2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
トップダウンとボトムアップ、両面で作る日本一働きたい会社(全1記事)
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山岡早穂氏:みなさん、こんばんは。株式会社LIFULLの山岡と申します。本日はインナーブランディングや企業ブランディングというテーマでご依頼をいただきました。私からは、「トップダウンとボトムアップ、両面で作る日本一働きたい会社」をテーマに、弊社で取り組んでいることについてお話しさせていただきたいと思います。
短い間ですがどうぞよろしくお願いいたします。
まずはLIFULLのご紹介です。弊社の従業員数は、連結でだいたい1,400人ぐらいいる会社でして、現在東証一部に上場しております。
メインの事業は「LIFULL HOME’S」という不動産住宅情報サイトで、今は本田翼さんにCMに出ていただいています。
LIFULL HOME’Sが主な事業ではあるのですが、実はいろいろ新規事業も始めております。地方創生事業や、グループ会社では介護の検索サイトだったり、インテリアの紹介サイトだったり、変わったところだとお花の定期便サブスクリプションサービスなんかも始めております。
さらにこれも意外だと思いますが、実は海外展開も行っていて、スペインの子会社が2社ありましてその会社を中心に63カ国までを展開国を増やしている状況です。
私の紹介としては、LIFULLのクリエイティブ本部という部署に所属しておりまして、ストラテジー・PR・広報・デザインなど外部に発信していくものをすべて担っている部門になります。その中で、現状は社外コーポレート広報や社内広報を主に担当しています。
ではさっそく、本日お伝えすることを大きく2点、まとめてきました。1点目は、弊社が2017年の4月に社名を変更しておりまして、その際のブランディングの話を少し前座で触れさせていただきます。その後の2つ目が本題で、インナーブランディングについて、弊社のカルチャーなどについてお話しさせていただければと思います。
まず、社名を変えたのはちょうど弊社が成立20年というタイミングでした。以前はネクストという会社名でやっておりまして、コーポレートカラーもオレンジではなくブルーだったんですね。変更後の社名はこれ(LIFULL)でライフルと読みます。
これは造語でして、「LIFE(ライフ)」というのが人生と暮らし、「FULL(フル)」が満たすで、こちらを掛け合わせて作っています。とくにプロのコピーライターなど外部に依頼したわけではなくて、社内公募でLIFULLという社名を選びました。
同じタイミングでコーポレートメッセージを「あらゆるLIFEを、FULLに。」というというメッセージに変更しました。
さらに同じタイミングで、サービス名においても、すべてマスターブランド戦略に統一を行いました。それまでさまざまなサービス名が散らばっている状況だったんですけれども、頭にすべてLIFULLという言葉をつけ、「LIFULL HOME’S」だったり「LIFULL介護」だったりと統一していきました。
社内的には大きな変更だったので、インナーブランディングの取り組みをいくつも行いました。
今回は抜粋していくつかお伝えします。まず1つ目は、社内に説明していく上でいくつも説明会や、全社総会で説明を繰り返し行ってきました。
ただやはり社内のメンバーだけで伝えるよりも、社外からの客観的な考え等も取り入れながら伝えた方が、社員の納得感もあるので、当時ブランディングパートナーになってくれていた外部の方とともに説明を繰り返し行いました。コーポレートサイトでも、弊社の代表の対談を行ったりだとか、外部内部の両方に向けて理解促進を行っていきました。
その他にはムービーの作成などですね。社内限定と社外公開用の2種類を合わせて作り、毎年4月に行うキックオフイベントでお披露目をしました。すべてを言葉で伝えるよりも、ビジュアルやムービーでこそ伝わるものがあると思うので、社員のモチベーションだったり士気を高める施策になったんじゃないかなと思います。
3つ目ですが、こちらはけっこう重要かなと思います。
これまで、1番左側にある社是・経営理念・ガイドラインは、弊社の創業以来ずっと存在していたものだったんですね。一方で右側のLIFULL Act、コーポレートメッセージ、ステートメントというのは、社名変更のタイミングで新しく作ったものだったり、新しく変更したものだったりとかが出てきました。
そうすると、社内にいろんなキーワードやメッセージが散在している状況になってしまって、何がどういった位置づけなのか、どれがメインで発信していくべきメッセージなのかが、レベル感としてもバラバラになっている状況でした。
なので、一度整理を行いまして、「社内の中に大事に留めていくもの・社員がわかって理解しておけばよいもの」「社外に『LIFULLってこういう会社なんですよ』と発信するために伝えていくべきもの」という2つの軸で大きく分けて、このような大きな整理の仕方をしました。
現状は、コーポレートメッセージの「あらゆるLIFEを、FULLに。」という言葉がLIFULLの企業姿勢を分かりやすく表しているメッセージなので、社外には1番頻度高く発信していっています。
(スライドを見せながら)先ほどの整理した役割を図にするとかなり細くなってしまうのですが……こういったかたちで、用途だったり目的だったりをレベル感に分けて整理したものがこちらになります。
さらに、このタイミングでオフィス移転も行いました。それまでは品川にある新築のビルの一室に入居していたんですけれども、築50年のビルを一棟丸々借りまして、フルリノベーションして現在の本社にしています。これも実は弊社のカルチャーがすごく活かされた移転プロジェクトだったなと思うので、ぜひご紹介したいと思います。
まず移転のきっかけが、もちろんオフィスのキャパシティーが狭くなってきたというのが大前提ですが、ある社内イベントでひとりの社員が「不動産業界では、中古物件の活性化が課題なのに、新築ピカピカのビルにオフィスがあるっておかしくないですか?」と発言したんです。
弊社のメイン事業である不動産業界というのは今、空き家がたくさん増えていて、中古領域の物件の活性化が非常に課題になっているんですね。
そんな課題提起に「それは確かにそうだね」と経営陣の同意があり、次の移転先は中古ビルを一棟まるごとフルリノベーションできるオフィス、ということがが決定しました。当時都内に該当するのが2棟しかなかったそうなので、担当の総務部門はとても苦労したと思いますが(笑)。
さらにコンセプトの部分でいいますと、こちらも例えば、総務部門だったり経営部門だったりが勝手にコンセプトを決めるのではなく、社員を交えた移転プロジェクトグループが立ち上がり、その中でどういったコンセプトのオフィスあればLIFULLらしいのかということを話し合いまして、決定したのが「ENGAWA(縁側)」というコンセプトになります。
意図としては、オープンイノベーションをより一層活性化していくことを目的に、縁側って日本古来の家と外のちょうど中間部分だと思うので、そういった中と外が混じり合うことに積極的な会社であり、そんなオフィスになっていきたいという思いでこういったコンセプトに決定しました。
せっかくなので少しオフィスを紹介します。お近くにいらっしゃった際は、ぜひ本当に来ていただければと思います。1階は社食兼、どなたでも利用していただけるカフェになっております。野菜を中心に使ったヘルシーなメニューをお出ししているようなレストランになっています。
2階はコワーキングスペースにしました。フリーランスの方やスタートアップの方にご利用いただいています。
あとデジタルファブリケーションスペースというのも設置しております。ちょっと聞き慣れない言葉だと思うんですけども、3Dプリンターやレーザーカッターなど、新しい技術をいろいろ試していただけるスペースになっています。
では続いて、本日の本題のインナーブランディング、そしてカルチャーというところをお伝えさせていただきます。弊社が創業以来ずっと目指し続けてきたのは「日本一働きがいのある会社」です。
よく「働きやすい会社」と間違えられてしまうのですが、そうではなく、社員がモチベーションを高く「この会社で働いて、こういうビジョンを実現していきたい」と思えるような会社を目指してきました。
その結果、ベストモチベーションカンパニーアワードや働きがいのある会社というところで、常に上位のランキングに常に入るような会社になってきました。
トータルで12年間、プロジェクトを行ってきまして、本にまとめて2017年の4月に出版しています。弊社の人事本部長が書いたもので、アマゾンとか書店でもしばらく売り切れが続いていました。現在は購入いただけますので、もしご興味のある方は書店で手に取ってみてください。
このスライドが、実は今日、私が1番にお伝えしたいことです。インナーブランディングとかカルチャーというのは、弊社の中ではどこか特定の部署が行うものではなくて、全員で作り上げるもの、になっていると思います。「徹底した巻き込み方」とここに記載していることを、ちょっと細かくご説明していきます。
インナーブランディングや社内報を担う部門というのは、人事だったり、広報だったり、総務だったり、特定の部門で行うのがおそらく一般的だと思います。弊社の場合はいろんな部門が連携をして複合的にいろんな施策を行っています。
さらに特徴的なのは、右側に記載した「ワーキンググループ」です。基本的には、社内の有志メンバーで構成し、会社をより良くしていくための活動をそれぞれが行っています。
左から説明していきますと、人事に関しましては、やはり多数の役割を担っていて、例えば、ビジョンを再検討する際にリードしたり、半年ごとにチームビルディングを主導したり、LIFULL大学というコーポレートユニバーシティの運営など、そういった中心になって行っています。
広報は発信がメインなので、社内のイントラネットや、役員が社員にメッセージを伝える社内ブログの発信を行ったりします。総務部門に関しては、総会やキックオフ等社内イベントの運営、ちょっと変わったところでコンパというものがあります。いわゆる合コンとかではありません(笑)。NHKの『白熱教室』とかをイメージしていただけるとすごく近いです。
全従業員をだいたい5~6回に分けて、全員が参加できるように行うイベントなんですが、例えば「今の売り上げを10倍にするには?」のようなテーマについて、グループで議論をするんです。
議論の前に導入として、弊社の代表がモデレーターを務めて、部長クラスの社員が何名か前に出て白熱教室のようなパネルディスカッションを行います。その後に、各テーブルで議論を深めていき、最後にそれぞれが話したことを全員で共有するというものです。
そしてワーキンググループは、ここに書ききれなかったものも含めて、全部で20くらいあります。「会社をこんなふうに変えていきたい」とか、「こういう制度があったらもっといい」と考えた社員たちがどんどん立ち上げていくので、それが結果的に弊社らしいインナーブランディングやカルチャーになっているのではないかと思います。
ワーキンググループの中で、2つほどご紹介させてください。1つは「ビジョンプロジェクト」というものです。
こちらはビジョンを会社に深く浸透させて、社員一人ひとりがそのビジョンの体現者になれるようを実現していくプロジェクトになります。
発足のきっかけは海外研修です。弊社は毎年海外研修を行っておりまして、選抜メンバーが海外に行きます。この時にビジョン経営ですごく有名なアメリカのザッポス社というところをメンバーが訪問しましたが、ザッポス社の社員一人ひとりがすごくビジョン経営を体現していることに感銘を受けて帰国しました。
LIFULLもビジョンを社員ひとりひとりが「理解」だけでなく「体現」までできる会社にしていきたいということで、海外研修メンバーが提案したことがきっかけになります。
今は、こちらにあるような5つのチームに分かれて施策を行っていて、毎年だいたい50人から60人ぐらいの人数が参加しています。弊社のワーキンググループの中でも、おそらく1番大きな組織になります。
ビジョンプロジェクトの1つの取り組みとして、ビジョンツリーというものを行っています。例えばこれは、人事本部のツリーなのですが、1番上が経営理念ですね。会社のビジョンと言ってもいいと思います。その下に人事本部のビジョン。その下はグループのビジョンがあります。弊社は組織の最小の単位がグループで、その最少単位のグループまで全てビジョンというものを持っているんですね。
これが自分のグループはこういうビジョンを持っていて、それが経営理念にこのようにつながっている、ということを全社員が理解するためのビジョンツリーになります。こちらを作る施策というのが、先ほど紹介したビジョンプロジェクトメンバーが中心になって行っています。
もちろんこちら役員も参加しておりまして、役員チームというのもあります。
こちらの「役員の心得」というのでは、「経営理念を常に掲げます」とか、「経営理念と一貫性のある指示を出します」とか「経営理念を実現したいと思う社員だけをマネージャーに任命します」とか、マネージャーがビジョンに紐付いて心得として持っておくことを書いています。
半年に1回社員向けの役員を評価するアンケートがありまして、「この役員はこの心得をちゃんと体現できていたか」ということが実際の役員の評価にも反映されるような仕組みになっています。
もう1つ紹介するのが「もちもちWG」というものです。
ちょっと名前が可愛い感じなんです(笑)。このワーキンググループは子持ちとか持病持ちとかが「もちもち」で、それぞれ事情を持ちながらもがんばって働いている社員たちをサポートするという、主にママ社員が中心で活躍しているワーキンググループになります。
育児や介護に関する情報をまとめた社内向けのウェブサイトでの情報発信だったり、復職したママ向けや、これから産休に入るプレママ向け、保活など、経験者だからこそできるセミナーとして主催してくれたりしています。
このようなワーキンググル―プは、基本的に有志で運営しています。どうやったら有志で参加するようになるのかを、私も取材対応していてよく聞かれるんですが、大きくはこの2つではないかと思います。
1つは「内発的動機つづけ」、もう1つは「圧倒的当事者意識」。誰かがやってくれるのではなくて、自分が変えていきたいところを、社員からいかに引き出していけるかというところですね。
弊社が、社員の自発的な行動を促す仕組みとして位置づけているものがこちらの図になります。
左半分が内発的動機づけの明確化。まずこちらのステップが必要になると考えています。キャリアデザインシートというものが、半年に1度、弊社の評価面談の時に提出するものです。こちらで半年後、3年後、5年後それぞれにやっていきたいことやビジョンを、直属の上司とすり合わせを行います。
例えば、職種を変えたいとかこの部門に異動したいということであればキャリア選択制度というものがあり、異動先の部署の上司と面談を行って、異動していくというステップが考えられます。もちろん、すぐに全て叶うかというとそうではないんですけども、そういったステップを踏むことができる可能性があるということですね。
その下においても、「例えば新規事業を立ち上げたい」とか、エンジニアの方であれば「新しい技術に挑戦したい」とか、社員の中にあるいろいろなモチベーションや、こう働いていきたいという思いがあると思うので、それに全て対応していくというか、受け入れる仕組みがありますよというところを整えていっているということですね。
もう1つ、これは弊社がとても大事にしている考え方なのでぜひお伝えしたいです。挑戦する仕組みがあったとしても、「挑戦して失敗したらどうしよう」とか「認められなかったらどうしよう」ということが、社員の挑戦を妨げるネックにならないように、薩摩の教えという考え方を大事にしています。
評価するべき順番を書いているのですが、読み上げると、「一、何かに挑戦し、成功した人。二、何かに挑戦し、失敗した人。三、挑戦してはいないが挑戦する人を手助けした人。四、何もしない人。五、何もしないで、他人を批判するだけの人」。
この順番で偉い、称えるべきですよということを言っているんですね。失敗というのは2番目にきています。挑戦して失敗したとしても2番目に偉い。とにかく挑戦をまずやってみることが、弊社では称える基準ですよというカルチャーを根付かせています。
ちょっと時間がなくなってきたので……こちらは先ほどお伝えした、例えば営業から企画部門に異動したいといった、職種の変更の可能性があるというステップになります。いくつか施策をお伝えしています。
新規事業をやりたいという方に関しては、社員なら誰でも応募が可能な新規事業提案制度「SWITCH」というものを用意しています。だいたい年間150件くらいの応募がありまして、過去には時短のママ社員や入社2年目の社員が入賞しました。今どちらもグループ会社として独立しています。
あとエンジニアの方とかで新しいことに挑戦したいという場合にはだいたい年間10パーセントを自分の研究開発に当てることができるクリエイターの日とか。
また、先ほどお伝えしたコーポレートユニバーシティーでの生徒はもちろん社員で、先生もほとんどの場合は社員なんですね。自分が持っている得意な分野をおすそ分けというか、社員同士で学びあう文化を醸成しています。
ここまで、社内広報・インナーブランディングのお伝えをしてきました。私の部門で社内広報・コーポレート広報というのもどちらも行っていますので、最後に1点だけ、社外PRと社内PRは表裏一体ということもお伝えさせていただきたいなと思います。
直接社内向けに発信していくことももちろん大事なんですけども、逆に社外に発信していたことを外の方がなにか評価をしてくれたり、メディアにとりあげられたして、それが社内に跳ね返って、結果的にインナーブランディングになるなということも考えています。
例えば、2つ例を紹介したいんですが、いまプロサッカー選手の長友さんにアンバサダーとして就任いただいています。長友さんの世界に向けて挑戦する姿勢が弊社にとてもマッチしている人物ということで起用しているので、そういった姿を見て、LIFULLもこうやってチャレンジしている会社、と社員に感じてほしいという思いがあります。
あとは木の間伐材を20%ぐらい使ったパウンドケーキを開発して販売しています。間伐材って今、林業の業界ですごく社会課題になっているんですが、そういった課題を解決するためのプロジェクトを私が所属するクリエイティブ本部発信で行っていて、「LIFULLって世の中の困っていることをどんどん解決していく会社」ということを社員が再認識できる機会になっているんじゃないかと思います。
このケーキも、先ほどお伝えした弊社1FのカフェLIFULL Tableで食べていただけるので、もしご興味があればぜひ食べてみてください。
それでは駆け足になってしまったんですけれどもいくつか施策をお伝えさせていただきました。またこの後、交流会なんかもあるかと思いますので、ご質問などがあれば、ぜひお話しできればと思います。
今日は本当にありがとうございました。
(会場拍手)
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