本田技研工業のオートバイのエンジニアが登壇

河原あず氏(以下、河原):それではラスト3組となりました。がんがんいきましょう。ヤマザキさんはいらっしゃいますか。はい、それでは拍手でお迎えください。

(会場拍手)

ヤマザキさんはどのようなことをされているんですか?

ヤマザキ氏(以下、ヤマザキ):僕は本田技研というところで、オートバイのエンジニアをやってます。ちょっと自慢していいですか? 今やっている新機種が世界で1番売れているオートバイなんです。年間300万台売れます。

河原:その統計データに疑いはないんですか?

ヤマザキ:ちょっと確認しますね。

(会場笑)

河原:エビデンスがないと僕は疑うしかない。まあとにかく、そんなオートバイのエンジニアです。オートバイの話をするんだね。

ヤマザキ:今日はまったく違うんです。

河原:違うんですか。

ヤマザキ:僕がここに来ようと思ったのは、エンジニアは基本的に言語化するのが下手だからなんです。その壁を崩したいなと思って今日は来てます。

河原:ほお、なるほど。じゃあ巧みな言葉のマジックを。

(会場笑)

だって自分でハードルを上げるんだもん。それでは1分間のプレゼンテーションです。「1分であたりまえを疑え」、ヤマザキさん、よろしくお願いします。用意、スタート!

義務教育のあたりまえを疑え

ヤマザキ:はい、エンジニアパパのヤマザキと申します。えー今日は、義務教育の……義務教育には我慢が必要かということを問いたいと思います。僕の娘が小学校に入学しました。驚きました。昔と変わらず、大量の紙を子どもに伝書鳩として家に伝える。それが現状なんですね。なにが問題かというと、ケンカになってしまうんです。

ケンカになることで大切な子どもとの時間が奪われてしまう。じゃあ一方で、諸外国ではどうしているか。スマホを使って学校と家庭をダイレクトに繋ぐということをやってます。なぜ日本ではできないか。それはあたりまえが疑えてない。義務教育はこうであるべきという概念が強くありませんか。みんなでその概念を壊してがんばりましょう。

河原:終了です。ありがとうございました。

(会場拍手)

はい、それでは羊一さんお願いします。

伊藤羊一氏(以下、伊藤):ちょっと詰まっちゃったなというのは顔が物語ってますけど、ぜんぜん伝わりました。

ヤマザキ:ありがとうございます、ありがとうございます。

“最後の一言”を考えておけば、出だしでつまづいても締まる

伊藤:1つアドバイスです。だいたいみんな、最初の言葉は考えるんですよ。最初の言葉を考えて、それが詰まると1分間がもう破壊されるんですね。みなさんへのアドバイスとしては、そうなる可能性があるんだったら、締めの一言をとにかく考えておくということですね。

99パーセントいまいちなプレゼンでも、最後の一言が「~ということで、ほにゃららの、義務教育のあたりまえを疑え!  以上です」みたいな感じで終わったら、だいたい締まるんですよ。

(会場笑)

なので、あずさんが残り時間のカンペを出してこうやってやりだして、自分の気持ちが揺れてきたなと思ったら、もう「義務教育のあたりまえを疑え!  以上」で終わったらちゃんと締まるんです。

河原:なるほど。

伊藤:ぜひ、今後プレゼンのtipsのひとつとして持っておくといいかなと思いました。伝わったから大丈夫。

ヤマザキ:ありがとうございます。

河原:ありがとうございます。

(会場拍手)

最後にパワーオブドリームズとか言えばよかったんですかね。

(会場笑)

伊藤:そうそう。そういう感じ。

自分なりのキラーフレーズが言えれば、悔いのないプレゼンになる

河原:はい。ということで、澤さん。

澤円氏(以下、澤):ありがとうございました。今の流れで繋いでいくと、せっかくなのでみなさんにというところもあります。よくあるのが、自分のシナリオを作っちゃうとそれを話さなければならないと、手段と目的がごちゃごちゃになるというよくあるパターンなんですよ。

とくにステージ上という異常な世界で、なおかつ孤独なので、それだけで自分を責めちゃうという免疫不全みたいな状態になるんですよね。そのときにどうすればいいかというと、僕は「戻れるスタンディングポジションを決めておく」という言い方をしています。

もうこれさえ言えば悔いはないというワンフレーズ、キラーフレーズを用意しておいて、そこに立ち戻るとしておきます。それを繰り返し言うのもぜんぜんかまわないんですね。要するに、それを言わなかったらすげえ後悔するというパートがあるんだったら、そこの部分を1個作っておいて、それはとにかく言う。

前後のファクトの部分の説明とか、あるいは最後のオチが抜けたとしても、「これさえ言えればとりあえずいいや」となれば、まず後悔することがないので。一番つらいのってやっぱり、ステージを降りた後にずっと後悔し続けることじゃないですか。

後悔の中でも致命傷じゃなければいいんですよね。致命傷は、本当に言わなきゃいけなかったことを言い忘れたとか、言えなかったとか、間違えたとか。これは最悪です。そうじゃなければ少々の後悔はいくらでも修正ができるし、次がんばろうと思えるんですよね。

そう思わないようにするためには、戻る場所、もしくは立ち位置として、最終的にはこれだけというキラーフレーズを決めておくことが効果があるかな。でも全体的には声もすごくよかったし、あとはご自身の体験だったので自分事に移動しやすかったし、受け取りやすい話題だったので、詰まったりなんなりというのは気にするようなレベルではなかったと思います。ありがとうございました。

ヤマザキ:ありがとうございました。

河原:ありがとうございました。

(会場拍手)

ヤマザキさん、詰まったときに「パワーオブドリームズ」と言っておけば上手くいったのかもしれない。はい、あゆみさんはいかがですか。

内容が一気通貫しているかどうかを繰り返し検証する

藤本あゆみ氏(以下、藤本):私もまったく同意見ですが、もっとよくするために義務教育という言葉だったのかというのを、もう1回考えてもらいたかったなと。本当にそれって義務教育なのか。それともデジタル化が進んでないことが問題なのか。やっぱり義務教育という頭をはじめに決めてしまったが故にそこから抜けられなくなっちゃったのかなと思っています。

「言っていることが本当に一気通貫しているか」「その言葉のセレクションが正しいのかどうか」「それが一番伝えられる言葉なのかどうか」を、何回か繰り返して検証するというのは、ぜひやってもらった方がもっとよくなるのかなと思いました。

ヤマザキ:わかりました。ありがとうございました。実は、今朝奥さんにそれを言われました。

(会場笑)

シナリオを直せなかったです。奥さんの言うことは聞くべきでした(笑)。

伊藤:そのとおり。それはすごい学びだ(笑)。

河原:まあドリームよりも奥さんのパワーですね(笑)。

(会場笑)

伊藤:すごい。奥さんと同じだったんですね。

河原:はい、それではヤマザキさんに大きな拍手をお願いします。

(会場拍手)

ロボットとAIに可能性を見出した起業家

河原:残り2名となりました。それではサクラさんいらっしゃいますか。はい、それでは拍手でお迎えください。

(会場拍手)

サクラ氏(以下、サクラ):はい、よろしくお願いします。

河原:どのようなことをやられてるんですか?

サクラ:私は日本で初めてPepperが発売されて、一般家庭としてロボットと暮らしました。ロボットとAIがこれからの時代に合うんじゃないかということで、3回目の起業をした者です。

河原:あら、起業家さん。AI、ロボット。どんなプレゼンになるんでしょうかね。

サクラ:でも実を言うと、先ほどの方とネタがけっこう被ってるんです。

河原:あ、そうなの?

サクラ:どうしようかなと。今も急遽ネタを変えるべきかというのを悩んでます。羊一さんが聞いてなかったみたいだし、まあいっかなということで、ちょっとネタ被りですけどやらせていただきます。

河原:はい、大丈夫でしょうか?

サクラ:はい。

河原:書き直すなら今です。大丈夫ですか?

サクラ:時間が切れたら切れたでいいやと。

河原:まあそういうことですね。それでは1分間のプレゼンテーションです。「1分であたりまえを疑え」、サクラさんのプレゼンテーション。用意、スタート!

アバターを使って仕事をする利点

サクラ:みなさんの中で人事をやられている方が何人かいらっしゃるかと思います。エントリーシート・履歴書、あとポートフォリオとかで採用の審査をするのって、みなさんけっこう持ってくるので間違ってないかと思いませんか?

弊社では実は、経営陣がスマホでソシャゲをしてゲームのギルドの中から社員をスカウトしています。ギルドってみんなで活動するので、人間性がすごく出るんですね。ちょっと時間がなくなってきたので、そのへんはあとで聞いてください。

私が提案したいのが、仕事をするときもアバターでもいけるんじゃないかな、テレワークじゃなくてアバターでもいけるんじゃないかなと思っています。そうすればセクハラとかハラスメント系もなくなるし、澤さんが魔法少女で仕事したっていいと思うんです。それぐらいまでの時代の変化というのを作っていけたらなと考えてます。

河原:はい、ありがとうございました。

(会場拍手)

伊藤:はい、お疲れさまでした。まず、エントリーシートって本当になんなんだこれ、って感じだね。ただ書いていただいた以上はこっちもしっかり見るんだけど、ソフトバンクはエントリーシートはWatsonに読ませてるしね。

河原:そうなんですか?

伊藤:そうなんですよ。だから、これ一体なんなんだろうなというのは、確かにおっしゃるとおり。アバターって大事だなというのは、Web会議をアバターでやるのを標榜をしているスタートアップが、KDDI ∞ Laboに採択されていてお会いして。

サクラ:はい。

アバターには本人の願望と性格が表れる

伊藤:アバターってなにがすげぇんだろうとか思っていて、そうしたら女性陣から「アバター大事ですよ!」と言われて、アバターがどれだけ重要かと最近勉強中です。ここにもまたアバターが来た、とちょっと今ドキドキしてます。

(会場笑)

サクラ:アバターに関しては、女性が筋骨隆々のアバターにしたり、男性が魔法少女にしたりします。魔法少女にする男性って、意外と世話好きであったりとか、筋骨隆々のアバターを選ぶ人はけっこうみんなをがつがつ引っ張っていくタイプの正義感のある人だったりとかする。けっこう心理面が出ます。

河原:なりたい自分が出てくるんですか?

サクラ:はい。願望と性格が出てくる。

伊藤:楽しいですよね。

サクラ:はい。

伊藤:だからもう「アバターなんかいらねえじゃん、別に電話とかでさ」みたいなこと言ってたんだけど、確かにぜんぜん違いますよね。今また思いました。

河原:羊一さんは選ぶとしたら、どんなアバターになりたいんですか。

伊藤:俺はなんだろうな。King & Princeみたいなの? 永瀬廉みたいなのがいいかな。

河原: 永瀬廉。なるほど。ありがとうございます。

(会場笑)

そんな2.5次元の羊一さん。

伊藤:マジに答えちゃった(笑)。

時間が足りないときの「あとで聞いてください」は効果的

河原:それでは魔法少女の澤さんはいかがでしょうか。はい。

:そういうことを言うと、うちのかみさんが本当に僕のことを女装させようとする。

(会場笑)

一応、僕名前が円(まどか)で、この長髪で、残るはもう染色体だけなんですよね。

河原:惜しい!(笑)。

:惜しいところまできてる。かみさんが非常にメイクが好きで、僕の顔を見るたびになにか塗ろうとするんですね(笑)。

河原:客席にいる奥さん、にやにやしてますよ(笑)。

:非常に嫌な予感がします。それはともかく、「あとで聞いてください」は大いにありなんですよね。興味のあるキーワードを持っておいて「興味があったらあとで来てくださいね」というのは、アクションをちゃんと提示してるのと、みなさんのことを受け入れますよという宣言でもあるので、これぜんぜん使っていい。1つのテクニックというか、ワード・提案です。

これ大いにありかなと思うんです。「あとでご挨拶させてください」って、つまんないじゃないですか。だけど「私は全部しゃべってないよ。聞きたかったらあとでおいで」だと、そっちの方がよっぽど来やすいですよね。

河原:確かに。

:あとで「ちょっとさっきのやつ教えてくれる?」「しょうがないな」とやってあげると。あともう1個、これはちょっと細かい話で、そういう提案をしておくとなにが起きるかというと、みんなが自分の話を聞くモードでちゃんと目の前に集まってくれます。

河原:確かに。

:そうしないと、占い師になるんですよ。自分の前に一列になっちゃうんですね。そうすると、同じ質問に10回も100回も答えなきゃいけなくなっちゃうんだけど、みんながそこで同じように話を聞きに来ると1回で済むので、時間の短縮にもなる。

僕もけっこう使う。「あとで聞きに来てください」「あとで話しかけてください」と言います。プチ劇場みたいなかたちで、扇形のポジションと言い方をしている。

河原:辻説法ですね。

:まさにそう。辻説法。それをできるので、すごく効果的です。なにか伝えたいことがいっぱいあるんだけれども時間が足りなかったというときは、今みたいに「あとで聞きに来てください」テクニックがすごい効果的なので、ぜひやってみてください。ありがとうございました。

河原:なるほど。澤さんは聖書を片手にそういうことやったんですか?

:あーえっと、それいろいろとですね。

(会場笑)

最近差し障りが出てきたので、なるべく自分では言わないようにしています(笑)。

河原:なるほど。そういうことですね。はい、ありがとうございました。

(会場拍手)

本番直前にネタを変えるのは事故のもと

河原:はい、あゆみさん。

藤本:被ってないですね。被ってようが被ってなかろうが、言っちゃうとみんなそういうモードで聞いちゃうので、もうとにかくやりきるというのを、ぜひおすすめしたいなと思います。あとたぶん、直前にネタを変えるのは危険すぎる。

(会場笑)

もう1万回以上のステージを踏んでいて、ネタが豊富でなんでもできます、みたいな人じゃない限りは、絶対に事故るのでやめた方がいい。

河原:なるほど。

藤本:だったらもう、とにかく自信たっぷりに準備してきたことをやりきった方が100倍かっこよく見えるので、そっちをおすすめしたいなと思います。

サクラ:はい。ありがとうございます。

河原:ありがとうございました。それではサクラさんに大きな拍手をお願いします。

(会場拍手)