採用を「数合わせゲーム」にしてしまわないように
人とテクノロジーが協働する“人事3.0”時代の採用活動

パネルディスカッション #1/3

2018年8月30日、KOKUYO東京ショールーム5Fのスタジオにて「AIを活用して採用活動振り返り。テクノロジーと人の協働で変わる採用。」が開催されました。採用活動にAIを使う流れがあるなかで、どう活用すれば効果が出るのか。まだ明確な答えのないこの分野において、「働き方」「AI」「テクノロジー」といったキーワードに強みを持つ3社のトップがイベントに登壇。本記事では3名によるパネルディスカッションから、それぞれのプレゼンに対する感想を語り合った冒頭パートをお送りします。

藤野貴教氏(以下、藤野):みなさん、今日はありがとうございます。最近はパネルディスカッションをやるときに事前打ち合わせをしないというスタイルでやるようになりました。普段します? 事前打ち合わせ。

杉浦二郎氏(以下、杉浦):最近しないですね。

石山洸氏(以下、石山):しないですね。

藤野:なんかエネルギーが落ちるような気がしていて。予定調和になるとつまらないなと思っていて。何を話すか、「今思ったこと」を話し合いたいなと思っています。

普通だと最後に質疑応答という感じがしますけど、途中で時間を取って、みなさんから質問をもらって、僕たちもまた触発される部分があると思うんですね。人と人が会う場というのは、たぶんもう「触発する」ということにしか意味がないんじゃないかなと思っているので、ここでしかできないライブにしていきたいと思っています。

まずはじめに、今日お二人に聞きたいなと思うのは、初対面ということだったんですけど、それぞれのプレゼンテーションを聞いてみてどんなことを感じたか聞きたいなと思います。(杉浦)二郎さんは、石山さんのお話聞いてみてどんなこと感じました?

杉浦:中身もそうなんですけど、エンタテイナーだなと思っています(笑)。圧倒されましたね。圧倒されたんですけど、めちゃくちゃ面白かったです。話の内容が本当におっしゃる通りだなっていうところと、僕ら実務者はそれをどう現場に落とし込むのかを本当に真剣に考えないといけないなと思うこと以上に、実はもっと楽になるという安心感もあったんですよね。

やっぱり人の問題って苦しいし、僕もずっと現場にいたので辛いところもあるんですけど、そうじゃないなというところを光が射したなと、お話し聞いていて思いましたね。

藤野:後光がさしていましたね。

杉浦:はい。物理的にもそうですね。

HRテックがテクノロジー寄りになっていないか?

藤野:(石山)洸さんはどうでした?

石山:一番印象に残ったのが「ベースボールというものの定義を変える」という話ですね。人事というものの定義とか、その会社がどんな会社のかという定義を変えるかみたいな話とセットでデータを触っていくと、結局最後、ビフォーアフターで変化がないと。やっても意味がないというか、リターンの差分がちっちゃくなってしまうという話ですよね。

なので、大胆に定義を変えるということと、それに対してうまくデータを変えていくというのがセットで、すごくわかりやすいなと印象に残りました。

杉浦:うれしいです。

藤野:僕も二郎さんの話で……なんでしたっけ、あの映画の名前。

杉浦:『マネーボール』ですか?

藤野:そう、『マネーボール』。メジャーリーグの貧乏球団・オークランド・アスレチックスを立て直した話がすごく印象に残りました。「27個のアウトが取られるまで終わらないゲーム」というのが成立したという。この発想というのは、どういうふうに生み出せるのかなと思ったんですよ。よくAIって、何の問いを与えるかを定義しないとデータの精度が出ないという話なんですが、どうですか?

石山:そうですね。最近思うのですが、やっぱり人事が意志を込めるということはすごく重要だなと、HRテックの仕事をしていて思うんですよね。そこに向かってどうAIを活用していくかっていう話だったりすると思うので、意志をもって問いを立てて……を繰り返していくことが、あらめてすごく重要な時代になったんじゃないかなと思うんですね。

AIをどう使うかの前に、きちんと目的意識を持つことが大事

石山:世界的にすごく有名な資産運用会社のBlackRock(ブラックロック)という会社がありまして、そこのCEOがラリー・フィンクというんですけれども、毎年いろんな企業に年次レーターを送るんですね。今年のタイトルが、「Sense of Purpose」、つまり「目的意識」だったらしいんですね。

目的意識を持ちながら、「なんでだろう」と問いを立てていって、さっきお話しいただいた定義の変化に対する気付きがあって、その差分をデータでどう埋めていくのか。そういう回し方なのかなと思いました。

藤野:人事3.0を考えるにあたって、この仕事はAIがやった方がいいのか、だいたいをテクノロジーに任せた方がいいのか、全部人間がやった方がいいのかを定義した上で、人を採用するのかテクノロジーを活用するのかを考える。「これが人事の仕事だ」という定義の仕方って、たぶん今まで人事を一生懸命やっている人には思いつかない発想だと思うんですよ。

これはある意味、既成概念を壊す定義の仕方だったなと僕は思っていて。仕事のマトリクスの内、オペレーター的に大量に同じことを繰り返す領域では「そもそもそれは何のためにやってるのか」とか「この自分の仕事の目的ってなんなの?」と問いかけましょうというのが大事だと言ってるんですが、皮肉なもので、みんな目の前の仕事を一生懸命やって、成果を出そうと思っているわけないじゃないですか。

別になりたくてオぺレーター的になっているわけではなくて、目の前の仕事を一生懸命やろうと思っていながらそうなっていると思うんですよ、悪意なく。あくまで善意なので。そうすると、人って埋没してしまって、既成概念の枠の中に入っちゃうことがある気がするんです。人事の採用って、超頑張るじゃないですか。ある意味めっちゃブラックな働き方が続いてると思っています。

採用を「数合わせゲーム」にしてしまわないために

藤野:杉浦さんは日頃お客さんのお手伝いをされている中で、人事の人に「自分の仕事は何のためにあるのか?」と問いかけるときに、どんな投げかけをされたり、会話をされたりしますか?

杉浦:僕らはいつもお客様のところに行く時に、「そもそも採用します?」という話をするんですよね。「採用って要りますかね?」 みたいなこととか「採用した方がいいですかね?」みたいな、そもそものところから考えていただくことが多いですかね。

そして「しなかったらどうなりますかね」とか「しないと何が起きますかね」といったことをしっかり握っていかないといけない。結局数を集めて終わりみたいな数合わせゲームになってしまうなら、僕らはその場合「すみません、今回はお受けできないです」と離れますので。

石合わせゲームの話があるじゃないですか。石を運んでいる人が、「ただ石を積んでいる」と捉えているのか「教会を作っている」と捉えているのかという。祈りの場所を作っているのか、人々の幸せを作ってるのか。どの目線で仕事ができるかによって、やっぱり目的も変わってくるし、アプローチの仕方も変わってくる。そこをどう握るかってとても大事だなと思います。

藤野:二郎さんは仕事を受けてくれないコンサルタントというイメージがあるんですけど(笑)。けっこう断るんですか?

杉浦:まあ、やんわりと。

(会場笑)

藤野:みんなが休憩中に二郎さんと名刺交換をしていたので、僕はそれを見ながら「仕事にならないかもなあ……」と(笑)。

社会科学にAIを導入すれば、社会課題は解ける?

杉浦:いえいえ。僕以上に優秀な人が東京駅の反対側にいつでもいますよと、そういう話をしてですね、やんわりと。

藤野:ああ、そうですね。それこそ東京駅の八重洲口のグランドのナントカタワーの会社の出身の……別に「リクルート」と言えばいいんですけど(笑)。日本のHRをずっと引っ張ってきた会社のAI研究所ってところにいらっしゃったじゃないですか。その所長だった石山さんですけど、そこで成し遂げたかったこと、成し遂げきれなかったことってあるんですか?

石山:今日もAI研究者みたいにご紹介いただいているんですが、私はもともと文系なんですよね。社会科学をやっていて、社会科学にAIを導入すると社会課題が解けるという研究をずっとやっていまして。

大学院の時にAIの研究をずっとやっていて、論文を18本書きました。でも、18本も論文を書いても社会課題が解かれないということに気付いてしまいまして。そこで社会的接点の多い会社に入社して、そこにAIを導入した方が社会はよくなるんじゃないかと思ったんですね。それでリクルートに入社しました。

ですけど、やったことはホットペッパーの飛び込み営業なんですね。こっちは京大の助教のポジションを修士なのにオファーされてたんですよ。博士課程を飛び越して。なんですけど、いきなり飛び込み営業行くわけなんですよね。すごい会社だなと思ったんですが、そこから10年経って、完全にデジタルトランスフォーメーションしてAIが導入できた。ほぼ世界にもない事例ですね。

スタートアップの「一人人事」は何から始めるといいのか

藤野:なるほど。ちょっとここで1回会場に質問を投げてみましょうか。ちょっとみなさんにグループでしゃべってもらって、触発してもらおうかなと思っています。じゃあ2、3分取りますので、どうぞ。

(会場歓談)

藤野:質問、出てきてる感じですか? 「僕はこう思うんだけど、どうですか?」というのでも全然いいと思うので。二つ、三つくらい欲しいと思うんですけど、マイク回していきます。

質問者1:こんにちは。今度仕事でスタートアップの人事採用になって、経営陣に巻き込まれてあれやこれやしているという状況です。スタートアップ自体初めてなんですけど、人がない、金がない、やることはいっぱいみたいな。人事も基本的に1人でやらなきゃいけない状況です。

そんな中、今いろいろお話を聞いて、あれもこれもやってみたいというイメージはなんとなく浮かぶんですけど。ただ、人もお金もないという中で、まず何からやったらいいんだろうかと。杉浦さんは1人で人事をやっていたと言っていたから、とくに杉浦さんに聞いてみたいです。

藤野:人もお金もないスタートアップの人事って、何からスタートしていったらいいんだろうという問いですね。

質問者1:そうですね。HRテックにすごく興味があるんですけれども、そういうリソースがない中で、まずやるべきことって何なのかなっていうのがすごく心配になってきました。

藤野:素晴らしい問いですね、ありがとうございます。まず、あと二つくらい聞いてみたいと思うんですけれども。

質問者2:お話ありがとうございます。9月から人事系の仕事に初めて就くんですけれども、上司からは「何も人事のことを知らないから、会社に入ったら誰も気付かなかったことに気付いて」と指示をいただく中で、自分の中で新しい課題を見つけると。そしてそれを人事の人たちの中に広げていく。

これを1.1から1.2にするのは、すごく難しいことなんじゃないかなと思いまして。私1人が信じていても、周りにどのように影響を与えることによって1,2にできるのか疑問に思い、知りたいなと思ったので、そこのところ教えていただきたいなと思います。

藤野:新人人事へのアドバイスということですね。ありがとうございます。

経営者を巻き込める人事のコミュニケーション

藤野:もう一人いきましょうか。

質問者3:ありがとうございます。さっきの話なんですけど、私が1.1から1.2になったというのは、そもそも人事をやっているのは私しかいないので、私がやりたいと思うことは人事でやりたいこととイコールなだけなんですね。

1.2から1.3に関しては、会社での自分の影響力だったり、巻き込み方にからんでくるので、経営者とはけっこう密にコミュニケーションを取っていて。お尻を叩いていることはけっこうできていると思うんですけれども。でも、実際に経営者が行動するという一歩を踏み出してくれるほど、またまだ自分のコミュニケーションが全然ないと思っています。

藤野:何人くらいの会社ですか?

質問者3:15人です。

藤野:なるほど。

質問者3:役員との意識もバラバラで、社長に「がんばってください!」と背中をポンポン叩いている状態なんですけど、うまくいかないこともあって。経営者を巻き込める人事というコミュニケーションになる要素を持っている人だったり、今までお会いした中であれば教えていただきたいです。

藤野:良い問いですね。ありがとうございます。

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