2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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稲垣みずほ氏:私からは、ショップジャパンらしい働き方についてご説明させていただければと思います。
まず最初に、本日は弊社株式会社オークローンマーケティングに足を運んでいただきまして、ありがとうございます。のちほど自己紹介させていただきますが、私は稲垣みずほと申します。
株式会社オークローンマーケティングに所属しております。まず、オークローンマーケティングの前に、弊社の「ショップジャパン」というブランドとは何かを、会社の説明とともに少しお話をさせていただければと思っております。
ショップジャパンはオークローンマーケティングが運営しているショップブランドでございます。1993年、名古屋で創業しており、オークローンマーケティングの親会社はNTTドコモです。
社長はロバート・W・ローチというアメリカ人で、彼が創業者であり現社長です。私たちは主にテレビ番組を作って通販の商品を売るというテレビショッピングから、Eコマース、あとはカタログのビジネスですとか、店舗も経営させていただいております。
先ほど「ショップジャパンはショップブランド」と言ったんですけど、実はショップジャパンは、「メーカーやブランドでもある」という立ち位置にいます。
世界からユニークな商品やアイデアを発掘して、ショップジャパンでローカライズしたり、オリジナル商品として改良を加えたりもしています。そのあと先ほど言った通販番組ですとか、デジタルのEコマースを通じて、お客様に楽しいショッピング体験を提供する会社です。
わかりにくいところがあると思うので、CMを2つご紹介したいとと思っております。1つ目は「トゥルースリーパー プレミアケア」という、低反発のマットレスの商品です。
もう1本お見せしますね。
このCM、見たことありますか? 今回、ゴールデンウイークに放映させていただいてたんですけども。こういったかたちで、もちろんテレビ通販番組も制作して販売をしてるんですが、CMも作ったりですとか、いろんなターゲットに合わせてクリエイティブを制作して、そこから商品を販売しています。
私たちは海外から商品を発掘することが多くて、そこから日本の調査を行い、どうやったら日本で売れるのかっていうコンセプト調査を進めながら、その商品に合ったメッセージ、あとはターゲティングをしていくことで、マーケティングのプランを立てて、適したチャネルで販売していくというようなビジネスモデルでやっております。
ここまで見ていただいてわかるとおり、アメリカ・中国など世界中の商品を発掘したり、テレビとかカタログとか店舗であったり、あと一番大きいのがコールセンターですね。24時間運営しているコールセンターもあったりします。
このように、商品を売るまでのプロセスのなかにも多種多様な職種が存在しておりまして、社員全員が活躍できる場というのが重要だと考えております。
そこで私たちショップジャパンは、ショップジャパンの社員の働き方として、一人ひとりが裁量を持ち、個人の意見を尊重し、時間や場所に縛られない働き方というところを目指しております。
ただこれだけ聞くと、個人主義な感じの働き方に聞こえるかもしれませんが、これは今すごくうまくいっております。なぜこれが実現できているのかを説明するポイントが、大きく分けて3つあります。
まず1つ目は、成果主義でパフォーマンス重視であること。時間や場所ではなくて、成果によって評価されるというところをすごく重要視しております。個人の意見とかライフスタイルというのはもちろん尊重するんですけれども、社員一人ひとりのコミットメントとして目標を達成しなければいけない。ここがすごく重要になります。
チームで、もしくは個人で一人ひとりと握っていくというのを踏まえての個人の自由やフレキシビリティを尊重しています。
2つ目は多様性を重んじる企業文化です。弊社の社長もアメリカ人というところで、基本的に国籍とか性別とか年齢とかは気にしません。先ほど言った成果をベースに評価していくと、多様性も重んじられると思っております。
3つ目はワークライフバランスの充実。私たちはお客様が弊社の商品を使って「今の生活よりさらに良くなった」「さらに楽しい人生になった」という体験をプロデュースしています。そうしている以上、社員にも「ショップジャパンにいるからこそ、もっと人生が楽しくなった」と思ってもらえるよう、力を入れております。
なので、私たちには女性に特化した制度はありません。年齢とか性別、役職、ライフスタイルに関係なく、全社員が活用できる制度であるかを意識した制度づくりをしています。
今からその1つをご紹介します。まず導入の背景としては、業務がさまざまなのに、今までは9時~18時が定時だったことがあります。もともと弊社は、残業が少ない企業文化ではあったんですけれども、いろんな部署が存在していて、そもそもその部署間で働き方が違うというところで不公平が生じており、やむを得ず残業が多くなってしまう傾向にありました。
例えば先ほどのクリエイティブの部署ですね。テレビ通販とかCMの番組を作る部署ですと、編集の立ち会いも含めて深夜までかかることがけっこう多いんです。でも勤務時間が9時~18時だと、どうしても次の日は9時に行かなきゃいけないということがありました。
あと愛用者の方にテレビショッピングに出いただくのが弊社の強みなんですけど、インタビューや録音を取りに行って実際にお客様の声を聞くという作業があるんです。そこもお客様に合わせてスケジュールを組むので、土日出勤がすごく多くて。平日から土日まで続けて勤務しなきゃいけないということもありました。
あとIT部門についても、業務時間外でのシステム対応がありました。そこで、「SJマイタイム」という制度を導入しました。それが2015年から始まっております。
コアタイム(実質1ヶ月に1回、1時間の全社ミーティング開催時間のみ)を含むフレキシブルタイムの範囲内で、始業および終業の時刻を対象者本人の決定に委ねております。
あと1ヶ月における総労働時間が120時間を満たせば、100パーセント(の労働時間)とみなします。1日8時間だと1ヶ月、約160時間働かなければいけないんですけど、120時間~160時間の間でもお給料はフルに支払われるという状況です。
出退勤の時間調整が可能になって働きやすくなったのはもちろんのこと、これまで以上に社員一人ひとりのパフォーマンスや、時間に対する意識が高まりました。
ここの赤字にあるように、無駄な会議がなくなったりとか、業務の効率化とか、1日から1ヶ月といった長期目線でのスケジューリング意識、あとは部署内でのフォローのし合い、業務の可視化・棚卸しなどを進められました。
アンケート結果を見ても、その効果が数字に表れています。
ワーク面で言うと47パーセントぐらいの方が「業務を効率化できた」と答えております。あとライフ面でいうと、ジムとかヨガとか習いごとができるようになったりした方もいらっしゃいます。
社員全員が自分で時間を管理して業務を効率化させ、パフォーマンスを発揮していれば、後ろめたさはなくなります。なので、18時前に退勤する人も増えてきました。その理由が「子どもが熱が出ちゃった」とか、「ちょっと早めに上がって習いごとに行きたい」とか「通院したい」とか、自己都合も兼ねて時間調整できるようになってきたというところがあります。
「SJマイタイム」が導入された当時、わたしはマネージャーだったんですが、チームメンバーのスケジュールの把握がすごくしやすくなったのが、自分自身の変化でした。
そのときのチームは、1週間後にどんなスケジュールで出勤するかというのを事前にヒアリングしたり、チームで共有してあっていました。
「この日は午前中休みますけど、その分は別の日でカバーします」とか。私のチームの場合だと、1週間単位で共有することになっていて、メンバーがどういう働き方をするかを理解できました。
18時以降残業していると、「なんで残業してるの?」みたいにあとから気付くこともけっこうあったんですけど、それが1週間前に調整することができたので、業務を抱えすぎている方の業務調整もできるようになりました。
あと個人としてすごく良かったことは、これを機に習いごとを始めたりできたことです。特ににヨガに通い始めることによって、冷え性がなくなりました。
(会場笑)
「女性が活躍できる環境とは」というお題をいただいていたんですが、「女性・男性と線引きするんじゃなくて、全社員が成功できる環境」というのがショップジャパンが出す結論です。それは制度づくりでもあるんですけれども、ここがすごく重要だと思っております。
そうすることによって、現状では男女の比率が5:5、女性の管理職の割合が40パーセントと、非常に高い状況になっております。
ショップジャパンからは以上になります。ありがとうございます。
(会場拍手)
司会者:稲垣さん、ありがとうございました。女性だけに特化しない、全社員が活躍できる環境、というかたちでご紹介いただきました。
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