北野唯我氏「新卒の7割が転職を前提に就活している」
およそ20年で激変した企業と個人の関係性

人脈は誰のものか #1/4

Sansan Innovation Project 2019
に開催

2019年3月14日~15日にかけて、「Sansan Innovation Project 2019」が開催されました。「Sansan Innovation Project」は、あらゆる分野の専門家、最前線で活躍するプレイヤーを招き、組織を次のステージへと導くためのさまざまな 「Innovation」について紹介する、Sansan主催のビジネスカンファレンスです。本パートでは、14日に行われた「人脈は誰のものか」の講演をご紹介します。今回は、個人と組織の関係性の変化について意見を交わしました。

人脈は誰のものか?

浜田敬子氏(以下、浜田):みなさん、こんにちは。このセッションでは「人脈は誰のものか」というテーマで進めていきます。まず簡単に今日の登壇者をご紹介させていただきます。今日モデレーターをさせていただきます。私はBUSINESS INSIDER JAPANの編集長をしております浜田と申します。よろしくお願いします。

元々は朝日新聞社に28年間おりまして、AERAなどの編集長をしておりました。2年前に『BUSINESS INSIDER』というアメリカのメディアが立ち上げられ、日本版の立ち上げのときに朝日新聞社を辞めて、ゼロから新しいメディアを作っております。

実は、今日は私の問題意識からこのテーマを設定させていただきました。ぜひこのテーマとお話しいただきたい、とお願いしたのが、こちらの大ベストセラーの著者のお二人になります。まずは株式会社ワンキャリア執行役員の北野唯我さんです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

北野唯我氏(以下、北野):よろしくお願いします。

浜田:北野さんといえば『転職の思考法』が大ベストセラーで、いま新刊も持ってきていらっしゃると思います。

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

北野:『天才を殺す凡人』という本が、日本経済新聞出版から1月18日に出まして、いま7.5万部になります。

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

浜田:すごいですね。

北野:お隣にもっと売れている本の著者がいらっしゃるので、恐縮です。普段はそうした本を書く仕事と、会社の役員をやっております。ワンキャリアという新卒採用の会社と、その子会社の代表。あともう1つ、社外のIT企業の戦略顧問のようなものをしています。

ですので「人脈は誰のものか?」と言ったときに、今後もいろいろな会社の役員をするケースが増えてくる気もしているので、実際に経営をしながら感じているところをお話しできればと思っています。

浜田:ありがとうございます。おそらく若い世代の声なども、とてもよく理解していらっしゃるので、職場に関する組織と個人の関係の意識変化について、ぜひ北野さんからうかがえればと思います。よろしくお願いします。

北野:よろしくお願いします。

多岐にわたる分野で活躍する伊藤洋一氏

伊藤羊一氏(以下、伊藤):ちなみに北野さんがいま出したのは、僕がサインをもらった本です。だから、これは僕のです(笑)。

浜田:伊藤さんも本を持ってきていただいたんですよね。

伊藤:これは僕のじゃなくて他の方から借りたもので……(笑)。

浜田:お二人とも自分が登壇するときは、本を持ってきてくださるんです(笑)。

北野:(笑)。

浜田:大事な宣伝の機会なので。ということで、Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一さんです。

伊藤:よろしくお願いします。

(会場拍手)

浜田:伊藤さんはなんといっても大ベストセラーの……。

伊藤:そうですね。『1分で話せ (世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術)』という本を出したところ、最近はもう「1分の伊藤さんですよね」と言われてですね。

1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術

北野:(笑)。

伊藤:格がついちゃって、うれしいような、「俺大丈夫かな」みたいな。

北野:ははは(笑)。

伊藤:ふだんはYahoo!アカデミアというヤフーの企業内大学の校長先生をやりながら、ウェイウェイという自分の会社をやったり、グロービスというビジネススクールの先生をやったりということで、立ち位置は北野さんと近い部分があると思う。

伊藤:そういう会社にいながら……。

浜田:個人の活動もして。 

伊藤:自分の会社もやりつつ、いろいろな活動をしている立場なので、サラリーマンであり、自分でやっていることもあるという軸から、人脈というものをお話しできたらなと思っています。

浜田:ありがとうございます。

伊藤:よろしくお願いします。

独立や転職を機に起こりうる、企業と個人間のトラブル

浜田:まさに会社員である方の立場をわかりつつ、個人としても活動したいという人が増えていると思うんですね。

伊藤:そうですね。

北野:共通点として、すごくトラディショナルな会社にいたということもありますよね。私は博報堂で、そのあとは海外に行って、次はボストンのコンサルティング会社にいて、日系と外資を経験しているので。そのあたりも共通点かなと思います。

伊藤:そうですね。

浜田:伊藤さんは最初は興銀という銀行ですからね。そういう堅い会社から今のこの……。

北野:『キングダム 最強のチームと自分をつくる』なんて、一番遠そうな感じじゃないですか(笑)。

伊藤:本当ですね〜。

浜田:そんなお二人に、今日はこのテーマでお話しいただこうと思っています。というのも私自身、これはどうしたものかというのをお二人にお聞きしたくて、このテーマを設定しました。

今まさに北野さんが『転職の思考法』を書かれたように、転職したいというニーズはすごく増えていて。国も雇用の流動化を後押ししているので、転職したい人が増えています。実際に転職をしたり、独立したりするときに、自分のお客さんや自分がお世話になった方が資産となって、転職や独立をしますね。

Sansanさんのセッションで言うのもなんですけど、いまはもう名刺があんまり意味を持たなくなってですね(笑)。

北野:ほ〜。

浜田:挑発的ですみません。例えば、私が取材したケースでは、独立したあとは名刺はぜんぶ置いていきなさいと(言われるそうなんです)。当然、置いてきました。でも今はFacebookのメッセンジャーやLINEなどで、お仕事をする方々とつながっています。「どこの誰が」というよりも、個人としてお仕事がたくさん来る時代になってますと。

これは個人が独立するときには、とてもありがたい話なんですけれど、会社側から見ると「なんだ。けしからん」「名刺を置いていったのか」とか、「うちのお客さんが全部持っていって」という話になって、トラブルになるケースをよく耳にします。

個人と組織が持つ「資産」の境界線があいまいな時代

浜田:もう1つ、副業というのも最近の流れで、これも国が後押ししています。ある大企業の社員アンケートでは、実際に副業をやりたいという人が8割にものぼります。

北野:ほう、8割。

浜田:実際に副業をするときに、ふだん働いていて、夜はバーテンダーをやるという人もいますけど、たいがいは自分の持っているスキルの中からちょっと活かせるものをやる。例えば、タイムバンクで30分を売ってみたり、友達の会社を手伝ったり。お知り合いの方と(仕事をされている)北野さんがまさにそうですね。

北野:そうですね。

浜田:会社のアドバイスを受け持つとか、そういう(副業の)かたちの方が多い。自分の持っている資産が本業で培われたものだった場合、会社はどこまで副業OKと言うのか、というものがあります。

個人にしてみれば、売り物はそれしかないので、それを使いたい。そういうときに、逆に副業で得たものを本業に返せる場合もあるんですけれども、会社とトラブルになったりということもあります。

つまり、今って、個人と組織が持っている資産の境界線が非常にあいまいになった時代なのかなと思っていて。

北野:確かに。

浜田:こういう時代だからこそ、「個人と組織の幸せな関係はどうあるべきなのか?」ということをお二人にお話していただければと思います。個人と組織の資産の境界があいまいな時代という話を聞いての感想をうかがいたいです。北野さん、いかがですか? 

善し悪しの先の議論をどう進めるべきか

北野:僕は、こういうときに良い・悪いを議論しても、あまり意味がないなと思っていて。もう世の中はこうなっていく。じゃあ、そのうえでどう対応すべきかを考えたほうが建設的だなと思っています。

テクノロジーやインターネットの良さというか、要は再生コストがゼロに近いものや情報は、基本的に分散化されていく流れがあるじゃないですか。

ですので、もうこれを止めようとしても、たぶん止まらないと思っていて。「今からFacebookやLINEなどのSNSをやめましょう」と言っても、たぶん誰も止めないじゃないですか。

大きな世の中として、そうならざるを得ない。あいまいにならざるを得ないなかで、どういうふうに対応していくべきかを考えるほうが建設的かなというのが、今の話を聞いて思ったところです。

浜田:ここだけの話ですけど、例えば経産省の人とやりとりしているときもメッセンジャーですよ。

北野:あっ、そうなんですね。

浜田:はい。あんな堅い役所でもそう。昔だったら添付にパスがかかります、というようなことがありました。もちろん、今もそういった方もいらっしゃいますけれど、やっぱり1回お仕事をすると、そのあとやりやすいのはメッセンジャーだったりするので、個人と個人でつながっていくわけですよね。北野さんがおっしゃるように、止められない流れになってきている。

伊藤:だからこういうセッションがあるときって、事前にお会いするわけですよね。リアルにお会いしたわけじゃなくて、Web会議でお会いしていたんですけれど。良い・悪いじゃ議論にならないよなという話で終わっちゃって、そのうえでどうするのかというところを考えて。

浜田:そうですね。

北野:とはいえ、個人としての役割と、経営者や組織としての役割があると。じゃあ、「その時代に個人はどうやっていけばいいのか?」というのが1つ目の問題です。2つ目の問題は、経営者やマネジメント層は、そういう状況の中でどうすればいいのか。

浜田:どうすればいいのか。そうですよね。

北野:例えば、部下が「『バチェラー』に出たい」とか言い出したら、それはどうすればいいのかとか。SNSをやりたいと言い出したら、どうすればいいのかとか。たぶんこれはもう起こってくると思うので、対応策を考えないといけない。

浜田:はい。

かつての日本では、個人の資産=会社の資産

北野:一方で、これはお二人にも聞きたいんですけど、今の若いミレニアル世代からすると、昔の日本はそこがあまりにも強烈すぎると思うんです。要は、個人の資産をすべて会社に、という。

例えば、その典型例が日系のメーカーさんなどで、予算がギリギリのときに、自分の家族や親友に対して(商品を)売らなければいけないということが、昔よくあったじゃないですか。今もあるかもしれないですけど。

それってすなわち、考え方としては、お前ら個人の持っている資産は「会社のものだから差し出せ」という概念じゃないですか。ですので、若い人からすると、それって「え!?」という感覚を持つのかなと思う。これまでの時代を見られてきたお二人は、それをどう感じるのかなと。

浜田:私と伊藤さんは同世代で、バブル世代の大企業出身みたいな。

北野:ははは(笑)。

伊藤:最初が銀行だったので(家族や知り合いの)「カード作れ」とかね。そういう話はありましたよね。

北野:そうですね。

浜田:とくにあの時代の銀行って、会社全体が家族みたいなもので「ここにぜんぶ骨を埋めよ」というような雰囲気のところですよね。

伊藤:そうですね。

浜田:伊藤さんの性格だと、窮屈だったんじゃないですか?

伊藤:窮屈は窮屈でしたね。ただ、僕は10年間銀行にいて、そのときに「個人としてのネットワークを築いた」と思っていたんです。

浜田:はい。

新卒の7割が「転職を前提に就活している」

伊藤:「銀行は銀行であるけど、俺は俺で取引先と個人との関係を築いてるぜ」と。次にオフィス家具や文具の会社に行って、「僕はこういうことをやってるんですよ」ということで、当然ネットワークがあるものだと思ってたけど、みんな本当に冷たかった。

北野:ははは(笑)。

伊藤:冷たかったんです。そのときに何人かは「伊藤さん、よく来たね」と迎えてくれたんだけど、ほとんどの人が「伊藤さん、もう転職したのに何しに来たの?」という感じがすごくあって。

北野:なるほど、なるほど。

伊藤:そのときに気づいたのは、僕は僕としてのネットワークを築いたような気がしていたんだけど、実は周りは「銀行の行員の伊藤さん」だから付き合っていたんだな、というのに否が応でも気づかされましたよね。

北野:へ〜。僕が『転職の思考法』という1冊目の本を出させていただいた背景には2つあって。1つ目が新卒の学生さんなどにアンケートをとると、7割の子たちが「転職を前提に就活している」と答えるんですよ。

20年〜30年前からすると考えられないパラダイムシフトです。当時は逆に、70パーセントが一生勤めるつもりでいました。

浜田:もっと高かったかもしれないですね。

北野:そうですね。

浜田:第一志望に入ったらね。

転職しても仕事を頼んでくれる人の存在が「本当の資産」

北野:ですよね。もう1つが、その1冊目の本の感想をいただいて、「あっ、そうか!」となったのが、「あなたが会社を変えたとしても、あなたに仕事を発注したいという人が、本当の人脈というか資産だよ」というものでした。

Twitterで見たときに「そう考えると、俺(資産)ねぇよ、ショック!」みたいな。

伊藤:最初のショックが、まさにそれでしたよ。要するに、銀行って強烈な機能を持っている会社だということもあるけど、銀行があっての僕だったんですよ。どう考えても個人の関係性を築いていると思っていたんですけど、ぜんぜんですよ。

だから、まずそこがありきで、個人が会社を背負いながら、いろいろなバリューを提供しているよ、という感じで人脈を作ってきたら、ヤフーに転じたときは、もう“会社の伊藤さん”と付き合っていた人は0人ですよね。

北野:伊藤羊一さんが……。

伊藤:そうそうそう。

浜田:それを許すカルチャーが会社にあったということですよね。

伊藤:そうですね。そういうことだと思います。

浜田:個人が出すぎると、ものすごくいやがる会社もある……。

伊藤:そうそうそう。

浜田:足を引っぱる会社は、やっぱりまだまだある。

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