最新のビジネスモデルは、むしろ若者世代のほうがフィットしやすい

沼野井伸拡氏(以下、沼野井):経団連によって就職のルールがそういったものが作られ、そして壊れ……というかなくなります。ここにいるみなさんも「え、どうなってるんだろう?」と、不安になるようなこともあるんじゃないかなと思います。

みなさんはたぶん新卒というカテゴリでいらっしゃるんだとは思うんですけど、会社には新卒だけじゃなくて中途採用というものがあったり、新卒という言葉はあえて使わずに、通年採用を行っていたりもすると思うんですよね。

ここにいる方々はほぼ学生だと思うので、みなさま向けの言葉というところでお話をいただきたいなと思います。あえて、新卒のこの層を採る意味とかって、各社はどんなところに価値を設けているのか、ちょっとうかがってみたいなと思います。

佐々木さんはどうですか? 新卒をあえてとるのって、なにかこだわりはあったりしますか?

佐々木正将氏(以下、佐々木):そうですね。弊社はいま社員が50人で、3人が新卒から入ったような会社です。今日も一緒に来て、ブースにも出ていました。やっぱり会社の未来を創っていく人は新卒から出したいな、っていう思いが社長含めてありまして。

そういった観点では、いま行っているところです。あとは、海外でいうとAirbnbさんに近いビジネスモデルなんですけども、我々はシェアリングエコノミーと呼ばれるドメインで立ち上がって、まだ4年くらいのビジネスモデルです。実は、私たちのようなおっさんよりも、若い人の感覚のほうがけっこうフィットするところがあるんですよね。

沼野井:まあ、確かにそうですよね。

佐々木:リアルな若者の感覚みたいなものを欲して、新卒を採用をしたいところがあります。

沼野井:ということは、サービスのユーザーのことも考えて、逆に新卒のほうがいいということでしょうか。

佐々木:はい、そうですね。

沼野井:これはみなさんもなかなか気づかないところなんじゃないでしょうか。今日もこの前のトークセッションで、ユーチューバー事務所のVAZの森くんが出てたと思うんですけど、サービスによってはたぶん、みなさんの価値観が反映されやすいサービスもあるので。

中途の、僕なんかみたいなおっさんよりも、ほんと若手の、例えば高校生を採ったほうがいいサービスとかもありますよね。なるほどというお話でした。ありがとうございます。

人に共感できれば、どこまででも頑張れる!

沼野井:武内さん、サイバーはどうですか? 

武内美香氏(以下、武内):サイバーエージェントは、5,000人のうちの約半分を新卒が占めてるんですよ。

沼野井:あ、そうなんですか。

武内:そうなんですよ。半々ぐらいなんですけど、けっこうサイバーエージェントは新卒文化と呼ばれるように、新卒から入ってる人たちが活躍していることが多くて。それこそ取締役とかも、第二新卒も含めるとほぼ全員新卒が占めているような状況です。

新卒でサイバーエージェントに入って、その価値観を自ら一緒に作って、それをさらに大きくしていこう、みたいなところが大きいので。やはり新卒の方が活躍しやすい会社なのかなと思います。

事業部によっての差もそんなになくて、やはり新しい事業を作るっていうところが大きいので。どの事業もやっぱり若者……まさにAbemaTVとか、みなさんが一番のターゲットだったりもするので、その価値観が一番大事になってくるかなという面では、新卒の方が活躍する場がすごい多いですね。

沼野井:なるほど。ちょっといますごく気になったところがあるんですけど、半分ぐらい新卒出で構成されていて、彼ら彼女らが残れる理由って何なんですかね。

武内:それはやっぱりカルチャーだと思っています。私もそうなんですけど、事業もやってメディアとか広告もやったんですけど、やっぱりがんばる理由が「サイバーエージェントが好き」という人が多い。もしくは、人が好きな人が多いなと思っていて。

けっこうベンチャーでは多いと思うんですけれども、先ほどもおっしゃっていたように、「社長の価値観に共感できる」とかですね。人で共感できるとどこまでもがんばれる、みたいなところがあるかなと思ってて。私も8年で10人ぐらい、上司が変わったんですけど。

沼野井:けっこう変わりましたね(笑)。

武内:そうなんですよ、もう本当によく変わるんで。事業部なんてすぐにできてはなくなり、みたいな。サイバーエージェントはまだベンチャーなので、未だによくあるんですけども。全部署、全上司が好きだったなって、心から思っていて。

沼野井:またいいこと言う!

武内:そういうところががんばる理由かな、みたいなところはありますよね。

沼野井:なるほどね。その上司たちも、部下にこう思わせることができる魅力的な人が多いんでしょうね。

武内:そうですね。なので最初の価値観で共感できるかは、その後もすごく大事だなと思いました。

会社のコアな文化を作るのは、ピュアに育った新卒が担っている

沼野井:なるほど。僕なんかはキャリアでいうと雑草なんですけど、法田さんは素晴らしい会社にお勤めしていて、いろんな環境を見てきたと思うんです。このあたりってどうなんですか? 新卒をとる理由を教えてください。

法田貴之氏(以下、法田):そうですね。いろいろ見てきた中で、アカツキはけっこういまサイバーに近いなと思ったことがあって、210人くらいいる正社員のうち、新卒で取ってるのは70名ぐらいなんですね。なので、けっこうな割合を占めています。

僕自身が思うのは、会社のコアな文化をこれから作っていく世代っていうのは、新卒の方がすごく強いなと思っていて。というのは、アカツキもやっぱり創業してから、中途でいろんな社員集めてきてるんですけども。ピュアに会社の中で育っていった人たちが、やっぱりコアな文化を作っているなと感じる場面がけっこうあって。

新卒4年目、5年目がけっこう一部のリーダーになっていて、その人たちがこの前、ちょうど2019年の新卒で入ってきた内定者とディスカッションしたんです。自分が育ってきた環境として、こうやってアカツキを語るのか……っていうのが、見ててすごい楽しかったですね。「事業のことをこう捉えてるんだよね」みたいなことで。

沼野井:うれしいですね、そういうのは。

法田:すごくうれしかったんですよ。これが例えば、僕が入った大きな企業のNECだったりすると、自分たちが作っていくっていうよりは、作ってきた文化に「おまえたち染まれよ」っていう、もう少し自由度がないものになるというか。NECの新卒はそのとき500人なんですね。なので、「教えてもらって学ぶ場」なんです。

アカツキのように小規模になっていけばなっていくほど、一緒に文化を作っていける。あるいは、あなたたちが白いキャンバスにどう色を塗っていくかが、会社の価値なるよと。それがやっぱり、大きな会社とベンチャーの違いじゃないかなと僕は感じています。

沼野井:なるほど。みなさんも勘違いしてはいけないのは、大きな会社も、たぶんこのあたりはかなりトライアンドエラーをやり抜いた上で、フレームができあがっているので。それが決して悪いわけじゃないんですよね。

基本的に、企業に属したほうが得られるものは多い

沼野井:いまお三方が言ってくれたことは、カルチャーを作っていくっていうところにおいては、たぶん我々のような業態であったりとか企業とかに入ることで、たぶんみなさんが考えているものが企業に反映されたりもするので。そのあたりを考えて就活では選んでいくといいのかなと思います。

諸戸さんは、企業の中の新卒だけじゃなくて、シードとかベンチャー企業の経営者たちと多く会うこともあると思います。企業の中で新卒採用として採るのもそうなんですけど、若手全体でこれから社会に出ていく中で、企業に属したほうがいいときもあれば、自分で外で何かを作り上げたほうがいいこともあると思うんですけど。そのあたり、若手と接していて、何か気づいたこととかはありますか?

諸戸友氏(以下、諸戸):企業に属したほうが絶対にいいですよ。僕はベンチャー投資を会社を作ってやってるじゃないですか。たくさんの若手起業家とか学生起業家と会いますけど。僕は最初っから「企業に属さずにやったほうがいいよ」なんて言うことは、まずないですからね。基本的には「絶対にやめたほうがいい」って言う。作る前だったらね。

もうやってる子に対しても、「え、本当にいいの?」って思いますね。やっぱり会社を作るのが目的じゃないんで、みんな。

沼野井:そうですね。

諸戸:やっぱり成し遂げたいことがあって、事業を成功させたいわけじゃないですか。そうすると、事業を成功させて、成長させて、組織づくりとかいろんな大変なこととかをやってきた会社で2〜3年いれば、そこのノウハウが全部パクれるんで。それを持った上で企業に属さずに自分でやれば、結果的に近道なんですよね。

会社を作るという意味では遠回りになるけど、自分がやりたいビジョンとか、事業成長という意味では近道になるので、僕は基本的に会社に入るべきだと思います。それでも耐えられない人っているじゃないですか。「この情熱は、いまじゃなきゃとダメなんだ」とか。

沼野井:ああ、いますよねえ。

諸戸:「地球的にいまの事業が必要だ」っていう場合は、もうしょうがないので、「じゃあどうぞ」と。その代わり、なるべくそういうのを疑似体験させてくれる人とか、アドバイスしてくれる大人を仲間にというか、味方にしたほうがいいんじゃないのって言います。

それを僕はやりたくて投資系の会社を作ったんで。いまの質問で言うと、「1回会社に勤めたほうがいいんじゃない?」っていう気はしますけどね。

生き残るベンチャーは、絶対にリスクヘッジを仕組み化している

沼野井:なるほど。ありがとうございます。こんな感じでトークがどんどん進んでいったんですけど。たぶん、みなさんの話の中で気になったところとか、突っ込んでみたいこととかがあると思うので、質疑応答の時間を設けてみたいなと思います。

いろいろな話を聞いて、もっと聞いておきたいことがあれば挙手いただいて。お答えしたいなと思います。

(会場挙手)

じゃあパッと目についた彼から。

質問者1:ありがとうございます。「ムロト」さまにおうかがいしたいのですが。

諸戸:「モロト」です。愛知県外来市出身です。「モロト」です、よろしくお願いします。

質問者1:申しわけございません。諸戸さまにおうかがいいしたいのですが。

諸戸:「さま」とかやめてよ。(笑)。

質問者1:(笑)。最初のほうに、伸びる会社と衰退する会社の違いがわかるとおっしゃっていたんですが、具体的にどのような違いなんですか?

諸戸:その質問は、答えるのに5時間半かかるので。お酒がないと喋れない。いっぱいある。本当にいっぱい。ただ、いっぱいある中で衝撃的だったことがあって。僕はクルーズに入って、「圧倒的にここが違うな」と思ったのは、やっぱり守りがめちゃめちゃしっかりしてるってこと。

たぶんサイバーさんもそうだし、アカツキさんもそう、スペースマーケットもそうだしね。僕は1,000社ぐらいベンチャー企業を見てきて、経営者とお仕事させていただいたんですけど、ほぼ違いなくみんなビジョンを掲げていて、人格的にも素晴らしいんですよ。

それはそうだよね。覚悟して、人生のすべてをかけて事業をやるわけだから。そうなんだけど、本当にこうなってくる(右上がりのジェスチャー)会社って、ごくわずかなんですよね。そのわずかの会社って、やっぱりリスクヘッジや守りを徹底的にやってる。

しかも、仕組み化してる。守りを意識してるだけじゃなくて、ほかの誰がやっても絶対に失敗しない、もしくは失敗してもすぐ処方できるような仕組みっていうのを作ってる。

例えばうちだったら合宿があるんですけど、3ヶ月に1回、500項目ぐらいあるパワーポイントがあって、それを全部メンバーがチェックしていって、メンバーがチェックしていったものを役員とやりあって、さらに役員同士が集まってチェックしています。

この500項目は何かっていうと、過去のクルーズが伸びてくる過程において、失敗しちゃったとことか、社長が気になっているから絶対になんとかしてほしいみたいなものを、すべてチェックしてスライド化してるのね。要はそこを仕組み化してるってこと。

これは株式会社VOYAGE GROUPの宇佐美さんと話したときも、同じ話をしたと思う。宇佐美さんもけっこう感覚派の経営者なんだけど、やっぱり細かいところが気になるから、細かいところをほっとかずに、火種が起きたらなぜ火種が起きたのか。起きたのはしょうがない、じゃあどうやってそれを早く消せるんだ、と考える。

これをやらないとどうなるか。みんな前ばっか向いてるから、そのうち大火事になるわけですよ。それで大火事になってから気づいて消しにいくわけですよ。その間に会社が停滞する、もしくは潰れていくんですよね。

話が長くなっちゃったんですけど、まず徹底的に、絶対にやらなきゃいけないなと思ってるのは、守り。リスクヘッジをどれだけ仕組み化していくかっていうこと。そこを再現性高くやっていくかってことは重要じゃないかなって思ってます。

質問者1:ありがとうございました。