家入一真氏・リアルテックファンド代表が語る、社会を変えるお金の使い道

資本の本質 #4/4

SOCIAL INNOVATION WEEK 【DIVE DIVERSITY SESSION】
に開催

2018年9月7日~17日にかけて、日本財団「SOCIAL INNOVATION FORUM」と、渋谷区で開催した複合カンファレンスイベント「DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」が連携し、都市回遊型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」が開催されました。今回は「DIVE DIVERSITY SESSION」の中から、トークセッション「資本の本質」をお届けします。本記事では家入一真氏・佐別当隆志氏・永田暁彦氏が登壇し、資本に呑まれない方法やその本質について意見を交わしました。

大金を手にしたら人は変わってしまうのか

佐別当隆志氏(以下、佐別当):では、Q&Aに移ります。お二人に聞きたいことはいっぱいあると思うので、会場のみなさんからご質問があれば、手を挙げていただければと思います。

質問者1:非常にためになるお話をありがとうございました。私は富山から来ていまして、昨年度は東京大学エッジキャピタルというVCで、インターンをしていました。将来的にはVCの業界に入りたいと思っています。

やりたいこととしては、大学の研究室に上手く市場の資本を入れていって、なおかつ市場オリエンテッドになりすぎない、調和した経済というものを作っていきたいというのが、将来の夢です。

MBAなどを見ていても、リーマンショック以前って、資本に取りつかれて、食い物になってるような人が多かったような気がしていて、それ以降は「ソーシャルなところに目を向けよう」という流れが出てきて、永田さんのようにおもしろい発想を持って、投資をやっているところも増えてきた気がしています。

でも、やっぱりIPOとかキャリーが入ったときに、ものすごい額のお金が入ったら、僕は生まれも裕福ではないので、自分がお金を手に入れたら、おかしくなってしまうんじゃないかという怖さがあって。資本に呑まれないで上手く乗りこなしていく方法を、成功されたお二人にお聞きしたいと思います。

佐別当:時間も少しあるので、メインは永田さんにしゃべってもらっていいですか。家入さんは一言だけ。

(会場笑)

永田暁彦氏(以下、永田):お金を持った時に呑み込まれない方法というのは、たぶん家入さんの方が。

佐別当:(家入さんは)呑み込まれてますけど(笑)。

(会場笑)

家入一真氏(以下、家入):呑み込まれた側です。

お金に呑み込まれないためには「足るを知る」

永田:いやあ、東大エッジキャピタルですか。僕たちも出資していただけなかったファンドなんですけど(笑)。まず、「大学の中に資本を」とか、いろいろ話はあるんですけど、全部忘れた方がいいです。

サイエンスというものが、高尚に思われ過ぎていて。学者なんて、そこらへんにいるお兄ちゃんと変わらないと思うべきだし、結局は「社会にどういう価値が生まれるか」以外に意味はないので、大学から出てくるとか、そういう出元はどうでもいいと思っています。

その精神を持って、いかに社会のお金の流れを変えていくかが、すごく大切だと思っています。お金を持った時に、呑み込まれない方法というのは、さまざまにあると思うんですけれど、僕はお金を持つ前に、「お金を持ったらやってみたいことリスト」を書いてみたらいいと思います。実際に書いてみると、2億円くらいで行き詰まるのではないかと。

(使い道に)本当に行き詰まるんです。事前に使い道をきちんと認識して、潰していくことがすごく大切で、富を持つということは、なんか莫大に見えるんですよね。ウォーレン・バフェットが田舎に住んでいるように、お金を使う先ってすごく難しいなと思います。

常に自分が意識していたのは「足るを知る」という言葉で、すごく大切にしていていました。他人と相対的に比較せず、「自分の中で足りているものがなにか」ということを常に意識していました。別にカブに乗っていたらいいのに、ハヤブサに乗りたくなる理由って、だれかからマーケティングされたり、だれかと比較するからで。

そうならないようにするのが、すごく大切だなと思っていて、自分をメタ認知して、だれかの欲求マーケティングに乗せられてないかとか、事前に足りると思ってたものを勝手に超えていないかとか、よく自問自答していました。

質問者1:ありがとうございます。

佐別当:家入さんは一言ないですか?

家入:ええー。

佐別当:呑み込まれて気付いたことでもいいですけど(笑)。

知性のためにお金が使われる仕組み

家入:まあ、使おうと思ったらそのとおりで、「宝くじ当たらないかなぁ」という人たちに、片っ端から「当たったらなにしたいの」と聞くと、8割方の人は「ハワイに行きたい」と答えるんです。

(会場笑)

永田:100万あれば足りますよね。

家入:要は「お金が欲しい」と言いながらも、実際に手に入れた時に、なにをするかが想像できてないんです。それで、質問なんでしたっけ?

永田:資本に呑み込まれない方法?

家入:僕はさっき言ったとおり中卒だし、研究とかについては本当にわからない。ただ、少しずつ大学と提携させていただいて、クラウドファンディングで研究資金を集めることも、少しずつ増えています。

もちろん、寄付によって大きく集めなければいけない研究もあれば、本当に数十万とか数百万ぐらいの規模でカジュアルに使える研究資金集めなどは、クラウドファンディングと相性がいいと思っていて。そういったものも含めて、いろいろと大学の方々と提携させてもらってはいます。

さっき言ったように、僕は学みたいなものはないですけど、知性を軽んじる世界ってすごく怖いなと思っていて。とくに僕なんかITバブルとかを見てきた中で、ITで全部変わるみたいな、すべてよくなるみたいな。

その稼いだやつが勝ちなんだみたいな大きな風潮があって、そういうのってすごく怖いなと思っていて。だから、学歴があるとか研究者であるとかそういうことではなくて、もう1回、「一人ひとりが知性とはなにか」というものにちゃんと向き合い、ちゃんとそこにお金が落ちていく仕組みを作っていくというのは、すごく大事なことだと思っていて。

僕は大学で研究されている方とかリスペクトしてますし、そういう人たちにお金が落ちる仕組みをクラウドファンディングを通じてできないかなって。本当にそう思っています。

価値はあるのにお金が回らないものを救いたい

永田:僕、リアルテックファンドはいつかやめようと思ってるんですよ。

家入:ええ!?

佐別当:爆弾発言じゃないですか。

永田:あと数年やって、次、500億くらいのファンドを作りたいなと思ってるんです。

家入:最後の最後に。

永田:単純に研究者だけを救いたいというわけじゃないんですよ。僕は今、生産者、農家と生産業者を引き上げるという会社を設立して、他にもいっぱいベンチャーを起業してるんです。あとは、シェフとか料理人に課題があると思っていて。アーティストって注目されがちなんですけど、そういうことも始めていて、根本が社会的というか本質的に価値があるのに、社会的に認められないこととか。

富を得ないというものを改善するということなので、アカデミアってその中の1個でしかないとは思ってはいるんですけど。ただ、社会に対して価値が出たときのインパクトがでかいというのはあるなあというのは思っていますね。

佐別当:はい、ありがとうございました。

質問者1:ありがとうございます。

佐別当:まだ質問は大丈夫ですか?

家入:トイレに行きたいですね。

佐別当:もう数分で終わります(笑)。最後の質問になります。

なぜリアルテックファンドにお金が集まるのか?

質問者2:お話ありがとうございました。うかがいたいのは、先ほどあのファンドを辞められるという話もあったんですけど。例えば投資した金額をゼロにするとか、企業から見ると投資しづらいコンセプトだなと思うんですけど、表面的なお話ではなくて実際どうしてお金が集まったのかって、たぶんなにかあると思うんですけど、そこを教えていただけますか(笑)。

永田:あ、そこを(笑)。はい、わかりました。たぶん、お金を集めるときに普通だと財務部や戦略室が稟議を書くんですよね。リアルテックファンドは全部、そういう部署が稟議を書いていないんですよ。人事部や研究開発部が書いてるんですね。

例えば、ある大手通信会社は人事部が書いてるんです。「エンジニア採用をもっとしたい」と。アカデミアの中のマスター、ドクターを採用したいという話を人事のトップの方がされてたときに、「いやもう、なに言ってるんですか」みたいな。「僕が大学生だったら、絶対その会社に行かないですよ」って。

「だって、みんなは携帯の会社と思っていて、テックな人は行こうと思ってないですよ」って。だから、テクノロジーベンチャーに投資している姿を、一緒に大学を回って見せましょう、と。それと既存のことじゃなくて新しいことをやるんだということを、社員全員に僕がプレゼンして、彼らから社内起業を引き出しましょうと。

そのためにお金を出資しましょうというのが、もともとの僕の提案だったんですね。だからもうこれは使い切るかなと思って、ゼロにしましょうと。そして、その会社の役員向けのプレゼンやるわけですよ。そうしたら、役員某氏はIRR(内部収益率)はなんぼだというわけですね。だから僕は「IRRとか言うな」っていつも言うんですけど。

だからあれですよ、うちのファンドの投資家説明会と言うのが毎年あるんですね。毎年やってて「今年はこんなことしました」って説明するんですけど、新しく参加したファンド担当者が手を挙げて、今キャピタルゲインとかIRRはどうなってるんだと言うと全員がびっくりして、「この人なに言ってんの」みたいな。

「ここリアルテックファンドだぜ」みたいな。そういう、完全にカルチャーを変えてるんですね。それは、ある大手不動産会社もそうだったんですけど。そういう発想を変えて、当たり前にしちゃうことって、すごく大切だなって思って。

人って、みんながそうだと自分もどんどん変わっていくので、30社のうち最初の4社が大変でした。最初の4社を集めきったあとは、雪崩のように集まってきました。その口火を切ってくれたのは、JTさんでしたね。日本たばこさんでした。

質問者2:ありがとうございました。

投資家は「気持ち良く詐欺に遭いたい人たち」

家入:昔、僕の投資家の友人が言ってて「なるほどな」と思ったんですけど、投資家というのは極論的なこと言うと、気持ち良く詐欺に遭いたい人たちなんだと。

永田:あ、そうですね。そうですね。

家入:夢を語られて未来を語られて、「なに言ってんの」って言われて、それでもお金を出したくなっちゃうみたいな。「気持ち良く騙されたいんだ、俺らは」みたいなこと言ってて、ああなるほどなって、永田さんがいたら「好きにして」ってなっちゃうよな、って。

(会場笑)

佐別当:しかも人事部が出すんですもんね。

永田:でも僕、最後、めっちゃ儲かる自信あるんで。

家入:そこですよね。

永田:ゼロにするって言ったうえで、増やして返してあげたいんですよ。なんでそうするかというと、とはいえ99パーセントの人がgreedy(貪欲)なんですよね。

その社会を変えたかったら才能を集めなくちゃいけなくて、才能を集めたかったら富を集めなくちゃいけなくて、だから僕は精神とかフィロソフィーとしては「ゼロにする」って本当に宣言してお金を集めてるんですけど。結果的にめちゃくちゃ儲かると。才能が集まると思っていて。

才能だけ集まればこっちのものだと思ってるんですよね。だから昔って「エンジニアやってます」って普通にオタクだと思われていたのが、「Googleの社員です」って言ったとたんにモテるわけじゃないですか。白衣がモテるとか、価値観がチェンジする瞬間があると思っていて、そのいろんな中の1つに儲かっているというのがあると思うんですね。

だから根底の思いはそうじゃなくても、社会に対しては儲かるという瞬間を見せなきゃいけないというのが戦略としてはあると思ってる。だからリアルテックファンドは(集めたお金を)ゼロにするんですけど、結果めっちゃ儲かります。

お金があるところに最先端の才能が集まる

佐別当:確かに今、世界中のお金ってシェアリングエコノミーの方に向かっていったり、ソーシャルインパクトボンドじゃないですけど、社会的インパクト投資の方にお金がどんどん集まってきたり。そっちの流れ、お金が集まっているところに最先端の才能が集まるって、おっしゃるとおりだなと思いました。

時間もそろそろということで、もう最後の一言とか話で、おしっこ行きたいってことで(笑)。大丈夫ですか。会場に言うこと、なければこれで。一言じゃあ。

家入:難しいですよね、最後に一言って。

永田:そうですね。資本の本質とはなにか。たぶんこのテーマを設定されたときの前提としては、たぶん信頼とか好奇心みたいなものが今後は資本の本質になるというテーマでこの会を設定されていたと思っていて。まあそうはなってなかったんですけど。

でも伝わったんじゃないかな、伝わったらよかったなって思ってるのは、「この人に1万円預けたらなんかいいこと起こりそうだな」って今日思えたのだとしたら、資本の本質に近づいたのかもしれないと思ってます。僕は、ファンドで1万円を1億円にしたことあるんですね。7年間で。

この10年間で、キャピタルゲイン日本ナンバーワンの自信があるんですけど、それを言わずにお金が集められるじゃないですか。例えば今日。僕はここに資本の本質の変化があると思っていて、それがシェアできたならよかったなと思ってます。

佐別当:はい。ありがとうございます。じゃあ家入さんも一言。

家入:ええー。

(会場笑)

難しくないですか。ちょっと大きいですよ話が。資本の本質、資本……。これ悩み始めると、本当に次の時間来ちゃいますよ。

(会場笑)

永田:じゃあはい! じゃあ問いを変えて、CAMPFIREの次、なにします?

家入:ああー……。

(会場笑)

永田:ありそうなやつ聞いたつもりだったんですけど(笑)。

宗教は、理不尽なことから人々を救うための解決策

家入:CAMPFIREの次ですよね、うーん。僕、個人的にはこの数年、宗教を勉強していて。自分が教祖になりたいとかそういう話ではないですよ。ただ宗教的な「なにか」みたいなものです。永田さんが最初におっしゃってましたけどね、人の救いになるんだろうなと思っていて。

例えばオンラインサロンとかコミュニティビジネスみたいなものを安易に宗教宗教ってみんな言っちゃうんだけど、僕の宗教の定義って、生きている中で出会う自分や身近な人の死だったり、たくさんの理不尽なことに対して解決策を提示するものだと思うんですよ。

津波に遭ってしまうとか、地震があったり交通事故に遭っちゃったりとか。そのときに、ある宗教はその前世の行いが悪いというし、ある宗教は試練だというし、そういう人知を超えたところからの、人間って因果を求める生き物なので、なんで自分だけこんなつらい目にあわなきゃいけないんだという原因を求めてしまうんですよ。

だけど往々にして原因なんてないわけですよね。そのときに、そうやって人知を超えたところで原因を作ってもらえることで、人って救われたりもするわけですよ。だからそういう因果を超えたところで、人が生きやすくなるような世界をどうやって作っていくかというところを考えていくと、1つは宗教っぽいなにかなのかなみたいな。だからそこが興味があります。

なんかふわーっとした答えで終わっちゃいますけど大丈夫ですか?

(会場笑)

だから、CAMPFIREの次は、そこらへんをちょっと研究していきたいなというのはすごくあります。それを自分も実践家としてやっていきたいなというのも思ったりもしますけどね。大丈夫かなあ?

佐別当:まさかの「資本の本質とは宗教だ」という結論で(笑)。

(会場笑)

永田:そうですそうです。

佐別当:でも信じるってことは宗教かも知れないですよね。

永田:僕、寝る前に「リアルテック」って2回言ってますから。

佐別当:はい、ではちょっとここから先また長くなりそうなので終わりたいと思います。永田さん、家入さんどうもありがとうございました。

(会場拍手)

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