2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:それではまず始めに、スポーツコーチングジャパン代表理事である中竹よりご挨拶をさせていただきます。
中竹竜二氏:みなさん、改めましておはようございます。本日は雪まで降り、足元が悪い中心配していたのですが、時間どおりに始められたことを非常にうれしく思っています。
今日は長丁場になりますが、途中で退出される方もいらっしゃると思いますし、まだ全員は来ていませんので、これから来る方もおられるかとは思いますが、「壁を超えてつながろう」というテーマに沿って、1日を過ごしていきたいと思っています。
私の自己紹介としては、日本ラグビー・フットボール協会というところでコーチングディレクター、コーチを教えるという仕事をメインでやっています。そのほか、チームボックスという会社を経営しております。このスポーツコーチングジャパンも、一般社団法人ですが、代表理事として取り組んでおります。
今日はこの第2回目のカンファレンスを開くにあたって、我々の団体が何をやっているのかということについて最初に私が話をします。しかし、そのことよりもまず、そもそも「カンファレンスとは?」ということから、みなさんと時間を共有したいと思っています。
カンファレンスというのは、実は学びの場なんですね。今日はみなさん、せっかくの週末を費やして来ていただいているということは、恐らく自己投資という意味だと思います。その学びというものは、かなり大きく要素が分かれています。
学びの効果を考えたときに、一つひとつは内容です。コンテンツです。それは今日、私が話をすることや、この後に登壇される御二方、あとはみなさんの手元にプログラムがあると思いますが、午後もいろんな方々がこの壇に上がって話す内容というものが、非常に大事です。
しかし2つ目は、みなさんの意欲および主体性なのです。ここがかなり重要になります。いかにこちら側が話すことが大事であっても、意識はある、聞く意欲はあるが、ちょっと疲れている。そうなると、学習効果はすごく減ります。
実はもう1つは、何かと言うと。最初のものは我々の話で、2つ目はみなさんの姿勢ですが、かなり大きく分かれるのは環境なんですよ。
今日はガイアックスさんのご協力によって、この素晴らしい会場をご用意いただきました。僕自身もここで何度も登壇しているのですが。実は昨日もここで「ティール組織」というイベントがあり、お話をさせていただきました。僕もいろんなところでお話をさせていただいておりますが、非常に快適で、学ぶ空間としてはかなり良いと思っています。
実はそのハードだけではなく、学びという環境を考えたときに、これは仕事もそうなんですが……今日、たまたま隣に座った人がいるかもしれませんが、この「半径5メートル以内の人が誰か」ということがかなり重要なわけです。これは、おもしろいですよね。いろんなイベントで提示されています。
このまま本番に突入すると、まだ1回も隣の人と喋っていないのにこの場が繰り広げられてしまい、学びの効果が激減します。
ぜひ最初に、自己紹介をしてください。周りの人と顔を見合わせて、ご挨拶をしてみてもらえますでしょうか。では、すいませんが、今から2分。お願いします。
(参加者同士での自己紹介)
はい、ありがとうございます。いいですね、なんだか本当にみなさん、ずっと喋っちゃうようないい感じだと思います。これ、意外にきっかけがないと、こうやって話しませんよね。今日はここにわざわざ時間を使って来るというのは、ふつうに考えてもかなり稀有な方々ですよ、もちろん。それにも関わらず、ほっとくと誰とも喋らないまま帰っちゃうわけですよ。
そして、今、僕は「では自己紹介をお互いにしてくださいね」と言って2分を使いましたが、こうしたきっかけを我々は作っていきたいと思っています。これは単なるきっかけなんですよ。これをやると何が変わるのかというと、この矢印を見ていただければわかるように、なにか上がるんです。
これでなにが上がるのかというと、AIやテクノロジーが進化して、完全に数値化される時代がやってきているのですが、さきほど言った環境の中でも、心理的安全環境。サイコロジカル・セーフティですね、心理的安全性。今、これについてGoogleが研究しており、最も成果を上げる組織は圧倒的に心理的安全性が高い、ということがわかってきました。
では、心理的安全環境とは何かというと、すごくシンプルな話、「なにを言っても恥ずかしくない」といったことですね。また「なにを聞いても恥ずかしくない」。こういったことが、めちゃくちゃ大事なわけですよ。おもしろいのは、営業組織であろうとエンジニア組織であろうと、企画でも財務でも、すべてにおいてそうだと言われていることです。
なにか困ったときにパッと聞ける相手や、上司であっても知らないことを「知らない」と言えない人が多いものを、「ちょっとこれわかんないんだけど」と気軽に言えるような環境が整備されているかどうか、ということが非常に大事なわけです。
当然業務もそうですが、今日集まっていただいたカンファレンスにおいても、例えば我々が話すことをちょっと聞き逃したときに「今、なんて言った?」。パッとそのあとに誰かに聞きに行く。登壇者でもいいですよ。こうした環境がなければ、学びはすごく低下すると言われています。今日は最初から、ここにいる方々が壁を超えた仲間だと思っていただいていると思います。
実は今、みなさんに自己紹介をしていただいた2分は、今日のテーマの前半なのです。テーマは「壁を超えて」。そういうと一見難しく感じますが、単にきっかけですよ。「では、みなさん話してみてください」と言えば簡単に超えられるわけですが、意外と社会の中では、ほっとくとこのきっかけがないわけです。ですから我々としては、ぜひこのきっかけを、いろんなかたちで作っていきたいと思っています。
壁というものは、スポーツ界、ならびにふつうの組織にもたくさんあるものですが、カンファレンスや学びの場においても、そうなのです。例えば、講師と受講者というかたちになってしまうと、実はそれがすぐ壁になってしまいます。
今日登壇していただける方々は、そういった意味では「なにか教えてやるぞ」というような方々ではなく、どちらかと言えば「一緒に楽しく話して学ぼう」という意識で来てくださっております。
実は私自身、今はコーチのコーチですが、これをアカデミックな用語で言うと「コーチ・ディベロッパー」といいます。コーチを教える、コーチのコーチ。その中でよく使われる言葉として、「When one person teaches, two people learn」。要するに、1人が教えるときに両方が学ぶ、という言葉をよく使います。教える側がいかに「自分も学ぶ」という姿勢になれるかどうかということが大事であり、そのほうが圧倒的に学習効果も高いんですね。
僕はこのことが、ぜひ教育界でも当たり前になってほしいと思っています。ついつい教育界の場合は、なにか「教えるぞ」というような雰囲気になりがちなので。スポーツのコーチもそうかもしれません。「俺がお前らを教えるぞ」。行為としてはそうかもしれませんが、教えながら学ぶという姿勢が大事です。
ラグビーの監督・コーチをやってきたのですが、この言葉を知らなかったので、僕自身がやっぱりコーチとしてのレベルが低かったんですね。ド素人で始めたので。今日はなんと教え子が来てくれていますが……僕のことをバカにしていた選手たちもですね(笑)。
(会場笑)
今では共に学ぶ仲間になってくれて、うれしいですね。
共に学ぶということは何かと言うと、今、壁がなくなって、みなさん「共に学ぶぞ」と。これ、実は「つながる」ということです。同じ方向を見て、同じ行為をやる。そういう意味では、「学ぶ」ということが「つながる」ということと同意語になっています。
今日はみなさんと壁を超えて、一緒に学んでいこうということが趣旨であります。今回、なるべくみなさんと双方向になれれば良いと思っています。登壇の形式によっては、みなさんに対してアウトプットが多くなるかもしれませんが、そもそも双方向について考えたときに、ただ勝手に喋っていることが双方向なのかと言うと、実は違うんですよ。
人材育成やヒューマンリソースの世界においては、双方向とは「質問して回答する」ということ。ですから、今日はみなさん自身も、ただ聞くよりも質問していただいたほうがいいですし、私のほうも、みなさんにたくさん質問をしていきたいと思っています。
では、もう1つだけワークを入れたいと思います。今日のプログラムがみなさんのお手元にあると思いますが……今日はどれに興味があって、どういった話が聞きたくて来られたのかということを、お互いに話してみてもらえますでしょうか。ただ喋るというよりは、質問し合ってくださいね。そして回答を聞き返してください。では、これも2分くらいで、隣の方とやってください。お願いします。
(ワークショップが始まる)
はい、みなさん、始めたいと思います。みなさんの期待感がいろいろと出たことでしょう。そうしているうちにどんどん雪が降って、今日はみなさん、もう帰れなくなります。最後までいてくださいね。
(会場笑)
では簡単に、我々の団体の話をしてから最初のパネルにいきたいと思います。我々は趣旨としてはどういった団体かといいますと、キーワードとして最初にこの「Good to Great」という話をします。
「Good to Great」、これはもうビジネス界では一般用語になっていて、知っている方もいると思います。「なかなかいいね」ということから「すごくいいね」というような感じですよね。どういうことかと言えば、ドメスティックのトップの話から世界のトップ。これはよくFacebookやGoogleなども人材育成の中で、採用したときに「君たちにはGreatになってもらいます」と。なぜかと言うと当然「入ってきた段階で君たちはGoodなので、これからはGreatになってください」。
僕自身はラグビー日本代表のアンダーカテゴリーを見ていますが、選手たちに最初に言います。ラグビーの日本代表は17歳からなのですが、その彼らが最初に召集されたときに、これを言います。うれしいんです、みんなね。喜んで来ているのだけど、このスライドを見せて。
「君たちはGoodで集まってきています。これから世界を目指してがんばってもらわないと、しかもその気持ちがないと、残念ながらもう次は呼びません」と。そういったスイッチを入れてからスタートをします。
我々としては、日本にも素晴らしいコーチの方々がたくさんいますが、これからラグビーワールドカップ、オリンピック、パラリンピックが来るにあたって、ぜひ日本に、世界で勝つコーチをたくさん輩出していきたいと思っています。
僕自身がGreatコーチになるというよりは、Greatコーチをたくさん生み出す仕組みを作り、そうしたことを支援する団体になれればいいと思っています。当然スポーツでなくても、今、スポーツ界にもいろんな方々が関与していますので、コーチでなくてもそれを支える人たちが醸成されればいいと思っています。
簡単にビジョンとしては、「日本の未来を創造するスポーツの価値の向上」。今日も「壁を壊す」とありますが、やっぱり「それはスポーツでしょ」と会話が止まることは、よくあります(笑)。「いや、ビジネスと違うから」というような感じです。まだまだそういう傾向がありますが、その壁を超えられたらいいと思うんです。
それと、競技間でもやはり壁というのはあるんですよ、悪気なく。これも超えたいというのと、やっぱりコーチとメディカルスタッフであったり、マネージャーとコーチ、あと選手の中でのリーダーとそれ以外。こうした役職間の壁があるので、この壁をぜひみなさんと超えていきたいと思っています。とくに今日は、スポーツすべてのカテゴリー。この壁を壊していきたいですね。
去年は、基調パネルに岡島悦子さん。社長を育てるプロの岡島さんと、今、日本の教育を世界に発信してる高濱(正伸)さん。花まる学習会のトップに来ていただきました。今年は、Greatコーチの特徴というものをやらせていただきます。僕自身はこれが専門で、いろんな研究をしていますが、今日、みなさんにご紹介するものは3つあります。
競技に関わらず、当たり前ですが世界で勝つコーチには圧倒的に学ぶ力があるわけですよ。コーチというものは、ついつい教えることにフォーカスしてしまいますが、世界で勝っているコーチは学ぶ力が圧倒的に高いのと、高いということは結局そこに時間を使っているんですよね。すごく自分のために勉強をしています。
僕もよく知っているエディー・ジョーンズ。今、イングランドの監督ですが、めちゃくちゃ学びます。定期的に僕とミーティングをしていたときも、「ラグビー以外のおもしろいトピックはなかったか」ということをよく協議していました。お互いに本の交換などもしていました。
もう1つは、圧倒的な俯瞰力。もちろん1つの物事に集中しますが、俯瞰して物事を見ている。包括的に見て、その中でデシジョンするという決断力ですね。
あとGreatコーチの中でも勝ち続ける、シリアルに、連続的に勝つWinningコーチという人がいます。これは僕も最近知ったのですが、そういったコーチは実は、自分がやっているコーチング以外に趣味を持っています。自分のフィールドです。今で言うワークライフバランス。
これは何に基づいているのかというと、自分の人生をしっかりと考えている。これがはっきりわかってきていますね。昔のコーチは「それだけに集中しろ」というような雰囲気がありましたが、そうした人たちがもう勝てない時代になってきました。
ですから、実は今日お呼びするのは、とくにこの2番目です。俯瞰力と決断力。日本の世界に誇る投資家で経営者でもある藤野さんと、キャリアの話で言うと、いろんなところに呼ばれていろんな影響力を発している森本さんにお力を借ります。Greatコーチのエッセンスであるこの2つを、共に共有していきたいと思っています。
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