人を巻き込むには、キーマンと一対一で膝詰めで話す

西橋京佑氏(以下、西橋):他にご質問をと思うんですが、何かありますか?

来場者4:途中で、「人を巻き込む力」という話があったと思います。

新しいことをやりたいということになると、どうしてもやっぱり、自分一人のスキルではできないことが出てくるし。とはいえ、周りの仕事を増やすとなると、嫌な顔をされるのではないか心配になったりする中で、どうすれば上手く巻き込めるか。どうすればおもしろいと思わせるかというところで、何か「こうした」ということがあれば教えていただきたいのですが。

井上一鷹氏(以下、井上):僕は、それがかなり下手なんですよ。すごく下手。昨日もそれで怒られたんですよ。うちのシステムのトップに「俺にちゃんとその全体像を話さないと、全体最適は絶対にできないから。ちゃんと握って進めないと辛くない?」というようなことを言われて、「あっ、はい」と。

そのときに、今僕が悩んでいることからすると、ちゃんと「こんなことをやったら、まずおもしろくない」という話を、膝詰めして二人でしゃべると盛り上がるんですよ。それで盛り上がったら、2ヶ月ぐらいは我慢してくれるという。一対一でちゃんと「俺はこうしたいんだ」という話をする機会をちゃんと作ることが大事なんだなと、昨日思いました。

(会場笑)

井上:マジでやばいと自分で思ったんです。やっぱり一般的に新しいものにちゃんと乗って、良い仕事をしてくれる人というのは、給料のために働いているような人ではないので。「これが上手くいったら評価が上がるよ」という話ではなくて「これができたらおもしろくない?」と言って、発表するようなときに「一緒に出ようよ」という、参加してもらう感じを上手く話さなければいけないんだと思っていますね。

僕は、キーマンに対して一対一でちゃんと膝詰めで話すことが大事だと思いました。昨日、すごく当たり前のことに気付いたんですよ。ただそれだけです。それがすごく大事だと思っています。

西橋:お二方はどうですか? 中郡さん、巻き込み方など。

初対面の相手に「100点の自分」を見せない

中郡暖菜氏(以下、中郡):私はあまり会社の人を巻き込むのは得意ではないのですが、雑誌作りというのは、すごく多くの人に関わっていただいているので、そういうことを考えたときに、やっぱり一人ひとりに会って話をすることが大事だなと思っています。

今はメールでやり取りできたり、電話で済ませたり、なんならずっと会っていないまま3年ぐらい経っている人もかなりいるというか、それができてしまうようになっていますが、あまりよくありませんよね。

だから、必ず最初の1回は会うようにしています。1回会えば、雰囲気だったり、ちょっとした雑談からも、その人のことがすごくわかるから。お仕事の話をお願いするときでも、「この人には、きっとこんな言い方をしたほうが伝わりやすいのではないか」ということが、見えるような気がするんですよね。だから、最初の1回は必ず会うようにしているので、会って話すというのが大事だということ。

あとは、自分のダメなところを見せることが大事だと思っています。完璧で常に100パーセントの状態の人には、本音を言いにくいことがあるのではないかと思っているので、「自分のこういうところがダメなんです」「こういうことがめっちゃ苦手で」ということを、私はかなり言いますね。初めて仕事をする相手にも「本当に、私はこういうところがダメです」と言います(笑)。

「こういうことは得意ですよ」とか「ここはもう本当に天才的なので」ということも同時に言います(笑)。言わないと、わからなかったりするんですよね。今日も、私がダンボールを潰すのが下手だということは、言うと伝わりますが、言わないとわからないじゃないですか。

ですから、私は100点の自分を相手に見せようとはしません。初めて会う人にも、ダメなところをさらけ出しますし。そうするとすごく近くに思ってもらえるし、巻き込めるようになるからいいと思いますよ。

木村和貴氏(以下、木村):なるほど。僕はコアメンバーの人は、飲みに行ったりして、ひたすら僕が言いまくって共感してくれた人だと。逆に、そこから先の拡大を(考えて)……もうちょっとチームをでかくするときというのは、やっぱり新規事業とかって、共感して決められる人は少ないんですよ。ちょっと反対したりとか、価値観が違ったりとか。

でも、やっぱり仲間としてやってほしいので、コアの人は本当に共感してくれる人。そこから先は、その人のやる気スイッチのようなものや、わくわくスイッチのようなものを見つけて、そこをアプローチで口説くということがかなり多いですね。

対話を通してモチベーションの源を突き止める

木村:前職でのチームマネージメント経験からいくと、何パターンかに分けられるんですよ。「この人はライバルがいるとがんばるタイプ」「この人はロールモデルがいると憧れてがんばれるタイプ」「この人はみんなで和気あいあいとやって褒められるとがんばる」などなど。

そうしたスイッチがいろいろあるので、そこにアプローチをしていく。その人が一番テンションが上がるところを、まずはヒアリングでいろいろ吸い上げて、そこを突いて仲間にしていくということを、僕はやっていましたね。

中郡:何パターンぐらいあるんですか?

木村:数えたことないんですけど、少なくとも5パターンぐらいはあるという感じです。

西橋:みなさん、「対話」がキーワードかと思いましたね。

井上:あと「可愛げ」。

西橋:可愛げ。そうですね。

井上:許してもらうのは、しんどいですからね。

西橋:Googleの心理的安全性のような話もあります。この前、脳科学の先生の教室に行っていたんですが、人間はネガティブな感情のほうが強く感じるから、そこを自己開示したいというと、「この人には何をしゃべってもいいんだ」と思ってくれる。そういうことも活かしてもらうといいのかもしれませんね。

僕から1つだけ会場のみなさんに聞きたいのですが。今、かなり質問をいただいていたのであれなのですが、「ミレニアル世代の働くとはこうだよね」というような話をされる方はいらっしゃいますか?

世代の違いから生まれる、考え方の断絶

来場者4:私は普通の民間企業で働いているのですが、言われてみて、「会議なんてなくてもいいので、確かに無駄だ」と思って。好きを仕事にするという中で、実現したいものに向かって集まるようなことが、今日のお話の中で「働く」というようなことなのだろうかと思いました。

西橋:考えていますね。今の話を聞いて、みなさんはどうですか?

井上:「ミレニアル」という括りを意識している人はいるんですか? ミレニアルというのは何歳ですか?

木村:1980年以降に生まれた人ですね。

井上:みなさん的に、今日の話を聞いて明日から変わるという人はいますか? 「このへんを変えたいな」など、そういうことが1つでも聞ければ、今日はぐっすり眠れそうな気がします(笑)。

来場者5:みなさん三者三様でタイプが違い過ぎて、逆に正解がわからなくておもしろかったです。1社から3,000万円ではなくて、4、5社から500万円ずつもらうようなことになれば、確かに井上さんがおっしゃったように、「プロジェクトがあって1社があって、プロジェクトが終わったら解散」という。いろんな本などでも書かれているようなものが、ミレニアル世代の活躍している(人の)印象です。

その一方で、自分たちより上のおっさん……例えば40代や50代など、自分たちよりよっぽど人数がいる人たち。この会場でもそうですが、自分たちよりすごく上の人たちと仕事をしていく中で、かなり感覚の違いというか断絶があると思っていて。でも、嫌でもそういう人たちと仕事をしなければいけない。「これからはこういう時代だよね」ということを、たぶん理解してもらえないということがあるのですが。

現時点で会社はそういうところではないし、仕事はそうじゃないし。そういう断絶がある人とどうやって生きていくのだろうかということを、「すごく新しい世代」と「昔の世代」に挟まれる自分として、最近よく思うことですね。ですから、そういうことを聞きたいと思います。

世代論にとらわれず、真摯に話せるかどうか

井上:今日みたいな議論は、僕も別にふだんは考えていませんし、今、こうした機会をいただいたからこそ考えました。僕は35歳です。45歳でも同じだと思っています。「100年時代」などと言うと、あまり大した差ではないと思うし、普通に動かせる人と動かせない人は、世代に関係なくいると思うので。そういう人の中で、ちゃんとこの考え方をわかってくれる人を見つけて、変えていったほうがいいと思うんですよね。

おっさんの中でも、違いが半端ない人がいるじゃないですか。僕らの世代でも、絶対にこの議論を理解してくれない人もいるし、別にそれが正しいというわけではなく、共感しない人もいると思うので、あまり世代によることを考える必要はないと思っていますね。

むしろ最近は、おっさんのほうがフットワークが軽いと思っていますね。Facebookが大好きじゃないですか。繋がりたくてしょうがないし。共感を得て、考え方を変えてくれる感じのおっさんがいっぱいいると思いますね。

中郡:確かにおっさんは大量にいるので、ミレニアルだけで物事を計らないほうが絶対にいいじゃないですか。話をしていても、すごく年上でも、ぜんぜん自分のほうが詳しいことは絶対にあると思いますし。だから大事だと思うのは、どんな人とでも飾らずにしゃべれるかどうかということ。

私はどこに行っても、今の私ならあまり変わらずにしゃべれると思うんですよ。それはすごく大事なポイントだと。

「この人は年長者だから」「肩書が偉い人だから」ということではなく、あるがままの自分の素直な気持ちを言えるほうが大事だと思うんです。「言わないといけない」ということは思って真摯に話しても、それでも伝わらないおじさんのほうが多いし、「なんて無駄な時間を過ごしてしまったんだろう」というようなことは、すごくあると思います。

でも、それが全部自分にとってなんの役にも立っていないかというと、案外そうでもなかったりする部分もあると思うので、諦めずに自分の素直なところを出せるようになることが大事だと思います。