本当に美しいチームビルディングとは?
仲山進也氏(以下、仲山):今度はチームワークの話でいいですか?
横石崇氏(以下、横石):そうですね。
仲山:チームワーク1.0は、工場でものをつくっているイメージです。大量の仕事をみんなで役割分担して、それぞれが習熟してレベルを上げ、いっぱいつくれるようになれば成功という、生産性が価値基準になっている時代。分業と統制のチームワークです。そこから進んで、お客さんが喜ぶかどうかが大事なのが2.0の世界観です。
分業をし尽くしていった結果、組織は縦割りになっていきます。分業したときは、ちょうどよく役割分担をしていたはずだと思うんですけど、周りの状況が変わると、「部署と部署の間に隙間が空いているよね」みたいなことが起こり始めます。何かが漏れていったり、ひびが入ったりする。
だから2.0では、もう一度ガラガラポンというかゴチャっと混ぜて、「今いるメンバーと今ある部署で、お互いの強みを持ち寄って組み合わせたら、こんな価値をつくれそうじゃない?」みたいな。価値の再発見、再編集というか、「会社全体をリソースとして見たときに新しいチームとして構成し直して、こんな価値をつくりました」とできると、ブレークするイメージです。
2.0からさらに進んで、会社の枠にとらわれずに共創するのが3.0です。会社が違う人と何かをやるとき、理念が共通していることが接着剤になります。逆に理念がないコラボは脆くなる。ブランド同士のコラボで、お互いが「向こうのファンの人が流れてきてウチで買ってくれたらラッキー」ぐらいに思っていると長続きしなかったり、そもそもうまくいかなかったりします。うまくいかなかったときは責任のなすり合いになったりする。
本当に意味のある、チームビルディング的に美しい共創やコラボというのは、理念が一緒で「この人と一緒にやりたい」という関係性があって「一緒におもしろいことやろうよ」と言って、一緒に考えて手を動かして試行錯誤しているうちにできてしまう、というイメージです。
同業他社ですらチームになれる世界
横石:2.0と3.0の大きな違いでいうと?
仲山:「会社」という枠の概念があるかないか。
横石:会社の閉じられてた部分をもう少し開いていくということですか?
仲山:「会社の中だけで完結させて考える必要ってなんでしたっけ?」みたいな。たとえば楽天市場には日本酒のお店がたくさんあるんですけど、みんな仲がいいんです。同業他店舗を敵視してパイの奪い合いをして勝ったとしても、そもそも国内の日本酒市場が縮小してるから誰も幸せにならない。
だったら同業者で集まって、「どうやったら日本酒業界が盛り上がるか」「日本酒を飲んでない人に飲んでもらうには何をやったらおもしろがってもらえるか」ということを考えて、実践したほうがいいわけです。だから楽天の日本酒店の店長さんたちは、リアルで集まるイベントのときに一緒に飲みに行って、アイディアを出し合ったりしています。自分のところに問い合わせがあった商品が欠品していたら、「あそこの店ではまだ売ってます」とメールを返すなどの関係性も自然に生まれているんです。
横石:そういう意味で、3.0には、コミュニティづくりやプロジェクトベース、フリーエージェントといったキーワードが出ているということですかね。
仲山:同業者同士のコミュニティはまさにそんなイメージですね。そのまわりに共感したお客さんたちも集まってくる。プロジェクトというのは、たとえば「日本酒の価値を再編集するプロジェクト」だとしたら、日本酒屋さんはみんなで一緒にやろうと思えるお題目、理念なわけですよね。そういう理念があると「同業他社ですらチームになれるよね」みたいな世界観が3.0かなと。
石垣からレンガブロック、そして銀河系へ
横石:なるほど。ここで村山さんにバトンタッチして「チームワーク」についてお話を聞いてみましましょうか。
村山昇氏(以下、村山):私も行き過ぎた分業からまた寄り戻しが来ているような感じで捉えています。チームワークということですけど、もう少し大きな意味で捉えて、タレントの集合離散をどうしていくかをみていただければと思います。