河上氏も思わず「仲間に加えてよ」

河上:でね、こういうの好きじゃない? 俺。

及川:もう、大好きですよね。

河上:すぐオダジと会った……だいぶ前に会って、こういう話聞いたときね、すぐに俺、仲間に加わりたいと思ってた。「いやオダジ、俺も仲間に加えてよ」って言って。そしたら、お断りされたわけよ。なんでかって言ったら、あのビル全部、英語公用語なんですって。

及川:あー、なるほど。

河上:「純二さん、英語まったくダメですよね」みたいなこと言われて。

及川:それは難しいな(笑)。

河上:「それは切なすぎる」って言ったの。「悲しすぎるよ、それは」と。でも本当に、ほとんど英語でしょ? あの中。

小田嶋:でも、フェーズがちょっと変わってきました。

河上:変わってきたの?

小田嶋:2、3割日本語オンリーの人います、今。

(一同笑)

小田嶋:もう1回……。

及川:再チャレンジ。

河上:そういう日、そういう曜日、そういう場所、担当。

Slackもミーティングもコミュニケーションはすべて英語

小田嶋:大丈夫です。でも、本当に公用語が英語なので。それが、僕らが社員集めるのに苦労してるの、まさにそこなんですよ。日本語・英語が喋れないと。英語だけでも、やっぱつらい。ファウンダーの2人が日本語があんまり喋れないので、社内のSlackとか全部英語ですし。契約書から何から、全部英語だし。全体ミーティングも英語でやるし。

河上:そうなんだ(笑)。

小田嶋:来るお客さんの半分以上は日本語喋れないし、みたいな状態。でも一方で、やっぱり日本語も喋れないと、厳しいんで。けっこう人が。

河上:難しいな。

小田嶋:だから本当、「来てくれてあざっす」って感じです、もう(笑)。そう。やっぱね、行くとこなんぼでもあるわけですよ。そんだけ日本語・英語喋れて、日本語・英語喋れるだけじゃ、もちろん僕らもだめなんで。他にもいろいろスキルがなきゃいけない中、こんなどうなるかまったくわかんないようなところに来てくれるってのは、もう「あざっす」って感じですよね(笑)。

河上:こう言ってるけど、俺に対しては冷たかったよ。

(一同笑)

河上:「純二さんだめっすよね」。

小田嶋:そんな言い方、絶対しないっすよ!

河上:「グローバル感ないっすよね」。

及川:「グローバル感ないっすよね」(笑)。

河上:「そう言わないでよ」って言ったんだけどさ。でも、ちょっとチャンス出てきたんだね。

小田嶋:いや、本当に、来ていただいたのがだいぶ初期の初期だったので。

河上:だって、一番最初に中全部見せてもらったときは、貼ってあったもん、ビニール。ガラスに全部ビニール貼って。

小田嶋:ただの箱っすよね。そうっすよね。まだ工事中とかでしたよね。

河上:まったく。建物、あれが建ってたから、脚立みたいな。

小田嶋:あの時は本当に、英語じゃないと無理だった。

河上:悲しい(笑)。

小田嶋:でも本当に。数が増えてきたんです、おかげさまで。いろんな人たち来てもらうようになって、ぜんぜん日本語オンリーでもいろいろできるぐらいに、来てくれる人たち増えてきたので。

小田嶋氏の肩書きは紹介の仕方が悩ましい

河上:なるほど。これも進んでると思うんだけど、俺の今日の紹介文の書き方、ゲームチェンジャースタジオって言葉がいまいちわかんなかったから、グローバルアクセラレータービルって言い方で表現したの。俺わかんなかったから。それはもう、あの当時から、東南アジアとかとのコネクションハブであったりとかも、やり取りずっと見てる。

で、今オダジがフランス繋がりもあるからさ、フランステックだったりとかとの、密接なコミュニケーションがもう設立できてきてって、本当にグローバルハブみたいになりつつあるじゃない? この話もけっこうわくわくするし、俺もいろんな会社のスタートアップベンチャーの顧問アドバイザーとかやってるけど、ほとんどグローバル目指すじゃない、やっぱりさ。技術・テクノロジの会社とかはさ。

だから、その段取りをね、本当に距離をぐんぐん、近づけてもらえてるような気がしていて。早く連れていってね、彼らにもここに連れていって、活躍する場を見つけてもらいたいなと思ってたりもしてるのよ。今はそういうヨーロッパ、それから東南アジアとのコネクションができつつあるけど、他のエリアもやってってるの?

小田嶋:やってます。中東でのバーレーンだったりとか。

河上:中東でいきなりバーレーン(笑)。

(一同笑)

スウェーデン国王夫妻による突然の来訪、その理由は…?

小田嶋:でも本当に、ご縁があって、会ってお話をさせてもらってってところで。オフィシャルにちゃんとサインできてるのは、まだ7ヶ国くらいなんですけど、話だけさせてもらってるところは、けっこういっぱいありますね。やっぱ、一番インパクトでかかったのは、オープニングの3週間後ぐらいに、スウェーデン国王夫妻が来たんですよ、うちに。

及川:え!? なんで?

小田嶋:スウェーデンって実は対人口比で言うと、ユニコーンの数……その、評価額1,000億円以上の、未上場のスタートアップの数が、アメリカについで2位なんですよね。

及川:そうなんだ。

小田嶋:スタートアップに対する投資額も、日本の人口の10分の1しかいないのに、日本と同じぐらい出資額があるっていう。要は、圧倒的にスタートアップを応援する風土がある国なんですよ。実績もいっぱい出てるし、Spotifyなんかはスウェーデンの企業。でも、ぜんぜん知られてないと。で、国王夫妻が日本にいらっしゃったときに、「もっとこう、日本において、スウェーデンもイノベーションやってんだぜっていうのをアピールしたい」っていうふうに、大使館の方がおっしゃってて。

すごいいろいろご紹介をいただいた縁で、「じゃあ、うちにぜひ」ということで来ていただいて。そこがけっこうきっかけになって。その時やっぱもう、警視庁とか、外務省の人と入念な準備が必要で。

河上:なるほどね(笑)。そうだろうね。

小田嶋:「滞在時間きっかり13分」とか、そういうレベルで。「この柱とこの柱の間を通って」みたいなレベルまで決めなきゃいけない。本当にびっくりしました。警視庁の人たちと何度も打ち合わせをして、当日はビルの前の道路を一車線封鎖して、みたいな。その経験値があるので、いろんな国が、偉い人たちを連れてくるときに、連れていきやすいんですよ。「国王行ったし、大丈夫じゃね?」みたいな。

(一同笑)

河上:確かに(笑)。

フランス、マレーシアとつながりが拡大

小田嶋:本当それが、スウェーデンの大使館の方たちのおかげで、そういう実績を持つことができて。もう今、2、3週間くらい前はマレーシアの大臣が来て、マレーシアのプロジェクトの話したりだったりとか。フランスはすごい仲良いんで、フランス系の政府の高官というか、「国会議員の視察団が来ました」とか、うちに来ますし。あと、オーストリアもすごい仲良くさせてもらってて。本当いろんな国の人たちが来て。

とくにフランスの場合は、日本のスタートアップ・イノベーションに詳しくて、フランス語喋れるやつってそうそういないんですよ。

河上:まあそうだろうな(笑)。

小田嶋:だからフランス側で、「日本に行くんだけど、おもしろい奴いない?」って言うともう、「エッジオブのアレックス行くといいよ」って言って。

(一同笑)

小田嶋:「あいつ、フランス語でいろいろ教えてくれるから」みたいなのがあるらしくって、すっごいいっぱい来てくれるんですよね。おかげで僕も、「そんなんあるんだ」って、いろんな人に会えてるんですけど。その流れがだんだん、おかげさまでできてきていて。僕らも、新しい国の特徴を知る機会がいっぱいあると。

オーストリアはテストマーケをするのにちょうどいい

小田嶋:例えばオーストリアって、「ヨーロッパの国だよね、ウィーンだよね。スタートアップで、なんでオーストリアにわざわざ行くの?」って、なかなか出ないじゃないですか。そこを僕は、オーストリア大使館の人たちだったりとかから、教えてもらって。スタートアップをもうちょっとわかってる立場から咀嚼してって。例えば実際に言うと、人口が1,500万人とか、テストマーケットにするにはちょうどいいぐらいのサイズなんですよね。

でも、ドイツ語が公用語なので、行こうと思えばEU最大の経済国であるドイツにすぐ、ばーっと行けると。あと歴史的にも、ずっと東欧の玄関口なんですけど、東欧って安くてレベルの高い開発人材がいっぱいいるので、オーストリアを拠点で開発するっていうのは、けっこう人件費の面では有利なんですよね。

河上:なるほどね。

小田嶋:で、EUのメンバーだし。政府はもちろん、いっぱいいろんなサポートもしてくれてるし、っていうのがあって。実は、特定の条件が合えば、オーストリアで拠点をまず作るっていうのは、理にかなったありかたなんですけど。大使館の人がそれ言っても、固いし。

僕らはある意味で、良くも悪くも公平で言えるわけですよ。「あなたはオーストリアが合うと思います」。「あなたはフランスが合うと思います」。なんなら、「あなたはもう、マレーシアです」とか。それぞれの国に、絶対個性はあるわけですよね。だから、そこをちゃんと理解していって、それを紹介してあげる窓口みたいなのがある。

フランスのスタートアップ支援事業とパートナーに

小田嶋:そのおかげ、やってるので、フレンチテックってさっき言っていただいた、フランス政府がやってるスタートアップ支援プログラムなんですけど。僕らはフレンチテックとオフィシャルパートナーなんですよ。僕自身がフレンチテック東京の中の人っていうのもあるんですけど。なので、フランスに行くべき企業とかが、いくつかあるんですよ。「技術的に尖ったことやってる」とか、いくつか条件があるんですけど。

それに見合う会社は、「絶対、開発拠点フランスに作ったほうが、圧倒的に経済的に得です」ってのがあるんですね。それがわかってるので、実際何社か、「これは絶対フランス行ったほうがいいよ」ってのは、フレンチテックの人に紹介してあげて、そこから行ったりとか。っていう、窓口としてけっこういろんなことをやってて、いろんな国と話をしていて、っていうのをやってますね。

河上:なるほど。そういう話ってさ、ほら、エッジオブの中を出入りしているようなさ、スタートアップだったりベンチャーのメンバーとかはさ、そういう話に触れる機会があるけどさ。たぶん基本的に、出入りできていないような人たちのベンチャー、「グローバルやりたい」って言ってる、ほとんどこの話触れる機会がないじゃない? だから、非常に貴重なスペースだと思うんだよね、あの中の情報インフォメーションっていうのは、すごくね。