとしても、医師は局部的な汗管を塞ぐ、強力な発汗抑制剤を処方することができますからね。

汗は、かきすぎてもかかなくても生活に支障が出る

抗コリン薬という経口薬は、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑え、発汗を促す信号を体に送らないようにします。ただ、発汗作用のみならず、他の働きにも作用することから、不快な副作用を伴ってしまいます。

汗だけに的を絞って正確に狙いを定めるために、医師は電流が肌に直接浸透させる「イオン導入法」を用いた薬剤の提案をするでしょう。医師にもその理由はわかりませんが、電流を単体で用いた場合でも同じ効果が期待できることがあるのだとか。

ボトックスによる局所注射もまた、神経を麻痺させることで顔面筋を緩ませ、発汗を抑制するのに一役買うことができます。   さらには、手術で汗の分泌を促す腺や神経系を破壊したり、取り除いたりすることもできます。しかし、その方法では完全に汗をかく機能を失くしてしまうため物議を醸しています。

こうしてみると、あの手この手で汗をかかないようする試みがなされているようですね。やっぱり、汗をかきすぎると何かと日々の生活に支障を及ぼしてしまうものです。

自分がどれくらい汗をかいているのかが気になるのなら、どんなものか見てみるといいでしょう。でも、「シャツが友だちよりもちょっとだけ汗っぽいな」なんていうくらいなら……そんなに心配しなくて大丈夫ですよ。