本業の常識は、他社の非常識

清水正樹氏(以下、清水):それではトークセッションに移らせていただければと思っております。まず1つ目です。今まで副業してきてよかったことを、あかしさんからお願いします。

あかしゆか氏(以下、あかし):はい。いろいろありますね。「お金を稼げる」というリアルなところはもちろん、「社外の人脈が広がる」のもそうです。私は新卒でサイボウズに入っているので、やっぱり副業をはじめるまでは、サイボウズの常識が自分の常識になっていたんです。

Webメディアの企画の立て方1つをとっても、「こういうやり方でやったらいいよ」というのを「そうなんだ!」と信じてやっていたんですけど。社外に出て同じような企画の仕事をしてみると、「こういうやり方もあるんだ」「ぜんぜんちがうけど、このやり方もうまくいく」というような経験がありました。

サイボウズの常識がいい意味で崩れたことが、私が一番やっていてよかったなと思っているところですね。

清水:なるほど。逆に会社側からすると、新卒社員が「他も経験していきたい」と副業できることによって、自社に残ってくれるという効果があるのかもしれないですね。

あかし:(笑)。絶対、あると思いますね。

副業は「人生の拡張」

あかし:清水さんはいかがですか?

清水:そうですね。普通の会社であれば、ロジカルに説明して通るような企画ではない「ドールハウス×ハリネズミカフェ」のようなものも、「おもしろそうだからやっちゃえ」というビジネスにチャレンジできたことは、副業ならではと思います。

あとは、「いつか自分で経営をやりたい」と思っていたのが、いろいろな事業を副業でやってるうちに、結果的にそういう立場になれたというところがあります。

もちろん、「リスクを背負って、すべてを投げ捨てて、起業する」というのも素晴らしいんですけれども、事業のスキルを徐々に身につけて経営的立場になっていくというのも、1つのシナリオとしてはあるのかなと思いました。

あとは何よりも、本業の会社や事業など、1つのコミュニティだけに所属していると、視野がどうしても狭くなってしまいます。ぜんぜん違う業界のビジネスをすることで、いろいろな人たちと関われて刺激を受けたり、単純に飲み友達が増えたりするところは非常に良かったと思いますね。

あかし:人生が拡張されていく感じがします。

清水:そうですね。気軽に拡張できる。そんな感じはあると思っております。じゃあ次ですね。

ハリネズミの次はマイクロブタがくる?

清水:「今後、どんなことをしていきたいか?」という、もうまとめのような感じになっちゃいましたね(笑)。

あかし:たしかに(笑)。これは清水さんからですかね。

清水:渋谷でやっている「ちくちくCAFE」というハリネズミのカフェなんですけど、外国人のお客さんが多く、60数パーセントも来ていて。ほかの飲食店と比べて比較的成功率が高いということもわかったので、ぜひ全国に展開したいと思っています。

あかし:すごい。

清水:ただ、本業の忙しさもあり、今はあまり時間をかけられないので。例えば、全国展開をしている会社さんと資本業務提携をして店舗を増やしたり、あとは動物をいろいろ変えてやりたいなと思っていて。今はマイクロブタが海外でも流行ってきているということで。みなさん、あまりうなずいていただけていないですけれども(笑)。

(会場笑)

ブタが今、きているんです。ネコサイズの子ブタですごくかわいいんです。ただ触れるだけだとつまらないので、「3匹のこぶたカフェ」というのをやろうかなと思っていて。わらの家と木の家とレンガの家を作って、子ブタがそこに住んでいる、みたいなことを考えていますね。会場からのリアクションはあまりないんですけど(笑)。

あかし:(笑)。

清水:きっとうまくいく。

あかし:そういうアイディアって、どこから生まれてくるんですか?

清水:そうですね、だいたいお酒を飲んでいる時ですね。

あかし:お酒……(笑)。

清水:はい。ネタで考えちゃうんです。実は海外では「日本って動物カフェがあるところだよね」という認知をされているんですが、「『3匹のこぶたカフェ』を作ると、その認知がもっと拡張されていくかな?」とか考えるんです。ほかにも、PR系のサービスやWebサービスでいろいろ作りたいものがあります。テーマとしては、100個ぐらいですね。

「新しい事業を作って息絶えたい」と思っていて、これまでに20個ぐらいはやったと思うので、もうちょっとですね。いろいろな方とたくさん作っていきたいと思っております。

「なんでもやります」フェーズからの脱却

清水:あかしさんはどんな感じでしょうか?

あかし:私はこの1年間、本業も副業もめちゃめちゃフルスロットルでがんばっている状態が続いて。10時から19時まで本業のサイボウズのお仕事をして、19時から24時ぐらいまで副業の仕事をして、そこから本を読んで2時に寝る、という日々がずっと続いていました。

実は先々週ぐらいに体調を崩してしまって、「これは無茶しすぎたな」と思っていたんですね(笑)。

清水:相当、無理をしましたね。

あかし:とにかく「なんでもかんでも、おもしろそうな仕事だったら挑戦してみる」という時期が1年間続いたので。今後は減らすというわけではないんですけど、「自分は副業で、何を本当にしたいのか?」ということを、落ち着いて見直す期間が必要かなと思っています。

なので、「具体的にどのようなことをしていきたいか?」というよりは、「ちゃんと考える時間を確保したい」という感じかもしれないです。

清水:なるほど。副業に限ったことではなくて、フリーランスでお仕事をされる方も、最初はお知り合い経由でも「とりあえずなんでもやります」というフェーズがあって、お仕事がある程度増えてきたときに、ようやく自分で仕事をちょっとずつ選べるようなかたちに移行していくと思います。そういった、いい意味で「転換点」という感じですかね。

あかし:そうですね。「物理的なキャパは考えないといけない」と、すごく反省しました。ふふふ(笑)。

清水:いや、あるあるだと思います。お大事にしてください。

あかし:ありがとうございます(笑)。

提供できるスキルの「メニュー表」を拡散してみる

清水:3つ目です。「副業に活かせる自分のスキルを見つけるには、どうしたらいいか?」というところで、これはけっこう難しいテーマだと思っております。

業務を委託していただくようなお仕事であれば、ポータブルスキルという、そのほかの企業に提供しやすいスキルや知識があると思うんですね。

例えば、先ほど週末ワーカーさんの話がありましたけども、エンジニアさんやデザイナーさんはもう人がぜんぜん足りていないんで、めちゃくちゃ副業しやすいです。

あとは採用人事ですね。例えばリモートで相談にのったり、求人広告を書いてあげたり、GreenやWantedlyなどの求人媒体を運用したり。ほかには広報とか、それこそ編集のライターさんとか。そういうスキルを持ってる方は、まずはそれを他社さんに提供してみるという入り口が開きやすいかなと思っています。

あとは、「もしかしたら、自分のこういうスキルが提供できるんじゃないか?」と思ったときに、まずメニュー表を作ってみることをおすすめします。

受け入れてくれるかどうかはわからないですけれども、「私はこんなことができます」という表を作って、それをツイッターで拡散したり、いろいろな会社さんに配ってみたり、ダイレクトメールをとりあえず1,000通ぐらい投げてみたり。

そういうことをすると、「このスキルは、これぐらいちゃんと役に立ってお金ももらえるんだな」というところのテストになるんじゃないかと思います。

例えばWebサービスなど、法人向けに何かツールを提供するときも、とりあえず資料を作ってみる。まずは世間に聞いてみて、「使いたいです」という会社さんを4、5社見つける。そのあとに、お金を使ってサービス作る……というふうに、ステップを踏む意味でもメニュー表は使えると思っています。