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恐れろ。大いに恐れろ。それでも、実行しろ。(全2記事)

「恐れろ。大いに恐れろ。それでも、実行しろ」 バーガーキングCMO直伝、ブランディングの5つのポイント

2019年5月27~30日、「Advertising Week Asia 2019」が開催されました。マーケティング、広告、テクノロジー、エンターテイメントなどの幅広い業界が集い、未来のソリューションを共に探索する、世界最大級のマーケティング&コミュニケーションのプレミアイベントです。本セッションでは、バーガーキング グローバル最高マーケティング責任者のマチャド・フェルナンド氏が登壇。数々の広告賞に輝いた一連のケーススタディやバーガーキングの仕事の法則に加え、「出る杭」戦略がいかにブランドやビジネスに価値をもたらすのかを語ります。今回は、バーガーキングのユニークなプロモーション事例とブランディングの5つのポイントについて解説しました。

良いブリーフは、最も短く、最もはっきりしている

マチャド・フェルナンド 氏(以下、フェルナンド):バーガーキングのテイストについてお話しします。まず最初のポイントは、ブランドを理解すること。そして次は、素晴らしいブリーフを作ること。正直、私は自分のキャリアでは悪いものを作っていたりしました。私がキャリアを始めた時に、20ページにわたってすべてを説明するようなものを書きました。商品やブランドが良くなるであろうということでした。

最も短く、最もはっきりしているブリーフが良いのです。いろんなことをあれこれ言っているブリーフを持ってきた人は、宿題がちゃんとできていないのです。私はこの言葉が好きです。「短い手紙を書く時間はない。その代わり長いものを書く」。 終わりのない長いものを書く方が簡単なのです。

いろいろ書くということは、いろいろリサーチしなければいけないということです。しかし、書くことが1つだけなら、そういったことを省けます。最も成功しているブリーフと言えば、こんな感じです。エージェンシーが本当にもっと深掘りしてその先を見たいのであっても、このたった1ページを見せればいいのです。

ブリーフとはショーケースのようなもので、人はもっともっと買いたがります。バーガーキングは直火焼きなので、働くのであれば直火焼きについて語らなければなりませんね。ブリーフもそうで、常にコミュニケーションをやっていかなければならないのです。

ビッグアイデアのあるブリーフというのは、常に重要なのです。ダイナミズムを変えるものです。今までで最も成功しているケーススタディをお見せしましょう。過去6か月の話です。モバイルオーダーと決済についてローンチした時のことです。

とても複雑なもので、アプリ開発に1年かかりました。あなたたちを退屈させるつもりはないのですが、システムがいろいろある中でコーディングなどを統合しなければならない。とはいえ、モバイル決済は新しいものではなく、アメリカならどこでもあるものです。隣のビルで働いている人にもこれが当てはまり、私たちにとっては新しいことではないですが、お客にとっては違います。

ブリーフはこうでした。「モバイル決済をビックニュースにしよう」。私たちがうまく実行できたものの1つです。

(CM上映)

明確なブランドポジショニングやシンプルなブリーフというのは、つまりこういうことでした。

実り報われるアイデアを殺さずに育てるには時間がかかる

3つ目のポイントは、アイデアを成長させること。これはかなり重要なことです。バーガーキングで成功したほとんどのアイデアは、初めてプレゼンされた時はうまくいくかわからないようなものでした。アメリカのマクドナルドが14,000店もあるのにどうするのか、という人もいました。こんな感じでとても時間もかかりました。そして、またプレゼンされたときに、どう違いが生まれるのかも聞きました。間違ったとして、そのリアクションについてもわからない。だから返答も分からない。

でも、私たちはそんな「分からない」が好きです。なぜならそれは、過去にやったことがないことだからです。いろいろやってきたので私はやり方が分かりますが、それでも分からない。それはいいことなのです。

ほとんどの人は、(うまくいくかどうか)分からないときに(アイデアを)殺してしまいます。殺さないでください。それが仕事として発展するまで、時間はかかるのです。それと同時に、実り報われるアイデアというのも、そういったものなのです。

ある男の人のことを覚えています。彼がニューヨークにいた頃、いつもこう言っていました。殺すことは簡単ですが、育てなければならないということです。確実性を信じ、エージェントともしっかりやり取りする。うまくいくようにする方法を模索しなければならない。

ある、発展しつつあるアイデアがありました。私たちエージェンシーの間で、いろいろやり取りしていた時のことです。メキシコのデリバリーについての話になりました。そこである人がこう言いました。メキシコでの問題の1つは、渋滞で交通が止まってしまうこと。家に帰るのに2時間かかったり、交通渋滞がとてもひどいのです。

メキシコでの1日の話ですが、人々は交通渋滞のために5時間も時間をかけると言われています。そこで、家ではなく車へのデリバリーにしてはどうかという話になりました。でも、それを聞いたとき、もし車が動き出したらどうやってデリバリーをやるんだという感じでした。さらなる疑問と答えが生まれたのです。そして、我々はこうしました。

(CM上映)

最初はわからなかったものも、とても重要なのです。

恐れていることを実行する難しさ

そして、これは4つ目です。「最大のリスクとは、リスクを取らないこと」。マーク・ザッカーバーグの言葉です。

私の仕事について、最もよく聞かれる質問があります。裏目に出るようなこともあるかもしれないという状況で、怖くないのかということです。しかし、Whopperも攻めているように、目立つことをやっているわけです。みなさんにバーガーキングというものを見てもらう必要がある。そして、今では人々が求めてくる。

なので、みなさんが「怖くないのか」と尋ねてくるとき、あまり理解されていないのではと思います。それは、私たちがまったく恐れないということではないからです。いつも恐れています。いつでも! 恐れていなければそれはやらない。

元幹部で現在は共同会長の彼が話すとき、私にこう言っていました。「フェルナンド、今やっているアイデアは何か」と。私は「今は5つのことをやっていて、1つはこれで……」と話すのです。すると、彼はこう言うのです。「3つ目のアイデアがとてもいい」と。しかし、彼がそう言った瞬間、3つ目のアイデアは死ぬのです。

なぜなら、私たちにとってうまくいくアイデアというのは、そういったものではないものだからです。アイデアを証明することが難しいものだからです。先ほどの交通渋滞のWhopperもそうで、みなさんとそうやってやっていくのは難しいものなのです。トリッキーなのです。

ビデオを見ると美しくて簡単なようにも見えますが、それを実現させるのは悪夢のようなものです。実現させるまでは悪夢、終わりのない時間なのです。法律のチームやすべてのチームと話し続ける。なぜなら、アイデアは大きいものだからです。なので、私たちはいつも恐れています。

唯一の違いというのは、「恐れていてもそれを実行する」というところです。あなたが理解する上で重要なのはこれです。攻めているだけではないのです。難しいのです。デリバリーをする際にも自動車へ届けたりと、複雑なのです。

うまくいかなかったときはどうなるのか

いつも聞かれることがもう1つあります。「うまくいかなかったときはどうなるのか」というものです。そのためにこのグラフをお見せしましょう。これはビジュアルプレゼンテーションで、 我々のPRのメディアにも似たものです。 ソーシャルメディアに関係するものです。

いかなる新しいニュースも、何が起こるかというと、1日目はみんなそれについて話すのです。2日目の48時間後をマックスとして小さくなっていく。1日目に出たものがブラジルの友達に届いて、WhatsApp Messenger(世界最大のスマートフォン向けインスタントメッセンジャーアプリケーション)の方に届いて……という感じです。まあそういう1つのパターンですね。

長い目で見るとこうなります。2017年のはじめは、みんなそれについて話しツイートしたりします。そして、みなさんが思い出しているかどうかわかりませんが、ケンダル・ジェンナーのペプシの広告がありました。炎上したね。

正直言うと、業界の中ではうまくいっていませんでした。でも、私のお母さんは最終的に気にしていませんでした。私はペプシに知り合いがいるから、「何でこうなった」とかなるわけです。ブランドの問題だと。LinkedIn のプロフィールがどうのこうのと。

(会場笑)

そして、次の日に話題は移りサイクルします。ソーシャルメディアで話していることは短く頻度が高い。アメリカの方は思い出せるかもしれませんが、もしかしたら思い出せない方もいるかもしれません。ユナイテッド航空のフライトの内容について、みんなが話していたものです。もう悪評判から逃げられないという状態でした。話題が完全に移り変わったので、その頃、ペプシは祝っていました。

そして、それもまた変わったのです。いつも変わり続けるのです。そこで、Whopperの話題が登場するわけです。私たちがしたのは、アプリを作ることでした。「Google、ワッパーサンドイッチとは何か?」と聞くと、Googleホームが話すという内容です。2017年はビッグニュースでした。

それは、Googleホームで話させることが目的のものではありませんでした。見出しにしてもらうことが目当てという感じでした。PRで人々に話してもらう。1,200億ほどのインプレッションがありました。大きなもので、ピークも一度だけではありませんでした。見出しには3〜4つ取り上げられ、珍しいことでもありました。

起こり得る最悪のことは「何もない」ということ

そして、未来永劫バーガーキングだけについて話し続けるということでもなく、話題はシフトするのです。正直言うと、 起こりうる最悪のことというのは「何もない」ということです。私たちが気に入るような進み方ではないことは、高いインプレッションにリーチできなかったときです。

私たちにとって、20億以下はどれも低いという考えです。グローバルかローカルかで数字は変わりはします。とにかく、バーガーキングには強いトラックレコードがあります。私たちはいつでも20億以上を狙っています。例えば数字が5億だったとき、私たちはチャートを見てうまくいかなかったなと思うわけです。しかし、ほとんどの人は5億で別に悪くないと満足します。

ここでポイントがあります。恐れてもいい。とにかくやれ。最悪なのは、何も起こらないということ。ある例をお見せしましょう。韓国、アメリカ、スペイン、ブラジルもそうですね。そこで何があるかというと、私たちの食べ物がドッグフードだと、みんな私たちを馬鹿にするのです。最終的な結果を見ればみんな満足し、ブランドにも良い結果となるのです。

(映像上映)

これはプロモーションビデオでした。しかし、どうでしょう。これを見た後は、コンベンションでのスタンディングオベーションなど「あーよかったな」となるのです。しかし、始まる前はみんな恐れていたのです。

最後のポイントは、1つのチームであることです。1つのチームというのは非常に重要で、2つの側面があります。外は法律の専門家で、私たちと考えをシェアします。最後にいるだけのゲートキーパーというわけではないのです。オペレーションチームとも密に働きます。違う国ですが、1つのチームです。そういう振る舞いをしない会社を見たとき、ちゃんと働けないし、スケールもわからないと思います。衝突も多くなる。

もう1つの側面は、パートナーエージェンシーと共にということです。クリエイティブエージェンシーの前にたくさん議論をします。しかし、それは見えないところでです。一度外に出ると、ブランドにクリエイティビティでどんどん進んでほしい。

しかし、外にはより大きな敵もいる。力を合わせてリスペクトも尽くす。これらが(カンヌライオンズの)過去4年の結果です。

こちらはセールスです。2年で2桁のセールスの成長があります。業界の成長にも勝っています。

バーガーキングのブランディングに関する5つのポイント

こちらはブランドのバリュー。バーガーキングは赤の線です。ここでシフトが見られます。クリエイティブデザインなどそういったことです。ブランドのバリューに関係してくるものがたくさんあります。新店舗の開店というのもそうで、いいなと思ったときにしかそれはしない。収益性の改善をしています。いろいろなことをたくさんやっています。しかし、確実にマーケティングをやっています。

ちょっと行き過ぎてしまったかもしれません。まとめます。これらが5つのポイントです。「ブランドを理解する」。歴史があればそれを見て、人々がなぜそのブランドを好きなのかを理解する。なぜ関係性を醸成したいと思ったのかも理解する。「いいブリーフを作る」。短く書く。一文で書く。7語です。本当にものすごく短くする。

「アイデアを成長させる」。確かであることを信じる。アイデアというのは成長するものです。どうすればいいかわからないことは、よいことではないかもしれません。なぜなら過去に行ったことがないということなのです。

「最大のリスクはリスクを取らないこと」。バーガーキングはいつも恐れているが、どの道やる、ということを思い出してください。起こりうる最悪のことというのは何も起こらないことです。人々の注意は短く頻度の高いものになっています。最後は「1つのチーム」。クリエイティブのパートナーとの1つのチーム。

ここでは言っていないアイデアがあります。私が信じていないアイデアもいくつかありますが、アイデアを信じるパートナーは信じています。そして、それはうまくいくのです。

企業がグローバルであれば、地域のチームや会計のチームなどとよい関係性が作れます。どんなキャンペーンでも、法律のチームというのは強い構成となっています。それなしでは何も起こせません。以上です。このプレゼンテーションを楽しんでいただけていたらと思います。

(会場拍手)

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