2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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木村:ありがとうございました。続いて、古木さん、お願いします。
古木数馬氏(以下、古木):よろしくお願いします。LiME株式会社の古木と申します。簡単に自己紹介しますと、まず私自身が美容師をしていまして、いまも事業を続けながら、週末に美容師をしております。美容師歴は13年くらいですね。
一番最初に、表参道のapishというサロンにいました。昔、『ビューティー・コロシアム』というテレビ番組をやっていたんですけど、その番組にも出ているサロンにいました。
そのあとに、代官山のサロンに移りました。店長業務をやっていたら、突然「情熱がうっとうしい」という理由でクビになりまして、サロンを辞めることになりました。この時期は、人生でかなりダークサイドに落ちた時期で、辞めたものの、その日の飯を食わなければいけないので、どうしようかと考えたあげく、出張でお宅訪問して、カットをして食いつないでいました。
そんな流れで、お客様がいっぱいになって、横浜でサロンを開業して、サロンをやりながらLiME株式会社を設立しました。
会社は総勢で21名が関わっていて、フルで働いているメンバーは7名です。あとは業務委託やアルバイトです。特徴としては、美容師さんが7名ほどオフィスに来て、参画していただいています。サポート対応やデバッグ対応、ブランド作りを手伝ってくれています。
古木:活動のきっかけについてです。そもそもは、いまやっている事業と違う観点で……「芸術やセンスや感性といったものを数値化することで、どんな人でも体験可能な世界ができるんじゃないかな」ということから今の事業を始めました。
話し始めると長くなるので割愛しますが、「テクノロジーによって、どんな人でも美を簡単に表現できる世界を創造する」というビジョンを掲げて事業を続けています。
なぜこれをやっているのかというと、美容業界の構造に課題を感じたからです。他の業界と比べるとすごく変わった業界なので、そういった課題を解決したいと思ったのですが、課題を話すと2時間くらいかかるので割愛します。
では、どうやって解決するか。その解決方法として、「個人がフォーカスされることで業界構造が変わる」というところにたどり着きました。私たちがやっているのは、素敵な美容師さんに出会えるサービスです。サロンではなく、美容師さん個人に出会えるサービスを作っています。
創客サービスの現状なんですけど、例えば飲食業界は、広告掲載モデルとCGMモデルがあります。ただ、美容業界は広告掲載モデル一強で、事実上ホットペッパービューティーの一強ですね。よって、サロンさんも資本があるところがたくさん集客ができる。CGMモデルが存在しない状態になっています。
お客様視点でいいお店を探せるサービスが存在しないとということで、私たちは、一生付き合える美容師に出会おうというコンセプトで、素敵なアプリサービスを作っています。この美容業界の広告掲載モデル一強状態を変えるために、CGMモデルを作って、美容師さん個人を紹介するプラットフォームを作っていきたいなと考えています。
古木:いままで、どうやって実現してきたのかについてです。ホットペッパービューティーに掲載されているサロン数が、だいたい全体の15パーセントくらいで、3万7,000件あります。未掲載のサロンは85パーセントくらいあります。
そのサロンさんは、紙のカルテだったり、紙の予約表を使っているところが非常に多く、紙のカルテを使っているサロンさんがだいたい90パーセントくらい、紙の予約表を使っているところが70パーセントくらいあるといわれています。
一方、こういったサロンには、いい美容師もたくさんいるので、こうしたサロンさんに、サロン管理を一元化できるサービスを無料で提供して、初期の掲載美容師を獲得しています。1年前くらいにサービスを公開していて、ユーザー数はまだ言えないのですが、すごくたくさんいます。
年間で100億円分のカルテ作成が行われております。例えば、美容師さんがカット・カラーをしたら1万5,000円のメニューになる。100億円というのは、その総合金額ですね。今まではマーケティング・広告費は0円でやってきて、口コミと検索でご利用いただいている状況です。最終的には、(スライドを指して)こんなかたちを目指していきたいなと思っております。メディアとサロン管理ですね。
いままで順調に成長できた理由ということで、順調というよりもいろいろあったんですけれども、これまでの参入企業は、お客様が優位な集客メディアから作ってきました。その場合、クーポンのツケを払うのはサロンや美容師だったりします。安くして集客したうえで、集客の手数料を払う。ただ、美容業界で一番大変な環境なのが、現場の美容師さんなんですね。
古木:僕は、サービスを提供するうえで、困っている人を助けないと意味がないんじゃないかなと思いました。本当に困っている人たちを助けるからこそ、サービスが浸透するし、ある意味では物事を変えられるし、業界構造を変えられるんじゃないかなと思いました。
従来のマーケティングでやっていることは、トップダウンで上から入ったり、お客様に使ってもらって美容師を獲得したりとかなんですけど、僕らは現場の美容師を助けるサービスを目指してきました。
最終的になにをやりたいかというと、今までの話がぶっ飛ぶのですが、地球規模で美容のデータサイエンス企業を目指していきたいなと考えています。10年後、20年後、30年後、どうなっているかと予測したときに、これは完全に個人的な予測なんですけど、パーソナルな時代が来るんじゃないかなと予測しています。
例えば、自分の食べたいものがすぐ目の前に出てきたり、自分が表現したい時に、すぐその考えに合ったものが表現できたりといった世界が来る。そう考えたときに、AIを活用してマッチングをしていくと思うんですけど、どんな企業がAIを使って実現するのかといった観点になってくると思います。
そこで、大量のデータを持っているだけではダメだなと考えました。良質な特定のデータを大量に所有している企業が、こういったことを実現していくんじゃないかなと考えています。
例えば、よくあるのが、メニュー、日時、価格は、データとして把握できているけど、それ以上のデータ……髪質のデータや、どういった薬剤を使っているのかなど、一人ひとりの傾向はわかりづらいと思うんですよね。私たちは、カルテという膨大なデータを扱っていて、どんな薬剤を使っているか、どんな髪質なのかといったことがわかるようになっています。
古木:もちろん、個人に紐付くようなデータの使い方はしません。髪質のステータスなど、個人情報にならないデータをちゃんと集めて、美容に関する貴重でリアルなデータを集めて、その人に合った美容のプロに出会えたり、ヘアスタイルに出会えたり、シャンプーやカラーやパーマ剤など、いろんなものに出会える世界が作れるなと考えています。
つまり、パーソナライズされたサービス提供が可能になるんじゃないかなと考えて、いま取り組んでいます。
僕らが活躍した世界がどうなっているか。まず、美容のブラックボックス。いままでは、感性、センス、芸術といった世界は、ある特定の人しか実現できなかったと思うんです。
でも、よく考えてみたら、技術というのは、ちゃんと数値化して、誰でも再現性があるものになっていると思います。例えば、よく切れる包丁は、昔は職人しか作れなかったけれど、いまは大量生産して、誰でもその包丁を手に入れられるようになっていますよね。
感性、芸術、センスなどの面で、それとまったく同じことが美容の分野でも起きるなと考えています。リアルな美容データを収集して、感性、センスを科学して応用することによって、美容のブラックボックスの部分を見えるようにして、どんな人でも美を簡単に表現できる世界を作れるんじゃないかなと考えています。
それによって、センスもいらず、探す必要もなく、瞬時に最適解にたどり着く世界になる。そんなことをやりたくて、いまの事業を始めました。この感性、センスを科学して応用するという言葉。「アートをサイエンスしよう」という、ちょっと中二病的なカッコイイ言葉を会社で掲げており、エンジニア陣は、この言葉がカッコイイと言って、一緒にやってくれております。こんなかたちでがんばっております。
木村:ありがとうございます。
(会場拍手)
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