コミュニケーションコストの少なさが最大の強みに
田中耕太郎氏(以下、田中):それでは次に、自社チームの強みと弱みについてお聞きしたいと思います。
これは個人的にすごく興味がありまして、例えばメルカリはビジネスサイドの人が多いチーム構成になっています。みなさんも、機械学習エンジニアの方と一緒に働いていたり、チームとしての強みがかなり違うんじゃないかと思っていて、そのあたりをぜひご説明いただきたいと思います。
では、阿部さんはいかがですか。
阿部昌利氏(以下、阿部):うちは6月に設立したばかりの若い組織です。メンバー構成も10人中2人が新卒で、他のメンバーも若手が多い。正直に申し上げると「経験が浅い」っていうのが弱みと言えば弱みです。
だからこそ育成には妥協せず、みんなで成長していけるチーム作りを強く意識しています。
田中:課題設定などは経験が必要な場合もあると思います。どうやってチームとして課題設定をしていくんですか?
阿部:そうですね。毎日1時間のチーム会で実現していきます。ドメイン知識としては、AbemaTV設立からずっとアナリストとして関わっている者が2、3名います。そこに私が、10年近く経験してきたことを加えるようなイメージですね。
田中:これが強みだというものがあれば。
阿部:そうですね。これはチームというより会社の強みでもありますが、コミュニケーションコストがかからないこと。採用基準に「素直でいいヤツ」という基準が設けられているので、ビジネスサイド・エンジニア共にコミュニケーションが取りやすく、チャレンジを大事にするカルチャーのため、大きな分析プロジェクトにも挑戦しやすいのが強みです。
アナリストととか、MLエンジニアってこだわりのある人が多いと思うんですよ。
田中:多い。
阿部:間違いなく多い(笑)。
(会場笑)
そういう意味で、チーム内に限って言っても、コミュニケーションが取りやすいですね。ということで、チーム内外問わずコミュニケーションコストが少ないっていうのが、他の会社にはない強みだと考えています。
「素直さ」があれば、悩みがポジティブになる
田中:鎌田さんはいかがですか。チームの強み。
鎌田真太郎氏(以下、鎌田):はい。僕も同じテーマですか?
田中:はい、同じテーマで各社のお話をうかがいたいと思っています。
鎌田:それでは逆に、阿部さんに聞いてもよろしいですか。
田中:どうぞ。
鎌田:けっこうキャリアが少ないといいますか、経験がそこまでない人たち中心とのことですが、それはなにか意図があってのことなんですか?
阿部:今事業にコミットして一緒にやっていける人材を集めたら、自然とそうなったというかたちですね。
グループ全体でいくと、経験豊富なメンバーも結構いるんですが、今このタイミングでジョインできるのが現メンバーだったという形です。
田中:なるほど、松田さんはどうですか?
松田慎太郎氏(以下、松田):そうですね。AbemaTVさんの強みの「素直さ」ですが、これがあってよかったなと実感したシーンはどんな時ですか?
阿部:もっとこれを改善したい、もっと突き詰めたいと、悩みが常にポジティブなことはプラスに働きますよね。あと僕は単純に、元気よくコミュニケーションができる人たちがやっぱり好きなんで(笑)。
(会場笑)
松田:確かに、チームの外でも中でも、話すときにそのインターフェイスが素直だったりすると、あまり軋轢などもないですよね。
阿部:そうですね。話せばわかり合えるっていうことに信を置けるのは、分析プロジェクトを進めていく上で、実はかなりありがたいですね。
田中:ではメルカリの分析チームの弱みはなんですか?
松田:僕らのチームは「意思決定を良くしていく」と、フォーカスすべきテーマを絞り込んでいます。これにより、カバーできていない範囲がすごくたくさんあると思っています。
例えば、マシンラーニングのビジネス応用のような、アナリティクスに隣接するテーマもあれば、単純にリソース不足でアナリストが支援できていないチームもあります。なので僕はチームのポテンシャルを100パーセント発揮できている感じは全くしなくて。まだ未開、かつ魅力的な領域がたくさんあるなと思っています。
『アベンジャーズ』化するfreeeの分析チーム
田中:強みと弱みを語っていただきましたので、次は「チーム作り・メンバー育成」についてお話を聞かせてください。チームとして身につけるべきスキルはどのようなものだとお考えですか? 鎌田さんから、いいでしょうか。