「いい子」は幸せになるのか?
河原あず氏(以下、河原):ありがとうございました。続きまして、コザサさん、いらっしゃいますか。拍手でお迎えください。
(会場拍手)
ちょっとやりづらいなとか思っていませんか。大丈夫ですか。
コザサ氏(以下、コザサ):すごいですね、ここ。前の方に立つと。
河原:けっこう、瞳、瞳、瞳なんですよ。どのようなことをやられているんですか。
コザサ:私は、キャノンで、入社のときにハッピーになる商品を作りたいと言っていて、今、カメラじゃなくて新規事業をやっています。
河原:大企業新規事業。
(会場笑)
コザサ:さっきプレゼンされたアイビーさんと同じ名前のプリンタをアメリカで売っています。
河原:たまたま名前が一緒だった。へえ、なるほど。それでは準備はよろしいですか?
コザサ:はい。
河原:それではいきます、1分であたりまえを疑え! コザサさんのプレゼンテーションです。用意スタート!
コザサ:みなさんに質問です。お子さんがいる方は、いい子、いい子だね、いい子になるよって言ったことありませんか? 私が疑いたいあたりまえは、いい子になる子は幸せになるのかっていうことです。
それは、私には7歳の娘がいます。7歳の子が、昨年、いい子って言ったら、自分の言いたいことを言わずに「これやっていい? やっちゃダメだよね」っていうようなことを言ってきました。それが自分らしさを縛っている言葉だと気づかされます。
私は、親は子どもに幸せになってほしいと思っていると思っていて、幸せになるっていうのは、やりたいことをできるようになることだと思っています。親が作ったいい子というルールに縛られず、自分らしく子どもが育つように、みなさんと一緒に子どもを育てていきたいと思っています。ありがとうございました。
河原:はい、終了です。ありがとうございました。
(会場拍手)
子育てはどこまで子どもの自由にさせるべきか
河原:まさに、ステージングのあたりまえを疑いましたね。今、歩いた。いかがですか、羊一さん。
伊藤羊一氏(以下、伊藤):歩いていって、心の壁をぶち破ったなという感じ。
(会場笑)
まず、すごくよかったなと思いました。ただね、子育てで、おっしゃるとおりですよ。おっしゃるとおりなんだけど、どこまで自由にさせていいのかなっていうのが、我が娘を見ているとね。
(会場笑)
中二なんですけど、どこまで言ったらいいのかな、やっていいのかなっていうのを、いま思いながら、ほどほどがいいんじゃないの?
(会場笑)
と思いながら聞いてました。ありがとうございます。
河原:ありがとうございます。
(会場拍手)
羊一さんのコメントは主観がこもっていていいですよね。
(会場笑)
自分事ですよ、常に。
伊藤:そうそうそう。だって、そうなんだ、そうなんだとか思いながら聞いているの。
河原:羊一さんを観察しているとおもしろいです。反省してる。
伊藤:単なる観客として話している。
(会場笑)
河原:しかもすごいのは、これでお酒を飲んでいないですからね。
(会場笑)
伊藤:横にいる澤さんは、プレゼンの名手的なコメントをするじゃないですか。
河原:主観と客観。
伊藤:今からやっていると、俺もプレゼン少し知ってんだ、みたいな。
(会場笑)
本当にコメンテーター、楽でおもしろい。
(会場笑)
河原:そしたら、澤さん。
ステージで話しながら歩くことの2つの効果
澤円氏(以下、澤):ちなみに、コメンテーターは楽でいいって、彼はイベント主催しているんだけど、コメンテーターはこちらに押しつけていますからね。ただ司会をやっているだけでね。コメンテーターの方が楽しいでしょ? 楽しいんですよ、これ。
(会場笑)
それはともかくとして、「いい子になる」、「幸せになる」ってパワーワードですよね。両方ともすごくわかりやすいキーワードで想像しうるっていうのは、すごくいいなというのと、あと、(プレゼンをしながら)歩くのって最初から決めていました?
コザサ:ここにきて、『あたりまえを疑え!』だから、スライドを自分で操作しないので、歩こうと思って。誰かが歩かなかったら歩いてみようと。
澤:僕のクラスを受けてくださった経験があるので、そのとき、僕もずっと徘徊してましたからね。そうすると、いろんな人と目が合うので、目の合い方が変わるというだけでも退屈さが違ってくるので、歩くというのはけっこういい1つのアクションですね。飽きさせない。あともう1つ。これはテクニック的に話をすると、寝かせないというのがあります。声が近寄ってくると、寝ているやつらが起きる。
(会場笑)
河原:確かに。
澤:真横でしゃべっているのに寝続けるって、けっこう精神力がいりますので。
(会場笑)
起こすためには歩き回るってけっこう効果的ですね。
河原:スマホとかも置きますもんね。
澤:そうですね。置かないやつだったらのぞき込めばいい。
河原:そうそうそう。
澤:ありがとうございます。
(会場拍手)
笑顔と真顔の緩急が、聴き手にもいい緊張感を与える
藤本あゆみ氏(以下、藤本):さっき、途中でそこに立ってから決めたってけっこうすごいなって思っていて。たいがいプレゼンしながら歩くときって、手と足が両方出ちゃったりとか。
(会場笑)
慣れていないと逆にぎこちなくて、見ているこっちがハラハラするみたいな。すごく落ち着いていたのと、ふだん、そういうふうにすごく笑顔じゃないですか。でも、けっこう真顔になる瞬間があって、そういう緩急の付け方がみなさんにいい緊張感を与えて、ちょうど真ん中くらいのいいプレゼンだったなと思いました。
河原:はい、ありがとうございます。いろんな方と目が合いましたか?
コザサ:合いました。目が合ったし、「あ、行っちゃった」っていう声……。
(会場笑)
「行ったよ~」みたいな。
河原:お酒取りに行くのかと……。
(会場笑)
ありがとうございます。それではコザサさんに大きな拍手をお願いします。
(会場拍手)
いやあ、本当にみんな違ってみんないい感じですね。今、お酒のおかわりが届きました。よろしくお願いいたします。おやつ、ここ(羊一さんのテーブル)に積んで置いてください。めっちゃ食べています。
(会場笑)
「いじめゼロ」よりも「苦しんでいる子ゼロ」を目指そう
河原:それでは次のプレゼンターです。タケノシタさん、いらっしゃいますか? 拍手でお迎えください。
(会場拍手)
はい、タケノシタさん、簡単に自己紹介をよろしくお願いします。
タケノシタ氏(以下、タケノシタ):タケノシタと申します。今、いじめをテクノロジーで解決するというスタートアップの準備をしていて、今日は宝探しに来ています、よろしくお願いします。
(会場拍手)
河原:準備はよろしいですかね。それではいきます。1分であたりまえを疑え! タケノシタさんのプレゼンテーションです。用意スタート!
タケノシタ:「いじめゼロを目指す」っていうのをもうやめませんか。いじめ件数、今、どうなっているかご存知でしょうか。実は過去最多です。41万件。これは実は理由があります。深刻ないじめにならないように、国がどんなものでもいじめって取り扱って対応しよう。そんなのを進めました。
じゃあ、深刻ないじめってなくなったんでしょうか? 答えはノーです。めっちゃ増えています。ぜんぜんうまくいっていないです。これ、実はいろんな理由がありますが、僕が一番重要な理由だと思うのは、いじめっていう言葉にみんな囚われすぎだと思っています。
いじめじゃないから手を出せない。いじめだから大事(おおごと)になる。そんなのよく聞きました。だから、今日は提案します。いじめっていう言葉をもう忘れませんか。その上で、いじめかどうかじゃなくて、その子が本当に苦しくてヤバイかどうか。
だって、僕らがやりたかったことって、いじめをゼロにしたいんじゃなくて、苦しんでいる子をなくしたい。そうじゃないですか。いじめゼロじゃなくて、苦しんでいる子ゼロ。それを一緒に目指しませんか? よろしくお願いします。
(会場拍手)
河原:羊一さん、いかがですか。
人間的な力強さを身につけられた理由
伊藤:彼も教え子なんですよ。僕の授業を受けていた頃は、普通に生徒としてやってたなぁという感じだったんですけど、シリコンバレーにも行ったんだよね。いろいろやっているうちに人間って変わるんだなって。本当に力強くてよかったです。
タケノシタ:ありがとうございます。
伊藤:みなさん、ビフォーアフターの彼を知らないと思うんですけど、この力強さは自分の努力で作ったものだなと、僕がそれをお話ししておきます。本当によかったです。
河原:ありがとうございます。こういう力強さみたいなものを得るコツってあるんですか?
タケノシタ:これはお世辞じゃないんですけど、僕、けっこう伊藤さんの指導が大きくて。
伊藤:おお! マジか。
タケノシタ:何を成すべきかとか、それに対してどういう心構えでいるべきかとか、じゃあ、それを実現させるためにどうしたらいいんだというようなことをすごく授業で教えていただいて、それを愚直にマネしたというのが正直なところです。
河原:おお、ありがとうございます。澤さん、お願いします。
子どものメンタルケアのプログラムを作ることを目指す女子大生
澤:ゆゆめるさんって知ってます?
タケノシタ:存じ上げないです。
澤:Twitterであとで、ひらがなで「ゆゆめる」っていうふうに検索してみてください。まったく同じ問題に取り組んでいる女子大生、今は休学しているのかな? 慶応のSFCに行っている女性なんですけど、まったく同じことを志しています。
その子は沖縄出身なんですね。石垣島かなんかの出身で、僕がちょっとメンターをしているそちらの方の起業家支援の「Ryukyufrogs」というのがあるんですけど、そこの出身者。その人もシリコンバレーに行ったりしているんですけど、まさに志を同じにしている人がいるなと響きましたので、ちょっと今度会ってみるとおもしろいかな。
その人は、まさにテクノロジーでどうにかできないかなってことで、プログラマーを大募集しているという感じの人たち。もしかしたらコラボするとおもしろいかな、と思います。「澤から聞いた」と言ったら大丈夫だと思います。僕が相当嫌われていなければね。
(会場笑)
子どもがやろうとなんだろうと「いじめ」は犯罪行為
澤:フォローされてるんで大丈夫だと思いますけど。あと、もう1つ、「いじめっていう言葉を忘れましょう」と言いましたけど、これは単刀直入に聞きますけど、いじめっていう言葉ってどう思います?
タケノシタ:個人的にはよろしくない、変な神格化みたいにされてて、触れちゃいけないみたいな。
澤:ああ、そっちのほうですか。僕はひらがな3文字じゃ軽すぎると思っているんですよね。あれは犯罪行為じゃないですか。だって殴るって、暴行でしょ? お金を取るって、これは強請りでしょ? 恐喝でしょ? 犯罪行為を軽くするために「いじめ」っていう言葉があると思ってるんで、やっぱりいじめという言葉は本当に徹底的になくした方がよくって。
子どもがやろうとなんだろうとそれは犯罪行為であるというふうにして、漢字で「罪」ってちゃんと付けた方がいいなと思っていて。僕はけっこうそういう、ちょっと過激かもしれないけども、これに関してはけっこう強い感情を持っていて、すごく当事者意識は持ち合わせてるんで。ありがとうございました。
タケノシタ:ありがとうございます。
藤本:この後はやりづらいですね。言葉をなくすって、すごくいい感じに聞こえるんですけど、だとするとその言葉の語源をちゃんと調べるというのをぜひお勧めしたいなと思います。なぜそういうふうに言うようになったのか。その上で、なくすのか変えるのかというのがある、となると、すごく納得感があるので。
あたりまえの言葉こそ、その語源を調べると意外な実は発見があったり、まあもしくはないかもしれないので、ぜひお勧めしたいなと思います。
タケノシタ:ありがとうございます。
司会者:はい、ありがとうございます。それではタケノシタさんにもう一度大きな拍手をお願います。
(会場拍手)