スタートアップで生き抜くには「知財」を知れ
特許庁長官らと考える知財戦略の重要性

Session6 会社に眠る知的財産を覚醒せよ! #1/5

IVS 2018 Winter Kanazawa
に開催

2018年12月17日~19日、石川県立音楽堂にて「Infinity Ventures Summit 2018 Winter Kanazawa」が開催されました。19日のセッション「会社に眠る知的財産を覚醒せよ!」には、特許庁長官・宗像直子氏、iPLAB Startups中畑稔氏、エアロネクスト田路圭輔氏、FiNC Technologies溝口勇児氏が登壇。Drone Fund General Partner千葉功太郎氏をモデレーターに、特許などの知的財産の重要性や可能性について語り合いました。本記事では、冒頭の自己紹介パートを中心にお送りします。

生き抜くためには「知財」の知識をつけよ

千葉功太郎氏(以下、千葉):みなさんこんにちは。LaunchPadからの会場の人数の減りが半端ないのが気になりますが(笑)。今座っていただいているみなさんは、すごくラッキーです。僕はこのセッションに、スタートアップで生き抜くための本当に必要な情報があると思っています。

今日のIVSでは、たぶん初めての相当実務的かつ専門的な知識のセッションだと思っていますので、人数ではなく内容の濃さでいきたいなと思います。

いつものIVSセッションよりも意識してやりたいのは、みなさんに経営の武器を身につけて帰っていただくことです。千葉道場でいつもやっているような感覚で進めていきたいと思っておりますので、お楽しみください。

今日は「会社に眠る知的財産を覚醒せよ!」ということで、IVSのテーマはマネーです。

マネーにはお金の財産もありますが、知的財産もあります。例えば特許や知財ですね。この知的財産を、みなさんの経営の武器にしていただきたい。そして、会社が大きくなってからではなくて、ぜひシード、アーリーの段階から知的財産を強く意識していくことを学んでいただきたいです。

細かい、もしくはすごく有用なノウハウがいっぱい出ると思います。今日はいいメンバーにたくさん来てもらっているので、ご紹介したいと思います。

まずは向かって右手から、特許庁長官の宗像直子さんです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

すごい。国の大臣・長官レベルの方がIVSに登壇したのは、初めてではないでしょうか。一度全員を紹介しますね。次はメガベンチャー代表、FiNCの溝口さん。よろしくお願いします。

(会場拍手)

3番目はiPLAB Startupsの代表でCIPO(知的財産最高責任者)、弁理士の中畑先生。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

そして次に、LaunchPad優勝おめでとうございます! かっこよかったです。ドローンリアルテック代表の田路さんです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

今日は非常に幅の広い4組織の代表の方々に集まっていただいている感じですね。せっかくなので、まずは宗像長官から、特許庁とご自身のご紹介をよろしくお願いします。

特許庁のスタートアップ支援チーム

宗像直子氏(以下、宗像):ありがとうございます、特許庁の宗像でございます。このIVSはスタートアップ経営者のみなさまのお集まりということで、なんとなく「特許庁ってなんなんだ」という感じがあるかもしれません。その違和感が少しでも解消されたら、私の仕事はうまくいったかなと思います。

特許庁は、発明・デザイン・ブランドなどを出願していただいて、審査をして、特許・意匠・商標といった権利を認める機関です。

でも、権利を取るだけでは役に立たないんです。それを使いこなしていただくということで、私どもも、とくにスタートアップのみなさまにこういう権利を使いこなしていただきたいと思っております。2018年の7月に、スタートアップ支援チームを立ち上げました。このチームには、ユニフォームがございまして……。

(立ち上がって着ているTシャツを見せる)

千葉:おおっ! すごい! スタートアップみたい(笑)。おぉ〜、拍手。

(会場拍手)

宗像:うちのチームメンバーの発案で、このTシャツを作りました。今日は会場にも2人ほど来ておりまして。ですから、このTシャツを見かけたら声をかけてやっていただけたらと思います。

千葉:これは業界に合わせて、トーン&マナーを国側がこちら(スタートアップ側)に寄せてきたという感じでしょうか?

宗像:そうですね。彼ら自身が「庁内スタートアップ」で、やりたい放題でございます。

千葉:すごい。ということは、このあといろんなブランチとかで、このTシャツを着ている方と名刺交換してもいいんでしょうか?

宗像:はい、ぜひよろしくお願いします。(会場を指して)今そのあたりにいると思います。

千葉:どこにいますか? 立ってください。

宗像:はい、立って(笑)。

千葉:Tシャツを着ているので、あとでどんどん名刺交換して、直でつながってください。

宗像:実はこの登壇者のみなさまには、私たちがスタートアップ支援施策を考える時にアドバイスをいただきました。とくにスタートアップの中でも知財のニーズが高いのはどこかを探していた時、8月にNewsPicksで千葉さんのインタビュー記事を拝見しまして。

その中で、ドローンファンドの投資先の知財戦略をまるごと担っている会社があることを知ったんです。「それはいったいどういうところなんだ」とうちのスタッフに聞いたところ、一度お会いしたことがあり連絡先を知っているということだったので、すぐにアポを取ってもらい、その1週間後に田路さん・中畑さんにお会いすることができました。

中畑稔氏(以下、中畑):呼び出されて怒られるのかなと思ったんですよ(笑)。ごはんを食べながら、いろいろお話をさせていただきました。8月だったんですね(笑)。

宗像:8月ですね。

千葉:そうですよね。弁理士の先生が特許庁の長官から呼び出されたら、(予想する事態は)もう免許剥奪ですよね?

中畑:なにかまずいことをしたのかな、と。

千葉:(笑)。

中畑:きちんとした格好をして行きました。

千葉:ははは(笑)。よかったですね。

中畑:1人だと怖いので、一緒に来てもらいながら。

スタートアップと特許庁・宗像長官との不思議な縁

宗像:それで、特許庁のWebサイトの話になって、「スタートアップの人は忙しいから、もう文字を読ませるな」「見てわかるようにしないとダメだ」と。これは溝口さんから徹底的にしごかれたというお話を聞きまして(笑)。そこからWebサイトを大改造しようということになって、お盆明けにもう1回来ていただいて。

そうしたら不思議なことに、同じ日にJ-Startupのイベントで溝口さんにもお会いしまして。そこで溝口さんは「大企業は金と社長を出せ(笑)」と言っていて、場内に非常にインパクトを与えておられました。特許庁は金は出せないんですけど、長官ならいくらでも出せるぞということで、今日ここに参りました(笑)。

千葉:(笑)。(スライドを指して)写真をご用意されてますけど、これは溝口さん?

宗像:そうなんです。これは溝口さんに来ていただいた時ですね。

千葉:これ、長官室ですよね?

宗像:はい。この時は、まだTシャツがありませんでした。きっとうちのスタッフがFiNCのTシャツを見て、「いいなぁ」と思っていたんだと思います(笑)。その2日後に千葉さんが来てくださいました。

千葉:恐縮です。

宗像:(スライドを指して)これは、(先ほどと)ほぼ同じ写真ですね。

中畑:ドローンを飛ばしていましたよね?

宗像:そうなんですよ。私の執務室でドローンが飛んで、非常に盛り上がりました。

千葉:緊張しました。特許庁の長官に呼ばれて「ドローンを持ってきて、飛ばせ」と言われて、「いや、霞が関でそれは無理だろう……」と思いながら(笑)。

宗像:ははは(笑)。それで帰り際に「こうやってCEOを呼んで、『徹子の部屋』みたいにいろいろな人とどんどんお話しすればいいんじゃないか」と言われて。

(会場笑)

千葉:だめだ、これ笑うところじゃなかった。

(会場笑)

宗像:11月には、千葉道場にうちのチームを呼んでいただきました。私が今日ここにおりますのも、こういう機会をいただいたのも、千葉さんのおかげです。今日はとても楽しみです。ありがとうございます。

千葉:よろしくお願いします。ありがとうございます。

(会場拍手)

もうおわかりのとおり、「特許庁長官」という怖そうな肩書きからすると、宗像さんは非常にアグレッシブで柔軟で、我々の感覚に非常に近いなと思っています。

本当は公務が忙しくて金沢まで移動するのは難しい立場のはずなのに、今日はこのためにわざわざ来ていただいたので、深い話をたくさん聞きたいと思います。よろしくお願いします。

弁理士の立場から知財戦略に特化

千葉:では次に中畑弁理士、お願いします。

中畑:みなさんこんにちは、中畑と申します。私はiPLAB Startupsという会社の取締役CIPO、チーフIPオフィサーという役を務めさせていただいております、弁理士の中畑です。

私はもともと特許事務所に勤めてから、コロプラという会社に入りました。その時に初めて千葉さんとお会いしたんです。そのあと、シリーズBのあたりから溝口さんのFiNCに入りました。そこでも知財戦略を一緒にやっていたので、「ずっとスタートアップの中にいた弁理士」という背景を持っています。

スライドのグラフなんですけど、この赤い点線はなんだと思いますか?

千葉:なんでしょう?

中畑:実はこのグラフ、特許の件数なんです。縦軸の数字は消してはあるんですけど。この赤い点線は、会社として「知財部門をきちんと作ります」「知財を組織的にやっていきましょう」という意思決定をしてからの、特許の数の増加なんです。

なので、今日は「こういうことをするといい」「具体的にどうすればいいのか」ということをディスカッションしながら、お話しできればと思います。

千葉:ありがとうございます。よろしくお願いします。続いて、FiNC Technologiesの溝口さん、よろしくお願いします。

ヘルスケア領域で躍進するFiNC

溝口勇児氏(以下、溝口):みなさんこんにちは。FiNCの溝口です。私たちは、ヘルスケア×テクノロジーのアプリケーションでプラットフォームを運営している会社です。

おかげさまで2018年のヘルスケアのカテゴリにおいては、国内でいちばんダウンロードしていただきました。また、App Storeの中ではセールスランキングでも1位にならせていただき、今年は収益化も本格的にスタートを切ってきました。

私たちは、ヘルスケアカテゴリのベンチャーの中でも「気が狂っている」とよく言われていまして(笑)。先行投資を莫大に投下して、後ほど回収するというビジネスモデルなんですけど、そのリスクを負える理由の1つは、まさに今日のテーマである特許なんです。

私自身は、もともと17歳からパーソナルトレーナーをやっておりました。もともと野球選手やバスケットボール選手などのプロアスリートの指導をしていた一方で、膝や腰が悪くて、日常生活を送るのが困難といったリハビリテーションのサポートもしてきたんですね。

ただ、対面で提供できる人数やサービスには限界があります。そうした中でスマートフォンが普及し、これを使えば対面で提供していたレベルのサービス、あるいはそれ以上のものが、もっと安価で多くの方に届けられるんじゃないかと思いました。そして、2012年の4月にFiNCという会社を設立しました。

今日は、多角的な観点から、少しでもみなさまの役に立つ話ができたらうれしく思います。よろしくお願いします。

千葉:よろしくお願いします。溝口さんは、LaunchPadにも出ていましたよね?

溝口:出ていました。

千葉:5年前でしょうか?

溝口:4年半前……もう5年近くですね。

千葉:赤いパンツ穿いて。「ウェーイ」みたいな感じで。

溝口:赤いパンツ、あれ穿かされたんですよ。

千葉:(笑)。

溝口:田中さんとか、小野さんとかに。

千葉:微妙な順位で終わっていた記憶があるんですけど(笑)。僕はその時に初めてプレゼンを見て、「あっ、いいな」と思って投資をしたのがきっかけです。

溝口:田路さんとは違って、ギリギリ5位みたいな。

千葉:ギリギリ5位(笑)。今日はメガベンチャー代表としてお呼びしています。今日のテーマの知的財産は、起業家のみなさま、とくにシード・アーリー・シリーズAぐらいの方にとっては、大きな目線を持って聞いていただければと思います。大きな会社を作るためには、かなり効いてくる要素です。ぜひ溝口さんのお話も聞きたいと思います。

知財戦略をコアにグローバル戦略

千葉:最後は、優勝おめでとうございます。(LaunchPadの)優勝者インタビューということで(笑)。エアロネクストの田路さん、よろしくお願いします。

田路圭輔氏(以下、田路):みなさんこんにちは。エアロネクストの田路です。エアロネクスト自体は僕が創業したわけではなくて、あとから参加している会社なんですよ。

僕のキャリアを少しご紹介すると、もともと電通に入って6年ぐらい広告の仕事をしたのちに、電通の新規事業をやることになりました。しかも、テレビという領域で市場開発をやるということで、その時に自分が目をつけたのが、電子番組表という技術です。

電子番組表の技術を持っているアメリカの会社とJVを共同創業して、それから18年間その会社、IPGを運営してきました。その会社のブランドが「Gガイド」となっています。

創業した時のアメリカのCEOで、ヘンリー・ユーエンという男がいるのですが、彼からライセンスビジネスの基礎を徹底的に学びました。そういう意味では、知財の利活用に関して、わりと早い時期から注目していた経営者かなと思います。

昨年そのIPGという会社の社長を辞めた時に、千葉さんのご縁もあって中畑さんとも出会いを果たし、DRONE iPLABを中畑さんと共同創業したという流れです。そこからエアロネクストの特許を担当して、あまりのすごさに衝撃を受け、資本業務提携をやってそのままエアロネクストの社長になりました。

エアロネクスト自体は、知財戦略をコアに置きながらグローバル戦略を作っていく会社なので、今日はおもしろい話ができたらなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

千葉:ありがとうございます、よろしくお願いします。先ほど(のLaunchPad)のプレゼンは感動しました。

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2 「早期審査」がシード期の会社を救う スタートアップにおける知的財産の価値 3 スタートアップは特許取得まで平均2.5ヶ月 特許庁が始めた「スーパー早期審査」のポイント
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