インフルエンサーに影響を受ける人ほど「賢い消費者」
電通の調査で分かった3つの発見

インフルエンサーはなぜ生活者を魅了するのか -電通☓UUUMの共同調査結果に見るインフルエンサーの魅力の源泉- #2/3

Advertising Week Asia 2019
に開催

2019年5月27~30日、「Advertising Week Asia 2019」が開催されました。マーケティング、広告、テクノロジー、エンターテイメントなどの幅広い業界が集い、未来のソリューションを共に探索する、世界最大級のマーケティング&コミュニケーションのプレミアイベントです。本セッションでは、インフルエンサーマーケティングの有識者が登壇し、インフルエンサーがなぜ生活者を魅了するのかの調査結果を紹介。今回は、生活者にとってインフルエンサーはどのような存在なのかを解説しました。

「信頼性」と「信望性」の対比

石橋尚也氏(以下、石橋):ここから、先ほどお話ししました調査について、天野さんからお話しいただければと思います。お願いします。

天野彬氏(以下、天野):自己紹介のスライドでもお見せしましたが、私はニュースリリースのほうでも発信をしていまして、今日はこのエッセンスを10分ほどお伝えできればと思っています。

調査のねらい・目的としては、今お話があったようにYouTuberやインスタグラマーなど、すごい個の発信者であったり、インフルエンサーの社会的な注目度や私たち自身、生活者の中での重要度、あとは事業的な規模の大きさ、そういうものがどんどん高まり続けているという認識がまず1点あって。

そんな中で、それに比例してユーザーは本当はどう思っているんだろうかと。なぜ今そこが大事なのか、盛り上がっているのか、その価値の源泉は何か。

事業をもっと大きくしていくためにも、ここで一度立ち止まって調査をして考えてみるのはどうだろうか。自分はそういうのを言語化したり、整理して発信したりすることに意味があるのかもしれないと感じています。

その中で、調査の主軸として、「信頼性」という言葉と、聞き慣れないかもしれませんが「信望性」、その対比を重視してみようというのが今回の調査の方向性です。

「信頼性」というのは、例えばメディアなどの社会的な信頼性を指すのに対して、信望性はもう少しパーソナルな親しみとか、安心感とか、そういう社会科学でも対比として今まで研究されてきたものです。そういうものがSNSで、発信者においてはどういうふうに機能しているのかを見よう、というのがこの調査の切り口になっています。

インフルエンサーに影響を受ける人ほど購入には慎重

調査対象については軽く触れるにとどめますが、男性では13歳から、スクリーニングでは70歳ぐらいまでを取っています。本調査でも、今SNSを使っているのは若い人だけじゃないので、40代の人も含めて取ろうと。

その中で、SNSをアクティブに使っている人、(スライドを指して)とくに上の表を見ていただくと、アパレルを最近買ったとか、旅行で支出をしたとか、いろんなジャンルでお金を使っていて、なおかつSNSをアクティブに使っている人。

さらに絞って、その中でもインフルエンサーに影響を受けている人、それがどれぐらいいるのかを比較することで、比較対照できるようなサンプルを取ってマスキングの調査をしたというのが概要になります。

結果として、まず1つ目としましては「一般層」「SNSに影響を受ける層」「インフルエンサー影響層」、この3つの層がここでの調査のテーマになります。認知から購入に至るまでにどれくらい経過時間というか、どれだけ悩んでものを買っているのか、そこに差があるかを見たのが1枚目のチャートになっています。

なんとなく、インターネットでものを買うことが多い人たちは即断しそうというか、すぐに決めてポチりそうなイメージがあるのですが、出てきた実感としてはわりと逆でした。インフルエンサーに影響を受ける人ほど購入に慎重な、賢い消費者であるということが見えてきました。

このグラフの見方としては、左ほど即断をする率が高く、右に行くほどよく悩む。1ヶ月悩むとか、3ヶ月悩むとか。そういう経緯で見ていくと、一般の人のほうが10分未満とか、30分未満とか、そういうところでより多く決断していくことがわかると思います。 

それに対して、インフルエンサー影響層は一番下のピンクの線ですね。どこと比較しても、やっぱり低いと。これはつまり、即断をするよりも、ちゃんとものを考えていろんな情報を収集して、その中でインフルエンサーに影響を受けることで最終的にものを買ったりしているんだなというところがまず分かれています。

インフルエンサーの情報発信で重要なのは「本音」

2つ目は今日とくにお見せしたいチャートの1つですが、先ほどご説明した「信頼性」と「信望性」という2つのスコアで、いろんな情報を発信するメディアがどう位置付けられるのかを見たのがこのチャートになっています。

縦軸が信頼性のスコア。やっぱりテレビが一番上にありますね。あと、名前は伏せていますが、いわゆるネットのポータルサイトですね。ポータルサイトAとか。あとはテレビ・新聞の公式サイト、新聞、雑誌など。そういう高いところは情報社会的に信頼性があると。

毎日ちゃんと新聞が届くとか、情報の質だけじゃなくてそれを支える社会的な装置を含めて信頼性が支えられているというのが私としての考えです。

その一方で、信望性というのはパーソナルな親しみとか、安心感とか、そういうものを指していて。例えば友達との会話みたいなところも信望性……信頼性というよりは信望性が高いなとか、そういうふうに見ていきたいと思います。

赤丸で括ったように、今日のテーマになっているInstagramクリエイター、YouTubeクリエイターと言われている人々は、ほかにあまりない第1象限にいる。信頼性もまぁまぁ高いですし、なおかつ信望性のスコアが特筆して高い。そこが非常におもしろいところかなと思いました。

この信望性の高さが、テレビ・新聞・口コミの情報まとめサイトなどが発している情報との差を生んでいる。メディア以外の情報の発信源として、独自のポジションがあるということが1つの切り口なんじゃないかなと、そんなふうに考えました。

じゃあそのインフルエンサーに対しての信望性ですね。信頼性も高いですし、とくにメガが本当に高かった信望性、それはどういうところで支えられているのか。

一般層とインフルエンサー影響層を比較すると、インフルエンサーの発信を大事に受け止める人ほど、例えばInstagramクリエイターは本音で発信していること。それがその人にとって信望性を高めるといった回答をしている。そういう結果が1つ出てきました。

あとはYouTubeクリエイターも同様ですね。信頼性についてですけれども、やっぱり純粋に楽しんでやっているというか。

やっぱりインフルエンサーに影響を受ける人ほど「やらされている感」ではなく、その人自身の楽しさや内発性によって「その人が発信している情報を信頼できるな」「参考にしてみようかな」と思うところが高いという結果が出ました。

そういう意味で、タイトルにも書いたように本音の発信とか、純粋に楽しんでいることとか、そういうものがインフルエンサーの情報の発信における大事な要素なんだなと思います。

調査からわかった3つの発見

石橋:MOYAさんはInstagramで発信されていますけど、やっぱり本音で発信することは多いですか? 

MOYA氏(以下、MOYA):そうですね。キャプションに関しても、例えばPRについても、依頼があった時に自分の中で「使わないな」「これはちょっと、フォロワーの方におすすめできないな」というものに関してはお断りしています。キャプションも全部自分の等身大のメッセージで書いているので、まぁ本音で書くようにはしています。

天野:私のパートのまとめになりますが、調査からのファインディングスとしては、以上の3つのことかなと思っています。1つ目は、チャートにも入っていたように、それこそ先ほど「拡散は重要じゃない」みたいな話もありましたけれども、情報は無限にあるわけで、むしろ生活者の購買プロセスにおいては情報はもう間に合っていると。

本当にほしいのは、それが自分に合うものなのか、本当に自分にとって必要なものなのか、そういう親和性みたいなことがやっぱり大事なんですね。インフルエンサーに影響を受けるような賢い消費者の人ほど、そういう情報を求めているというのが1つわかりました。

2つ目は、個人の親しみや共感を意味する信望性がインフルエンサーの1つの価値であるということ。3つ目が、その信望性はその人の活動の内発性、やらされているわけではなく自分で楽しんでいたりする肯定感ですね。そういうものに密着しているのだろうというのが、今回わかった3つのファインディングスです。

今言ったことの繰り返しですが、これから情報感度の高い生活者は、もっと自分に合うといった基準を重視して、例えば次の週末は何をするかとか、何を買うとか、そういうことを大事にしていく時に、消費活動の上でインフルエンサーを頼りにすることがさらに増えていくだろうなと。

情報化の社会の中でほかのメディアが果たしていつつも、インフルエンサーだからこそ果たせる社会的な意味というか。そういう情報のバリューがあって、それが今後もっと求められていくんだろうなというのが私の結論です。

調査(についての説明)は少し大づかみになりましたので、詳細はリリースとかを見ていただいて、信頼性・信望性がどう関わっているのかみたいなところを見ていただければと思います。

石橋:UUUMの方からプレスリリースで調査内容を出させていただいていますので、そちらでご確認いただけたらと思います。

フォロワーが求めている情報をこまめに発信

石橋:では、ここからはパネルディスカッションということで、ざっくばらんにゆるゆるな感じで、いろいろとMOYAさんに対して質問をしていけたらと思っています。会場の方でもご質問ある方いらっしゃったら、ぜひご質問をいただけたらと思います。

いろいろ質問させていただくことを通じて、先ほど天野さんからご説明があった「なんでインフルエンサーが信頼されているのか」「親しみを持たれているのか」を、みなさんも感じ取っていただけたらなと思っています。そういった趣旨で、このパネルディスカッションという形式でお話をさせていただくことにしました。

質問の内容はバラバラでいろんな質問も入っているんですけれども、普通におしゃべりする感じで進めさせていただけたらと思います。ということで、MOYAさんに質問なんですけれども、ふだんの投稿において、フォロワーが期待していると感じることはありますか?

MOYA:私の場合、たぶんフォロワーさんが一番求めているのは、リアルなライフスタイルで。今ちょうど、ライフスタイルやライフイベントが一番エンゲージが上がるんです。

妊娠前だったら、旅行の写真がリアルだから、旅行の写真に一番いいねやコメントが来ていて、妊娠してからはマタニティのこととか、そういうものに反響があって。生まれてから現在は子育て。今ちょうど引っ越したばかりなので、そういう家のことに関しては、かなりエンゲージメントが上がっているなと私は思っています。

なので、今はフォロワーの方が求められているお家のことなどを、毎日じゃなくてこまめに出すようにしているんですね。毎日アップすると新鮮さがなくなっちゃうし、こまめに出すことによって次のエンゲージにつながるかなと思っていて。

出しすぎちゃうと、もう全部ネタバレになっちゃうんですよ。どの家具を使っているかとか、どこで家を建てたとか(笑)。そういうのが全部情報漏れになってしまって。

Instagramで解決できちゃうけど、こまめに出していくことによって、例えば雑誌のお部屋特集で声をかけてもらえるんじゃないかなとか、そういう気持ちとかもあるので、こまめに出すようにという意識はしています。

“真似のできない憧れ”は、最近のフォロワーには通じない

石橋:ライフステージのいろいろなイベントに関する投稿などを、フォロワーの方々が期待しているという印象?

MOYA:そうですね。今はたぶん、生活感があるほうが反響があって。2017年に「インスタ映え」という流行語が出たじゃないですか。その時にちょうど旅行があって、旅行は非現実的だから「映え」もするし、けっこうそれなりに自由が多かったと思うんです。

今は旅行も、もちろん反響はあるんですけれど、子どもがいて旅行ができる環境の人は正直そんなに多くないじゃないですか。

だからやっぱり、憧れの気持ちがあっても「それは真似できないよ」とか。そういうのは最近のフォロワーさんにはもう通じないなと。若干生活感があるほうがリアルに刺さっているのかなと思います。

石橋:よりリアルなことが?

MOYA:そうですね。今はけっこうリアル、自分の世界観は崩さないんですけど、リアルなところを見せるようにしています。

石橋:なるほど。その関連するところで、もともと旅行系で、最近はライフスタイルとか、お子さんの写真ですとか、お家の写真とかをあげられると思うんですけど、その変化していった理由はありますか? もともと何を撮っていらっしゃって、どうやって変遷していったかということを。

非現実的な世界観から、実用的な情報発信へ

MOYA:ちょうど2017年のインスタ映えの時は旅行の写真をずっとメインで。自分の家なんかもちろんアップしないし、自分の生活感を一切出さないようにして、本当に非現実的な世界感を作っていたんですけど、妊娠したら旅行に行けるタイミングがすごく少なくなってしまって。

マタニティなのに旅行しているのは、なんか合わないというか。ちょっと違和感を感じて、やっぱりフォロワーさんが離れていっちゃったんですね。

それで「これはママになるから、そういうちょっと非現実的なことをしてもあんまり響かないのかな」と思って。ママのフォロワーさんが納得するような、欲しがるような情報を発信していくと、旅行のフォロワーさんからママのフォロワーさんに変わっていってたのかなと思っていて。

そこから、旅行はするんですけど、子育てをプラスして、なおかつ今やっているアパレルブランドの情報を入れたりして、自分が何をしているのかというのが見えてきた。

非現実的な時は、私が何をしているかがフォロワーさんには見えにくかった。どこにいるのかわからないし、なんだか1枚のイギリスの写真みたいな感じだったというか。今は情報を発信するというか、そういうふうに変わっていったかなと。写真というよりも情報に。

石橋:そうしたら、キャプションの量とかも前と比べて変わったりしましたか?

MOYA:年齢を重ねていくことに「語る」ということが少なくなっちゃったので、量で言うとわからないですけど、実用的な情報のほうが、今は発信するのが多くなっているのかなと思いますね。

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