地方のレンタルスペースは需要も供給も増えている

河上純二氏(以下、河上):あ、質問も来てるよ。「地方で使えるスペースは増えないですか? オフラインミーティングで使えそうなところです」。これはリクエストかな。

重松大輔氏(以下、重松):けっこうありますよ。地方のスペースはすごく今増えてる。昨日まで福井の鯖江市に行ってきたんですけど。鯖江市の会社の方が自分たちの会社の空いてるスペース、こういう机とプロジェクターがあるみたいな、本当にこのくらいのスペースを貸していて。

登録してくれてまだ何ヶ月も経ってないですけど、けっこう借り手が付いてて。福井テレビの人が料理番組をそこで撮ったりとか、学習塾がそこで冬季講習みたいなのを1週間限定で借りてやるとか。

あとはコスプレーヤーですね。1人で来て、1人でずっと撮影をしてたり。あとは何だろう。福井市の人が鯖江に来て、ちょっとした打ち合わせとかで使うとか。「この場所が!?」みたいな。けっこう可能性を感じましたね。

河上:へ~!

重松:地方は本当におもしろいです。奈良県の宇陀市っていう、ちょっと中心からは外れてるんですけど、そこに廃校があるんですよ。木造の廃校。「奈良 廃校 スペースマーケット」で検索するとたぶん一番上に出てくるんですけど。

そこはすごくて、年間200組以上をうちから送客してて。すごく味のある廃校なので、コスプレーヤーのみなさんが毎週末そこへ押し寄せて撮影会やっていたり。

河上:最高だね。

重松:あとは、普通にランドセルの即売会とか。地方ってそういうニーズがあるんですよね。即売会ニーズってけっこうあるんです。ランドセルと廃校ってやっぱり合うじゃないですか、イメージが。だからけっこう売れたらしいんですよね。コンバージョンするみたいな。

河上:なるほどね(笑)。

及川真一朗氏(以下、及川):(スマホで検索して)これですね。この、宇太小学校ですね。

重松:そうそう。このカエデ。「カエデの郷 ひらら」っていう。

河上:へ~。なるほどね。1時間1500円。

重松:そう、めっちゃ安いんですよ。

空きスペースレンタルのプラットフォームは「物件数」がすべて

河上:地方のニーズも要望もあるんだと思うけど、結局エリア営業じゃない? そう簡単に、すぐにはなかなか難しいところがあるからね。組織力が効いてくるともっといいんだろうけど。

重松:地方でもアンテナの感度が高い人とか、そういう若い方がやり始めてますね。

河上:今ってスペース登録数みたいなのは公表してるの?

重松:サイト上に出てます。今1万400件くらいですかね。

河上:1万超えしてるんだ! それはずいぶん在庫増えたね。

重松:まだまだ。これを5万とか10万くらいにしたくて。Airbnbも一時期は6万、7万軒くらいまでいったんですかね、法律が変わる前は。それくらいまでいくと、かなり多いかなと。やっぱプラットフォームのビジネスだと物件……サプライサイドが増えないと。

河上:そうだよね。

重松:増えれば増えるほどユーザーが付いてくるっていう関係なので。

河上:そうだね。そういう感じだよね。俺も2000年前後にグルメ系の事業やってたときも、やっぱり「目指せ、5万店だ! 10万店だ!」みたいに、数字感みたいなのを追いかけて。営業所を作って、ルートかけて、ローラーかけるみたいな話をしてた時代があったから、すごくよくわかる。

及川:最初のほうとか、やっぱりスペースを貸してくれる人にもいろんなハードルがあったんじゃないですかね?

重松:今でもぜんぜんあるんですけど。

及川:あ、そうですか。やっぱり。

重松:そうそう。最初は自分の知り合いとかに営業してお願いして。「たぶんこういう世界になると思いますので」みたいな感じでやってきましたね。最初はお願いですよ。完全に。お願い営業みたいな。

スペースマーケットの認知度はまだ5パーセント

及川:セキュリティっていうか、きれいに使ってくれるかどうかも含めて、そういう懸念みたいなのを払拭しながら数が増えていっているわけですもんね。

重松:レンタルスペースっていう文化創造型なので。あとは貸す人と借りる人とのね。人の家を借りるみたいなのは、我々は知り合いだから普通に借りてますけど、知らない人のところを借りるのはちょっと緊張したりすると思うんですけど。

及川:そうですね、たしかに。

重松:それをどうやって安心安全を担保するか。レビューの仕組みで、初めて借りるんだけど初めてじゃないような感じで貸し借りできるか、みたいなのはサービスの設計としてすごく……それはデザインとか、UI・UXとか。あとはカスタマーサクセスのところとかで、すごくがんばってますね。

及川:そうですよね~。

河上:営業サイドがスペースの交渉に行ったときに、最近はもう「あ、スペースマーケットさん」っていう数が増えてきてると思うのよ。「え、何それ?」みたいな話じゃなくなってきてる。その感覚値って……

重松:いや、まだ認知度5パーセントくらいなんですよ。そんなもんなんです。

河上:じゃあ行ったらやっぱり「何ですか? それ?」っていうことのほうが多いのか。

重松:知らないですよ。まだまだ。5パーセントってそんなもんなんですよ。

磯村尚美氏(以下、磯村):へ~意外。

重松:まあスタートアップの世界は狭いですから。

河上:俺たちの中で「知ってる」っていうのは当たり前だけど。

重松:大企業とか自治体とかの人と話したら、本当に5パーセントですよ。逆にまだ伸びしろがあるので。ホッとするっていうのも変な話ですけど、「まだ伸びしろある!」と思ってがんばろうと。

河上:そうだよね。

インバウンドで集まる物件

重松:IT業界って狭いじゃないですか。スタートアップの世界って。

河上:そうだね(笑)。

重松:ぶっちゃけ一般の人は誰も知らないみたいな。

河上:まるで世間全員が知ってるかのようにしゃべるしね。それお前らだけだからみたいな。

及川:そうですね。たしかに(笑)。

河上:ある意味で、こっちのほうがオタクみたいなことになってるのかもしれないね。一般の人から見たら。

重松:めちゃくちゃマイノリティですよ。

河上:「何の話なの、それは?」って感じ。勘違いだよ、それはみたいなね。

重松:知らないですよね。

河上:なんとなく数年後には地方営業所みたいなのがあって、200人、300人体制みたいになっていって。営業部隊もけっこう人数いて……みたいなかたちになっていくのかしら?

重松:営業部隊というよりは、わりとインバウンドで来るようになってるので。

河上:それはいいね。

重松:基本的に問い合わせベースですね。あとは問い合わせしなくてもわかるような、LP用のページがあったりとか。最近増えてるのは代行会社的なものです。プラットフォーム・オン・プラットフォームじゃないですけど。うちのプラットフォームを使って何十スペースもやってるような方々がけっこう増えてきていて。

河上:あ~。Airbnbでやってるような。

重松:そうです、そうです。まあ一緒ですよ。そういうプロホストみたいなかたちが、けっこう今増えてますね。

昼間のホストクラブは空きスペースのようなもの

河上:「ここもスペース登録されてるの!?」みたいなのってあったりするの?

重松:本当におもしろいですよ。それこそ銀座のクラブとか。銀座のクラブって昼間は空いてるんです。

及川:あ~、なるほど。空いてるっちゃ空いてますもんね。

重松:夜は座ったら5万円みたいなところが、普通に昼間だったら超安くて。

及川:それおもしろいですね(笑)。

重松:普通におじさんたちが飲み会やってるみたいな。昼間に打ち合わせしたり。

河上:いいね。そこでみんなで集まって討論会やったら。

及川:それおもしろいですね(笑)。

重松:ホストクラブ的なのも、撮影で使われたりとか。昼間はみんないないのでね。撮影、ロケとかで。あと何だろう、歌舞伎の檜舞台とか。

及川:そんなところがあるんですね。

重松:個人で持ってる人がいたりして。あとは教会とかお寺とかですね。教会はコンサートで使われたりとかもします。

河上:俺も最初に思い付いたのは城とか寺だったよ。そのへんが一番おもしろいんじゃないって。

重松:城もあります。

河上:増上寺とかってけっこう前向きじゃないですか。率先してクラブイベントやったりさ。そんな話をした覚えもあるんだけど。

及川:一応現地視察して登録みたいなことになるんですか?

重松:さすがにそれは、1万軒もやることはできないので。

及川:ですよね。

重松:基本的にはご登録いただいて。変なスペースは借り手がそもそも付かないので。一応登録の際にいろんな身分証明書とか登記簿とか、そういったチェックをカード会社と一緒にやっているっていう。

及川:なるほど、なるほど。

河上:(動画のコメントを見て)サミーの板垣さんから「銀座のクラブで打ち合わせしてみたい」と。

重松:ぜひお願いします!

海外にはまだ似たモデルのサービスは少ない

河上:このモデルを日本以外でやる、みたいなことは考えてたりするの?

重松:やりたいですね。

河上:やりたいんだ、やっぱり。じゃあどっかのタイミングで、もしかしたら別のところに持っていく?

重松:やりたいです。アジアとか、まだありそうでないので。民泊はすごく伸びましたけど、民泊より多少はコミュニケーションが必要なので難易度が若干上がるんですよ。

だけど、基本的にアジアとかでも、スマホで食べ物も飲み物も美容師さんもお医者さんも全部呼べるようになってきてるじゃないですか。まだスペースを簡単に借りれられるっていうサービスがまだないので。あんまりサービスとして大きくなってるプレーヤーがいないのでやりたいですね。

河上:なるほどね。いや~、楽しみだね。これからね。

及川:そうですね。

河上:サービス名もストレートですごくいいよね。

及川:わかりやすいですね。

河上:非常にわかりやすい。うまいなと。

重松:直球ですから。

河上:相当練りこんで入ってきてる感があってさ。最初のときも。周りにいいブレーンが、すぐそばにいるから。

及川:あ~、そうなんですか。

河上:そうなのよ。

重松:いやいやいや。

河上:親族家族のブレーンがすごいからね。

重松:妻はVCなので。

河上:このコンビでやられちゃうとさ。そら確度高まるよね~みたいな。

及川:そうですね(笑)。

河上:本当に。

重松:まあでも最悪BtoBの営業をすれば食えなくはないなと思いますね。時間は稼げるなみたいな。

河上:自分でやりゃなんとかなるだろうと。そこは。

及川:そっか。そうですね。確かに。

重松:最初は社名もぜんぜん違う名前にしようと思ってたんですけど。でもそれやると逃げちゃうので。いきなり逃げ場のない社名にしておいて本当によかったと思って。

河上:そっかそっか。別のサービスに切り替えていけないように。

重松:けっこうみんな社名変えるじゃないですか。うまくいったらそのサービスの名前にしたり。

にしても、この動画、けっこういろんな人が見てておもしろいですね。誰が見てるんだろう。

河上:そうなの。(重松氏を指しながら)大好きなのよ。

重松:この仕組みはおもしろいな。

及川:そういえば出会いのきっかけは何だったんですか?

重松:あれ、誰でしたっけ?

河上:何だったかなぁ? わかんない。

重松:確かに。

河上:まあでも5年じゃないよ。7年とか。

重松:前職とかから。そういうイベント系です。たぶんね。

河上:そうだと思う。たぶん。夜仲間同士集まって何度か飲みながらみたいな話もあったりとか。

重松:(河上氏を指して)有名人ですよ。

河上:そんなことないけど。

磯村:有名人ですよね~。

重松:インフラ、インフラ。

河上:みんなかわいがってね!(カメラ目線でポーズ)もうすぐ50歳だからよろしくお願いしますよ。

重松:50歳か! パイセンですよ。

河上:お願いしますよ。本当に。生きていくの大変なんだから(笑)。