2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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及川真一朗氏(以下、及川):今日はITジャーナリストの神田敏晶さんとお話しさせていただこうと思います。どうぞよろしくお願いします。
神田敏晶氏(以下、神田):よろしくお願いします。
及川:神田さんといえば、長い間いろんなメディアでジャーナリストとしてご活躍されてらっしゃって。
神田:いえいえ。
及川:いわゆるITのガジェットとかでも、新しいものをいじってレビューされたりして。こういうのって、いつぐらいから関心を持たれたのかなと。
神田:そうですね。まぁ、ITという言葉がなかったぐらいの……。
及川:ですよね。
神田:本当にITって最近な感じがするぐらいなんです。それまではテクノロジーライターとして。
及川:あっ、テクノロジーライターとして。
神田:テック系の記事という感じで。その前はマルチメディアのライターみたいな。「マルチメディア」ってねぇ(笑)。今はマルチメディアって言わないですよね。
及川:そうですね。その言葉は聞かなくなってきましたね。
神田:ヨドバシカメラのマルチメディア館ぐらいですよね。
及川:ははは(笑)。確かに、確かに。
神田:まさにそんな感じの頃からやっていたんですよね。当時はどちらかというと雑誌が多かったですね。
及川:あ〜、なるほど。
神田:インターネットが出てきてからしばらくは、インターネット雑誌が山ほどあって。15誌ぐらいありました。
及川:えぇ、えぇ。
神田:そういうところで連載させていただいたりとか。まぁ、その当時が一番激しかったですね。毎週メーカーさんからモノが送られてきて。
及川:ははは(笑)。
神田:記事を書いては送り返してみたいな。もうなにがなにやらみたいな状態で。当時はまだインターネットもなかった頃なので。
及川:そうですよねぇ。
神田:はい。パソコン通信で記事を送るみたいな。
及川:なるほど〜。じゃあ、90何年とか?
神田:いや、もうちょっと前。80〜90年代初頭ぐらいからですね。
及川:いわゆるWindows 95よりもっと前ですもんね。
神田:そうです。もっと前です。だからその頃は本当に、まだ電子メールさえ普及していなかった時代ですからね。
及川:そうですよね(笑)。
神田:本当にインターネット以前のところで。だから、メールアドレスもみなさん、ニフティサーブやPC-VANとかの時代ですよね。画像も添付ファイルでくっつけて送る……それは今も一緒か。まぁ、そんな感じで。
及川:へぇ〜。
神田:あとインターネットの最初の頃は、Webの更新もフロッピーディスクにHTMLと画像を書いて、フロッピーディスクに保存して、それを某通信会社に郵便で送って……。
及川:えっ、そうなんですか?
神田:郵便で送って(笑)。
及川:そんな時代ありました?
神田:はい、ありました。郵便で送って、ガチャっと入れて、向こうで検査して、しばらくすると電話がかかってきて「Webサイトを更新しました」って。
それで「ありがとうございます」と言って、ピーヒャラヒャラって入って、Webサイトを見るという時代がしばらくあったんです(笑)。
及川:そうなんですか?
神田:これ、みんなに笑われますけども。
及川:ですよねぇ。
神田:なんでFTPできないかというと、そういう昔の大手のSIerみたいなところは、セキュリティがけっこううるさくて。
及川:へぇ〜。
神田:自分たちの局番以外からのアクセスを全部ロックされていたんです。
及川:そうなんですか。
神田:それなのにインターネットのサービスを始めてるんですよ(笑)。わけがわかんない(笑)。
及川:そうですね(笑)。でも、僕がインターネットを始めたのは、そもそもWindows 95が出たあとあたりだったんですけど。
神田:でも、その時代はたぶんそのぐらいですよ。
及川:そうですか?
神田:ベッコアメさんとかがあった頃とか。
及川:あったなぁ〜。
神田:インターネットマガジンさんとかで。ベッコアメさんは、もう本当に何もないのに広告だけ先に出して。
及川:ははは(笑)。
神田:金だけ集めて、「まもなく、まもなく」と言って資金調達しながらやって。すごい時代ですよね。あれでお金が集まらなかったら、どうしたんだろうって(笑)。
及川:確かに(笑)。
神田:広告を出し続けながら、ファイナンスで増強していってサービスするっていう。今考えたらもうすごくヒヤヒヤもんのサービスで。
及川:ですよねぇ。じゃあ、キャリアとしてはライティングのお仕事からというのが、やっぱり全体的に多いですね。
神田:そうですね。それと同時に、僕の場合はビデオで展示会をレポートしていて。その当時は「ビデオジャーナリスト」という肩書きも持っていました。
及川:なるほど。
神田:世界のIT展示会に取材に行っていました。当時は10何誌もガジェット系の媒体があったので。当時はCOMDEXやCESショーとか、今もありますけども、そういうところに取材しに行って書いていて。
当時はそういうガジェットが好きだったので、液晶ビューカムというのを持って行って録画して。当時、QuickTimeが出始めだったので……。
及川:出始めですか(笑)。
神田:出始めの頃のQuickTimeで編集して、小さな画像で現地からストリーミング配信を始めるという。
及川:へぇ〜。ストリーミング配信ですか。
神田:はい。
磯村尚美氏(以下、磯村):すごーい。
及川:すごいですね(笑)。
神田:だから、日本が初めてワールドカップに出た96年はスポンサーをつけて、GSMの回線でフランスの現場からリポートしました。
磯村:へぇ〜!
神田:たぶん、個人のストリーミング配信は僕が一番最初かと。
及川:はい、そうじゃないですかね(笑)。
神田:その当時は「なんでできたんだろう?」と思いながらね(笑)。でも、おもしろかったですよ。まだ誰もやったことがないことだったので。
及川:そうですよね。当時、ストリーミングでレポートするなんて。
神田:でも160ピクセル×120ピクセルだから、こんなもので。あとは音が途切れると見ていられないので、画質を落としたんですね。画質を落とすというか、画質は綺麗なままで4秒で1コマ変わるんですよ。
及川:そういうことですか(笑)。
神田:ライブだけどスライドショーみたいなものです。しゃべってる音声は「みなさん、こちらはフランス・トゥールーズです」とか言いながら4秒フリーズしてるっていう(笑)。そんな感じの画像で配信させていただていて。
及川:すごい(笑)。
神田:それでも大阪のビジネスショーみたいなところに、インターネット生中継というかたちでやりまして。時差があるので、夜中の2時か3時ぐらいですよ。こっちのビジネスショーに合わせて。
及川:ははは(笑)。
神田:時差もあるし大変なんだけど、日中はレポートして、記事も書いてるし。それで夜はビジネスショーのレポートみたいな。
及川:大忙しですね。
神田:ワールドカップの時は、フランス大会からドイツ大会、あと日韓ワールドカップがあって。そのあとは南アフリカ大会もあって、同じようなやつで毎回スポンサードをつけて行ってました。
及川:へぇ〜。
神田:さすがにブラジルは、あまりにも移動距離が大きすぎるのでやめましたけど。
及川:ブラジルはそうですよね。
神田:南アフリカでも死ぬかと思いましたよ。すべてキャンピングカーで移動して。
磯村:えーっ!
及川:何時間かかるんだっていう。
神田:いや、もう本当に。へたすると、試合に間に合わないぐらいで(笑)。
及川:そうですよね(笑)。
神田:やっぱり国土がねぇ……。ドイツでもけっこう大変だなと。フランスやドイツもけっこう広いんですけど、まだ知れてるんですよね。南アフリカは大変で。それで調べたら、ブラジルなんてさらに大変で。
及川:ははは(笑)。
神田:南アフリカの3倍ぐらい広いから(笑)。「もう無理」と思って辞退しましたけど。
及川:へぇ〜。
神田:それとテレビで見たら、最前列のいいところで中継していますけど、僕なんかは「ワールドカップ」という言葉がFIFAの関連で使えなかったりするんですよ。スポンサードされているところがあっても権限があるので、メディアのパスがないとダメで。
及川:なるほど。
神田:個人で勝手にカメラを回すことができないので、スタジアムに背中を向けて、来る人をレポートしていたんです。
及川:ははは(笑)。そうなんですか?
神田:それでも、やっぱり応援するいろんな世界の人たちはおもしろいので、現地のパブリックビューイングを取材しに行ったりして。
及川:なるほど。
神田:そこに行くと、町のいろんな人たちと「今日の日本はどうだ? 応援するか?」という話ができるので。
ヨーロッパやアフリカなどの、サッカーは好きだけどまぁパブリックビューイングに観に来るくらいの人たちに、「日本からわざわざ来てるんだけど」って、サムライブルーのウェアでインタビューしていって。「この中継はなにで見れるの?」って聞かれて、その場でインターネットで見せて「俺、出てる!」みたいな(笑)。
及川:ははは(笑)。へぇ〜。
神田:これはコンテンツとしてもおもしろいし。ITはぜんぜん関係ないんですけど、それでもITの機器を駆使して。最後の南アフリカにはトランスポンダーまで持って行きましたね。
及川:あぁ、そうなんですか。
神田:それで衛星がどこに向いているかを調べながら(笑)。
及川:衛星まで調べて。
神田:それも回線料がめちゃくちゃ高かったと思うんですよね。僕のダダ話のためにね(笑)。
及川:その企画を考えたのもすごいですね。
神田:そうですね。このコンテンツで誰が喜んでくれるかなというのは、わりとすぐ思いついて。思いついたらすぐ電話するなり、メール打つなりして。
神田:それで営業するのって、実はすごく楽しかったりするんですね。僕、昔は飛び込み営業も大好きで。
及川:そうなんですか? そういうこともしていたんですか?
神田:昔はやっていましたね。
及川:へぇ〜(笑)。
神田:飛び込み営業といっても、営業してるつもりがないので。基本的に、お友達になりたい。
及川:ははは(笑)。
神田:そういう感じなので、お金の話はするんですけど、お金の匂いはしないセールスマンでして。
及川:あっ、それはおもしろいですね。
神田:だから、お金が目的じゃなくて、やりたい目的があって。それをやるために「お金がないけど御社のこれを使いたい」ということが目的で。最初はお金の話は一切なくて、ただ「使わせてほしい」と。それは向こうとしてはウェルカムだから。
及川:確かに、確かに。
神田:「使いたいんだけど、どうしてもこれがなくて……」「じゃあ、しょうがねぇ」っていう(笑)。
及川:ははは(笑)。なるほど。話をしているうちにだんだんとね。
神田:だんだんと「しょうがねえなぁ」となってくるみたいなのがあります。それの繰り返しによるファイナンスという部分もあって(笑)。楽しくなって、それでよければ、そういうファイナンスのやり方もありだと思うし。
及川:確かに、確かに。
磯村:ははは(笑)。
神田:マジで(笑)。
及川:確かにお金を協力してもらうやり方もあれば、モノを協力してもらうやり方もあるわけで。
神田:はいはい、あります。あとは時間やスキルを協力してもらったり。
及川:そうですよねぇ。
神田:今回は僕が電卓をとか。
及川:そうですよね。
神田:この場合はスキルを提供していただいて。向こうの会社にもう全部手伝ってもらって。
及川:はいはい、なるほど。
神田:向こうの会社も、これによって名前が売れればラッキーというかたちにして。
及川:そうですよね。
神田:そうやって、自分のやりたいことにどんどん人を巻き込んでいく。
及川:ははは(笑)。ちょうど、今日Yahoo!のニュースで出てますもんね。
神田:タイトルのつけ方ね。Yahoo!って本当は13文字のタイトルなのに、これは50文字も使ってるんですよ(笑)。
及川:もう3行になっちゃってます(笑)。
神田:Yahoo!のニュースにこんな3行のタイトルで。これトピックスになったらどう略されるんだろう(笑)。
及川:確かに(笑)。トピックスにこれは絶対に入らないですからね。
神田:だって、ワードが「『 #億兆電卓』を作ってみた! ZOZO1億円お年玉、初マグロの競りから国家予算まで計算力で読み解く」(笑)。もうどんだけぶちこんでるんだ、みたいな(笑)。
及川:確かに(笑)。
神田:「ぶちこみすぎだろうが!」って。これ、前澤さんの……。
及川:大きい話題ですよね。
神田:だって僕が昨日記事を書き出した頃は、(前澤氏の)フォロワーが300万人ぐらいしかいなかったのに。あっ、259万人だ。
及川:はいはい。あぁ、書いてありますね。
神田:昨日の2時56分の時点で259万5,503人のフォロワー。
及川:確かに。
神田:これを1億円で山分けすると、1人39円。
及川:ははは(笑)。山分けすると。
神田:そうそうそう。山分けってすごい。今までこういう計算を普通の電卓でやっていて、すごく面倒くさかったのに、これですからね。今やもう、今日の朝10時半で421万人を超えているわけで。
及川:すごいですね。
神田:これたぶん500万人ぐらいは……もっと行くかなぁ。600万人とか。
及川:ですかねぇ〜。
神田:でも、1億かけてRTを買うというのは……。
及川:初めてですよね(笑)。
神田:初めてですよ。これ、でもこれって景表法とか、もらった人の税金はどうなるんだろう?
及川:そうですよね。贈与はどうなるのかとかね。
神田:贈与はどうなるのか。景表法の部分がけっこう怪しいかもわからないですね。
及川:確かに。
神田:オープンキャンペーンですもんね。RTで100万円だからなぁ。難しい。富くじ法でも……。
及川:難しい(笑)。
神田:当たればもらえるわけだから、今いくら……。
及川:今で403万5,000RT。
神田:403万RT。それで登録RTはどこまで……RTじゃなくて。
及川:フォロワーは今450万人。
神田:おぉ、450万人。そこはあんまり変わってないか。あぁ、だからRTする人は……。でも、これからはたぶんバラエティがこれに突っ込んでくるから。ここからテレビでやっていくので、またさらに。
磯村:確かに。増えますね。
神田:今日の何時までかはわからないですけどね。いや、このへんは前澤さんのやり方がうまい。僕、ZOZOの株主でもあるんですけれども……さぁ、どうだ? おっ、上がってる! ちょっと上がった(笑)。
及川:あっ、上がってますねぇ(笑)。本当だ。へぇ〜。
神田:そうなんですね。あぁ、よかった〜。
及川:ははは(笑)。このアプリはいつ頃作られたんですか?
神田:構想では10年近く前から作ろうと。
及川:そうなんですか。
神田:iOSが出た頃から「作りたい作りたい」と思いつつも、自分で作れないまま、企画だけは温めて。開発をしている人が見たら「一緒に作らない?」みたいな。
及川:ははは(笑)。
神田:声をかけていって。ようやく僕のコンセプトを理解していただけるパートナーが、意外と近くにいて。
及川:なるほどね。
神田:それでやってみたら、「神田さん、これけっこう難しいよ」みたいな。僕からすると「えっ、電卓でしょう?」って。
及川:そんなふうに思っちゃいますけどね。
神田:今までにも億万や兆単位でできる計算機はあったんですけど、僕にとっては使い勝手の悪いところがいくつかあるんですね。それを改善したものをどうしても作りたかった。
及川:なるほど(笑)。
神田:これはもう願ったり叶ったりで。
及川:すごいですね。神田さんにとって超使いやすい億兆電卓ですよね。
神田:はい。でも今ようやく電卓の計算結果をダブルタップでコピーできるように……。前はコピーできる電卓もなかったんですよ。
及川:あっ、そうですか。へぇ〜。
神田:電卓アプリってコピペできなかったんですよ。
及川:そうなんですか?
神田:計算結果のところで、みんなメモってたんですよ。「何メモってんの?」みたいな(笑)。
及川:それなんか変ですね(笑)。
神田:Facebookで上げるために、計算した結果をメモって、それを見てまた打ち込んだり(笑)。「頭悪いんじゃねぇの?」みたいな。「コピペすりゃいいじゃん。なんで電卓アプリなのにコピペできないの?」って。びっくりしましたよ。
コピペできる電卓は世界初なんですよ。普通はそんなの誰だって考えられるでしょ? なぜ電卓でコピペできないの?
及川:ははは(笑)。
神田:だから、コピペできる電卓がようやくできてうれしいみたいな。なんで誰もこれを実装しないんだと。あと計算結果をFacebookやTwitterに……。
及川:ツイートできたりする?
神田:シェアできる。あんまりニーズないんですけど、僕がすごくやりたいから(笑)。
及川:ははは(笑)。
神田:自分がやりたい機能で。
及川:確かに(笑)。
神田:この結果はおもしろいと思ったら、どんどん発表していって。「#億兆電卓」のハッシュタグが自動的につくと、それを見た億兆電卓の……。やっぱりグロースハックが大事ですよね。日本にも億兆電卓の電卓はあるんですけども、アプリを置いているだけで何もしないから。僕はこれからメディアの露出も含めて、あと……。
(携帯電話の着信音が鳴る)
及川:おぉ〜、ちょっとごめんなさい。
神田:ごめんなさい。スタジオに入るのにぜんぜん消してなくて。普通は言われるんですけど。僕の電話って普段鳴らないんですよ。さっき電話があったんですけど、鳴らないから気づかなくて(笑)。
及川:ははは(笑)。
神田:いつも電源をオフにしているので。「なんで電話かかってこないんだろう?」と思ったら、実は着信がいっぱいあって(笑)。
及川:そうですか(笑)。
神田:まぁ、そういうのもあってですね。今いろいろ考えているのが、今の電卓もそうですけども、「4億円」を英語で言おうとした時に難しいんですね。
及川:あぁ〜、そうですね。
神田:要するに億という概念が英語ではないので。ミリオンかビリオンなんですよね。それを言い換える時に、いつも言いよどむ。億兆電卓では$マークを押すと、ミリオン・ビリオンに変えてくれる。これは便利です!
及川:これは便利ですね(笑)。なるほど。
神田:これは外国人がいる時に説明したり、外国の人たちとの比較をしたりする時に、「600億ドルのなんとか」と言われた場合に、「600億ドル? えっと、6000の6兆でしょ。6兆で118円でしょ」というのを考えて。
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