セルフマネジメントを支援する「オムスビ」の羽渕氏が登壇

丸山裕貴氏(以下、丸山):今日はまず、羽渕さんをご紹介したいと思います。

羽渕彰博氏(以下、羽渕):はい、ありがとうございます。

初めまして、オムスビの羽渕と申します。どうぞよろしくお願いします。ジェレミー、今日は素敵なお話をありがとうございました。もう、めちゃめちゃ感動しました。それで、私が何をしているのかという自己紹介をさせていただきます。

まさにセルフマネジメントの支援というところや、組織づくりのようなことをしています。「オムスビ」と言うと、食べるおむすびを思い浮かべますが。僕がやりたいと思っている世界は、みんなが弱さも開示できて、すごく自然でいられるような関係性を結んでいく。その「お結び」という想いを込めて、社名を付けました。

やっていることは二つありまして、一つ目は個人向けのAMというサービスと、法人向けのrebornというサービスです。

個人向けについては、どのようにセルフマネジメントの支援をしているかというと、さきほどありましたように「自分の感情が自分ではわからない」、無意識のうちにそうなっていて、自分の“今”に集中をしていない、というところがあると思います。

自分が今、どのような感情を抱いているのかということを整理しながら、感情と向き合うことによって、常にポジティブでいられるような「感情のマネジメント」といったことを、カウンセリングを通じてやらせていただいています。

もう一つのrebornというものについて。こちらは、それではすごく自然体でいられる、自分がポジティブな気持ちでいられるという状態になったときに、それは一人でできるかというと、そうではないと思っています。それを良い組織や関係性の中でどう作っていくか、維持していくかということが大事だと思っておりまして、rebornというサービスを作っています。

やっていることは両方とも、下に書いてある3つのポイントを意識しながらやらせてもらっています。本人や経営者の価値観に基づいて、構造を再構築して、持続的な成果を生み出す。会社なので結果を出さなければいけませんから、持続的な成果を生み出す組織を作ろうとしています。

社長がイライラしているとき、ワクワクしているときの構図

羽渕:これを先ほどのジェレミーさんの話を用いながら、ご説明させていただきたいと思います。成果・構造・価値観です。

社長がすごく、「日本なんか良いことないわ」とイライラしている、というようなとき。どのような構造が起きているかというと、「もっと良い提案やアイデアを出せ」と、社内でも言われる方がいらっしゃるかと思いますが、社員に「とにかくアイデアを出せ」と命じる。

そこで、社員がとりあえずアイデアを出してみる。こうしたものを持ってきました、と。ところが「そんなんで100億稼げるか」というような感じで否定される。するとすごく凹んで、心理的安全性がなくなり、結果的にアイデアが出るというループまではいかなくなってしまう。それで、また社長がイライラする。という構図が繰り返されていっているのではないかと思います。

もし、社長がワクワクしていたらどうなるのか、というところなのですが。自ら「僕、こういったアイデアが浮かんでいるんだよね」というようなことで、どんどん自分でアイデアを出していきます。それは良いアイデアだけじゃなくて、量を出すので変わったアイデアも出す。

すると社員の方が、おもしろそうにしているから「そのアイデアおもしろいですね!」とアイデアに乗っかる。そうすると「そのアイデア良いね!」となり、さらに褒められて気持ち良くなる。

そうすると心理的安全性が高まって、それをぐるぐる回していくと、いつか良いアイデアがポンと生まれて、さらにそれが事業になって、社長がワクワクする、という構図になる。

社長の感情は組織に大きな影響を与える

羽渕:成果と構造と価値観というものは常に結びついていて、この中で矢印がすごく多いポイントがどこかというのが、心理的安全性につながってくるのです。では、ここの心理的安全性をどう高めていくかというところを、みんなでハックしていくことが、すごく大事なのです。

左の会社でよくあるのが、「アイデアコンテストをしよう」、「社内の公募をしよう」という施策を打つのですが、それは対症療法的でしかなく、問題の根本にタッチをしていない。だからそうした制度を作ったとしても、うまくいかない。

どこが構造の根本であるのかということを見つけて、そこをハックしていくことによって、組織がぐるぐる回り出すというところ。僕は常に組織の中に入って、そこの課題を見つけて、それを潰して、良くしていくことを生業にしています。

それをやりながら、僕がものすごく感じていることは、やっぱり先ほどジェレミーさんがおっしゃっていたように、社長の感情のような部分がすごく組織に反映するということです。

組織の話になると、わりと業務プロセスや構造のようなところばかりがフォーカスされたりもしますが、まさにこのセルフマネジメントの価値観というところにフォーカスしていくことが、実は組織を良くする一つのポイントではないかと思って、このあともディスカッションをしたいと思っております。以上です。

well-beingの「well」が持つニュアンス

松島倫明氏(以下、松島):ありがとうございます。WIREDの編集長をしております、松島と申します。よろしくお願いします。

WIREDというのは、アメリカの西海岸で93年に創刊されて、実は去年25周年なんです。よく「テック誌」というようなくくりをされますが、僕らはテクノロジーを通してライフスタイルやカルチャーなどについて語っていく、そうしたメディアです。日本ではもちろん、世界でもユニークな立ち位置のメディアだと思っています。

そうしたことで、ちょうど昨日、最新の32号が発売になりました。「DIGITAL WELL-BEING」というテーマです。みなさん、こういったところに来られている方はよくご存知だと思いますが、「well-being」というものはなんのことだかまだわかりません、という方はどのくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

あっ、すごいですね。ほとんどいらっしゃらない……ので、では、説明はしないでそのままいきますね!

羽渕:やめて、やめて(笑)。

(会場笑)

松島:(笑)。はい、ありがとうございます。well-beingというのは、もともとはWHOなどでも定義されています。「体も心も社会的にもwell-beingな状態であることが健康だ」というような定義があるのです。なかなか日本語に訳しにくい言葉だと思っています。「being」に対して「well」ということは、「良く存在している」ということだと思うのですが。

今日、ちょうどこの会場に一緒に来たバイリンガルの同僚と、「ところでwellとgoodというのはどのようにニュアンスが違うんだろうね」という話をしていたときに……「well」というのは、どちらかというと「主観的に良い」というニュアンスがあるような気がすると。

一方で「good」というのは外に評価基準があって、これは良い・悪いということがすでに決まっているようなものだとすると、well-beingは要するに、「では、僕らが良く在るための『良い』というのはそもそも何だろう」ということ。それはたぶん、与えられるものではなくて、まず「自分はこの状態が良いんだ」ということに気づくことから始めないと、well-beingは成立しないんじゃないか、という話をしていました。

テクノロジーを通して未来のwell-beingについて考える

松島:ちょっとそこについて、ジェレミーに聞いてみたいのですが。というのも、すごくセルフマネジメントと通じているように思うんです。こちらの「DIGITAL WELL-BEING」というのは、僕らはテクノロジーを通してwell-beingというものを、そもそも……なんて言うのでしょうか。みなさん、今ももう、こうやって提案が退屈だと、すぐにスマートフォンを取り出していろいろと見始めていると思うんです(笑)。

(会場笑)

松島:そうやって、すぐに脳がハックされてしまう。そこからどうやって自分を守ろうかというwell-beingもあるんです。それにプラスして、例えばテクノロジーというものが、これから僕らのwell-beingそのものをどうやってハックして、拡張していくのかというところ。いろいろと、その可能性を探っている一冊になります。

でも、本当に「良く在る」ということ自体を、たぶん僕らはまず自分自身で気づかない限り、そこへの道筋というものに持っていけないと思います。そうした意味で今日、ジェレミーのお話はすごく興味深かったのです。ジェレミーとは、たぶん鎌倉の禅寺で初めて会って以来なのですが(笑)。

(会場笑)

松島:でも今日、こうして話す機会をいただけたので、すごく楽しみにしています。

丸山:次のスライドに松島さんの巻頭言を載せているのですが。

松島:未来のwell-beingの可能性ということを、おそらくテクノロジーを通して突き詰めていくということなのです。これは、丸山さんがやられているBNL(Business Network Lab)のほうに、昔(記事を)出させていただいたときに書いたものなのですが。

丸山:一番最後のところを青字にしています。私も実はWIREDにいまして、今、WIREDがこうした特集をすること自体が新しい試みだと思います。今日のこのセッションに松島さんをお呼びしているのは、そうした理由もあります。

松島:ありがとうございます。