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Global Keynote Series:本田圭佑(全3記事)

なぜ本田圭佑は投資をするのか? 稀代のスターが明かす、11年前の原風景と「これから」

2019年5月27~30日、「Advertising Week Asia 2019」が開催されました。マーケティング、広告、テクノロジー、エンターテイメントなどの幅広い業界が集い、未来のソリューションを共に探索する、世界最大級のマーケティング&コミュニケーションのプレミアイベントです。本セッションでは、サッカー選手で実業家の本田圭佑氏が登壇。ブロックチェーンファンドの設立の背景と、CryptoAge ファウンダーの大日方祐介氏と協働していく意向を明かしました。

本田圭佑が投資をする理由

司会者:もうみなさんお待ちかねだと思います、このイベントのフィナーレを飾るキーノート。本田選手、お迎えしましょう!

(会場拍手)

本田圭佑氏(以下、本田):こんにちは。サッカー選手として紹介していただいたんですけど、今日はサッカー選手としてここに来たわけではなくてですね。個人としてではなくて、今グループ(KSK Angel Fund)でも活動してまして。グループに140人ぐらい実はいて、そういうことも知らない方もたくさんいらっしゃるかなと思うんで。その紹介とともに、僕がどんなことを今後やろうとしてるのかっていうのを、ここで少しお話しできればなというふうに思ってます。

グループとして、ミッションがあります。「世界中の誰もが夢を追い続けられる世界」を、グループとして作ると。それを僕らはミッションに掲げてやってます。

どういうことか。ずいぶん前の話になってしまうんですけど、2008年……もう11年前ですね、オランダにサッカーで挑戦しに行ったんですけど。海外に出てからいろんな国に行くこともあって。

ある国に行ったときに、貧しい子どもたちがね。僕の子どもぐらいの子どもが、物乞いをしてるわけですよね。車で止まったときにその子は、自分の弟か妹、1歳ぐらいの子をおんぶ紐で背負って、僕らに物乞いをしてるわけです。お母さん、お父さんの代わりに子守りをしながら。

それ見たときに、それまでサッカーしかしてこなかったんですけど、「何かしないとな」と。たぶんみなさんがその場にいても思うぐらい、別に損得勘定なしで「何かしないとな」と。人であればそう思うだろう、というような光景を目の当たりにしたんですよね。

それがきっかけで、すぐに行動へ移すことができないかっていうので、サッカースクールを始めて。子どもたちに夢を与える活動をしたいと。夢を持ってもらう糧となるような活動がしたい、っていうふうにある日思ったんですね。

それが2012年なんですけど、一方で本当に貧しい子どもたちは、今お話ししたように幼少の頃から、家族のための労働力として手伝ってるわけですね。だから自分の夢を追うなんてことはもってのほかじゃない、って状況なわけです。

これ当たり前ですけど、最初スクール作ったときに気づかずに。「これはサッカースクール広げていかなきゃダメだな」っていうので、次、何か自分にできることはないかと。サッカー選手やらせてもらってて、少しお金が貯まるような給料もらっていて。このお金をもっと社会のために、有意義に活用できないかっていうので、エンジェル投資を始めたんですよ。

大企業に投資するような投資ではなくて、テクノロジーに投資したり、志の高い起業家に投資することで、間接的にね。今言ったような問題がある国に、影響を及ぼすような企業に投資したいっていうような気持ちで、間接的にそういう問題を解決したいっていうふうに思って、投資を始めたんですね。それが約3年前。

今までは個人で、もう50社ぐらい投資してて。ただ自分のお金でやるにも限界があると。そういうことで去年、俳優のウィル・スミスとベンチャーキャピタルを作って。もっとも優秀な起業家がたくさんいるアメリカに出資する、ベンチャーキャピタルを立ち上げたんですね。今ではもう25~30社ぐらい投資してるんです。去年立ち上げたベンチャーキャピタルなんですけど。

そういったかたちで、僕らのビジョンはものすごく明確で、基本的には夢を持てる環境にない人たちをサポートしたり、夢は持ってるけど実現の仕方がわからない人をサポートしたり。いわゆる「挑戦したい人たち」をサポートするグループなんだと。

ブロックチェーンファンドを設立

本田:なので今後、僕らがですね、基本的にこのミッションをどうやったら実現できるのかっていう意味で、いろんなことをやっているんですけど、今日は新しく挑戦したいなと思ってるプロジェクトがあって。

それが、ブロックチェーンファンド。いわゆる、日本でもキャッシュレス化が進んでますよね。でもまぁ日本はいいですよ、円が素晴らしいから。でも国によっては、みなさんご存知かどうかわからないですけど、もう自国の通貨なんてなんの信用もない国もたくさんあって。

僕がよく行くカンボジアなんかも、もうドルのほうが信用高かったりするんですよね。だからUSドルが平気で流通しているわけです。日本では考えられないことですよね。カンボジアは、どこでもUSドルで決済できるわけです。

一方で、もちろんカンボジアの通貨もちょっとずつはできたりするんですけど。アフリカの国なんて、そういうのいっぱいあるわけですよ。

その、ブロックチェーンの思想。いわゆる、もともと「ブロックチェーン」ってみなさん聞いたら、すごく投機的なイメージとか、あんまり良いイメージない方もいらっしゃるかと思うんですけど。あくまでもあれは、いわゆるトークンというものを支える技術ですから。いろんなことがあの技術を使って可能になるっていう。

ただ本当に悪いのは「分散型である」っていうところで、やっぱり誰の手によっても支配されていないと。それはすごく、我々みたいな信用のおける国だと問題ないんですけど、政治が不安定な国はね。いつ自分のお金がどうなるかわからないっていう国、たくさんあるわけです。自分が買った土地が、どうなるかもわからない場所にたくさんある。

そういう問題もね、僕は解決したいなと以前から思っていて。で、今回そういうことをやりたいなっていうので。ただ僕、実はぜんぜんノウハウなくて。思想に共感してるだけなんですよ。

パートナーとして大日方氏を紹介

本田:なんで、「仲間がいるな」っていうところでずっと(探してきた)。これまで、1年前ぐらいからずっと勉強しながら、仲間を探してきました。今回実は、ここに椅子があるんですけど、仲間が見つかって。その人と一緒にパートナーシップを組んで、ブロックチェーン関連のファンドを立ち上げようというところなので。

せっかくなんで、ちょっと紹介したいなと思うんですけど……大日方くんはどこにいるのかな?

大日方祐介氏(以下、大日方):どうも、オビです。

(会場拍手)

本田:自己紹介、まずしてもらったらいいかもしれない。

大日方:そうですね。だいぶみなさん、本田さんの話を聞きに来て「いきなりブロックチェーン?」みたいな感じだと思うんですけど。ちょっと、1万円払うんでブロックチェーンの話してもいいですか?

(会場笑)

本田:おぉ、うまい! うまい(笑)。

大日方:海外の人で今のジョークわからない人は、昨日の本田さんのTwitterを見てください(笑)。

(会場笑)

なので、ちょっと簡単に僕の自己紹介と、そもそも今日テック業界以外の人が多いって聞いてるんで。ブロックチェーンって今どういう状況なの、みたいなところ含めてお話をして。なんで本田さんがここに興味を持って、「一緒にやろう」ってなったのか、みたいなところも話せればと思ってます。

本田:はい。

大日方氏、バックパッカーで得た知見

大日方:大日方祐介、「オビ」ってよく呼ばれてます。もともと学生時代ぐらいからけっこう、バックパッカーみたいなことをやってて。で、そこから東南アジアに興味を持って、東南アジアのスタートアップに興味を持って。

就活もせずに東南アジアのスタートアップを調べるブログとかを書いてるところから、偶然イーストベンチャーズという、日本と東南アジアのインターネットベンチャーに投資をしてるベンチャーキャピタルに、学生時代ぐらいから入らせてもらって。3年ぐらいやらせてもらってました。

けっこうそのときの仲間や投資先に、そのあと本田さんがエンジェルで投資されたりとか。たぶん本田さんが起業家で一番仲いいのってクラシルの……。

本田:堀江氏?

大日方:はい、クラシルっていう料理動画メディアやってる、堀江裕介だと思うんですけど。

本田:うん、うん。

大日方:堀江とかも僕がイーストベンチャーズにいたときに来てくれて。

本田:そうですよ。

大日方:もともと彼とか、僕のいた会社で「働きたい」みたいな感じで来たんですけど、あまりに自己主張が強かったんで(笑)、「君は起業したほうがいいんじゃないか」みたいなことで、2週間ぐらいでクラシルみたいな……あ、最初はクラシルじゃないんですけども、会社を作って。

そのときぐらいからの付き合いで、僕もすごく、この業界だと一番ぐらい仲がいい友達で。そういう堀江だったりとか、その他多くの友達の起業家コミュニティで最初、本田さんと。

本田:そうですよね、知り合ってね。

大日方:そうですね。で、そのイーストベンチャーズにいたときに、2014年ぐらいに出会った会社で、ビットフライヤーっていう会社がありまして。今だと日本で一番ぐらいに大きい仮想通貨の取引所やってるところで、当時はまだその創業者の加納(裕三)さんが一人くらいでやられてるときに、オフィスに来てくださって出会いがありました。

そのときに初めてビットコインの仕組みを詳しく教えていただいて。僕はもともと東南アジア行ったときに、国際送金をたくさん行ってるようなフィリピンとかに滞在していたので、すぐに興味を持ちました。

本田:いつぐらいですか?

大日方:2012年ぐらいですね、フィリピンにいたのは。僕もともと18ぐらいからバックパッカーをし始めたんですけど。

本田:なるほど。

ブロックチェーンへの誤解を憂う

大日方:純ジャパニーズなんで、英語がちゃんとできなかったんで。ちゃんと英語やりたいな、って思って1年、20歳ぐらいのときに休学して、フィリピンに8ヶ月ぐらい住んでたんですけど。そういう経験からビットコインっていう仕組みとかに興味を持って、2014年ぐらいにビットコインのブログ書いたりとか(笑)。

本田:早いなぁー。

大日方:コインチェックっていう、またそれも仮想通貨取引所……を創業した和田(晃一良)くんとか、同い年なんですけど。和田くんとビットコイン勉強会とかをやったり、みたいな。

本田:なるほどですね。なんか、すごい多くの人が、ブロックチェーンとか仮想通貨っていうものを誤解していて。ひとことで言ったら、別に言葉選ばず言ったら、一時期金稼ぎたい人がもう、あらゆる人たちが参入してきて。

大日方:はい。

本田:で、なんとか稼ごうとしてきて。なんかわけわからんトークンを発行して、大騒ぎするようになって。もう、詐欺まがいみたいな。

大日方:そうですね。

本田:そういう人があまりにもありふれちゃって。でもベースになってるビットコインの思想とか、イーサリアムのサービスとか、本当に未来なんですよ。すごく未来。ただ技術もこれからだし、まだベイビーのフェーズだと思うんですよね。

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