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ケーオー商事株式会社 片山昭氏(全1記事)

2019.07.16

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営業支援システムにもカスタマイズできるkintoneの実力 小さく始めて大きく育てる、SFAの導入プロセス

提供:サイボウズ株式会社

2019年6月5日、kintone公式ユーザーズイベント「kintone hive matsuyama vol.1」が開催されました。kintone hiveは、日々の業務でkintoneを活用しているユーザーが一堂に会し、業務改善プロジェクトの成功の秘訣を共有するリアルイベントです。本記事では、今治市でOA機器やオフィス家具などを販売するケーオー商事株式会社の片山昭氏が登壇。諦めかけていた営業支援システムの導入を、kintoneで実現させたそのプロセスについて語りました。

諦めかけていたSFAをkintoneで実現!

片山昭氏:こんにちは。ケーオー商事の片山と申します。本日は、「諦めかけていたSFA(営業支援システム)導入をkintoneで実現!!」というテーマで発表させていただきます。

さっきまでリラックスしていたんですけれども、司会の方が上手でしたので、非常に緊張してきました。とちるかもしれませんけれども、よろしくお願いします。

私は片山昭と申します。地元の松山商科大学、現在の松山大学を卒業後、今の会社に入社しました。バリバリの文系です。昭和32年生まれで、とうとう62歳になってしまいました。

ちなみに、会場に私より年齢が上の方はいらっしゃいますか? ……あ、何名かいらっしゃいましたね(笑)。すみません、想定外です(笑)。

(会場笑)

片山:たいして考えていなかったもので、ちょっと動揺しています(笑)。kintone界隈で最高齢を目指して、がんばっていきたいと思います。よろしくお願いします。

私的トピックスといたしまして、「kintone CERTIFIED」の「Associate 2018」を昨年取得いたしました。kintoneは老化防止にも役立っています。

過ぎ去りしOA機器ブーム

会社の名前はケーオー商事と言いまして、愛媛県今治市でOA機器やオフィス家具、事務用品などを販売しています。「kintone」は、発売当初の2011年から使用しています。あと昨年、サイボウズさんのパートナーにも選ばれました。

今日は県外の方も多いと思いますので、私の地元の今治のことを紹介させてください。今治はご存知でしょうか?

(会場笑)

ここにすべてが書いてあります。いろいろありました。しかし、これだけじゃないです。

今治、いいところもこんなにたくさんあります。機会がありましたら、ぜひ今治にもお越しください。

前置きが長くなりましたが、本題に入っていきます。まず、「なぜ我々が『kintone』を使いだしたか?」をご理解いただくために、簡単に業界のご説明をいたします。

かつてOAブームがあったのをご存知でしょうか? 1980年代にはワープロ……もはや死語ですね。ワープロとかFAXが一般企業にも普及し始めていました。

あとコピー機。デジタルコピー機が出てまいりました。1995年にはWindows95が発売され、パソコンがあっという間に広まっていきます。コピー機はFAX機能を内蔵した複合機が一般的になってまいりました。2000年代になりますと、複合機はパソコンのプリンターになり、ネットワークにも接続されます。また、カラー複合機が一般的になってきました。

リストによる営業だけでは、もうやっていけない!

このように我々の業界は、技術革新のおかげで次々と新しい、画期的な製品が発売されていきます。営業力があまりなくても、(製品の力で)比較的容易に販売できていた時代が長く続いていました。

これが21世紀になりますと、OAブームも終焉を迎えます。さすがに大きな技術革新はなくなり、画期的な製品も出なくなってきます。我々は機能紹介だけで販売しており、営業力がないものですから、どうやって販売すると言いますと、もっぱらコスト削減提案だけなんです。同業各社もコスト削減提案をしますから、業界内で価格競争が激化し、利益も低下しています。

じゃあ、利益が低下するのをどうするか。単価が下がりますから、PRの量を増やすしかないんです。そこで提案先・訪問先を増やすために、さまざまなリスト管理をしていました。「○○攻略リスト」「リースの満了リスト」など、さまざまなExcelファイルが社内に蔓延していました。

そのようなとき、2009年に社長に就任いたします。競争はどんどん激化しまして、売上の伸びも止まってまいります。当然、利益も低下してきました。さらにICTの普及により、商品は多様化しています。従来のリスト管理だけの営業ではもうやっていけなくて、「営業スタイルを変えないといけない」と思うようになってきました。

SFA導入への意気込みと挫折

そこで、「Access」による顧客管理にチャレンジしました。しかし、我々は基本的に文系ですから、すぐに挫折(笑)。諦めちゃいます。そのようなときに、SFAを知りました。「営業効率をアップするために、これからはSFAを導入しよう」と思うようになりました。

ご存知の方も多いと思うんですが、簡単にSFAのことをご説明します。「Sales Force Automation」の略で、日本語では営業支援システムと呼びます。具体的には、営業活動を記録・報告・分析する機能、案件ごとの進捗状況を把握する機能、予算と実績を対比して目標達成率や達成状況を把握する機能、そしてお客さまの情報や実績を管理する機能。

これらの機能により営業部門の支援を行い、営業力を強化する仕組みのことをSFAと呼びます。

「これからはSFAだ!」ということで導入を検討していたんですが、調べていくと、いろいろ問題があることがわかってきました。

まず、価格がけっこう高いんです。当時の我々の事業規模ですと、ちょっと導入が厳しいと思いました。あと、高価なSFAを導入したものの、活用しきれない事例もけっこうあるという話も聞きました。また、Salesforceのことも知りましたけれども、どこに相談していいかよくわからないし、単純にコストがまったく合わなかったんです。ということで、「ウチじゃSFA導入は無理かな」ということで、諦めかけていました。

Accessを諦め、kintoneにチャレンジ

そのようなときに、kintone発売の記事をたまたま発見します。5分でできて30日間無料とのことだったので、さっそく申込みしました。営業日報アプリを、試しに自分で作ってみました。たしか日曜日に作ったんですけれども、1日がかりで苦労したものの、その日に完成したんです。Accessの『顧客管理』はぜんぜんだめだったんですけれども、kintoneの『日報管理』ならできるかもしれないと思うようになってきました。

「とにかく営業スタイルを変革したい」「変革しないと会社がやばいな」と思っていましたので、SFAの導入はいい加減諦めて、代わりにkintoneを導入することにしました。それが2011年12月のことです。

こちらが導入後、約8年近く経った、現在の弊社のkintoneの概要です。顧客DBアプリを中心に、「案件」「営業日報」「受注票」、その他さまざまなアプリが関連付けされています。また、下では販売管理システムから得意先マスタや売上明細データ、その他各種マスタデータが定期的に送られてきます。また、CTIという電話のシステムを導入しまして、顧客DBと連携しています。

また、メーカーのRICOHさんから複合機の機器情報の保守履歴ですとか、使用状況を送っていただいて、それがkintone上で見ることができています。SFAを諦めて導入したkintoneなんですが、なんとなくSFA的に使えるんです。じゃあ、実際に画面を見てみます。

こちらが顧客DBアプリの詳細画面です。複数のアプリが関連付けされていますので、タブ表示プラグインを利用して、タブを切り替えて使用します。

この画面は「受注票」アプリの「関連レコード一覧」です。お客様のご使用されている機器の情報が確認できます。左の「基本情報」タブでは、住所や電話番号等の「得意先マスタ」の内容を、右の「訪問履歴」タブでは「営業日報」に入力された訪問履歴を、「案件情報」タブでは「案件」アプリの内容を表示します。

また「売上履歴」タブは「販売管理システム」から送られてきた「売上明細データ」を表示し、その隣の「品群別実績」タブでは、その売上明細Dataを得意先毎/商品群別に集計した結果が確認できます。

こちらがCTIです。お客さまから電話がかかりますと、CTIがポップアップで立ち上がります。左がお客様の名前、右側にはkintoneの顧客DBの内容が表示されています。電話対応しながら、お客さまの詳細が確認できますので、電話対応がスムーズになります。さらに、左下の「顧客詳細」ボタンをクリックしますと、先ほどの顧客DBの画面が立ち上がります。電話対応しながら、お客さまのご使用機種とか、営業の訪問履歴とか商談履歴とか、納品履歴が確認できます。

さらにCTIを導入しまして、電話を受けた後のオペレーションが劇的に改善します。例えば、プリンターのトナーを受注した場合のデータなんですが、品番を言ってくださらない方っていらっしゃるんです。「当社で使っているプリンターのトナー持ってきて」みたいな注文です。

そんなとき、従来はExcelの「使用機器リスト」でお客様のプリンター型番を確認し、型番がわかればメーカーのホームページにいって、そのプリンターのトナーの品番を調べる。

あるいは、販売管理システムで過去の納品履歴を調べて、以前にお届けしたトナーの品番を調べるなど、けっこう面倒くさい方法で調べていました。さらには過去の納品履歴を調べて、半年前と同じトナーをお届けしたら、実は先月、営業がプリンターを入れ替えており、開封したトナーが無駄になったこともありました。

CTI導入後は一変します。まず、先ほどのCTI画面で「顧客詳細」ボタンをクリックします。そうしますと顧客DBアプリが立ち上がりますので、「機器・取引先」タブをクリックしましたらプリンターが確認できますので、プリンターの右にある「機種略号」ボタンをクリックします。これはリンクになっていまして、クリックすると機器情報アプリが立ち上がります。それで、こちらのプリンターのトナーの品番が確認できます。わずか3ステップで確認できるようになりました。

SFA的な使い方ができるkintone

このように大変便利に活用できているkintoneによるSFAの仕組みなんですが、一朝一夕にできたわけではありません。まず、当初1年目は営業日報アプリだけを使用していました。というのは、弊社が初めて使い出したときには、ルックアップや関連レコード一覧の機能は、まだkintoneにはなかったんです。それで1年間、営業日報アプリ1本でやっていました。

試行錯誤をしながら、kintoneを勉強してきました。ルックアップも追加され、1年経ったころに、やっとルックアップと関連レコード一覧の使い方を覚えたので、「案件」アプリを作成し「営業日報」入力時に、案件を関連付けするようにしました。

アプリが増えてきましたので、「お客さま情報を一元的に見たいな」と思いまして、先ほどの顧客DBアプリを作成します。お客さまの情報はだいぶ見えてきましたので、今度は「売上に関する結果も『kintone』で見たいな」と思いまして、他システムと連携を検討します。

弊社の販売管理システムは、オンプレの「PCA商魂」というソフトを使っています。このPCA商魂とkintoneの連携は、さすがに自分でできなかったので、両方に詳しいSIerさんを探して、連携を依頼しました。さらに先ほどのCTIと、さらに円滑化するために機器情報も送ってもらいます。このように、5年近くの歳月はかかりましたが、kintoneがSFAっぽくなってきました。

じゃあ、個々のアプリを見てみます。こちらが「案件」アプリです。「営業日報」入力時に「案件」をルックアップしますので、案件の「関連レコード一覧」で「営業日報」の商談履歴が確認できます。

さらに日報と案件が連携しますと、さまざまなメリットが出てまいります。商談合計件数がわかるだけじゃなくて、案件の数とか、個々の案件の商談回数が確認できます。それを月末に集計するのではなく、今月の結果を見たいとき・確認したいときにリアルタイムで確認できます。例えば、グラフのA君の例ですと、合計15件の案件に、合計59回訪問しています。さらに個々の案件では9回と、けっこう商談もたくさんしています。

しかし、たった15件の案件で、「今後、新規の案件が開拓できていますか」ということが、ちょっと心配です。一方、下のB君の例ですと、27件の案件に訪問しているんですが、1回しか訪問していない案件がものすごく多いんです。これは当然、1回じゃランクアップしませんので、継続訪問をするように指示・指導が必要になります。

こういったことが、月が変わってからじゃなくて、例えば半月経ったときに確認できますので、適切なアドバイスをして、後半に軌道修正することも可能になります。

時間とスキルに応じてカスタマイズできるのがkintoneの魅力

こちらは受注票アプリの例です。受注票アプリとは、商品を受注したときに販売管理システムに入力するための、受注明細データを入力するアプリです。単に商品明細だけではなくて、リース情報、例えばリース会社とか月額リース料とか、リース期間等も入力します。それから機械ごとの番号、製造番号も入力します。販売先のデータベースとして利用しています。

従来は、それをExcelで「リース管理表」とか「使用機器リスト」といったように、別途Excelで入力していました。そういったExcelを入力する手間が不要になっています。

さらに過去の受注票は、4年後、5年後にはPRリストになります。こちらは、受注してからの経過年数で絞り込んだ、受注の一覧です。導入後4年経っていますから、そろそろ次の提案もしていかないといけません。従来は、こういったのもExcelで実際に作っていましたが、何も作らないで絞り込むだけでできます。

さらに、実際に提案を開始すると、「案件」アプリに入力するんですが、新規の案件入力時に、下取機の「受注票」をルックアップします。さらに、今度は逆にルックアップされた下取機の「受注票」に、「案件」を自動的にルックアップするようにカスタマイズしました。

そうしますと、4年経過した受注一覧を見たときに、こちらでルックアップされているか、されていないかがわかるんです。まだリプレイス提案のできていない(案件化されていない)古い案件の、受注票が把握できます。

さらに、受注票では通知機能を使っています。リマインダーで、提案遅れとか契約更新漏れをお知らせしてくれます。例えば、リース満了の1年前、導入後4年経過した直後など。また、毎年更新する契約の場合は、更新日の1ヶ月前など、kintoneから通知が飛んできます。さらにE-Mailでもお知らせできます。ダブルでできますので、漏れなくできます。

こちらが販売管理システム。PCAとの連携です。1日3回、データを同期しています。さらに、データを送った明細だけじゃなくて、それを商品群ごとに、今期と前期の実績金額を計算し、前年比を計算しています。画面の上部が今期で、真ん中が前期、下が前年比です。

このように、当初はSFAを諦めて導入したkintoneなんですが、必要に迫られ、徐々にアプリを追加した結果、結果的にSFAの機能を順次追加できて、弊社独自のSFAが完成したという感じです。このように、時間とスキルに応じて順次アプリを追加でき、また、環境の変化に応じて簡単に修正できる。それがkintoneのいいところじゃないかと思っています。

kintone導入で身についた業務改善の習慣

ここでkintone導入効果です。2011年12月にkintoneを導入する前は、正直業績も伸び悩んでいまして、赤字になりかけたこともありました。しかし、導入した後は、おかげさまで右肩上がりで順調に推移しています。導入前と比べまして、売上で170パーセント、利益で380パーセント。

しかし、kintoneを導入して一番良かったことは、業績面だけじゃなくて、実は「業務改善をする習慣がついた」ことではないかと思います。その結果が業績につながっています。kintoneは、思いついたときに自由にアプリが簡単にでき、また修正も簡単にできる。その結果、「ちょっとこれやってみよう」とか「ちょっとあれやってみよう」とか、「ちょっとここ直してみよう」と考える習慣がついてきました。

それがkintoneを導入して、一番良かったことかなと思っています。

弊社は社員とも仲が良くて、けっこう飲み会も多い会社です。

非常にアットホームな雰囲気なんですが、実はちょっとブラックなところがありました。今年の4月からは、タイムカードアプリと有給休暇申請アプリを新たに作成しまして、今現在、働き方改革にもチャレンジしています。以上となります。

ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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