2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:よろしくお願いいたします。まず三浦さんから、自己紹介をお願いいたします。
三浦崇宏氏(以下、三浦):初めまして。クリエイティブディレクターの三浦と言います。
「The Breakthrough Company GO」という、スタートアップをはじめ大企業も含めた新規事業や、あらゆる事業のクリエイティブやPR、マーケティングの支援を行う会社をやっております。今日はよろしくお願いします!
(会場拍手)
司会者:ではゆうこすさん、よろしくお願いいたします。
菅本裕子氏(以下、ゆうこす):「ゆうこす」というニックネームで呼ばれています、菅本裕子です。
私はぶりっ子なんですけれども(笑)。「ぶりっ子って別によくない?」「モテたいよね」という気持ちを、ふだんはYouTubeやInstagram、Twitterなど、いろいろなSNSを駆使して生配信をしています。数字で言うとフォロワーの98パーセントが女の子です。
その中で去年9月からスキンケアブランドを立ち上げました。サティス製薬さんと一緒に作りまして、「youange」というブランドを発売しています。会場の左奥のほうにあるので、よかったらあとで見てもらえたらうれしいです! 今日はよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
司会者:ありがとうございます。では山崎さん、よろしくお願いいたします。
山崎智士氏(以下、山崎):みなさん初めまして。サティス製薬の山崎と申します。
サティス製薬は、今日の主催である「MEDULLA(メデュラ)」のシャンプーを製造させていただくと同時に、今もお話がありましたように、ゆうこすさんの新しいブランドも製造させていただいています。このように、ブランドの黒子として商品の製造をやっているOEM会社です。
実績として、我々が創出しているブランドは、今だいたい600ぐらいございます。そのうちの9割が、本日のテーマであるD2Cで世の中に普及しているブランドです。しかし、我々がD2Cに詳しいかと言うと、そこはあまりご期待に添えないかもわかりませんが(笑)。
D2Cで流通している商品の共通する特徴や、うまくいくポイント、言い換えるとうまくいかないポイントなど、少し感覚的になるかもわかりませんが、お話できると思っております。よろしくお願いします。
(会場拍手)
司会者:よろしくお願いいたします。D2C時代を迎えるにあたり、「メーカーがモノを売る」ということ、そして「これからのユーザーとブランドの新しい関係性はどうなっていくのか?」ということについて、PRの最先端をいく三浦さん、そしてご自身のブランドを展開されD2Cのトップランナーとも言えるゆうこすさん、そして「MEDULLA」と「youange」を製造されている山崎さん。それぞれのお立場からD2Cを捉えていただきたいと思っております。
ではさっそく、1つ目のトークに移ります。まずは、三浦さんからおうかがいしたいのですが、ズバリ「D2Cの定義」についてどう考えていらっしゃいますか?
三浦:あぁ、そうですか。D2Cといえば三浦ですから、うれしいですね。
(一同笑)
GOという会社をやっていまして、大企業が新規事業を立ち上げるときのコンサルティングや、スタートアップの新規事業開発をお手伝いしています。最近は「D2Cブランドを立ち上げるんですけれども、一緒に考えてもらえませんか?」とめちゃくちゃ言われています。去年の夏ぐらいから本当にすごくたくさん来ています。
ゆうこす:へぇー。
三浦:ゆうこすさんからはぜんぜん相談が来ていないので、アレなんですけれども(笑)。
ゆうこす:(笑)。
三浦:最初は「D2C」が何かわかりませんでした。「D2Cのブランドを立ち上げるので、GOさんにお手伝いをお願いします。GOさんはそういうの得意ですよね?」と言われて、D2Cが何かわからないままにすごいドヤ顔で「そうですね、D2Cに関する……」あれ、おもしろいところでマイクが切れちゃった(笑)。
(会場笑)
「Direct to Customer」というお話がさっきもありましたけれども、D2Cの定義を簡単に言うと「実際に製造する人間と顧客の方が直接つながる」ということです。
三浦:これには、たぶん二つの大きな変化があります。まず、世界観を作った人間と消費者が世界を共有できるということ。あとは、マーケティングの「データ」と言うとすごく無味乾燥なものに思えるけれども、要は消費者の欲望や趣味、気持ちじゃないですか?
「色を変えたらこんなに売れるんだ」「こういう要望があるんだ」「この時間に売り出すと急に売れたりするんだ」というような、データという名前の消費者の欲望や気持ちを、メーカーが直接そのまま汲み取れるようになったことが、実はすごく大きいんじゃないかなと思っています。
ゆうこすさんは実際にやっていてどうですか?
ゆうこす:私は……さっきのなんでしたっけ、「D2Cの……」?
司会者:トップランナーですね。
ゆうこす:トップランナーという感じはちょっと(笑)。
三浦:いや、俺的にはトップランナーと言うか、もう「歩くD2C」という感じです。
(会場笑)
ゆうこす:いや、私はもともとD2Cという言葉を知らないまま「youange」を販売していたら、「D2Cのトップランナーだよね」って最近言われるようになって。「あぁ、D2Cって言うんだな」と思って。
三浦:「あぁ、あたし今トップにいるんだ」みたいな(笑)。
ゆうこす:「トップにいるんだー」と思いながら(笑)。あとで検索してD2Cの意味を知ったんですけれども、もともとは何だろう……私は「やさしい販売」と言うか。
三浦:「やさしい販売」。ほうほう、いいじゃない。
ゆうこす:「あたたかい販売」みたいなイメージがあって。
三浦:人の気持ちが伝わる、みたいな。
ゆうこす:そうですね。
ゆうこす:さっきのデータのところでも、すごくわかるんですけれども。「なぜこの『youange』というブランドを作ったのか?」と言うと、私はもともとアイドルで、今でこそ治ったんですけれども、睡眠時間が少ないことによって、ニキビとか肌ダメージが本当にヤバかったからなんです。
三浦:へぇー。
ゆうこす:最初は「寝ている間に肌ダメージにアプローチしてくれるものがほしい!」って言っただけなんですよ。私は何もできないけれども、インフルエンサーなんで(笑)。
三浦:それは何の媒体で言ったんですか?
ゆうこす:そのときはTwitter、Instagramで言いまくっていました。それで、サティスさんやいろいろなところに駆け込んで、作っている過程を全部生配信しました。
そうすることで、販売する前からブランドのSNSのフォロワー数が25,000人ぐらいまでいきました。フォロワーとコミュニケーションをとって、みんなの意見を組み入れながら作ったブランドなんですよ。
三浦:お客さんを巻き込んでいったということで。
ゆうこす:そうです。共犯者みたいな(笑)。
三浦:もっと言うと、モノができるまでが商品になっているんだよね。
ゆうこす:そうです。
三浦:「そこに参加した」ということ自体が、「ユーザーもメーカーと一緒になってブランドを作っている」ということですよね。サティスさんとの出会いは何だったんですか?
ゆうこす:ふつうにめちゃくちゃ調べまくりました。
三浦:めちゃめちゃ調べて吟味を重ねて、「サティスさんしかいない!」という。
ゆうこす:そうですね。あとは私が知っているD2Cの人たちも、けっこうサティスさんだったので。
三浦:D2Cブームの黒幕なんですね!
ゆうこす:黒幕ですよね(笑)。
三浦:フィクサーですね。
山崎:いえいえ、そんなことはないですけれども(笑)。
三浦:D2Cブームになって、実際に商売が変わりましたか?
山崎:商売自体の財務諸表は変わらないんですけれども……。
三浦:「財務諸表は変わらない」というパンチラインがリアルでいいですね(笑)。
(会場笑)
安定しているなぁ(笑)。
山崎:内部のやり方がものすごく変わりました。どういう部分かと言うと、D2Cは解釈がいろいろありますが、僕の唱えているポイントとしては、「ユーザーとの双方向のコミュニケーションを、デジタルテクノロジーで蓄積しながら解析して声に変えていく」と。
三浦:こい? Love?
山崎:声、Voice。
三浦:あっ、Voice。I know。
(会場笑)
山崎:今までの通信販売も確かに、メーカーとユーザーがつながっているという面においては、(スライドを指して)こういう絵にすると同じような……。
司会者:FABRIC TOKYOさんからお借りしたD2Cのビジネスモデル図解です。
三浦:こんな便利な図があったんですね。
山崎:通信販売は同じような絵なのかもしれないんですが、イベント前半のSparty代表の深山さんの話でもありましたように、D2Cの場合はつないでいる中でデジタルテクノロジーが駆使されて、すごく秀逸な解析がされていっているということです。
山崎:今のゆうこすさんの2万数千人のフォロワーもそうなんですが、ユーザーからのフィードバックって、ものすごい量が来るんですね。「そのときにやらなきゃいけないことは何か?」と言うと、ユーザーボイスというフィードバックがあったときに、そのフィードバックを品質に置き換えて、速やかにリニューアルをしていくということです。
三浦:うん、うん。
山崎:長いこと商品開発をしているんですけれども、商品開発はあくまで「こういうことをやったら喜んでくれるんじゃないかな?」という仮説を形にしているだけで、今まで検証作業は実はあまりできていなかったんです。
三浦:はい、はい。
山崎:それがD2Cになることによって、フィードバックという的確な検証ができるようになれば、当然PDCAのCが済めば、Aに進むと。そういうことで、改良しなければならないスピードが僕らの製造オペレーションを大きく変化させました。
三浦:なるほど。山崎さんとゆうこすさんは、まさに今の両側ですよね。山崎さんはPDCAが速くなっていくということと、ゆうこすさんはあたたかく、人を巻き込んでマーケティングしている。同じですよね。
作る側と使う側が一体になって、いい商品を作っていくというところですよね。実際、どうやってお客さんの気持ちを汲み取って……やっぱり発見があるんですか?
ゆうこす:めちゃくちゃありますね。私は自分が出ている側なので、「Instagram Live」をけっこうやっています。生配信しながら、例えば「どういう成分を入れたいか?」「どういう肌の悩みがあるか?」というところを作戦会議みたいな感じで作ったり、ボトルのデザインにけっこう細かくみんなの声を入れたり、「Instagram Stories」に質問スタンプを貼っていて、いつでも意見を言えるようにしています。
三浦:なるほど。「お客さんが共犯者になって、一緒にブランドを良くしていく」というところが一つと。あと通常の商売は、「作って届けて買って」という話だと思うんですけれども、ある意味で言うと「作った結果だけではなくて、作る過程も商品になっている」ということですよね。
ゆうこす:そうですね。
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