シェアNo.1のビジネスチャット「LINE WORKS」

萩原雅裕氏:よろしくお願いします。ワークスモバイルジャパンという名前はお聞き馴染みがないかと思いますけれども、私どもはLINE WORKS(ラインワークス)というサービスを提供している会社でございます。

LINEについてはみなさんたぶんご存知で、今写真を撮っているスマホにも入っているかなと思います。このLINEを、企業でお使いいただくために生まれたのがLINE WORKSというサービスでございます。

LINEの使いやすさや便利さはそのままに、企業でお使いいただくための管理機能やセキュリティを備えたLINEとは別のサービスでございます。

2016年から日本でサービスを提供しておりまして、おかげさまでビジネスチャットというカテゴリーにおきましては、日本市場でナンバー1ということで、調査レポートなどでお取り扱いいただいている状況でございます。有料版の導入社数は2万7,000社を超えております。

LINE WORKSはビジネスチャットと呼ばれてはいるんですけれども、実はLINEのようないわゆるチャットの機能だけではなくて、別のさまざまな機能も備えております。例えば資料の共有ができたり、予定の共有ができたり。それからアンケートができたり、社内の全員に周知するような掲示板の機能があったりですとか。そのようなかたちで、いわゆる社内のコミュニケーションをまるっと1つのアプリケーションでできるようになっております。

アプリと言ってもスマホだけではなくて、もちろんパソコンでも使えます。内勤の方はパソコンで使っていただいて、外勤の方はスマホやタブレットなどでお使いいただけます。

昨年2018年からは、フリープランをご提供しております。これまでは有料版だけだったんですけれども、無料版のサービスもご提供するかたちになりまして、こちらも開始から4ヶ月弱で、2万7,000社以上のお客様にお試しいただいております。

私どもの特徴は、いわゆるLINEのような使いやすさが一番の特徴になります。社内でお使いいただくうえでの一番のハードルになりがちなのは、現場の方がどれだけ使いこなせるのか、そして効果を出せるのか、といったところがポイントになります。

現場の方にどんなふうに使っていただけるのか、実際に活用いただけるのかといったところを、今日はユーザー企業の東奥日報さんから、いろんなお話がおうかがいできるといいなと思っております。本日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

24時間対応が基本だった新聞社の働き方改革

司会者:ありがとうございました。それでは続きまして、ユーザー企業様でいらっしゃいます東奥日報社の珍田様、よろしくお願いいたします。

珍田秀樹氏(以下、珍田):青森の新聞社、東奥日報社の珍田と申します。青森県内全域をエリアとしておりまして、青森に関わるすべての分野の取材をしております。

私の担当分野としては、事件、事故、スポーツなどの他、医療、福祉といった行政分野も担当しております。あと、写真報道部ということでドローンを飛ばしたり、いろいろなことをやりながら地域の画像・映像をアーカイブする仕事をしております。

近年はネットへの記事配信がどんどん増えていまして、青森県内だけの取材にはなりますけれども、それを全国に情報発信するということをやっています。Facebookさんもそうですけど、LINEさんやヤフーさんなど、いろんなところに出ている記事の配信でネット上の記事についても一翼を担っているというかたちになっております。

いろいろなネットの記事を作るにあたっては、やっぱり速報性が非常に大事になってきます。これは弊社だけではなくて、新聞各社、あるいはテレビなどのメディアが同じように取材をしたものをどんどん出していくという中で、競争してアクセスを勝ち取っていくことを考えますと、どうやって社内のコミュニケーションを取っていくかが大事になります。

現場とデスクとの連絡などについて、例えば記者会見の場では、なかなか電話で話をするというのが難しい状況にあります。そういった場面では、スッと手元に目線を移して、スマホで原稿をちょっと送ることで、その送ったものがそのまま速報になるとか、そういったことで非常に便利にLINE WORKSを使わせていただいております。

新聞社というのは、昔は仕事に出たらずっと出っぱなしで、24時間対応が普通だったんですが、働き方改革を意識するにあたって、どうやって休み時間を確保するかということを考えました。

いちいち会社に戻るのではなく、出先で5分間を仕事に回して終わらせ、あとは自分の自由な時間を作るということが大事になってまいります。そういった意味でも、非常に重宝して使っております。

ひところは100人以上いた記者も、今は70名ほどに減っております。担当分野も広がっているなかで、その減った人間同士が情報を共有しながら補完するという立場で、記事出稿をどれだけ効率化していくかというのが課題になります。

そういった部分も含めて、自分の担当以外のいろいろな分野についても記事を執筆したり、取材したりするに当たってLINE WORKSを使い、その分野に長けた記者に取材のポイントを聞くといったことも非常に重要になってまいります。このように、さまざまな活用の方法があります。

よろしくお願いします。

(会場拍手)

司会者:ありがとうございました。

テクノロジーと対極にある新聞社の経営課題

司会者:ここから先のお時間はディスカッションとなります。モデレーターを務めていただきます立教大学ビジネススクール教授の田中道昭様、どうぞよろしくお願いいたします。

田中道昭氏(以下、田中):ただいまご紹介いただきました、立教大学の田中でございます。本当はLINE WORKSの萩原さんとFacebookの宮原さんにも残っていただいて、ガチンコで長所短所みたいなところについてディスカッションしていただきたいなと思ったんですけど(笑)。どうもそういうセッションではないようなので、おとなしくモデレーターをさせていただきたいと思います。

今日みなさまがお集まりいただいているのは「経営課題 × SaaS テクノロジーと企業経営の未来を考えるカンファレンス」ということなので、できるだけそういうことにも訴求できるようなお話にしたいと思います。

最初のお題が、「コミュニケーション促進による経営者目線での経営課題」というところです。

LINE WORKSさんを導入されてらっしゃる東奥日報の珍田さんのお話の中で、速報性とかスピード、コミュニケーション、それから記事の質を高めるようなお話がありました。ずばり御社でこれを導入するに際しての、経営者目線での経営課題はどういうものがあったのでしょうか?

珍田:新聞社というのは非常に特殊な職場でして、弊社は今創立から130年くらい経っておりますけれども、テクノロジーとは対極にあるような業種で、現場仕事が中心になるわけなんです。

先ほど申し上げたとおり、ネット対応であるとか、いろいろ社会環境が変わってまいりましたので、その中でいかに効率化をするか。それから質を高めていくかということで、こういったツールを使ったらどうかということになりました。

やはりLINEですと、みなさん使い慣れていますので。Facebookさんなどもそうですけれども、研修が必要ないということで、使い始めたらどんどんどんどん広がっていくというような状況でございます。

業務状況がリアルタイムでわかることのメリット

田中:効率化と質という、2つの異質なポイントが出ました。そういう意味では、LINE WORKSをお使いになられて、より具体的に効率化と質についてそれぞれ訴求・貢献している感じですか?

珍田:例えば事件があった場合には休みであっても出ていくが、代わりに代休をどこかで取りましょうというところ。こういったことがLINE WORKSの中で共通認識として、「彼は今日休んでいる」とか、「今日は(休みだったけど)出ている」ということがわかりますよね。

青森県内は広いので、効率的に回るために県南・津軽地方とか、いろんな場所にそれぞれ記者が散っていたりする。じゃあ近い人間で集まりましょうとか、そういった意味では効率化ができています。「私は今ここにいるので、じゃあこっちに回りましょう」というように、編集部員がそれぞれ自分で判断できるということがあります。

あと、情報共有をしながら取材しておりますので、取材の内容はだいたいみんな頭に入っているわけですね。そうすると、原稿が締め切りギリギリに出ることもあるんですけれども、その時点で原稿が大外ししていることが少ないということで、デスク的にも非常に精神的に楽です。

部員としても、丸々書き直しをさせられることがあまりありませんので、そのあたりの時間短縮であったり、精神的なものであったりというところで非常にプラスになっていると思います。

田中:ありがとうございます。そのあたりの経営課題について、より詳しくおうかがいしていきたいと思います。

スピードアップと記事の質向上、両輪を回すことへのこだわり

田中:せっかくビジネススクールのプロフェッサーがモデレーターをさせていただいているので、1つおうかがいしたいことがあります。珍田さんはスピードと質を担保する、向上させるのだというところが最大のポイントだと思います。

実際にSaaSをどう使うかという話に入る前に、そもそも東奥日報社さんは記者として、あるいはメディアとして、スピードと質の向上をどこまで高めなきゃいけないと思っているのか。3年単位、5年単位でどこまで求められるのか。

スピードや記事の質に対するこだわりとか、あるいは近い未来にどこまでいくか。どれくらいの危機感を持っていらっしゃるのか。スピードと記事の質というところで、もう少しそこに対する哲学やこだわり、想いみたいなものを語っていただけますか?

珍田:スピードに関しては、もともと新聞社というのは完成形の記事を印刷して配達するということで、完結させた情報を出すというのが大前提なんです。

それがネット時代になりまして、発生からの過程から、随時情報を出していって、情報を回す。あとはWebで一報、二報、三報と続けて出していくということで、できるだけ早い段階で、物事が確定する前にどんどん出していくというスピードが求められるようになりました。

しかも、同じような取材をしているマスコミ各社が青森県内だけでも十数社あります。テレビ、新聞、ラジオであるとか、通信社とか、そういったところとの競争にもなりますので。

のちほどお話しますけれども、大間のマグロについての速報は、大手の朝日新聞社さんや日経新聞さんなどと競り合いながら、ページビューを稼ぐというようなことも必要になっております。

質に関しては、どんどん人が減っている状況にありますので、1人が持つ分野がどんどん広がっていっています。それからちゃんと休みを取るためには、過去に休みを潰して取材していたものができなくなっていくという状況になっています。そこを、同レベルのままで最低限維持していく。できれば厚みをもたせるということです。

これまで記事というのは、基本的に担当記者が1人で取材をして行うことが多かったんですが、今は取材の過程でいろんな視点が入って、先輩や専門家からのアドバイスといったものをどんどん入れて質を上げています。むしろ以前より質が上がっているのではないかなという実感があります。

田中:ありがとうございます。

大間のマグロを巡る、距離を感じさせないコミュニケーション

田中:では2つ目のテーマに移っていきたいと思います。導入されているSaaSが、経営課題にどう貢献したのかというところについて、お話しをしていきたいと思いますけれども。

珍田さんからなにかお伝えしたいことがあれば、そのあたりも含めてお答えをいただければと思います。とくに、先ほどからおうかがいしているスピード、それから記事の質というところについて、SaaSがどう貢献してきたのか。現在進行形だと思いますけれども、ちょっとお話をいただけますか?

珍田:実例をお話ししたほうがわかりやすいと思います。

みなさんもご記憶に新しいかと……いや、新しくないか。今年の豊洲の初競りでの、大間のマグロ。大間は実は青森で、下北半島の突端の、むしろ北海道に近いところになります。

大間で大きなマグロがあがりましたよ、という情報が年末に入りまして、まずは事前の取材をしておりました。当然豊洲の初競りでは相当な値が付くだろうということで、大間の担当のむつ支局というところと、本社と東京支社の3者で情報共有しながら、どうやってやりましょうかと話をしました。絶対に朝日新聞が出てきてスピードで勝負してくるよという話もありましたので、なんとか全国紙の前に出ようということで話をしておりまして。

その日、実はサッカーの選手権が開催中で、青森の青森山田高校が結果的に優勝したんですが、そちらのほうに人を取られていまして、豊洲には1人しかやれないという状況にありました。「豊洲の中にいると大間マグロの画像、映像が撮れないね」という話をしながら、「撮れなかったら撮れなかったで仕方ないよ」という話は事前にしていたんですけれども、現場から情報がどんどん上がってきました。

現場にいても、確定値がでるまであと3時間かかりますと。「じゃあどうしましょうか」「写真撮りに走りましょうか」「じゃあ行ってちょうだい」と、そういったライブ感のあるやり取りをしながら、こういった映像、写真を撮ったということになります。

こういったかたちで青森から大間まで車で4時間、青森から東京まで600何十キロという距離感を、まったく感じさせないやり取りで情報を共有できました。

普通のLINEと、LINE WORKSはどう違うのか

珍田:最近ですと、統一選のあと公職選挙法違反で県議会議員が逮捕されたことがありましたけれども、そのとき私はちょうど山に登っていまして。岩木山という青森の最高峰の山で、高さは1625メートル。その翌週は、立山の室堂山荘という2400メートルの地点にいたんですが、そのときも事件がありまして。

そのときは一気に担当記者を集めたグループを作りました。それを作ったのも、今年入った新入社員なんですよね。「こいつ、ここまで気が利くんだ」というようなことがありましたけれども。そういったかたちでどんどんどんどん使い方がバラエティに富んでいって、進化しているということで非常に期待しております。

新聞社の社会部長というのは非常に怖い役職と言いますか、近寄りがたいんですけれども、気軽にスタンプを送られたりですね。そういったかたちで、わりと部員とフレンドリーなやり取りができているという点では役立っていますね。

田中:ありがとうございます。おそらくここまでおうかがいして、聞かれている方は「我々が使っているコミュニケーションアプリとどう違うんだろう?」というところが、まだなかなか伝わっていないと思います。普通の方が使われているコミュニケーションのアプリとは、ずばりどこがどう違うんですか?

珍田:あまりどこが違うというイメージは持ってないんですけれども、例えば私が今年の新入社員に「LINEで友達になりましょう」とはなかなか言いづらいですよね。でも、「うちの会社ではこういうツールを使ってます」ということでつながるのはぜんぜんありだと思いますし、セキュリティもしっかりしている。きちっとログを残して部内で管理できるというところも魅力の1つだと思います。

田中:なるほどですね。個人でLINEでつながろうとすると、今だとブラック企業になりかねないので。そのあたりが、会社で導入することでスムーズになったというのと、セキュリティがきっちりしているのでいろんなマネジメントがしやすいということですかね。

場所に縛られない働き方ができ、モチベーションもアップ

田中:次におうかがいしたいのは経営課題です。そもそもコミュニケーションとかスピードというのが出てきていますけど、その先にあるものというか。もうちょっとラダーアップしていくと、社員のやりがいや働きがい、HRの世界で言うとエンプロイーエクスペリエンスとか、エンゲージメントとか。

それが達成できて初めて生産性の向上であって。経営側としては生産性の向上が目的ではなくて社員の人のエンゲージメントを高めるとか、社員の人のエクスペリエンスを高めるとか。それによって、優れたカスタマーエクスペリエンスが提供されるようなところだと思うので。

生産性の向上や経営者の視線を一旦離れて、その先にあるものと言ったほうがいいかもしれませんけど。実際にお使いになられて、社員の方のやりがいとかモチベーションとかエンゲージメントとかエクスペリエンスの向上にも役立っているのかどうか。そのへんがすごく知りたいところなんですけれども。珍田さんはいかがでしょうか?

珍田:やはりコミュニケーションが非常に密にできるようになって、これまで働く時間や場所がずれているので会うこともなかった同僚や先輩から「この記事よかったね」とか「これ、俺が持ってるネタと組み合わせるともっと良くならない?」といったかたちで、どんどんどんどんいろんなやり取りが発生してまいりました。

昔は「映画を見るな」と言われていたんですね。映画を見ている間にサイレンが鳴ってもわからないからと言って、映画も見られなかったんですけど。今は映画を見ていても、山に登っていても、自分の時間を自由に使いながら、その一部を仕事に当てることが可能になりました。

生活自体も記事の質自体も向上していると思います。それによって英気を養って、また仕事に向かおうというかたちで、前向きになっているという部員が多いと感じています。

田中:ありがとうございます。

地域コミュニティの中心に在り続けるためにすべきこと

田中:残り時間が迫ってまいりました。最後にそれぞれにおうかがいしたいことがあります。青森のメディアとして、3年後、5年後にどういう存在で、地方のメディアとして在りたいのか。何を伝えたいのかというのもおうかがいしたい。

また、その自分のミッションに対して、今回導入されたコミュニケーションアプリがどう貢献するのか。ご自分の3年後、5年後の地方メディアとしてのビジョン、ミッションの実現に、今お使いになっているものがどう貢献してくれそうかをお話しいただけますか?

珍田:人口が減少する中で、地域もどんどん縮小している状態にあります。100年以上地域で報道してきたわけですが、より一層、地域住民に寄り添った報道が必要になってくると思います。

常に地域コミュニティの中心に在り続けたいと思っていますので、その方向で動くためにも、より住民と接点を持つこと。記者が、自分たちが接点を持ったものをみんなと共有することで、LINE WORKSを使いながら、いろんな住民が持っている想いを記事に、あるいは写真にして発信していきたいなと思っております。

田中:ありがとうございます。コミュニケーション促進による経営課題へのインパクトということで、やはりキーワードとしてはコミュニケーションやスピードといったことでした。

私のポジションからすると、生産性とか経営課題の前に、やっぱり社員の価値を大切にしていただきたいと思いますし、それにも貢献するコミュニケーションツールとしてお使いいただければと思います。

そんな中で、ぜひそれぞれのミッション、ビジョンを実現していっていただければと思います。期待しております。

ご清聴いただきましてありがとうございました。

(会場拍手)