CLOSE

やりたい仕事が見つからないあなたへ「to be型」と「to do型」 2つのキャリアの考え方(全4記事)

そして、防弾のハートを手に入れたーーうつの青年が「短パン起業家」になるまでの物語

2019年6月6日(木)、ログミー主催のイベント「やりたい仕事が見つからないあなたへ『to be型』と『to do型』 2つのキャリアの考え方」をAzabu FlagHubで開催しました。スピーカーとして登壇したのは、コンサルティングカンパニー「Tanpan & Co.」代表の佐地良太氏。自分が本当にやりたいことってなんだろうーー。そんな誰しも一度は考えたことがある問いに対して、ご本人の経験を交えながら、やりたいことを見つけるための思考法やテクニックをやさしく解説します。このパートでは、イベントの最後に行われた参加者との質疑応答の様子をお届け。人生の意味を考え続けた大学時代の5年間、リクルート時代の修羅場経験、そして起業家に転身してからの気づきの数々…セッション中の内容に引けを取らない濃密な人生訓を披露してくれました。

手首を切る勇気も出ないーー。永遠に出ない答えを考え続けた5年間

司会:佐地さんありがとうございました。ここから10分から15分ぐらい、質疑応答の時間を取りたいと思います。私がマイクを持っていきますので、質問がある方はいらっしゃいますか?

(会場挙手)

質問者1:お話ありがとうございました。感想と質問を2つ言わせてください。お話の中にあった死の体験というのは実は自分もあって、交通事故で50日間意識がなかったんです。

佐地良太氏(以下、佐地):50日?

質問者1:はい。今は人の目標達成を支援するビジネス、コーチングみたいなビジネスをやっていて。でも、自分の中でそれが本当に合っているのかなという不安があったんです。自分は障がいを持っているんですけど、お話を伺ってそういう死の体験とか、怒りの部分がすごくマッチしているのかと思って確信を持てたので、お礼を言いたくて。

佐地:ありがとうございます。よかったです。

質問者1:で、質問なんですけれど、うつからリクルートに入ったというのは、かなりすごいことだと思うんです。どういったことがティッピングポイントになったのかなと思って、その点をお伺いできればと思います。

佐地:ありがとうございます。ティッピングポイントについては、5年くらい考え続けたある日「こんなに考えても答えがないんだったら、答えはないんじゃないのか」と、自分の中で腹落ちした瞬間があったんですよ。明確には覚えていないんですけど、5年間くらい毎日考え続けて、「これだけ考え答えが出ないってことは、これ以上考えても意味ないのかも」と思いました。

生まれちゃったし、自分で手首を切る勇気もない。毎日「死にたい」と言って下を向いて生きるのか、「今日も楽しかった!」と言って上を向いて生きるのか、どっちがいいかな。そりゃ後者だよな、というふうに発想が切り替わりました。自分の中で結論が出せたというか。質問の答えになっているかどうかわからないですけど、5年くらい考え続けたら、ある日急に来ましたね。

ガラスのハートがいつしかミルフィーユ構造に

質問者1:自分の友達もうつになって、すごく助けたいなとは思っているんですけど、かけてあげられる言葉というのが見つからなくて。

佐地:そうですね。

質問者1:奈良県在住の友達なので、どう接したらいいのかなと思っていて。佐地さんはそのときどうでしたか? 友人などからどういった言葉をかけてもらいましたか?

佐地:地元の昔からの仲間が普段どおりに接してくれたことに救われて、心が軽くなったのが1つの大きなきっかけだったなと思います。だから、是非お友達の力になってあげてください。気にかけて連絡してあげるだけでも十分だと思いまます。

ただ、僕の場合、友人のおかげもあるんですけど、すごく合理主義者なので「なんで」を追求していったときに、「これ、うつやっていたら損だな」「時間の無駄だな」と思ったんですよね。そこまで腹落ちしちゃったんですよ。

質問者1:強いですね。

佐地:ぜんぜん強くはないです。めちゃくちゃガラスのハートなんですけれど、ガラスのハートがミルフィーユ構造になっているので、弾丸が途中で止まるんですよ。

(会場笑)

でもめっちゃ傷つくんですよ。傷ついてガラスのハートが割れるんだけど、寝たらちょっと治るじゃないですか。割れたガラスが翌日2枚になっているんですね。そういう日々を繰り返していたら、ミルフィーユになっていました。

(会場笑)

「MIT(=メンタル一歩手前)」と呼ばれていた若手時代

修羅場経験はすごく大事だなと思っていて。修羅場経験はたくさんしています。リクルートの2年目のとき、上司からものすごく激詰めされたんですよ。毎日「嘘つくな」とか「いいからやれよ」とか言われて(笑)。そのときも軽くうつ入っていましたね。「MIT」と呼ばれていたんですけど、「メンタル一歩手前」でMIT(笑)。

(会場笑)

ブラック企業じゃないんですよ(笑)。ごめんなさいね、リクルートはすごくいい会社です(笑)。

(会場笑)

司会:あと2問ぐらい聞いてみようと思うので、他にありますか?

(会場挙手)

じゃあ。

ロジカルだからこそ、一歩目の踏み出し方がわからなかった

質問者2:ありがとうございました。最後のほうでキャリアには2段階あるというお話がありましたよね。最初に人間力の弱みを克服して、そのあと専門性をという話だったと思うんですけど、佐地さんのキャリアはリクルートに入って、そのあとライフプランナーになって、今の会社を立ち上げてという中で、その2段階はどんな感じで遷移していったのでしょうか。

佐地:ありがとうございます。実は今のMITの話がそうなんですけど、僕はすごく頭でっかちタイプで、ものすごくロジック人間なんですよ。見た目は営業っぽいUIをしているんですけど、脳みそは理系だと思うんです。

石橋を叩いてへし折るタイプなので、ぜんぜん行動できなかったんですよね。なのでリクルートに入ったときに「御託はもういいから、とにかくやれよ!」とすごく言われたんです。でも、やり方がわからなくてできなかったんですよ。一歩目の踏み出し方がわからなくて。

さすがに「いいからやれよ」と言われまくっているとやらざるをえないので、ちょっとずつ手を動かし始めて。そうすると「こうやって一歩目を踏み出せばいいんだ」と、ちょっとずつわかってきて。

石橋を叩いてへし折るタイプか? 叩かずに渡って落ちるタイプか?

なのでよく「石橋を叩いてへし折るタイプですか? それとも叩かずに渡って落ちるタイプですか?」という質問をよくするんですけど、どっちですか?

質問者2:私は石橋を叩きます。

佐地:なるほど。いくつかある自分の弱点の中でも、「これはすごく変えたほうがいいよ」というところがあるんですが、それがまさに今の計画力と実行力みたいなものです。相反する力なんですけどね。

仕事をするのは、PDCAを回すという話じゃないですか。PDCAはいわば計画と実行です。でも、計画と実行は本来相反する力なんですよ。だから普通の人はありのままの自分ではPDCAを回せないんです。なので自分がどっちのタイプかを把握した上で、その逆、考えずに猪突猛進で穴に落ちるタイプなんだったら考える。徹底的に考えてから行動するようにする。

逆に考えすぎて動けないんだったら「いいからやれよ」と言ってやる。僕はリクルートのときに、MITに追い込まれたその上司にめちゃくちゃ感謝しているんですよ。そこまでダメ出しして向き合ってくれた上司に、そのときは「殺してやる」と毎日思っていましたけど(笑)。

余談ですけど、人を叱ったり怒ったりするのはものすごくパワーがいるんですよ。興味というか愛情がないと怒れないので、あの人は僕のことをすごく愛してくれたから僕のことを怒ってくれたんだなと気付けて、今では物凄く仲良くなりました。そこがたぶんターニングポイントだったと思います。回答になっていますか?

質問者2:ありがとうございます。

佐地:はい。

司会:まだ何問か大丈夫です。

(会場挙手)

他人の人生のストーリーから得られること

質問者3:今日はお話ありがとうございました(笑)。オオムラと申します。

佐地:知ってるよ!(笑)。(リアルな知り合いは)やりにくいですね(笑)。

質問者3:佐地さんは、今までやりたいことがない人にたくさん会ってきたと思います。その中で、「具体的にこういうやりたいことがなかった」「こういう多動をして、こういうことを見つけたい」「こう言う思考をしてやりたいことを見つけた」とかを聞けたら、より本懐かなと思って。お願いします。

佐地:そうですね。あれは誰だったかな……。転職の相談で来られたんですけど、結論今は転職じゃないねという話をして。「コミュニティを作ろうよ」みたいな話で、シェアハウスに住んで、そこでいろんな人の人生を追体験するということで、結果そのあとにやりたいことが見つかったということで、自力で転職した人がいました。

そのシェアハウスで出会った友達のベンチャー企業を見て「それ、自分もやりたいかも」みたいに感じて、すごく生き生きするようになったというケースはありますね。

先ほども人の夢に乗っかるのが手っ取り早いよ、みたいな話をしたんですけど、(ほかの)人の人生はストーリーで、一番おもしろい。いい発見があると思うので、いろんな人に会って話を聞きに行くというのは、アクションとしてはすごくいいのかなと思いますね。

回答になっているかどうか。大丈夫でしょうか。「どうやって会いにいけばいいのか」みたいな話もありますけど、こういうところに来て隣の人と話をするだけでもいいですよね普段は出会わない人たちですからね。他はどうでしょうか。

(会場挙手)

適度に“しゃがむ”ことの重要性

質問者4:貴重なお話をありがとうございました。年収のお話のところで、年収5,000万円から700万円に落としたという話があったかと思います。なかなかできる決断ではないなと思いますし、そういったものを手放すのはけっこう苦しいじゃないですか。

今持っているものを手放して新しいステージに行くことに対して、どういったモチベーションで決断されたのか。あと、そういった決断を目の前にしている方に対してどういったアドバイスをされているのかをお聞きしたいです。

佐地:ありがとうございます。それは2つあるんですけど、1つはリクルートのときに、転職エージェントという立場で、人の人生をたくさん見て追体験したんですよね。それで、タイミングで必要に応じてしゃがんでいる人のほうが、最終的に多くを得ているなと思ったんですよ。

1日200人分ぐらいのレジュメを見るんですよ、それを年間200何十日とかやっていると、とんでもない数を見ることになるじゃないですか。そうすると、年収が高い人とそうじゃない人との差に気付くようになって。やっぱり節目節目で挑戦している人のほうが明らかに年収が高かったんですよね。

だから自分としても、たぶんここで一回しゃがんだほうがいいかなと。個人事業主でそのまま続けていても、年収1億円までは見えたんですよ。逆にいうと、1億円が個人のプレーヤーでいける限界だなと、ほかの人を見ても思ったんです。

これはいろんな人と話しても「けっこうそうだよね」という話をされるんですが、「ここでしゃがむと、たぶん1億円以上いけるな」とロジックと直感で思ったから、別に怖くなかったんです。

あともう1個は単純にゼロイチで、2年で5,000万円までいけたので「700万円になったとしても、もう1回やったら5,000万円はすぐいけるな」と思っていました。回答になっていないかもしれないですね(笑)。前者のほうが回答です。

司会:次で最後の質問とさせていただければと思います。

(会場挙手)

はい。

インプットは受け取り方 アウトプットは伝え方

質問者5:貴重なお話をありがとうございました。

佐地:ありがとうございました。

質問者5:今あったお話に出てきたと思うんですが、僕も合理的でロジックで、頭の中で考えすぎて一歩目が出ないというか。マイナスなイメージが出てきて「じゃあやめておこう」ということが多いタイプの人間なんです。

ロジックの反対として直感があるかなと思っていて、そういう直感力を鍛えるために僕は最近人に会うようにして多動しているんですけど、ほかに何か直観力を鍛えるために「こうしたほうがいい」というお話があれば。

佐地:ありがとうございます。ちょっと難しい話をすると、実はインプットとアウトプットは違うんですよ。インプットは受け取り方。アウトプットは伝え方です。僕はアウトプットはすごくロジックなんですけど、インプットは直感なんです。

なんとなく直感で「お前、●●だろ」と言うと、当たっているというケースが多いんです。なので、自分のインプットがロジックなのか直感なのかをまず把握したほうがいいかなと思います。

今の努力されているお話はインプットの話ですよね。人の話を聞くという。質問者さんの場合は、まずはアウトプットの方で、ちゃんと直感というか機動力というか、まずやってみる力を高めるといいですね。そうしないと変わらないかなと思います。

質問者:ありがとうございます。

佐地:こんな感じで大丈夫ですか?

司会:ありがとうございます。大丈夫です。それでは改めて、佐地さんに大きな拍手をお送りください。

佐地:ありがとうございました。

(会場拍手)

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 職場であえて「不機嫌」を出したほうがいいタイプ NOと言えない人のための人間関係をラクにするヒント

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!