誰のための仕事なのか、何のための仕事なのか

横石崇(以下、横石):もう1個くらい質問いきましょうか?

吉田将英氏(以下、吉田):そうですね、解決したかどうかわからないですけど。ありがとうございます。では、まんなかあたりの茶髪のお兄さんが手を……。

横石:マイクいきます。今日は何人か僕のお知り合いがいて、なかなかこう尖った人たちがいらっしゃってるみたいで、緊張しますね。

吉田:(笑)。

質問者2:お三方にそれぞれおうかがいしたいんですけれども。今は家庭があったりとか、ご結婚なさってたりとか、かたや大企業に勤められていて、かたや事務所を立ち上げられているとか、いろいろあると思います。自分の今の働き方を選んでいるなかで、大前提に置いているものは何かというのをちょっとおうかがいしてみたいです。

吉田:大前提?

質問者2:「この大前提があるから今の働き方を選んでいる」というもの。例えば、自分の会社の話をすると、平均年齢40歳超えのすごいコンサバな会社で、大概「家族のため」という答えが返ってくるんですよ。

自分がしたいこととかの1個手前に、家族を守るためというのがある。手段がお金という答えになることがけっこう多いんです。お三方が今何を思ってそういった働き方を選んでいるのか、おうかがいしたいと思いました。

横石:それは誰のための仕事なのかという質問でもあるし、何のための仕事なのかという質問でもありますよね。これはまたいい質問ですね。じゃあ晋平さんからいきましょうか。

「健康第一」が信条

高橋晋平氏(以下、高橋):僕はそれで言うと、今はやっぱり家族のためですね。自分が倒れるのが最悪じゃないですか。自分の弱さが嫌というほどわかったので、倒れてはいけない。もちろん自分も嫌だけど、それが最悪だから、そうならないためにやってる。

それから5年たって、子どもたちも成長して、やっぱり一緒にいることが一番幸せだから、それにあわせる時間も取りたい。だから僕は、よくSNSで「健康第一」とめっちゃ言うんです。言われたことあります?

(会場笑)

横石:何人かに。

高橋:僕はみんなに「健康第一ですよ」とよく言ってからみます。

吉田:からむんだ(笑)。

高橋:その意味というのは、自分の健康もだし、仕事上での健全な人間関係や、家族全員の健康という意味でも、自分に置き換えると大きいかなと思っています。

吉田:僕は、思ったこととか考えたことを、忖度とか事情とか都合で曲げなくて済むことが、たぶん1番大事です。それをやると体調が悪くなるんですよ。健康とつながってる。例えば、僕もわかってて、みんなわかっているんだけど、何かの事情なのか都合なのか、前例なのか慣習なのかによって、人間の集団ってそうじゃない方向に行ったりするじゃないですか。

質問者2:社名だけうかがっていると、そういう系が......。

(会場笑)

吉田:僕は一切しないんですよ。いみじくも、ご質問された方のお後ろに僕のクライアントが座っているんですけど、たぶん生意気だと思っていると思います(笑)。「こいつ、ぜんぜん気を遣わないな」と思ってると思います。今の部署に恵まれてるというのもあって、おかしいと思ったことを「おかしい」と言える部にいるんですね。

「それは間違ってる」とか、「そのままやってもいいことないですよ」と思ったら言うとか。でもそれって案外得難いもので。なかなか人間が多いと、そうも言ってられない利害のバランスで「云々かんぬん」みたいなことが起こると思うんです。それをやると、僕は速攻体調が悪くなるんですよ。

自分が「人生から何を期待されているのか」から考える

吉田:速攻で体調が悪くなるし、肉体労働というよりは、どっちかというと頭脳労働で考えるのが仕事なのに、考えたことが考えた通りに出力できないとおかしいじゃないかというところがある。独善的に「僕が考えたことは正しい」って思ってるわけじゃないんです。けど、こう思うとか、ここがわからないということを発露したい。

それはもしかしたら他にも、「満員電車にわざわざ乗るっておかしくないか?」とか、もしかしたら生活とか働き方のありようにも全部出ていると思います。今はたぶんボスに恵まれているんだと思います。ボスは「どう考えてもおかしいことを、わざわざやる必要はない」という人間なので。ちょっと変わっていくかもしれないですけど、今はそこそこかもしれないですね。

横石:吉田さんはご家族とか?

吉田:この間結婚したんです。

横石:そうなんですね。じゃあなおさら、嫁ブロックなるものがあるんじゃないですか?

吉田:それは例えば転職するとか?

横石:そうそう。

吉田:そこは今晩話してみます。

(一同笑)

横石:家族問題はそうですよね。僕は奥さんと子どもが1人います。独立してから結婚してるので、そういった意味ではあんまり嫁ブロックみたいなのはない(笑)。でも、残念ながら、僕の場合は仕事は家族のためにというのは、第一義に置いていない。

質問いただいて質問で返すのも変なんですけど、人生に何を期待しているかじゃなくて、人生から何を期待されているかを僕は考えようと、この本にもちょっと書いてるんです。

吉田:なるほど。

横石:最後だからかっこつけますね。社会というのがやっぱり僕は第一義にあるんですよね。何で勉強するのかと聞かれたら、やっぱりちょっとでも困った人を助けてあげたいなと思っちゃうし、自分のやったことで、ちょっとだけでも世の中がよくなったって思ってくれたら、働く意味も出てくるだろうなと思っています。

ちょっとよくなるだけでいいんですよ。もちろん、家族とか自分とか同僚というのは大事なんですけどね。こういう熱い話をするならビールを飲めばよかった。僕だけコーラなんですよ(笑)。

吉田:そうですね。このあと選んでください。

横石:いろんな考え方がありますね。

吉田:正解なんてないですからね。

原動力に「良い」も「悪い」もない

高橋:僕は結婚したあとの話に付け足すと、結婚する前は「モテるため」でした。

吉田:それは大事なエンジンですね。

高橋:結局モテなかったけど、モテたいと言って大学デビューを狙ったりとか。いろいろやってなんとなく「笑わせることはうまいかもしれない」と思った。でもそれって、やっぱりモテたかったのが、たぶん原動力です。だから会社でも出世から遅れたくなかった。モテるのは広い意味で、異性にも同性にもですよ。

横石:モテた結果、どうなったんですか?

高橋:モテてない。

(会場笑)

横石:いや、「異性に」ってことじゃないでしょ。

高橋:「一、異性に。二、同性に」ということですね。でも異性にもモテたかったし、例えばネットとかでも商品出して騒がれたりとか。

吉田:すごいとか、おもしろいとか。

高橋:だからそれで商品を失敗したというか、モテようとして作ったおもちゃ類が全然売れないみたいなことで、すごく「やっちゃったな」というのはあった。そうですね。家族という意識がないときは「とにかくモテたい」と。

(一同笑)

そういう原動力でいいんじゃないかって。

吉田:原動力にいいも悪いもないですからね。

横石:吉田さんにはわかんないかもしれないね。

吉田:そんなことないですよ(笑)。最後はここに返ってくるんですよ。これ答えになっています?

質問者2:バッチリです。勉強になりました。

自分がたいして大事だと思っていない人からのアドバイスを、大事に思う必要はない

吉田:ありがとうございます。はい、あと5分ですね。もう1人質問者がいればいっちゃいますか。勇気を出して手を上げて。最後の質問になると思います。

質問者3:最後か。今日はありがとうございます。最初の問いのところで質問があります。最初の問いで、「自分らしさって何から生まれるのか」というので、それは他人が決めるという話がありました。私は「自分がこうありたい」という部分からも生まれるのかなと思っています。

友人と話していてすごく思ってるのが、友人が思っている自分と、私が思ってる友人というものがずれたりするじゃないですか。そうなったときに、また自分らしさのずれが生じて、私から見ると「もったいないな」とか思っちゃうところがあります(笑)。

どこかで折り合うというか、共存していいものだとは思っていて、どう考えればいいのかちょっと聞きたいなと思って質問しました。お願いいたします。

吉田:占いと一緒かなと思ってます。都合のいいことしか覚えてないとか、当たってると思うことだけ覚えてる、とかよく言うじゃないですか。だから、自分がこうありたいというのがあるほど、僕からすると羨ましい状態はなくて(笑)。であれば、どうぞそのままでと思うんですよ。

その先でけっこう挫折したりとか、ガンガンガンガンぶつかって角が取れて、丸くなったりして違うかたちになったりする過程ではじめて、他人が言っているような、自分ではそうは思わない自分らしさみたいなのが入ってくる。

それまではあまり気にしない方がいいというか。とくに、出る杭ほどやんややんや言われたりとか、あと大して知りもしない人から「最近の彼女のあれはどうかと思うよ」みたいなことを言われたりするじゃないですか。この議論で言っていた他人って、そういう他人ではないと思っています。大して大事だと自分が思ってない人の助言を大事に思う必要はないみたいな(笑)。僕がぱっと聞いて思ったことです。どうでしょう。

横石:辛辣に答えましたね。

吉田:はい(笑)。

高橋:やっぱり自分らしさって、ほんとうにいらない。

(会場笑)

吉田:結論。