POSデータ活用に特化したTrue Data

徳田明子氏:今日はライトユーザーの取り込みからビックデータの活用拡大に向けたテーマをご用意させていただきました。ビックデータマーケティングの世界を広げるために弊社が取り組んでいる、「SATORI」を活用したライトユーザー創出事例について、2つほどご紹介させていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

まず、True Dataという会社名を聞いたことある方はいらっしゃいますでしょうか? みなさんはドラッグストアとかスーパーマーケットでお買い物することがありますよね。True Dataはそのお買い物の情報、つまりレシートの情報を全国のドラッグストアやスーパーマーケットからパートナー契約に基づいてご提供いただき、日本全国の購買に即したパネルデータに加工したうえでそれを分析しています。

ドラッグストアやスーパーマーケット、そちらに商品を納めている日用品メーカーや食品メーカーに、データ分析というかたちでサービスをご提供させていただいている会社です。

例えば導入企業の一例として、みなさんもご存知の会社があるかなと思うのですが。さまざまな企業様のマーケティング活動も支援しています。

ちなみにドラッグストアやスーパーマーケットでの売上の約8割が、ポイントカードを提示した上でのお買い物と言われています。True Dataは、延べ5,000万人規模のポイントカードの情報が紐付いた購買情報を保有しています。

お買い物情報やレシートの情報を、少し専門的ないい方をしますと「POINT of sales」と言いまして、POSデータという言い方をすることもあります。通常のPOSですと、なにが・いつ・いくつ・いくらで売れたかといった情報がわかるんですが、弊社が強みとしているポイントカードの紐付いた購買情報になってきますと、例えば「20代・男性」といったこともわかります。

「誰が」という情報と、「なにと一緒に」、それから「前はこんな商品買ってたんだけど、今度は違う商品にシフトしましたよ」「この商品がものすごく大好きで、5、6回も買っているよ」といった情報がわかるのが弊社のデータの強みとなっております。

「小さくても勝てる社会の実現」が目標

その当社が、今後どのようなかたちで世の中に貢献していきたいか、簡単にご説明させていただきたいと思います。True Dataはビジネスモデルを工夫することで、一般的に入手困難な購買データを全国最大規模で持つことができています。

これまで購買ビックデータを入手・活用できるような企業といえば、分析官がたくさんおり、分析インフラが充実しているような、リソースが潤沢な超大手企業が中心でした。

弊社の思いとしては、「小さくても勝てる社会の実現」ということがあります。小さな企業、今までデータ活用したことなかった企業さまでも、幅広くデータを活用できる社会を目指していきたいと考えております。

大きな潮流が一つ起こっているのでご紹介します。購買データにかかわらずですが、これまでデータ分析の世界は自社が持っているデータの活用に完結していたかなと思います。例えば購買データの話でいうと、誰がこの商品を買っているか、この商品はどれくらい売れているか、売れ筋商品はどれか……こういったことで完結していたかなと思っています。

これに対し、最近はいろいろなデータの掛け合わせの話が上がってきます。例えば、弊社ではお買い物の情報をけっこう持っているので、例えば最近、日本気象協会と共同で、新サービスの提供を開始しました。お天気の情報と売れ筋情報を掛け合わせて、この時期になると、こういう商品が売れてくるという需要予測のサービスです。

お客様やアライアンス先が持っているデータとの掛け合わせによって、新たな情報を生み出すニーズが最近多くなってきたと思っています。

今まで、当社とのお付き合いがあった企業様といいますと、やはり小売やメーカーなどがメインだったんですが、明らかにこれまでと違った業種の企業様とのお付き合いは増えてきていると感じております。

今後、購買データと○○データという掛け合わせの潮流はどんどん生まれてくると思うんです。その流れが特定の大企業だけに偏らないようにしています。またその流れの中で、True Dataがいい購買データをたくさん持っている会社と認知されて、選ばれるようにしたいと思っています。

True Dataのライトユーザーを広く生み出して、データマーケティング文化の浸透に貢献していきたいと私自身は考えております。

ブログで読み物とプロモーションコンテンツを配信

ここまで弊社の紹介が長くなってしまったんですが、それに向けてどういうことをやっているか、「SATORI」の活用事例を2つお話しさせていただきたいなと思っております。

事例の1つ目は「ウレコン」です。弊社は「ウレコン」というサービスを展開しております。ぜひご紹介させていただきたいので、実際の画面を紹介いたします。弊社が持っている5,000万人規模の購買データをもとに、統計化した全500カテゴリーの単品の売れ行き情報を、完全に無料でご覧になっていただけます。

例えば、これは中華料理の素カテゴリーですね。「クックドゥ 回鍋肉用90グラム」がこのカテゴリーの中で1位です。このカテゴリーの平均リピート率は9.61パーセントですが、この商品はリピート率18.8パーセントでものすごく人気がある商品である、といったような情報を見ることができます。また、より女性に売れている商品や、男性に売れている商品が何かもわかります。

お仕事をされている方は土日の買い物が多くなってくると思います。土日と平日、どちらが買われるかなどの情報を、メールアドレス登録をしていただけるだけで完全無料でご覧になれます。ぜひご関心ある方は登録してみてください。 この「ウレコン」を、普段からどんどん使っていただいて、データマーケティングに慣れていただきたいという思いがあります。

この「ウレコン」を「SATORI」を利用してどう広めていくかをご紹介させていただきます。メールアドレスのみなんですが、ウレコンの方にユーザー登録をしていただきますと、API連携で「SATORI」に「ウレコンご利用者様」という名前で会員のメールアドレスが連携されます。

「ウレコン」のサイト上には、「ウレコン」を活用していただくためのブログ「ID-POSマーケティングブログ」を用意しています。「ウレコン」のデータで、みなさんが日々気になる商品……例えばビールとしたときに、ビールのデータを実際にどうやって分析するのかといったことをライトに書いたブログもあります。

また、実際に広告施策に利用するためにはどうしたらいいのかという、ちょっと難しめで専門的なブログも展開しています。

「ウレコン」に登録していただいた方の情報が「SATORI」に入ります。その「SATORI」に入った方に対して、ウレコンブログというかたちで定期的にメルマガを配信しております。

「ウレコン」を思い出し、日々使っていただく目的もありますが、それだけじゃなくて弊社の有償サービスの宣伝もあまり目立たないレベルで入れています。そうすると、たまにユーザーさんが、「このサービスに興味あるんだけど」と有償サービスに関心を持っていただいて、お問い合わせをいただくケースが実際に発生しています。

インバウンド関係者の必携アイテムとなる

2つ目、こちらは実際にブランディングに大きく成功したインバウンドレポートという事例を紹介させていただきます。True Dataの持っている購買データを元に、訪日外国人の購買傾向を分析したインバウンドレポートの無料版を毎月発行しています。

具体的にはこんな感じで、訪日外国人によく売れている商品TOP30を毎月、発行しているんですね。ちなみに最近、街中で黒いマスクをつけた方をたくさん見かけるようになったと思いませんか? あのマスク、実は去年インバウンド購買のトップ30入りしています。どうも韓国で人気になったことから、日本でもつける方が増えたみたいな話を聞きます。ある種の逆輸入のようなものだと私は感じています。

このインバウンドレポートは弊社ホームページからダウンロードできるようになっています。通常はプレスリリースやメディア、口コミをご覧になられた方たちがホームページのほうにいらっしゃって、ダウンロードされるケースがたくさんあります。

このインバウンド事業は、ちょっとでもインバウンドビジネスに関わるような方は定期購読することが当たり前の、インバウンド関係者の必携アイテム化したいなと思っていました。あと「インバウンド購買データといえば、まずTrue Dataだよね」と、想起してもらえるようになりたいなと思っていました。

まずは無料版をたくさんご利用いただいていて、実際にしっかりとデータ分析をしながら、施策を展開したいという話になった時にはちゃんとTrue Dataに依頼がくるようなかたちにしたいと思いました。

この2つを目指す姿として考えておりましたが、実際の目指す姿に対して、課題とか仮説がありました。インバウンドレポートのダウンロード数が、訪日ビジネスの高まりに対して意外と伸びてないところが課題感としてあり、「これってぜんぜん認知不足なのかな」と感じておりました。

また、毎月発行しているのに、隔月でダウンロードしている人もいたり……。「なんで毎月ダウンロードしてくれないんだろう? 毎月見てくれればいいのに」「毎回フォーム入力がすることがめんどくさくて、なかなかできないのかな」と思っておりました。

「SATORI」を活用して、どうやってインバウンドレポートを広げようとしていたかといいますと、こんな感じですね。実際にユーザーにホームページからお申込みフォームへ入力していただきますと、「SATORI」上にそのユーザーの方の情報が入ります。フォームへの自動返信メールというかたちでダウンロードメールが送付されて、そこから資料をダウンロードしてくださった方に対して「インバウンド」タグが付きます。

「インバウンド」タグが付きますと、毎月毎月その方に対して「ダウンロードメルマガを今月も発行しました」みたいな感じで送付して、毎月ダウンロードしていただけるかたちを作っております。

仮説・課題のところに対してどんな改善をしたか。SATORIさんからアドバイスをいただいたところ、「送信社名は会社名じゃなくて個人名にしたほうがいいよ」ということでした。そこで、これを個人名に変えました。そうしたら明らかにダウンロード率が高まりました。また、「○○さん、いつも読んでいます、ありがとうございます」みたいな返信メールをいただくようになり、良い反応が増えたかなと思います。

あとはインバウンド関連情報としても、ただの購買データだけじゃなくて、「インバウンドで今こういうことが起きてる」「こういう法律が施行されました」といった情報も交えて、読み物としての付加価値アップも目指しました。

一番大きかったと思っているのは、気軽にダウンロードしてもらえる工夫をしたところですね。「無料版はこちら」をクリックしてダウンロードした方には、「インバウンド何月号」というタグが「SATORI」上に付くようにしているんです。お客さんにとっても簡単で負荷なく、入力フォームなどに入れなくてもダウンロードできるところが効果的な改善点になったかなと思います。

結果的にダウンロード数は以前の6倍以上になりました。インバウンド関係者の必携アイテム化が実現しつつあるのかなと思っています。ただ、無償サービスだけじゃなくて、有償サービスにもどんどん誘導していきたいです。メルマガで「うちの有償サービスで具体的にこんなことができる」と紹介して、お問い合わせフォームにも誘導するような改善を加えたりしています。

インバウンドレポートのおかげで問い合わせの質が変化

これによって、私はたくさんの成果を得られたと思っています。まずは、過去にダウンロードした人が定期的にダウンロードしてくれるようになったなと思っています。もともとのリピート率が本当に数パーセント程度だったんですが、今では60パーセント以上の方がダウンロードしてくれるようになりました。手軽さは大きいなと私自身も思っております。

また、インバウンドレポートに登場してくるようなメーカーさんにダウンロードしていただいていて、それの影響だと思うんですが、メーカーさん自身からの口コミで「『True Dataのインバウンドレポート読んだ方がいいよ』と言われたんでお問い合わせしました」という広告代理店様が増えてきたなと思っています。

やっぱりクライアント様からの口コミが大きいなと思ったので、よりクライアント様に読んでいただけるようなところを押さえるって大切だなと思っております。また、ありがたいことなんですが、「社内でぜひ共有したいので同僚などのグループメールに送って欲しいです」というような依頼が増えるようになりました。

これはぜんぜん予想してなかったんですけど、Google検索で「True Data」と検索すると、「インバウンド」が予想キーワードとして出現するようになりました。インバウンドサービスのブランド力の高まりがこうやって目に見える成果として現れてきており、私自身非常にうれしく感じております。

今後は、どんなことを考えているかといったところですね。データマーケティングというと、なんだか難しいキーワードみたいなイメージがあると思います。私はそうじゃなくて、楽しく身近に感じてもらえるものにしていきたいなと思ってます。

例えばさっきご紹介した「ウレコン」なんですけど、例えば忘年会や懇親会などで、「アイスクリームの売れ行きを当てる」ゲームの元ネタとして「ウレコン」を使っていただくといったような、気軽な感じで使っていただいてもいいかなって思っています。

他にも、最近は弊社のサービスのパンフレットを作り変えました。「購買データ活用のススメ」という名前のパンフレットです。

「読み物的に楽しく、つい読みたくなるものをと思って、関係者でワイワイしながら作りました。内容は新入社員君の「あるある失敗マーケティング事例」をコミカルにとりあげて、「じゃあビックデータを利用して改善するとどうなるの?」というストーリーになっています。

「データ活用」と「データ分析」とか、ともするとちょっと難しそうという印象のキーワードを、どんどんかみ砕いて、身近に感じていただけるような、そんな楽しいマーケティングができていけたらいいのかなと最近すごく感じています。

それをSATORIさんと一緒にうまくやっていけるようなノウハウを身に付けていきたいなというのが、今の私自身の思いです。こちらのパンフレットをたくさんお持ちしていますので、興味・ご関心ある方、ぜひ私までお声がけいただければと思います。今日はご清聴いただきまして、ありがとうございます。

(会場拍手)