チームメンバーを疲弊させない、仕事の正しい断り方
データアナリスト組織の強い企業で、分析チームリーダーが実践していること

パネルトーク第一部 〜自己紹介/チーム紹介〜 #2/2

Data Analyst Leaders Talk! #3
に開催

2019年5月28日、株式会社メルペイにて「Data Analyst Leaders Talk! #3」が開催されました。データ分析の力を最大限に活用し、成長を続けている注目企業の分析チームの責任者が、分析とデータアナリスト組織について語るこのイベント。第3回となる今回は、AbemaTV・freee・メルカリ・メルペイの4社、それぞれの分析チームのマネージャーが、自社のデータ分析のチーム構成や組織、そして求める人材像などについてパネル形式でディスカッションを行いました。本記事では、第一部のトークセッションより、自社分析チームの強み・弱みなどに語ったパートを中心にお送りします。

コミュニケーションコストの少なさが最大の強みに

田中耕太郎氏(以下、田中):それでは次に、自社チームの強みと弱みについてお聞きしたいと思います。

これは個人的にすごく興味がありまして、例えばメルカリはビジネスサイドの人が多いチーム構成になっています。みなさんも、機械学習エンジニアの方と一緒に働いていたり、チームとしての強みがかなり違うんじゃないかと思っていて、そのあたりをぜひご説明いただきたいと思います。

では、阿部さんはいかがですか。

阿部昌利氏(以下、阿部):うちは6月に設立したばかりの若い組織です。メンバー構成も10人中2人が新卒で、他のメンバーも若手が多い。正直に申し上げると「経験が浅い」っていうのが弱みと言えば弱みです。

だからこそ育成には妥協せず、みんなで成長していけるチーム作りを強く意識しています。

田中:課題設定などは経験が必要な場合もあると思います。どうやってチームとして課題設定をしていくんですか?

阿部:そうですね。毎日1時間のチーム会で実現していきます。ドメイン知識としては、AbemaTV設立からずっとアナリストとして関わっている者が2、3名います。そこに私が、10年近く経験してきたことを加えるようなイメージですね。

田中:これが強みだというものがあれば。

阿部:そうですね。これはチームというより会社の強みでもありますが、コミュニケーションコストがかからないこと。採用基準に「素直でいいヤツ」という基準が設けられているので、ビジネスサイド・エンジニア共にコミュニケーションが取りやすく、チャレンジを大事にするカルチャーのため、大きな分析プロジェクトにも挑戦しやすいのが強みです。

アナリストととか、MLエンジニアってこだわりのある人が多いと思うんですよ。

田中:多い。

阿部:間違いなく多い(笑)。

(会場笑)

そういう意味で、チーム内に限って言っても、コミュニケーションが取りやすいですね。ということで、チーム内外問わずコミュニケーションコストが少ないっていうのが、他の会社にはない強みだと考えています。

「素直さ」があれば、悩みがポジティブになる

田中:鎌田さんはいかがですか。チームの強み。

鎌田真太郎氏(以下、鎌田):はい。僕も同じテーマですか?

田中:はい、同じテーマで各社のお話をうかがいたいと思っています。

鎌田:それでは逆に、阿部さんに聞いてもよろしいですか。

田中:どうぞ。

鎌田:けっこうキャリアが少ないといいますか、経験がそこまでない人たち中心とのことですが、それはなにか意図があってのことなんですか?

阿部:今事業にコミットして一緒にやっていける人材を集めたら、自然とそうなったというかたちですね。

グループ全体でいくと、経験豊富なメンバーも結構いるんですが、今このタイミングでジョインできるのが現メンバーだったという形です。

田中:なるほど、松田さんはどうですか?

松田慎太郎氏(以下、松田):そうですね。AbemaTVさんの強みの「素直さ」ですが、これがあってよかったなと実感したシーンはどんな時ですか?

阿部:もっとこれを改善したい、もっと突き詰めたいと、悩みが常にポジティブなことはプラスに働きますよね。あと僕は単純に、元気よくコミュニケーションができる人たちがやっぱり好きなんで(笑)。

(会場笑)

松田:確かに、チームの外でも中でも、話すときにそのインターフェイスが素直だったりすると、あまり軋轢などもないですよね。

阿部:そうですね。話せばわかり合えるっていうことに信を置けるのは、分析プロジェクトを進めていく上で、実はかなりありがたいですね。

田中:ではメルカリの分析チームの弱みはなんですか?

松田:僕らのチームは「意思決定を良くしていく」と、フォーカスすべきテーマを絞り込んでいます。これにより、カバーできていない範囲がすごくたくさんあると思っています。

例えば、マシンラーニングのビジネス応用のような、アナリティクスに隣接するテーマもあれば、単純にリソース不足でアナリストが支援できていないチームもあります。なので僕はチームのポテンシャルを100パーセント発揮できている感じは全くしなくて。まだ未開、かつ魅力的な領域がたくさんあるなと思っています。

『アベンジャーズ』化するfreeeの分析チーム

田中:強みと弱みを語っていただきましたので、次は「チーム作り・メンバー育成」についてお話を聞かせてください。チームとして身につけるべきスキルはどのようなものだとお考えですか? 鎌田さんから、いいでしょうか。

鎌田:はい。うちのチームはオブジェクティブに「アベンジャーズになる」というのを掲げていまして。なんのこっちゃと思うでしょうが。

(会場笑)

分析チームというのは、かなりいろんなスキルを使いますよね。サイエンスをやったり、ビジネスがあったり、可視化をしたり、基盤を作ったり。そうしたことを1チームで全部担保できているチームはまだ少ないと思っています。僕らのチームは、それら全部に対して、チームとしてスペシャリティを持とうということを、今目標として持っているんです。

ビジネスを突き詰めるのであれば、事業部やPMの人たちよりもはるかにビジネスのことを数字として理解できていたり、基盤を作るのであればエンジニア組織よりも分析の基盤に関して特化して強くなろうというような。そうした強みを活かしていく方向性でのチーム作りをしています。

育成というわけではありませんが、個々人の目標においても、まぁ今「クォーター、あるいはこの半期でこれを伸ばします」と言えば、もう派手なキャリアチェンジじゃなくてもぜんぜん問題ありませんので。

その基盤に触ったことはなくても、「半年間エンジニアをやります」と言われたら、「おう、がんばってくれ」という感じで、そこに対するサポートも全力でします。サイエンスをやってみたいですとなれば、予測モデルを半年かけて、精度を上げてみようかというような感じの、かなり思い切ったアサインの変更なども、もちろん全社の都合に合わせながらでもありますが、そうしてやっていくのがうちのチーム作りの方針ですね。

田中:今期はこれがやりたいです、という相談があって、それなら一緒に考えようかといった流れですか。

鎌田:そうですね。みなさんもうやる気の塊なんで、どんどんどんどんこれやらせろと言うような、その応援をいたします。

(会場笑)

松田:キャリアチェンジをすると、メンターが付くんですか?

鎌田:そうですね。ある程度は、他の部署も含めてやり取りする相手がガラリと変わるので、流れ的にメンターになってもらうくらいの勢いです。

松田:ああ、なるほど。それはいいですね。

阿部:個人の希望と会社の希望が合わないときはどうしているんですか?

鎌田:そうですね。もちろん100パーセント希望が叶うということはなかなかありませんが、3割くらいは叶うようにうまいこと採用をしたり、あるいはなにか目的を高くするといったような変更はよくしていますね。

なんとなく集計やデータの民主化的なプロジェクトをやっているところに、基盤を混ぜてしまったり。そうした混ぜ方で、上手いことやっていますね。

人の分析を追体験する機会

田中:阿部さんのところはいかがですか?

阿部:そうですね。育成に関しては、個人的なこだわりがあって、メンバーには「サバイバルできるようにしてやる」と言っています。

それくらい、育成に関しては本気でコミットしたいと思っているこということが、まず前提にあります。それを担保していくものとして、先ほども言ったチーム会ですね。今、それぞれ何を分析しているのか、どんな結果が今出てきていて、次にどうするべきかということを議論する場を本当に大切にしてます。

他の人の分析というのは、最初からどのようにやっていったのかを崩して見ていくことで、分析の追体験になると考えています。

追体験をすることによって、アナリストとしての経験値が増えますし、1人で取り組むよりも、成長・育成スピードは何倍にも上がると私は考えています。

田中:追体験というのは、分析の共有会や、そうした仕組みですか?

阿部:そうですね。それが毎日のチーム会ですね。

プロジェクトへのアサインは2人1組が基本

田中:なるほど、メルカリはどうでしょう。

松田:そうですね。AbemaTVさんと似ているところがあると思っています。分析の共有は僕たちも重視しています。どうしてかというと、僕らは横串組織の中で特定プロジェクトにアサインされているので、すぐに情報の分断が起きちゃうと思うんですね。

そうなるとアナリストとして弱くなるので、そうしたことが起こらないように、分析結果の共有はかなりやっています。あとはチーム作りとメンバー育成の面でいえば、たまにチームがどうあるべきかというゼロベースの議論をみんなでするんです。この前もチームのオフサイトを実施して、みんなで話し合ってました。

あとはメンバー育成の観点で気をつけているのが、プロジェクトアサインは2人1組以上にすることです。プロジェクトに1人でアナリストとして入るのはかなり不安じゃないですか? 壁打ちできる相手を作れるように、チームを編成しています。これはこだわりをもってやっていて、今後もできるだけ続けたいです。

田中:メルペイは8人のチームですが、担当範囲がかなり広く、決済事業もあれば金融新規事業もあります。

このくらいの人数では、1人で1ドメインを担当することになり、担当領域については基本的に1人で分析しながらも、これはどうしようかなと迷ったときは自発的に周りに声をかけていくことになります。そのプロダクトを作っているチームにちゃんと溶け込んで、周りを巻き込んでいく力が大事ですね。

メルカリとメルペイでは事業フェーズが違うので、同じアナリスト組織でも働き方が違ってくるところですね。

阿部:アナリスト組織で思い出したんですが、分析にミスはつきものだと思っておりまして。それを防止するためにも、うちはチーム会をやっていますね。最終的にはチームでそこを防ぎあって進めていく感じでしょうか?

松田:基本的にそういった考えでいますね。

田中:メルペイでは基本的に1人でどんどん進めていきますが、毎週金曜日に分析共有会をやっています。仮説が正しそうだとか、新しい分析の場合は取得するデータは間違っていないかなど、チームで確認する場として設けています。

ステークホルダーとの関わり方の縦軸と横軸

田中:それでは、おそらく最後の質問になると思いますが、ステークホルダーとの関わり方についてうかがってみたいと思います。先ほどのチーム作りのところでも、キャリアパスの話も含め、さまざまな部署と関わるという話がありました。

それをやるには、マネージャーがステークホルダーに声をかけていかないと実現しないと思っていて、ステークホルダーとの付き合い方で工夫していることをお聞きしたいと思います。それでは松田さんからお願いできますか。

松田:はい。僕らは意思決定の支援をしていくというテーマがあるので、ステークホルダーとの関わり方が大事です。その際の考え方として、縦軸と横軸があります。縦軸は、意思決定の上流から関わっていくことですね。

ここには泥臭い部分もありまして、意思決定者が考えていることを1on1で聞いたり、それに対して意見交換をしていくということが大事だと思っています。

横の軸は、部署間の連携です。メルカリも大きな規模の会社になってきて、とくに部署と部署の間でボールが落ちることも必然的に発生しますが、マネージャーとして、落ちそうなボールを積極的に拾っていくように心がけています。

田中:かなり拾う回数は多いですか? 増えてきましたか?

松田:そうですね。

良いステークホルダーに収斂していく仕組み

田中:ありがとうございます。阿部さんはいかがですか?

阿部:ステークホルダーとの付き合い方の工夫ですね。まず前提なのですが、サイバーエージェントは巻き込むという言葉をよく使う特徴があります。逆にいうと、巻き込まれるんです。放っておいても。

(会場笑)

うちの会社はちょっと目立つと、声がかかって。ステークホルダーがドンドン増えます。職種問わずそういう傾向があると思います。

だからみんな、ステークホルダーが増えていくことは当然だと思っていて、優先順位をつけて進めることにも納得してくれます。なので結果として、ビジネスインパクトという観点では、良いステークホルダーに収斂していきます。

関わる場合は、先ほど申し上げた通り「素直でいいヤツ」が多いので、正直とくに工夫はしていません。プロの分析屋としてやるべきことを、各々がやればちゃんと回っていきます。

田中:組織の中で人気者だと、多くの依頼があると思いますが、リソースの関係から断らなければいけないというシーンもあるかと思います。そういった時はどう解決されているんでしょうか。

阿部:それ、きっとここから直面するんですよ。いままで1年半は、なんとかやってこれましたが、組織が大きくなるこれからは、仕組みで解決しなきゃいけないと思っています。チーム内に対してはそう宣言しましたが、まだ具体的な方策が決まっているわけではありません。

メンバーを疲弊させない、仕事の正しい断り方

松田:メルカリでは僕が断っている案件も多いです。断るのはつらいですが、優先順位との兼ね合いを考えないとメンバーが疲弊してしまうので。

阿部:分析チーム外で、断ってくれるメンバーを立てられたらラクなんですよね。

田中:断るメンバーを立てるというのは初めて聞きました(笑)。

(会場笑)

僕らもやっぱり断らざるを得ないときというのはあると思っていて、そのときは断りましょうと。

優先順位をちゃんと説明して、断ることもあります。やっぱり頼りにされているから話がくるわけで、断りにくいのは本当によくわかります。そういうときは一緒に断りに行くなどしてます。

チームでは「今は無理」だとか、「今やるべきじゃない」と思ったら、断るのは良いことだと思って活動してくださいと伝えています。

それで必要な仕事なのに断るということは発生していないと思うので、今の所はうまくいっていると思います。鎌田さんはいかがですか。ステークホルダーについて。

鎌田:そうですね。うちも僕がよく断っています。僕は喜んで断っている。

(会場笑)

ミーティングに僕が招待されると、あ、断られるというような。

(会場笑)

断りまくっています。はい。

田中:なるほど(笑)。

チームは『アベンジャーズ』、関わり方は『アウトレイジ』

鎌田:そうですね。ステークホルダーとの関わり方の、その1歩前なんですが、全社の動きや全社戦略のことはめちゃめちゃ把握するようにしています。

前職のマネージャーの人にすごくそこのところに気を使う方がいて、その人はぜんぜん分析畑ではなかったのですが、だいたいどこのだれがなんの数字を追っていて、今その進捗がどのくらいでということをどこからともなく仕入れてきて、すごく指示をしてくれていたので。

それは僕がマネジメントをするようになってからは、めちゃめちゃ気を使っています。そのうえで関わり方の工夫は、そうですね。チームは『アベンジャーズ』なんですが、僕はここの関わり方は『アウトレイジ』をイメージしてやっております。

(会場笑)

どれかのデータが見れないとなると、その検証について連絡が来るんですが、まあ優先順位は大事だよねということと、ちゃんとけじめをつけてもらうということをよくやっています。

田中:アウトレイジ的な断り方をしたあとのフォローというか、サポートはどのようにされていますか?

鎌田:あー、もうそれでブランディングをしちゃっているんで大丈夫。

(会場笑)

田中:「あの人はかなりバシッと断ってくる人だ」ということですね。

鎌田:逆に、あやふやに断るのが一番迷惑だと思いますから。やるのかやらないのかわからないとか、なんのために断ったんだということは当然ちゃんと説明した上で、そうしたことは気を付けています。

田中:はい。ありがとうございます。それでは第1部に関してはこのあたりでお時間がきましたので、次の第2部で質疑応答に移りたいと思います。それではみなさん、休憩に入りましょうか。

阿部:ありがとうございました。

松田:ありがとうございました。

鎌田:ありがとうございました。

(会場拍手)

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