2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
Why Can't We Make Spider Silk?(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:これまで、あなたが窓からクモの巣を撤去した時、「クモの糸でできているネクタイがあったらいいのに」と思ったりはしていないでしょう。しかし科学者たちはクモの糸のネクタイをはじめとした、クモの巣でさまざまなものを作れたらいいと考えています。彼らは何十年にもわたり、すでにスパイダーシルクの製造を試みていますが、未だにその方法を編み出せていません。
では、細くて伸びる、クモの後方から出てくるあの物体。なぜ製造するのがそんなに難しいのでしょうか。そしてさらに重要な点として、そもそもなぜ科学者たちはクモの糸を製造したいなどと考えているのでしょうか?
節足動物の分泌物を集めて用いるというアイディアを聞いたことがあるかもしれません。なぜなら人間はすでにそれを実践しているからです。人類は五千年にわたり、カイコ絹を使って洋服や繊維製品を製造してきました。
カイコは、容易にまとめて養殖でき、絹をたくさん生み出します。一匹のカイコが作るマユ一つは一本の糸でできていて、その長さは最長1,000メートルにも及びます。
カイコ絹は丈夫ですが、スパイダーシルクはさらに強く伸縮性があり、理論上はカイコ絹より多目的に用いられます。クモの糸はあなたが寝ている間にこっそり落ちてきても気がつかないほど軽いですが、鋼より強いのです。
スパイダーシルクを使って、橋のケーブル、防弾チョッキ、飛行機や生物分解性ボトルなどさまざまなものを作ることができます。スパイダーシルクには抗微生物特性があるので、医療にも用いることができます。傷口を縫い合わせることもできますし、研究者たちはそれを用いて折れた骨を修復することができないか研究しています。
ではなぜ、たくさんのクモを養殖して、素晴らしいクモの糸を量産しないのでしょうか?考えるだけでも恐ろしい光景ですが、実際そう簡単にはいかないのです。クモそれぞれが巣を作るにはたくさんのスペースが必要です。一匹のクモが生産できるクモの糸の量は、カイコ一匹が生産できる絹の量と比べると悲しくなるほど少ないのです。
それにクモは自分の巣を使い終えると、それを食べてしまうのです。それに、クモは縄張り意識が強い生き物です。縄張りを巡って争いごとが起きると、共食いをすることにより解決するので、クモの養殖は実際的ではないのです。クモは社会的な生き物ではないのです。
ですから、スパイダーシルクでできた製品を身につけるためには、糸を製造する方法を見つけなかればなりません。実は糸を製造するのも簡単ではありません。クモが糸を生産する方法は、まず、「ドープ」と呼ばれる液晶溶液の中にある「スピドロイン」というタンパク質を体内に蓄えます。
「ドープ」がクモの腹部を通る時、「スピドロイン」が鎖状などの構造を形成します。クモが体内の「スピンバルブ」にその「ドープ」を通すと、それが紡ぐことが可能な乾いた形状になるので、それを今度は空気中に放出することができます。それが私たちの体に当たると、「オーマイゴッド!」と気持ちが悪くて叫ぶことになるのです。
ですからスパイダーシルクを製造するとなれば、その「ドープ」を複製する方法を見つけなければなりませんし、それを紡ぐ方法も見つけなければなりません。
それをするのにはいくつかの方法があります。一つは「ドープ」を直接クモから取り出す方法。もう一つは、バクテリアなどの生物を作ることによりそれらに「ドープ」を作らせる方法があります。実はその両方に課題があります。
まず、巨大なクモも含めた、クモ一匹からは私たちが使えるほどの「ドープ」が取れません。それに、小さなバクテリアは、大きな「スピドロイン」タンパク質を分泌することができません。他の生物が「スピドロイン」を生産することに成功しても、本物の「スピドロイン」にはかないません。
実際のところ、私たちはまだ「スピドロイン」が組み込まれた遺伝子についても、「ドープ」を絹に変える生物学的過程についても、まだよくわかっていません。ですから、クモの真似をすることはできても、正確に複製することはできないのです。
クモの糸の完成には近づいていて、成功したと主張している企業もありますが、彼らの製品が実物にどれくらい近いかは、企業が機密情報をシェアしたがらないこともあり、はっきりとわかっていません。
現段階では、研究者がスパイダーシルクの遺伝子を持つカイコを作るのに成功しています。しかし、そのカイコもスパイダーシルクを生産するわけではなく、カイコ絹の質が良くなるに過ぎません。2000年代初頭にある企業が遺伝子操作で、スパイダーシルクのプロテインを含む乳を出す、乳用ヤギを作るのに成功しました。
それでも糸を紡ぐことに成功しないまま、その会社は結局その研究の一部を科学者たちに委託して、倒産してしまいました。他の企業も酵母発酵の技術を用いてスパイダーシルクのプロテインを作ることに成功しましたが、その糸は羊毛やセルロースを用いて安定させないといけません。
この会社はこの革命的なプロセスを用いて、何と、非常に高価なネクタイや帽子を作りました。たったの各50から100個ずつしか製造していませんので、このスパイダーシルクも大量生産できたとは言えません。
ですから私たちが安定してその様な帽子を充分に供給できるほどのスパイダーシルクを生産するには、まだまだ多くの障害がありますが、それが防弾チョッキや橋のケーブルとなるとなおのこと難しいでしょう。
しかし、もし十分な量のクモの糸を生産できる方法をあみ出せれば、かなり素晴らしい材料が手に入ったと言えるでしょう。
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