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BtoBマーケ × セミナー運営 〜イベント運営のプロがリアルの場作りメソッド公開します〜(全2記事)

イベント集客のカギは「自分ごと」 リアルの場作りにおける、4つの重要なフェーズ

2019年3月14日、新しいイベントマーケティングの形を探るイベント「BtoBマーケ × セミナー運営 〜イベント運営のプロがリアルの場作りメソッド公開します〜」が開催されました。「BtoBセミナー/イベント運営のノウハウを学ぶ」をテーマとし、Repro株式会社の井上裕司氏が登壇。元芸人で、現在はイベント運営のプロである井上氏がこれまでの経験から得た知見をシェアしました。

「イベント運営」はタイトルが重要

井上裕司氏(以下、井上):続いて、「イベント運営のやり方」についてお話をさせていただきます。イベントを開催するまでのステップを、大きく4つに分類してみました。まずイベントを企画して、集客のために告知をして、当日に向けた準備を行っていって、開催すると。

そこで最初の企画のところが一番重要なので、しっかりと時間をかけるべきだと個人的には思っています。イベント開催日から逆算して、2ヶ月前から5週間前までにしっかりと企画の部分を詰めていくのが大事だと思っております。

企画のポイントとして、もっとも意識していることは、「明確なターゲットを決める」というところですね。「どういう人にどういったコンテンツを届けたいか?」というところがしっかり決まってこないと、企画も中途半端なものになってしまいます。その上でいくつかtipsがあるので、ご覧いただきたいと思います。

まず「イベントタイトル決め」なんですけれども、良いタイトルかのポイントは、「自分ごと化してもらえるか」だと思っています。そのタイトルを見るだけで、「誰に向けたものなのか?」「何が得られるか?」「参加後にどうなるか?」というところまで明確にすることでイベント内容に対して興味を持ってもらうことができますす。

「参加したいと思うセミナータイトルはどっち?」というところで、質問です。(スライドを指して)まずAの「元芸人によるマーケティングセミナー」、そしてBは今回のタイトルで「BtoBマーケ×セミナー運営〜イベント運営のプロがリアルの場作りメソッド公開します〜」です。

「Aのタイトルのほうが興味が湧きそう」だと思う方はいらっしゃいますか?

(会場から手が挙がらず)

要はこういうことなんですよね。「自分にとって重要かどうか?」がわからないと、なかなか興味を持てません。世の中にイベントはたくさんありますし、多くの方はイベントのタイトルから得られる情報だけで判断してしまいます。

なので「タイトルにすべてを込める」ということは、非常に重要です。今回のログミーさんのイベントタイトルはすごく良いと思います。ただ、みなさんの中に気付いた方がいるかもしれませんが、実はイベント名が途中で変わったんですよ。

最初、「イベント運営のプロ」ではなくて「元芸人」だったんですけれども、そのときはぜんぜん申し込みがなかったんです。たぶんそれで「ヤバイな」と思ったんでしょうね。

そこから「イベント運営のプロ」に変えたら、こんなに多くの方に集まっていただきました。元芸人という部分で引きがないのはちょっと悲しいんですけれども、こういうところですごく大きく変わってくるんだなと改めて感じました。

開催日時はいつがベストか?

井上:「開催する曜日や時間帯はどこがいいのか?」ということが気になって、今までの結果を元に調べてみました。

あくまで弊社の場合ですが、火・水・木曜日の中では木曜日の参加率が高く、続いて火・水という感じでした。実は、なんとなく水曜日に開催することが多かったんですよ。それは「週の真ん中の水曜日が一番いいんじゃないか?」というすごくふわっとした仮説だったんですけれども、フタを開けてみたら「木曜日の参加率が高かった」というところがデータから見えてきました。

さらに開始時間は、16時から19時までの間で検証しましたが「遅い方が参加率が高まる」という傾向になりました。キャンセル理由としても「業務が終わらないため参加を見送らせてください」といったものが多いのでやはり仕事が終えてから間に合いやすい時間帯の方が良いかと思います。

天候に関しては、やっぱり晴れと雨ではぜんぜん参加率が違って。晴れでの平均56.6%に対して、雨だと10ポイント以上下がりました。ちなみに晴れと曇りでの差は2ポイント以内とほとんど変わらなかったです。

イベントページを十分に活用しよう

井上:次に今度は告知をしていくわけですが、だいたい1ヶ月前には開始していただくのがいいかなと思います。なぜかというと、イベントは告知し始めをとれだけ勢いよく集客できるかで、その後の伸びが大きく変わるんですね。

ですので最初の1週間での集客結果を踏まえた上で、追加施策を考えて実施していきますが、残り2週間を切ってくる頃には予定が埋まり始めちゃうんですよね。なので、余裕を持るために、できれば1ヶ月前から集客をしていただきたいと思います。

あとやはり大事なのは、イベントページですね。「どんなイベント内容なのか?」をしっかりと伝えられるのは、ここなので、非常に作り込んでいただく必要があると思っています。

イベントページの構成については、概要だけでなくぜひ載せていただいた方がいいのは登壇者のプロフィールですね。100~200文字程度で問題ないですし、写真もあればベターです。実際にこれを載せることで、かなり反応が変わります。

さらには、講演タイトルだけでなく、内容のサマリーも載せることで、「どんな話が聞けるのか」「自分にとって有益な情報が得られるのか」が明確になり、イベントに対する興味をより喚起することや期待値の適切なコントロールに繋がります。

あとは、会場の写真も載せることで、実際に参加しているイメージが湧きます。また、イベントページに関してはぜひイベント告知専用のプラットフォームに掲載していただくのがお勧めです。

例えば、Peatixやconnpass、Doorkeeperなどを活用することで、とくに集客面でのメリットがありまして、プラットフォーム上を回遊するユーザーの流入が見込めたり、SEOの観点でも自社サイトに掲載するより有利です。

また、便利なのが、グループを作成する機能ですね。グループには、イベントに参加された方々が登録されていき、新たにイベントページを公開するとプラットフォーム側から通知がされるので、告知の手間が省けます。

うちはメインでconnpassを使っているんですけれども、例えば2017年7月時点では696名しかいなかったグループが、約1年後の2018年6月には2,363名に増えまして、さらに現在(2019年3月)では他のプラットフォームと合わせて、4,000名近い方々が登録してくれています。

グループの参加人数が大きくなってくると「どんなイベントをやっているんだろう?」と興味を持ってくださる方も増えてきますので。グループをコツコツと育てていきましょう。

効果的な集客方法は?

井上:集客の手段はいろいろありますが、、基本はハウスリストに対してのメールの告知以外にもSNSで告知をしたり、関連性の高いFacebookグループを探して投稿したりしています。たくさんの人にイベントの存在を知ってもらうのが基本ではありますが、ここぞというときに効果的なのは、セールスからの直接招待ですね。

やはり一斉メールで送られてくる情報よりも、顔見知りから「このイベントはぜひお勧めなんです」「あなたに来てほしいんです」と伝えた方が、より興味を持ってくれやすいので、「あともう少し集客を伸ばしたい」というときにセールスを巻き込んでやってみてください。

Facebookなど広告配信も試してみたんですけれども、「なかなか難しかった」というのが感想ですね。広くリーチはできるんですけれども、気軽に申し込めるぶん、実際に来場される方が少ないというか、なかなかその先に繋がっていかない感じです。

ちなみに、これら以外で「こんな集客の仕方をしています」という方はいらっしゃいますか? 

回答者3:セールスからの直接招待に近いですが、お客さん経由で「社内にこういう人いるから、また今度セミナー連れてきてもいいかな?」「うちの取引先で教えて欲しい人がいるから、セミナーに今度連れてきてもいいかな?」というように、お客さんからお客さんに紹介してもらって参加してもらう感じですね。

井上:なるほど。確かにそういう感じで、「知人からのお勧め」は効果的だと思います。ぜひ取り入れてみたいと思います。

準備フェーズはタスクが非常に多くなる

井上:そして、集客と並行しながら当日に向けた準備も進めていく必要があるわけですが、やることが非常に多いですよね。例えば当日使う資材の用意や事前の発送、飲食物の発注。あとは運営スタッフに当日のオペレーションを共有したり、登壇者へのアナウンスをしたり、さらには講演内容や資料作成の進捗を確認したり。

あとはアンケートと参加者リスト作成や、参加者の方へのリマインドをしたり、講演資料を直前で回収したり。みなさんもこういったことをされていると思います。

ちなみにイベント用に飲食物を発注されたことがある方は、どのくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

けっこういらっしゃいますね。あるあるだと思うんですけれども、「実際にドリンクや食べ物は、どのくらいあれば足りるのか?」ということが気になりませんか?

これは僕も何回も失敗しました。多く頼みすぎてしまったり、逆に足りなくなって急きょ買いに走ったり。そんなことばかりやってたんですけれども、だいたい当日来る人数の掛ける1.5本程度の数量がちょうどいいです。

当日来る方のうち、懇親会に参加する方が平均するとだいたい5割くらいです。そういったところから、ざっくり計算していくと、「参加者掛ける1.5本がちょうどいい」というデータがうちの中にあります。ぜひ参考にしていただければと思います。

あとは、食べ物でピザを頼む方が多いと思います。ピザも非常にお勧めなんですが、個人的にはサンドイッチがお勧めです。なぜかというと、冷めている状態で届くので、受け取るタイミングをまったく気にしなくていいからです。

サンドイッチはみなさんが好んで食べられるので、非常にお勧めです。あとは、唐揚げですね。どれだけ頼んでも絶対になくなるので、サンドイッチと唐揚げがぜひお勧めです。

いよいよイベント当日…

井上:当日の運営ではやることも非常にたくさんあります。まずは会場のレイアウトです。椅子のセッティングをしたり、映像や音響がしっかり使えるかをチェックしたり、配布物があればセッティングしたりします。

当日のポイントとしては受付ですね。受付で大きく待たされると参加者としては萎えるので、開始時の雰囲気も悪くなってしまいます。特にイベント開始直前は込み合いますし、受付待ちで人が溜まると開始時間も遅れてしまったりするので、スムーズなオペレーションが行えるように事前準備や受付担当者間での役割分担をしていただくことが重要だと思います。

また、合わせて意識していただきたいのが、会場までの導線設計ですね。特に入口がわかりづらい建物の場合には、案内担当を配置するなどしてください。

受付後は、「好きなところににお座りください」という感じでご案内すると、前の席が空いてしまいます。そこはぜひ、前の方から座っていただくようにアナウンスしましょう。最初は前方だけに席をセットしておいて埋まってきてから後ろに追加するのも効果的です。

あとは、イベント終了後の片付けですね。現状復帰が必要な会場が多いので、スムーズにするために、事前に写真を撮るといった細かい工夫で、スムーズになります。ぜひそちらも意識していただきたいと思います。

イベントの効果を高めるために必要なこと

井上:最後に、イベントの効果を高めるために必要なことをお話ししたいと思います。

まずは他社との共催をぜひしてみていただきたいと思っています。イベントを共催するメリットは、まず自社だけではリーチできない人たちへのリーチができます。それぞれが保有しているリード交換することができるので、非常に有効です。

ただ注意点がありまして、共催する場合にはターゲットが近い企業さんでないと、人が多く集まっても、結局は自社のターゲットではない方が多くなってしまいます。一緒にやるんですけれども、ターゲットは一番意識していただきたいと思います。

あとは、拡散する仕組みを作っていただくことが非常に重要です。1回のイベントで単発で終わってしまうのではなくて、それをオンライン上で拡散していく仕組みを作っていただくと非常に有効になります。

例えば、イベントのレポートを発信していただいたり、実際に参加者の方々にTwitterで投稿したりしてもらう。オンライン上で拡散していくことで、次回のセミナーやイベントに興味を持っていただく方が増えていくので、こちらもぜひお勧めです。

ぜひ参加型にしていただきたいなと思っております。登壇者が一方通行に話すだけ、聞くだけではイベント自体が予定調和になり、盛り上がりずらいです。

質疑応答などが活発に行われるのが理想ですが、講演を終えたあとに質問を募ってもなかなか手が挙がらないケースが多くみられます。でも実際、みんなの前で質問するのはなかなか勇気が要りますよね?

解決法としては、オンライン上で参加者が質問を投稿できる「sli.do」というサービスを使うことです。ちなみに「sli.do」をご存知の方はいらっしゃいますか?

(会場挙手)

けっこういらっしゃいますね。ご存知ない方のためにご説明させていただくと、「sli.do」はオンライン上で質問の投稿ができるツールです。質問が浮かんだらその場ですぐ、匿名での投稿が可能なので気軽にどんどん投稿してもらえます。

こういったツールを活用して、参加者一体型のイベント作りをするのがお勧めです。

「ホスピタリティ精神」を大切に

井上:最後になりますが、イベント運営をこれから始める上で大事なこととして、いくつかお伝えしておきたいと思います。まず「ホスピタリティ精神」、つまりおもてなしの意識ですね。

「イベントへ来ていただいた方への提供価値を追求する」には、ユーザー体験(UX)の観点が欠かせませんこれがなければ、スケールに繋がっていかないので、大事にしていただきたいと思います。

例えば、「一番後ろの人まで聞こえているか?」「会場は暑くないか?」といった本当に基本的なところに気付けるかどうかが非常に重要で、まずは当たり前のことをしっかりとやるだけで、イベントは良くなります。

運営に関しては受付をスムーズにすることと、登壇者へのフィードバックや、イベント運営の改善を目的としたアンケートを実施しましょう。

僕らは記述式の回答を得られやすい紙でのアンケートにこだわっています。Googleフォームなどオンラインアンケートのほうが集計は楽ですが、記述式の長文入力が手間なので本音を引き出しにくいのと、イベント後などに送られてくることが多く、時間が経ってからでは内容を忘れられてしまうからです。

アンケートの記入率や回収率を高める簡単な方法がありまして、それは、イベントの中で「アンケートを記入してもらうだけの時間を用意すること」です。ながら、ではなくちゃんとアンケート回答に専念してもらうことで回収率が大幅に上がりますので、ぜひ実践してみてください。

最後になりますが、イベントをやっていく上で大事なことは、「継続していく」「目先の数字を追わない」「参加者の満足度を重視する」というところです。以上です。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

何をKPIとして追っているか?

井上:では、もし何か質問などがあれば、お答えさせていただきたいと思います。どなたかご質問がありますでしょうか? そちらの女性の方、お願いします。

質問者1:さっきのお話で、満足度をけっこう気にされているのかなと思いました。「セミナー運営に関するKPIや、KPIほどでなくても、どういった数値を追って、あるいは定点観測をしているのか?」を教えていただきたいです。

井上:重視していたKPIは、事前の申し込み者数と当日実際に来場された方の数ですね。あとは参加者の満足度をNPS(Net Promoter Score)で測っていて、スコアが極端に低い参加者の意見は目を通します。ちなみに、どういったKPIを設定されていますか?

質問者1:私も申し込み数はKPIとして追っています。KPIほどではないんですけれども、最終目的は成約というか契約を取るというところもあるので、観測はしているんですね。ただ、私も感覚的に「満足度も大事だな」とは思っていて。「満足度と契約はどのように繋がるのか?」ということを考えています。

井上:そうですよね。そこは本当に難しいと思います。やはり「短期的な数字を追い過ぎない」という話に戻るんですけれども、満足度を追求していった先にセミナーやイベントの成長があって、「最終的に数字はあとからついてくる」と考えています。

例えば「短期的に数字を作る」という場合の施策もあると思うんですけれども、コミュニティ型のイベントをぜひ並行してやっていただきたいと思っています。

多くの人が気軽に訪れるイベントを並行してやっていくことで、満足度を追いつつ、少人数のセミナーで数字を作っていく。とくに商談では、並行してやっていただくといいかなと思います。その他、質問のある方はいらっしゃいますか?

共催イベントのメリットは?

質問者2:最初のセミナーの企画で、「ひたすらやるしかなかった」というところに関しては、本当に「今に至るまで努力の賜物だ」というところで、すごく感心して聞かせていただきました。

そこで、このひたすらやるしかなかった第1回目は経験として、「実際どのように自分で動いたのか?」「企業が協賛したのであれば、具体的にどういった売り込み方をしていったのか?」「自分の中でどういった価値を相手に伝えていったのか?」ということを聞きたいと思います。

井上:そうですね。第1回目に関しては、3名しか申し込みが入らなかったんですね。そのときは、実際に3名しか来なかったんですけれども、その方々にもう本当に、「『いかに満足してもらうか?』というところを意識してやった」ということに尽きますね。

共催を始めたのは少し先になるんですけれども、共催イベントのメリットをお伝えするには、まずは自社で開催の実績を積み重ねていって、動員実績数といったところで「共催するメリットがありますよ」ということをしっかりと伝えていただく。

あとは、セミナーはやりたいけれど運営ノウハウを持っていないので、「運営はお任せください」という感じで言っていただくと、「そこの部分がクリアになるのであれば、ぜひぜひ一緒にやらせてください」という企業さんが多いです。「まずは損して得取れ」ではないんですけれども、運営の泥臭いところを率先して巻き取っていくことが、ぜひお勧めです。

質問者2:ありがとうございます。

井上:たどたどしいところがあって、みなさまの疑問にたぶんしっかりとお答えできていないと思うんですよ。ぜひ懇親会でお話ができればと思っていますので、引き続きよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。

(会場拍手)

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