2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
How 5G Cell Service Could Hurt Weather Forecasts(全1記事)
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私たちはなにかと文句を言いますが、気象予報はやはりすごいですよね。現代の5日間予報の正確さは、1980年の24時間予報に匹敵します。精度の高い気象予報は、単に傘を持って行くかの判断ができるから便利というレベルに留まらず、人の命を救うこともあります。
例えばハリケーン予報であれば、数時間単位ではなく数日単位で避難する猶予を与えてくれます。
この気象予報に対して、大きな脅威になりうる次世代型の通信サービス「第5世代移動通信システム(5G)」を連邦通信委員会(FCC)が進めているため、気象学者は猛反発しています。
問題となるのは、FCCが携帯電話の利用に導入を予定している周波数が、気象衛星が観測に使用している周波数に非常に近いことです。
正確な気象モデルを得るには、気象の測定精度を高く保つ必要があります。学者たちは、FCCがガイドラインを変更してくれない限り、5Gトランスミッションにより気象衛星の測定精度が損なわれ、気象予報が数十年レベルで後退してしまうのではないかと懸念しているのです。
5Gは夢のテクノロジーであり、携帯電話の通信速度と精度が上ります。5G導入における一番大きな変革は、これまで携帯端末には使われてこなかった無線通信周波数の導入です。
異なる周波数帯の使用には、利益と不利益が生じます。高い周波数の導入により、通信速度は高まり、同一ネットワークに接続できるデバイスが増加します。携帯電話の周波数帯を振り分けて、 電磁波スペクトルを細分化した(伝送路である)チャンネルとして使えるからです。
水道管に例えると、個々のチャンネルで伝送できる情報量はわずかですが、周波数帯が幅広くなるほど、伝送できる情報量は増加します。容量を表すのに「帯域幅(バンド幅)」という言葉が使われるのは、このような理由なのです。
基地局と端末間で通信を行う際には、利用可能なチャンネルの容量を確保して利用します。低い周波数帯であれば、容量が小さいため激戦となります。低周波数帯の利用は非常に高まる傾向にあり、各通信事業者へ振り分けられる電磁波スペクトルは小さくなります。
しかし、高周波数帯であれば、それほど利用率は高くはありません。そのため、利用できる割り当ては大きく、幅も広く数も多いチャンネルへと細分化できます。ネットワークは、より多くの端末に接続可能となり、各端末が利用できる帯域幅は広がります。
さて、高周波数帯による不利益ですが、高周波数帯がこれまで開放されてこなかったことにはそれなりの理由があります。まず設備の開発がより高度になってきますし、さらに重篤な問題は、周波数は高いほど伝送距離が短くなってしまうことです。高周波数帯は大気中でも急速に減衰しますし、樹木、壁、雨、霧などからも影響を受けます。
こうした矛盾のバランスを取って多様なニーズに応えるため、5Gスタンダードはおおまかに3つの帯域に区分されています。低速でも使用に耐える長距離通信用の1ギガヘルツ以下、伝送距離と帯域幅のバランスを取った1から6ギガヘルツ、基地局を数100メートル単位で設置し、電波の減衰に対応した都市部などでの超高速通信用の24ギガヘルツ以上の帯域です。そして、この高周波帯が今回の気象学界の騒動の元凶なのです。
アメリカでは、それぞれの帯域の使用権が、地理的な地域ごとに連邦通信委員会(FCC)によりオークションに掛けられます。5Gは政府の強力な後押しを受け、つい先日、FCCによる初めてのオークションが複数回にわたり開催されました。
そのうちの一つが、24.25ギガヘルツ以上を対象としたものでした。この帯域は、利用が少ない高周波帯の中でも、設備開発が比較的容易で、伝送距離も一番長く、通信業者の注目を集めていました。
ところが困ったことに、この帯域は気象予報にとって要となる23.8ギガヘルツに限りなく近いのです。23.8ギガヘルツは、気象衛星が気象予報の中核とする変数を成す、大気圏の水蒸気の観測に使っているチャンネルです。イギリス気象庁の気象学者ロジャー・サンダースが、その原理を『SciShow』に解説してくれました。
地表からも大気中の水蒸気からも、電磁波スペクトル全帯に渡る電磁波が、絶えず発信され吸収され続けています。水蒸気は特に、23.8ギガヘルツの吸収と放出が盛んです。
しかし、これはそれほど強力なものではありません。水蒸気は、地表から放出された電磁波を吸収しますが微々たるものであり、水蒸気から放出される電磁波もそれほど強力ではありません。
従って気象衛星に検知される水蒸気のシグナルは微弱です。しかし微弱とはいえ、非常に精度の高いシグナルなのです。水蒸気量が変化すると、気象衛星は23.8ギガヘルツの電磁波として、明確にその変動を検知します。
気象衛星が上空を通過する際に、普段よりも明らかに微弱もしくは強力な23.8ギガヘルツのシグナルを検知した場合は、その地点で大気圏の円筒内の水蒸気量が変化している可能性があるのです。仮にそれが水蒸気の変化だとすれば、それは地表近くのものです。地表付近では水蒸気が放出する23.8ギガヘルツの電磁波が一番強くなるためです。
大気中の水蒸気を検知できる唯一の周波数帯ではありませんが、研究者たちは23.8ギガヘルツのチャンネルは必須だと主張しています。地表付近の水蒸気のみならず、異なる高度での測定値や、その他の測定値から算出される仮定値を検算する要となるからです。
また、気象衛星がこのチャンネルを測定するのに使う機器は、全行程の傍ら、世界中の気象予報からエラー率を排除してくれるのです。
理論上では、測定値は5Gの影響は受けません。5Gの帯域幅は24.25ギガヘルツ以上でしたよね。そもそもの数値が違います。問題は、厳密に1つだけの周波数の電磁波を送信する無線機器などは存在しないということです。
どんなチャンネルでも、通信は目標である周波数をピークに、複数の周波数帯にまたがって送信されます。 心配されているのは、本来の目標ではない5G由来のノイズが、23.8周波数帯域にまで滲出してしまう可能性です。
無線機器が発する目標外のノイズは、FCCにより規制されてはいます。しかしこの規制は、問題となる帯域幅については、アメリカ国外の規制よりもかなり高めに設定されています。そこらじゅうから5G無線機器ががなりたてている状態では、24.25からはみ出て23.8まで滲出してしまうノイズは激増するでしょう。
航空宇宙局(NASA)と海洋大気局(NOAA)の研究者や、アメリカ海軍でさえも、気象衛星がこのノイズを水蒸気のそれと間違える危険性を警告しています。このような状態の中で23.8のシグナルを測定するのは、いうなればコンサートの真っ最中に友達の話を聞こうとしているようなものです。
NOAAやその他の研究によりますと、気象衛星が受信できる必要なマイクロ波のデータは77パーセントが失われ、気象予報は40年前に逆戻りしてしまうそうです。
しかし、はっきりとしたリスクはわかってはいません。およそありそうなことではありますが、通信事業者は問題は特にはないという主張を発表しています。例えば、現在気象衛星に使用されている機器は、NOAAが主張するほど干渉を受けないと主張しています。また、5Gの無線機は上空の気象衛星までノイズが届かないように設計・設置されるでしょう。
NOAAの研究結果はまだ公にされていないため、現時点での通信事業者とFCCがNOAA、NASA、海軍とその他の研究者に対して行っている主張はこのようなものとなっています。いずれにせよ、研究者たちの多くがこのことについて懸念しており、FCCは基地局のパワーが落ちてしまうとしても、少なくとも電磁波の進出を強く規制するべきだとしています。この論争の背後にあるのは、今のところこのようなサイエンスです。
FCCは、NOAA、NASA、連邦議会や、気象予報を愛する世界中の人々と、そろそろなんらかの和解をするべき時ではないでしょうか。
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