2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:メドピア株式会社
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沼田佳之氏(以下、沼田):それではディスカッションに入っていきます。今回は「地域包括ケア」をテーマにしておりますが、その中でも地域の患者さんと医療者、あるいは介護者をどうつないでいくかが、非常に重要なポイントになっていると思います。
とくに地域の担い手が大事であり、今回はパネリストのみなさまも、実際にそこの部分に関わっている方たちにお集まりいただきました。生の声をみなさまからうかがいたいと思っています。
みなさまの中で、日々地域での活動に従事されているお立場から、地域の担い手としての役割、それとご自身の業務に絡めて、テクノロジーも含めて、どんなことが課題なのか、あるいはどう取り組んでいるのかについてお話いただければ。では、お隣の馬場さんから。
馬場拓也氏(以下、馬場):私は社会福祉法人で特別養護老人ホームを経営しています。個人的には、地域の担い手の定義というものがよくわからないところがあります。
担い手とは何かと捉えたときに、介護福祉士というものが地域の担い手と考えると、どうしても……訪問介護や在宅医療もそうですが、その訪問するということで地域を見ているという定義になってくると、自分は訪問介護をやっていないということになってしまい、そこで切れてしまうというところはあります。
ただ、僕らは特別養護老人ホームやデイサービスで地域を回っています。その中でいわゆる介護保険制度を使っている利用者以外の人を、どれだけ気にかけられるかということなんだということを、うちの職員には常に話をしているところです。
具体的にはどういうことかというと、一番簡単なところでは、うちの施設の前を押し車を押して歩くような地域のおばあちゃんには必ず声をかけて挨拶をするという、そういうところからなんですね。そうしていかないと視野が拡張されていかないということを私たちはすごく感じていて、まず地域に背中を向けて働くことがないように、窓の外をしっかり見ていくということ。うちではそんな話をしています。
沼田:ありがとうございます。視野を広げていくというのは今日の我々のディスカッションの重要なポイントであります。介護保険制度という話がありました。しかし、介護保険制度や医療保険制度の中だけではなく、少し広く広げた話を申し合わせている部分もあります。そこも参考に聞いていただきたいと思います。
沼田:次に、スギ薬局の杉浦さん、お願いできますでしょうか。
杉浦伸哉氏(以下、杉浦):はい。はじめにいただいている地域の担い手というテーマですが、正直いって、このキーワードで考えるとものすごく広く感じてしまう印象です。
なぜかというと、会場の皆さんもご存じだと思いますが、もともと地域包括ケアというのはどういう意味かといえば、地域で高齢者が住み慣れた環境でそのまま亡くなっていけるようになることです。
そういった意味から考えますと、もちろんお医者さんを中心とした医療や、介護のみなさんを中心として、地域のその他のみなさんも全員が担い手にならなければいけない。そういうことが求められていると思っています。
ただ、ここまで言ってしまうと話がとりとめもなくなってしまいますので、我々のど真ん中のビジネスでいいます。1つは、我々はドラッグストアですので、物を売るということにおいての生活支援です。買い物に来れない、もしくは来れてもなかなか足が不便であるという方々に対して、どういった支援ができるかということです。
現在も我々が届けるということもしていますし、これからさらに話が広がっていくかもしれません。テクノロジーを介して我々が届けなくても、どう届けるかということを、これからやっていこうということを今考えています。
そしてもう一つ、薬剤師という職種がいます。この人たちは薬剤師として間違いのない薬をいかに正確にきちんと説明をして渡せるかということです。デモで見せていただいたカケハシのシステムはまだ当社には入っていませんが、どういったところを介して、きちんとコミュニケーションの時間も確保してやっていくのか、我々が一番考えさせられているところだと捉えています。
沼田:ありがとうございます。
沼田:次に、宮田さん。宮田さんもいろいろな思いを持って制度に取り組まれていますので、ぜひ熱いコメントをお願いしたいと思います。
宮田俊男氏(以下、宮田):地域包括ケアシステムの中で、やはり今日も介護老人福祉施設、あるいは薬局という話がありました。
医師と患者の関係だけではなく、そこをとりまく職種の連携をどう進めていくのか。実際にはなかなかマッチングがうまくいかないなど、それぞれの職種の業務が非常に多く複雑で、なかなか進んでいかない。
そこの部分を、ITでどうのように解決を図っていくのかというところが、非常に今重要になっていると思っています。僕自身もMedical Compassというベンチャー企業をやっていますが、政府も健康サポート役を勧めているという中で、例えばヨーロッパでは家庭医がいて、その前に薬局がそういった健康やOTC、あるいはサプリなどについてしっかり助言することで、市民のセルフケアの部分をしっかりと投げかけている。
弊社もそうした意味では、きちんとした薬局やドラッグストアに市民の方がアクセスしていけるよう医師と薬剤師がコラボし、そういったところを支援しているわけですね。地域包括ケアの中で、誰かが過剰に負担がかかるということがないようにしないといけない。
そうした中で私自身も、川崎市役所や神戸市役所も参与をしているのですが、こうした自治体とも連携していきながら、保険者、国民健康保険あるいは生活習慣病の検診、ガン検診などがいろいろとある中で、そういった民間と自治体との連携しています。そういったところも、ITでいろんなことができれば、財源のことも含めてより効率的になるのではないでしょうか。社会保障の場合、ひとつには財源という大きな問題があるので、そうしたところはより効率的にやっていかなければなりません。
結果的に、人口減少の中で健康寿命をいかに延伸していくか。そこに同様のサービスを作っていけるかといった部分を、いかに一気通貫で産官学につなげていけるのかがポイントだと思っています
沼田:ありがとうございます。地域包括というのは、医療・介護という部分にどうしてもフォーカスされがちなのですが、やはり今お話がありましたように、健康や生活というところが非常に重要になってまいります。ビジネススタイルの視点でいえば、何で経済が回るのかというところに健康あるいは生活という視点もありますので、そこもひとつ捉えていきたいと思います。
沼田:ここから佳境に入っていきたいと思います。地域包括ケアにテクノロジーが介入するというところで、いろいろとデモンストレーションもありました。そうした新しい技術をどんどん入れていこうと、先ほどのピッチのコンテストでも、かなり新しい技術、遠隔診療などがたくさん出ておりました。
実際に、現場で使っていくとなるといろいろな課題もあったりすると思います。テクノロジーの介入の可能性、あるいは実際に利用状況について少しコメントをいただきたいと思います。まず地域で活動をしているということでいうと、スギ薬局の杉浦さんがいいかなと。トップバッターでコメントいただきたいと思います。
杉浦:はい、テクノロジーというところでいいますと、実は「Health 2.0」は、1番始めにマシューさんからお言葉いただいたことが、私にとってはすごく印象的なのです。「テクノロジーを土台にしてサービスを考えていくのはこれからだ」というのが、まさにその通りだと感じておりまして。
今までは、すべてのサービスを提供するために人の手を介してやっていました。これまでものすごく時間をかけていた部分が、実はテクノロジーの発達によって、人の手を介さなくていいところがどんどん出てくる。
そうはいいながら、最終的には人対人の部分にすごく価値があるということは強く我々すごく感じています。最後のポイントまでをいかにテクノロジーでつないでいくのか、というところが大事なのではないでしょうか。
杉浦:そういった中におきましては、先ほどカケハシでご紹介いただいたような電子薬歴というもので、当然ながら今までの紙と比べて情報の持ち運びも変わりますし、セキュリティも変わります。これにより負担を減らすことで、より患者様に向き合えるようになります。これは実際に活かしていくテクノロジーであり、もっともっと便利ですばらしいものができてくるのはこれからだと思っております。
そういった中で、我々が今、困りながらもがんばっているのが、先ほどもお話しました物流ですね。物をどう届けるかという部分です。我々の医療サービスというところにおきまして、ドラッグストアの薬剤師は当然ながら薬を届けなければいけません。お薬の説明だけをするのであれば、電話であったりオンラインであったりいろんなことがありますが、肝心なお薬を届けるところをどうしていくかという部分は、基本的には薬剤師さんが届けています。
そして、おそらくこのあとのセッションで議題になると思いますが、遠隔地オンラインというものはどうなっていくのかというところに組み合わせて、薬をどう届けるかということになっていくと思いますが、そこの部分が法の規制もありながらどうなっていくのかというのが、今の私の関心であり、心配でもあるという部分です。
沼田:ドラッグストアチェーンがAmazonと組む話は、かなり大きなニュースとして取り上げられています。日本がどうなるかというのはもちろん、それなりのインパクトがこれから来るんじゃないかと思います。ありがとうございました。
メドピア株式会社
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