2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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孫正義氏:ということで、ビジョンファンドをやって本当によかったなと思うのは、こういう世界中のAIを使ったナンバー1の会社が、年率2倍3倍4倍と伸びているような企業集団が、我々のファミリーに入ったということであります。
つまり、私はソフトバンクグループの経営戦略として、「群戦略」を掲げておりますけれども。これをAIに特化して、世界中のナンバー1企業を集めているというところであります。冒頭で申し上げましたように、私は人類の進化は続くと。続くどころかますます加速する、と思っています。
もともと人類の進化は推論によって促されたということを言いましたが、データの量が100万倍になり、その100万倍のデータをAIを使って最大限に活用し、AIシフトすることによって、初めてより大きな進化がやってくるということであります。
先ほど少し辛辣な言い方で、「日本はAIの後進国になってしまった」と言いました。別に日本を批判したいわけでもなくて、日本を嫌いなわけでもなくて。日本が大好きで、日本に貢献したいと思っているから、日本に住んでいるわけですね。日本で生まれ育って、日本を愛しているからこそ、日本も早く目覚めて、早くこの進化に追いつき、追い越してというふうにしていかなきゃいけないと思っているわけですね。
よくビジョンファンドは世界中の会社に投資しているけれども、日本の会社にちっとも投資しないじゃないかと。それはなにか別の思いがあるのかと、ときどき聞かれますけれども。悲しいかな、AIのユニコーンが……世界でNo.1と言えるようなユニコーンが(日本には)まだほとんどないというのが現実で。だから、投資したくてもなかなかそのチャンスがないんだというのが実態だということですね。
でも当然、今はまだAIの革命は始まったばかりですから。今からでもまったく手遅れではない。ちょうどインターネットが25年前……30年前ですね。30年経ってないか。25年前。Yahoo! JAPAN、ヤフーが生まれたのが25年前ですから。25年前から考えて、でも、そのころはまだFacebookはなかったですね。Googleもなかったです。Amazonは生まれたばかりということでしたけれども。Netflixもなかった。
そのことを考えれば最初の5年、あるいは10年過ぎたあとに生まれた会社が、そこから瞬く間に世界一のインターネットカンパニーになったという事例がいくつもありますね。ですから、今はまだあの25年前のインターネット革命が始まったばかりだということで言えば、手遅れではない。でも「目覚めないとヤバい!」ということを言いたいわけですね。
なんのためにAI革命、情報革命をやるのか? それは、我々人間が幸せになるためです。
AIの革命が進むと、人間が置いてけぼりになって不幸せになるんじゃないかと。人間は仕事を奪われて、存在意義そのものが疑われるというふうに、悲観的で悲しい側面というか、そういう見方をする人がいますけれども。決してそうではない。AIの革命、情報革命は人間を幸せにするためにあるんだ、というふうに私は心から思っています。
なんのための革命か? 機械が生まれて、農業……ほんの150年前、人々の職業の90パーセントは農業だったんです。働く人々の90パーセントが農業に従事していた。これが2,000年近く続いているわけですね。
農業が機械化されて、そして農業に従事している人々の数がアメリカで2パーセント、日本でももう5パーセントを切ったんじゃないですかね。シンガポールは0パーセントということらしいですけれども。
農業の仕事が機械化されて、それ以外の仕事がたくさん生まれて。結局、機械化されたことによって90パーセントの人が職を失ったのか? そうではなくて、新しい仕事に人間は進化していったということですね。
ですから、私はこのHigh Techの世界が生まれて、High Touchの世界は常に人間に別の感動をたくさん与えてくれて、両方が人間の生活、幸せには欠かすことができないものだというふうに思ってますし。
今日は紹介していませんけれども、Guardant Health(がんの早期発見を目指すアメリカのスタートアップ)なども、ガンで亡くなる人を撲滅しようということで、AIを使って……ガンのために亡くなっている人は今、世界中に毎日たくさんいますね。そういう悲しいできごとを減らすためにもAIは大いに活躍し始めて、これからもっともっとその力を発揮していくわけです。
つまり、我々はこれからも情報革命を進めていくわけですけれども。それは、AIが人々を不幸せにするためではなくて、人々をより幸せにするために人間が中心であると。人間の幸せのための情報革命、人間の幸せのためのAI革命を我々は迎えていかなきゃいけない。そういうチャンスが目の前に来ているということを申し上げたいと思います。
ちょっと話がくどくなったかもしれませんが、私の言いたいメッセージは伝わったでしょうか。人々の幸せのためにAI革命。ありがとうございました。
(会場拍手)
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