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資本の本質(全4記事)

個人が失ったものをテクノロジーで取り戻す 家入一真氏らが目指す、新しい“資本主義”

2018年9月7日~17日にかけて、日本財団「SOCIAL INNOVATION FORUM」と、渋谷区で開催した複合カンファレンスイベント「DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」が連携し、都市回遊型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」が開催されました。今回は「DIVE DIVERSITY SESSION」の中から、トークセッション「資本の本質」をお届けします。本記事では家入一真氏・佐別当隆志氏・永田暁彦氏が登壇し、それぞれの取り組みと近況について語りました。

今後資本主義はどうなっていくのか

佐別当隆志氏(以下、佐別当):はい、よろしくお願いします。今回MCを担当させていただき、シェアリングエコノミー協会の事務局長もしております佐別当と申します。今日は「資本の本質」ということで、お二方、資本主義のど真ん中にいるように見える永田さんと、資本主義に一石を投じようとしているんじゃないかという気がする家入さんと。

家入一真氏(以下、家入):いえいえ。

佐別当:さっき話したんだけど、二人が見ている未来のビジョンが共通してるところも多いんじゃないかなとも思ってまして。「東京はもうすぐオリパラ」とか言われてますけど、それ以降の日本社会ってどうなるのか。

とくにトランプや中国や北朝鮮などの世界情勢から、北海道の震災も含めて、社会が不安定になる中で、これから資本はどういう位置付けになっていくのか、というところを深堀できればと思っております。

時間が限られておりますので簡単に自己紹介ですけども、私がシェアリングエコノミー協会というのを2年半前に起ち上げまして。今、AirbnbやUberなどのシェア系の企業が260社くらい入る団体の起ち上げと事務局長をやっております。

自分自身でもmazelという会社を昨年起ち上げまして、6年ほど前から台湾人の妻と7歳の娘と一緒に土地を購入して、一軒家を建てて、シェアハウスとゲストハウスと家族が一緒に住まう未来の家という「Miraie」を起ち上げまして。

3階は家族で住んでいるんですけれど、リビング・キッチンは共有にして、1階の2部屋がシェアハウスで、1部屋がゲスト、Airbnb出身で海外の人が住んでるという。

家族の在り方も「核家族から拡大家族」っていわれたりもしていて、今変わってきてるんじゃないかとか。あとでリバ邸や村の話も聞きますけれども。お金と働き方、住まい方、あと登壇者3人とも子どもがいるので、その教育の在り方。

この3つは繋がっていて、しかもこれからの時代アップデートしていかなきゃいけないんじゃないかなとも思ってますので、そのあたりも深堀できればなと思っております。

はい、じゃあ3分ほどで永田さんの方から自己紹介含めて近況もお話いただければなと思います。

本当に価値あるものにお金が回らない世界を変えたい

永田暁彦氏(以下、永田):株式会社ユーグレナのCFOとリアルテックファンドの代表をやっております、永田と申します。みなさんユーグレナという会社をご存じですかね。

ミドリムシの会社なんですけど、ミドリムシの会社というと「なんだそれ」ってなるかもしれません。一部上場企業でして、東京大学発ベンチャーとしては史上初の一部上場企業です。

僕は一部上場企業のCFOということで、それで資本のど真ん中という話をされてらっしゃると思うんですよね。29歳の時に会社上場しまして、今年までは一部上場企業では最年少のCFOをしてました。

いろんな思いがあって、今の日本のお金のありどころには問題があると思って、リアルテックファンドというものを2015年に設立してます。13年前に会社作るときに「ミドリムシで人を健康にします」「宇宙に行きます」「飛行機とばします」と言ったら、全員から笑われたんですね。

「バカじゃないの」っつって、その結果、前の嫁からもふられたんですけど。でも、一部上場するとみんなが「なになになに」って来て、前の嫁からFacebook申請がくるんです。ここにいろんな資本の本質があるなと思ってまして(笑)。

本当に価値のあるものにお金が回らない世界を変えようというところで、ゼロにするファンドというのをやってます。お金を100億円集めてファンドを運用してるんですけど、お金を集める段階からお金をゼロにします、ってやっているリアルテックファンドというものをやってます。

最年少で上場して、一部上場のCFOをやって、100億のファンドを運用しているということで。資本のど真ん中のイメージを社会から持たれていて、ふだんはスーツ族みたいな感じなんですけども、僕、なんか今日『サンクチュアリ』だなと思ってまして。

佐別当:おお、大好きな漫画です。

ユーグレナ永田氏とCAMPFIRE家入氏の共通点

永田:資本の在り方が間違ってるので、資本のど真ん中の真ん中の真ん中に入っていって爆弾を爆発させたいという思いが強くあって、それで今日このイベントにお誘いいただいて、出ようと思ったという次第でございます。

あと、あれも言わなくちゃいけないです。僕は村人でして、今日も朝、村から来たんです。村に住んでいて、自分の価値観みたいなものを大切にしようということで、家族との生活の仕方や人生、お金の使い方にもすごくこだわりを持って生活をしています。以上です。

佐別当:平日は都心で家族と住まれて、週末は村で生活をするというので。金持ちの道楽ではなくて、生活レベルは今までと変わらないかたちで、都心部と田舎の方、田舎の方だと坪単価も安いからと。

永田:坪3万円です。

佐別当:誰でもそういう生活できるんじゃないかというところも含めて、生活されていらっしゃいます。

家入さんは最近なにをやってるか、みんな知らないんじゃないかって気もするので(笑)。自己紹介、やり方もお任せします。

家入:家入と申します。よろしくお願いします。永田さんのお話聞いてると、すごく共通点があるなと思って。僕も29歳の時に作ったpaperboy&co.(現GMOペパボ)という会社が一部上場しました。

僕はそのあとにやりたいことがいろいろと出てきてしまい、上場を機に退任して、今に至るって感じなんですけど。僕は上場した時に入ってきたたくさんのお金を、本当にしょうもないことに使い切ってしまいまして。

(会場笑)

永田:僕もね、もう使いきっちゃったんですよ。

家入:そうですよね。

永田:半分ね、しょうもない……(笑)。

佐別当:使いきった者同士(笑)。ゼロになったんですね。

居場所があれば、人は一歩踏み出せる

家入:なのでなんとなく「共通点あるな」とは思いながら。最初起業したきっかけもそうだったんですけど。僕は中2でいじめられて、そこからほぼ学校行ってないんですよね。そこからずっと登校拒否で、対人恐怖症みたいな感じで引きこもっていました。

そこから起業して、なんとか運良くここまでこられたんですけど、そのときの原体験みたいなものをベースに会社をやっていく。そういう活動とは別にリバ邸というシェアハウス、「現代の駆け込み寺」をやっていて、日本各地にあるんです。

学校からこぼれ落ちてしまったとか、会社に就職したけど行けなくなってしまったとか、そういう今の社会からこぼれ落ちてしまった人たち。もちろん、みんながみんなそういうわけではないんだけど、そういった人たちも含めて集まれる場所のようなものをシェアハウスというかたちで提供していったら、そういう場から起業する子たちが生まれてきて。もともとはそういうことを想定してなかったんですけど。

BASEを作った鶴岡くんとか、他にもたくさんいるんですけど。なんだかそういうふうに安心して安全に、「あ、ここにいていいんだ」って思える場所があることで、人って一歩踏み出せるんだなというのを、リバ邸を通じて感じていて。

そういう「居場所作り」みたいな活動は、そのCAMPFIREとかBASEとかのビジネスを通じてプラットフォームを提供する側と、一(いち)家入一真個人の活動として、繋がってはいるんだけど別活動としてやっているという感じですね。

村繋がりでいうと、なんか最近、房総半島の鴨川市で「あの村プロジェクト」というものをされていた方が、もう村をやれないので誰か買ってくれないか、とBlogを書かれていたのを見て、連絡して購入したんですけど。

佐別当:1,400坪。

家入:1,400坪。僕まだ1回も行ってなくて。

(会場笑)

永田:僕の村ここらへんです。

(会場笑)

家入:じゃあ近いですね。

永田:600坪買いました。

(会場笑)

佐別当:足して2,000坪ですね(笑)。

「村作り」が人々を魅了している背景

家入:これからどうしようかなって感じです。もう住まわれてるというのと、僕はまだ1回も行ったことがないので中途半端になっていて。

永田:村作りしたいですね。

家入:はい。そんな感じです。

佐別当:カエルを焼いて食べてる人たちとかFacebookに上がってましたけど。

家入:それはおそらく旧村民の方々です。今はたぶん誰もいないんだと思います。

永田:みんな、毎日住めって言われたら嫌なんですけど。

家入:そうそうそうそう。

永田:「村をやる」というと、やりたい人がいっぱいいるんですよね。

家入:そうなんですよね。この数年、例えばキングコングの西野さんもそうですし、堀江さんとか、僕の友人で熊本で「サイハテ村」というのを昔からやってる方々とか。こういろいろと、時代の歴史みたいなのを何周かして、もう1回ヒッピー時代のコミューンみたいなのに向かいつつある感じは肌感覚としてありますかね。みんな村って言いますよね?

永田:うん。

家入:ただちゃんとそこに住むか、住んでいないかの違い。

佐別当:(笑)。そんなに自分を責めなくていいんですけど。数年前にネットで、「村株式会社構想」でしたっけ。

家入:あ、それも僕。昔Blogで書いていたんですけどね。「株式会社村」みたいなのを作って村を運営するとか。あと数年前、僕が都知事選に出る前なんですけど、僕のフォロワーの子たちと一緒にみんなで住民票をどこか1ヶ所の村に移したら村長になれるんじゃないかということを言っていて。

(会場笑)

佐別当:雰囲気そんな感じで。やりそうですね(笑)。

家入:危ない危ない。

テクノロジーによって個人が失ったものを取り戻す

佐別当:はい。あと、今一番メインではCAMPFIREの社長ということで。CAMPFIREでなぜ時間がコミットされていて、どういう思いでCAMPFIREに取り組まれているのかもご紹介いただけると。

家入:そうですね。CAMPFIRE、クラウドファンディングはキックスターターが出てきて約10年と、何気に時間は経ってはいるんですけど。テクノロジーが進化したからこそできるようになった、新しいかたちの声の上げ方、資金、応援の募り方だと思っていて。

人間って、生きている中でなにかやりたいことだったり、声をあげたいことってたくさんあったりするじゃないですか。でも、例えば、これまでだったら「こういうことをしたい」と思っても、銀行から借りる、消費者金融から借りる、あと投資家を見つけてくるとか、一般の方、とくに地域の方とかは金融に対してアクセスできないんですよ。

そこに対してクラウドファンディングという、もう1つの手法が出てきたということだと思っていて。そうやって、今後地域の抱える課題とか、これからを生きる若い人たちの課題を考えたときに、その声を上げた先で応援してもらえる仕組みのようなものは、もっともっと受容性は高まると思ってますし。

僕は、そこを解決することこそがテクノロジーの役目というか。フィンテックとか言われたりもしますけれど、フィンテックの本質というのは、テクノロジーによって本来個人が持っていたはずのものや、いつの間にか社会が難しくなって届かなくなってしまったものを再度個人の手の元に取り戻すことだと思っていて。

なのでクラウドファンディングというのは、まさにそういった仕組みの1つなのではないかなと信じてやっているという感じです。

佐別当:ありがとうございます。

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