働き方改革より生き方改革

及川:確かに。ピョートルさんと今日はいろんなお話をしたいと思うんですが、今、本や書籍というと、ピョートルさんも何冊か出されておられて、まさにこの書籍もね、孫泰蔵さん(笑)。これ、この『NEW ELITE』(大和書房)は……。

ピョートル:泰蔵さん、ありがとうございます。

及川:ものすごくみんな持っていて、この本がすごくいいとみんなが言っています。ピョートルさんは新しい本を今度また出されると思いますが、書籍を通じてどういうことを伝えていきたいのだろうと思いまして。

ピョートル:ほとんどの本は一緒だと思います。そうした言い方をしてしまうと、みなさんが読んでくれなくなるかもしれませんが。土台は一緒だということですね。一番、おそらく僕のフィロソフィーがわかりやすいのは、まさに『NEW ELITE』という本ですね。要は先ほどの話ですが、いかに自己実現ができるようになるのか? という話です。ただ茹でカエルであるということは危ないということですね。

自分にしかできないそのギブアンドテイクを考えて、自分が本当にもたらしたい価値をしっかり世界にもたらしていくということが幸せの基本ですよね。よく考えると、最近働き方改革というキーワードが強く出されていますが、働き方改革について、僕は意味がないと思うんですね。

会社のレベルできちんとしたビジョンミッションを、どのビジネスモデルで、どの仕組みでもたらしていくのかというのは、経営者の使命ですよね。あとは個人の使命というのは、生き方改革ですよね。「何のために生きているんだ?」。例えば「自分にしかできないというのはこれなんです!」ということを、しっかり認識すれば、すごく人生が簡単になるんですよね。

磯村:そこが意識できない人がすごく多いじゃないですか。悩んでいる人。

がんばらない働き方の真意

ピョートル:そうです、そうです。だから、自己の振り返りをするというのも必要ですし、やっぱり自分と違う人たちと接することがとても必要だと思うんですね。自分に刺激を与える人たちと毎日接すれば、「そっか、自分はここが強い」ということが見えてくるんですよね。同じ人たちと、例えば同じ会社の同じサラリーマンたちと毎日時間を潰すんじゃなく。

大手町で働いているんだとしたら、霞ヶ関に行ってみる、渋谷に行ってみるといったように。ぜんぜん違う連中と接してみることによって「そっかそっか、自分はこうしたリソースを持っていて、こうしたことが強い」ということがわかってくる。それによって何が大切で何が大切ではないか、要は自分の価値観と何が正しい、何が正しくないのかということ、自分の信念や自分の基準が決まってくるんです。

その自分の基準に沿って振る舞っていくときに、自分の指標がわかってくる。まさにがんばらない働き方というのは、何を選んでしっかりやっていくか、何をがんばっていくのか、どこに動力を集中してベストを尽くすための工夫をするのか。逆にどこをがんばらなくてもいいのかということがわかってくるんですよね。

及川:なるほど。僕らは月に一回、100人くらいでミートアップというものをやっていますが、これも確かにいろんな年齢や、いろんな業種の人と、いろいろな交流をすることが大事だと思ってやっているんです。そうすると、やっぱり確かにいろんな方がいろんな価値観でそういうことをやっていらっしゃるので、自分自身が何をしているのかということがわかってくるということは、ものすごく実体験がありましたね。

ピョートル:そうですね、まさに我々も、毎月少なくとも一回は『未来フォーラム』というイベントをやるんですよね。未来をつくる人たちを集めたいし、その人たちがまだ未来をつくれない人たちに影響力を与えて、インスピレーションになればいいと思うんです。未来はそれぞれにあるし、僕は分野にこだわってないから逆にいろんな分野の人たちから学んでいくということは、もう個人的に必要だから大切にしているんですが。

マシンガンで殴られたあの時に比べれば、怖いことなんてない

ピョートル:結局、最近日本でもやっと流行ってきた「SDGs」というものがありますよね。社会の、世界の、人類の一番大きな問題解決ですよね。だからそれぞれのやり方で、人類や、地球や、宇宙に貢献できればいいと思いますから。自分にしかできないということは、必ず誰にでもあると僕は強く思っているんですよね。

磯村:ピョートルさんの自分にしかできないことということは、なぜ日本を自分のプラットフォームというか、この場所ということに決めてやっていらっしゃるかということにも関わってくると思うので、そこをお聞きしたいのですが。

ピョートル:やっぱり自分にしかできないということは、触媒でありカタリストであるということですよね。誰しもその自己実現ができるプラットフォーマーですよ。掛け合わせをするということもあるし、深い質問をしていくということは強みだと思うんですね。恐れないんですよね、どの状況でも。

もうよっぽど、ポーランドの戒厳令のときにマシンガンで殴られたことがあるんですが。そのときは怖かったんですが、それよりも怖い状況というのがあまり日本ではありません。地震や震災がやっぱり怖いのですが、人と接することについては99.99パーセントは建設的ですね。

だからみなさん、何を怖がっているんだろう? なぜ例えば上司にフィードバッグを与えないんだろう? なぜお客さんにもっと深い質問をしないんだろう? ということが、わからないんですね。あとは上下関係が感じられない人間なので。孫泰蔵さんのような実業家か子供は、振る舞い方を変えません。それが強みだと思うんですね。

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