もうやんカレーは急成長を目指していない

河上純二氏(以下、河上):もうやんカレーの、もうちょっと真面目な話もしたほうがいいと思うからこれからするんだけど(笑)。今って10店舗になりましたっけ?

辻智太郎氏(以下、辻):そうですね。

河上:ですよね。何年でここまで来たんですか?

:21年です。

河上:21年。どうですか? なんか成功の秘訣って、振り返るとなんかあったんですかね。

:いやいや、成功なんて思ってないし、今でもバタバタしてますよ、実は(笑)。成功は別にしてないですよ。

河上:あっ、そうですか。でも、ここまで数が増えてきて、これだけファンも増えてきて、こうなるとは……。最初はどう思ってたんですか? 自信があったというか。

:いや、そういうのよりも、仕事を通じて自分の時間とか、あとスタッフと遊べる時間とか、なんかそういうのがしたくて始めたので。別に店舗を増やしたいとか、そういうのはあんまりないんですよ。

河上:あっ、そうなんだ。

:だって21年もやってたら、普通もっとあるでしょ? 店舗。

及川真一朗氏(以下、及川):そうかぁ。

:5年ぐらいでなんかバタバタっとやる人もいるじゃない。目指すものがちょっと違ったのかもしれないです。そんなに店舗数とか売上とか……まぁ、赤字じゃ困るけど、ちゃんと自分の時間もあったりとかね。そういうのを目指してやってたんで。

ただまぁ、これからは自分勝手なことばっかりも言ってられないから。スタッフもいるしね、生活もあるから、まぁそのへんを考えつつやっていきたいと思います。

スタンプカードが満タンになったら、自分の釣り船に乗せてあげたい

河上:でも、辻さんのFacebookとかも見てると、なんかとっても自由じゃないですか。もちろんお仕事を一生懸命やってることは重々承知の上で(笑)。社長自ら、いろんなことを体験したり、体感したり。

特に最近は宇宙の話をよくしてるし、もちろん海に出てる時も見てるし、バイク乗ってるのも見てるし。すごいなんか、公私共々、いいライフスタイルっていうか。素敵な人生送られてるんだろうなぁ〜って思いながら、僕見てるんですけど。

:どうですかねぇ? 好き勝手やってるかもしれないのかな(笑)。自分ではそんな思ってないですけど。

僕、今カレー屋もやってますし、あとは屋形船みたいなこともやってるし、あと釣り船みたいなこともやってるし。あとは工場でカレー作ったりとか、開発したりとか。好きなことというか、むしろ「お客さんが何したら喜ぶのかな?」っていう、なんかそれがメインになってくるから。

例えば、うちはスタンプカードがあるんだけど。自分で釣りするんで、スタンプカードが満タンになったら釣り船に乗っけてあげたら、みんな喜ぶんじゃないかなとか考えてます。

河上:ははは! お店飛び越えちゃってるから、サービスが(笑)。

:そう。そういうの、なんかおもしろいじゃないですか。

河上:おもしろい。

:別に、そんなにボロ儲けするつもりもないので、なんかおもしろいほうがいいかなと思って。なんかそういうスタンスでやってますね。

河上:なるほどね。

カレーのイメージがない夜には「スパイス居酒屋」に

:だってカレー屋って、そんなにお客さんとしゃべるような場ってないんですよね。今日みたいなバーだったらこうやってしゃべりますけど、カレー屋なんて、ラーメン屋みたいなもんだから。

河上:まぁ、たしかに。

:食べ終わったらもう普通に帰っちゃうじゃないですか。だから、顔は知ってて、よくしゃべるけど、名前も知らない人とか、けっこういっぱいいるんですよ。もう20年も来てもらってるけど、名前知らないとか。顔を見りゃあ100メートル先でもわかるけど、そういう方っていっぱいいるんですよ。

だからそういう時に、スタンプカードが満タンになって、遊びに来てもらってね、1日一緒にいるわけだから。もう嫌でも、名前も素性も全部わかるし。

河上:ゆっくり話すんだ。おもしろい。

:そうすると、今まで謎だったものが、いろいろそこでできるじゃないですか。そうでもしないとねぇ。カレー屋って、そういうところありますよ。

河上:たしかにそうですね。特に昼は、そういう時間に流れていきますしね。

:もう「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」しか言うことないですからね。こっちもバタバタしちゃうから、そんなに時間もないし。

河上:でも、夜はほら、カレー屋の域を出て、さまざまなおつまみみたいなの、ワインもわりかしこだわって出してらっしゃったりしてて。けっこう楽しくワイワイコミュニケーションを走らせられるような夜のスタイルも、お店としてあるじゃないですか。あれ、すごいいいですよね。

:でもカレー屋だとね。やっぱり、夜はカレーのイメージないんですよね。ただ、「スパイス料理」だとか「スパイス居酒屋」みたいな、そういう使い方だとみなさんに来ていただけるので。

それで、なんか僕が食べたいものとか、そういうものしか置いてないんですけど、なんだかんだいろいろ揃えていったら、知らない間にメニューが増えていって、なんか普通に居酒屋みたいになっちゃいましたね、スパイス居酒屋みたいに。

スタンダードを知らない社長は、スタッフと客から料理を学ぶ

河上:そうですよね。交流会、しょっちゅうやってるんでしょ?

磯村尚美氏(以下、磯村):しょっちゅうって(笑)。

河上:あれはしょっちゅうって言うんですよ。いいよね、夜ね。俺も交流会の時に行かせてもらったけどさ。夜に行ったの初めてだったんです、実は。で、衝撃的なのよ。

磯村:何が?

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