2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:メドピア株式会社
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沼田佳之氏(以下、沼田):みなさま、こんにちは。マンスリーミクス編集長の沼田でございます。
「Health 2.0」で、地域包括については昨年もやりましたし、ここ数年間ずっと取り上げているテーマがあります。今回のテーマは「地域包括ケアの中の地域の担い手」。人ですね。人とテクノロジーをどう融合させていくかというところにいよいよ入っていきます。
地域や医療でも少しずつ動きが見えてきたところで、今日はさきほど、ピッチでコンテストに参加させていただいたのですが、いろいろと新しいテクノロジーが出てきておりまして、いよいよ遠隔診療などもいろいろありましたけれども、実用化されてくる時代が来たと感じております。
ですから、そのような技術を活かして地域包括ケアをより動かしていくということになりますので、そこを実際にパネリストのみなさんと、デモも含めて考えていきたいと思っています。
恐縮でございますが、リラックスした雰囲気で、我々も座って進めていきます。最初に、パネリストをご紹介したいと思います。
沼田:まずは馬場拓也さんです。社会福祉法人愛川舜寿会、常務理事であります。神奈川県ご出身ということであります。
見て、なんとなくおわかりかと思いますが、実はジョルジオ・アルマーニ・ジャパンに在籍されていたこともあり、トップセールスだったんですよね(笑)。ご本人、照れておりますが。あとでお話をうかがっていきたいと思います。
そういうことで、いまは介護記録システム「ケアコラボ」をIT企業と共同開発しておりまして、テクノロジーの世界に若い中で入ってきたということであります。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、杉浦伸哉さんであります。杉浦さんはスギホールディングスの取締役でございます。また、株式会社スギ薬局の常務取締役、営業本部長も務めております。
現在は、予防医療、介護領域において、OTC販売から食品販売、あるいは調剤を通じて、地域のみなさまのお役に立つような医療連携に参画しております。
スギ薬局創業当時の原点に立ち戻り、地域のみなさまの健康と美容を願うかかりつけドラッグストアとして、一層のサービスを追求しているということでございます。ぜひ、いろいろとご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
あと3番目になりますが、私どもがずっと長いことお付き合いをさせていただいております、宮田俊男さんでございます。株式会社Medical Compass 代表取締役社長で、最近、大阪大学の産学共創本部特任教授もなさっております。あと、おなじみの医療法人DENみいクリニックの理事長でございますね。
長いお付き合いの宮田さんは、早稲田大学理工学部をご卒業されたあとに、大阪大学医学部を卒業されているという非常にユニークなご経歴でありますし、厚生労働省にも入省されていてお役人のご経験もございます。
2011年、厚生労働省医薬食品局審査、管理課長補佐として活躍された後、2013年には内閣官房健康医療戦略室補佐官を就任されています。現在は、国立がん研究センターの政策室長、あるいは神奈川県庁の顧問と歴任されています。
非常にこの地域包括に関しましては、政策を作っていく段階から関わっていらっしゃいますので、詳しく深いお話がいただけるのではないかと期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
沼田:席が2つ空いているので何かと思うかもしれませんが、先にテクノロジーサイドということで、このセッションではいくつかデモとプレゼンが用意されております。
最初の方をご紹介します。KURASERUの川原さん、登壇いただければと思います。
KURASERUは、ソーシャルワーカーとケアマネさんのためのマッチングサービスを提供している会社です。今日はぜひ新しいサービスシステムについてということでご紹介いただきたいと思っておりますが、神戸ですね?
川原大樹氏(以下、川原):はい。神戸から来ました。
沼田:神戸で活躍されているということでありますが、実際にシステムを使って空床状況や計画予約、あるいは介護、医療体制の細部を見ることができます。また、患者さん一人ひとりのニーズに合った介護施設のマッチングもできるということです。
それでは、川原さんの方からプレゼンテーションをよろしくお願いします。
川原:はい。よろしくお願いします。介護施設マッチングサービスKURASERUの川原です。よろしくお願いします。
私自身が、介護施設で介護士として働き、その後病院で医療ソーシャルワーカーという仕事をやってきました。医療ソーシャルワーカーとは、入退院の調整や退院後の社会的支援を行う病院施設の医療です。
みなさんは、退院というワードはハッピーなワードだと思っていませんか? でも、実はそうじゃない人もいるんです。それはどんな人か。
在宅での介護が難しい人です。在宅介護が難しい人は介護施設を検討しなければなりませんが、急に病院から退院と言われ、何をどのようにしていいのかわからない。そのように、悩み困っている方を、私は現場でたくさん見てきました。
この問題をKURASERUで解決いたします。
川原:私たちのプロダクトは病院の中で使うことができます。使い方は簡単で、その患者様の希望のエリアや金額、あとは必要な医療処置を入れてもらうだけで、私たちが事前に調べている介護施設にベストマッチングすることができるのです。そして、そこには空き状況が記入されているので、退院調整がかなりスムーズになります。
それだけではありません。そのピックアップされた介護施設に直接メッセージを送ることができるんです。こうすることで、電話やファックスによる煩雑業務が一切なくなり、病院のスタッフの業務量が10分の1以下になります。そして、患者様がベストセレクトできる。これをKURASERUが実現してきています。
そして、介護施設側ですが、介護施設側は病院の退院予定者リストを見ることができます。そして自分たちのスペックにあった患者様に直接アプローチすることができるんです。こうすることで、機会損失のない入所を実現しています。
マネタイ(マネタイゼーション)です。私たちはまず、病院からはサブスクリプションモデルで病床数によって課金していっています。
そして介護施設側は、1送客あたり紹介費というかたちで平均20万円をいただいています。これはすでに実績があります。マーケットは70兆円とかなり大きいのですが、私たちはまず、病院と介護施設のマッチングの市場、2,268億円、ここをまず取りにいきます。
トラクションです。私たちは神戸市内というある程度限定されたローンチをしているのですが、4ヶ月ですでに210名を超える患者様がKURASERUを利用し、介護施設を検討しています。
そして導入数でいいますと、病院はもう31を超えています。介護施設は147。これは病院が増えれば増えるほど自動的に増えていきます。
プロによる安心で最適な介護施設マッチングを。KURASERUです。
ありがとうございました。
(会場拍手)
沼田:川原さん、神戸からありがとうございました。さきほど裏で話したときにうかがったことを確認させてください。
これだけのマッチングシステムを普及させていくのは、極めて大事なことだと思います。神戸というと、医療センター、医療特区ですよね。
川原:そうですね。はい。
沼田:特区の関係はあるんですか?
川原:そうですね。まず市長がヘルステックにおけるスタートアップベンチャー企業に対してかなり好意的で、バックアップ体制といいますか、いろんなところで協力してくれるということが、かなり大きい要因なんですね。
沼田:ありがとうございました。また詳しくこのあとも聞いていきたいと思います。
川原:よろしくお願いします。
沼田:どうもありがとうございました。続きましてカケハシの中尾さん。よろしくお願いします。
中尾さんについてご紹介したいと思います。実は私のミクスと関係がありまして、中尾さんは武田薬品工業のMRさんをやっていたということで、MR時代に社長賞や支店のいろいろな賞を取っているという経歴をお持ちです。
2015年の12月に、武田薬品を退職されてから仕事に入った。医療を繋いで医療を照らすというビジョンで株式会社カケハシを創業されました。医療の外からお仕事として関わってきた中で、実際に自らいろんな思いを持って会社を作られていたとのこと。今日のデモからもその部分がにじみ出てくるのではないかと期待しています。中尾さん、どうぞよろしくお願いします。
中尾豊氏(以下、中尾):ありがとうございます。はじめまして。カケハシの中尾と申します。
地域包括ケア用の自助ということで、患者さんが自分の健康意識を高められる仕組みをどんどん作っていきたいと思い、薬局、薬剤師にフォーカスして、私たちはサービスMusubiというプロダクトをリリースしました。
リリースして1年ほど経ちまして、1万店くらいからお問い合わせをいただき徐々に広まっているかたちです。実は、患者さんにいろんなアドバイスができるということもあるのですが、劇的な経営改善が実際の業務効率につながりますから、その2点で評価をいただいているポイントになっています。
薬剤師さんが患者さんにどのように価値を出すのかというところは、ただの薬の説明だけじゃなくて、その薬が患者さんに合ったかたちでお勧めができる。プラスアルファで、今日このタイミングであれば「こんな生活をするといい」といったものも出ます。
今からデモをして、その指導したあとに今の薬局、薬剤師さんは薬歴というものを記載しなければいけないのですが、それも1枚あたり3分くらいかかっていて、それが非常に早く3~40秒で書けるようになるから、処方箋枚数を何万枚も抱えている薬局さんでは、ウン億円やウン千万円もの経営効率につながるというかたちになっています。
中尾:今からデモをします。(画面を指して)この東原さんという方で触ってみますね。東原さんに対して「服薬指導」と押すと、東原さんを呼ぶ前に薬剤師さんが一緒に勉強します。「今日、こんなアドバイスをしよう」という項目を6つくらいMusubiが教えてくれるので、これを見て「フムフム、今日はラーメンネタにしようか」といったように。
高血圧だから「香辛料をうまく使えば塩分控えめの食事にできていいかもしれないというアドバイスができそう」といったように、頭で整理してから、右下の「服薬指導開始」を押します。
ここで初めて東原さんを呼びます。「東原さん、どうぞ」と呼んでから、実はこれはタブレットなので、この画面で薬をお見せしながら話をします。
たとえば、ここに新規でザイロリックという薬があり、全部の薬の話をする時間はおそらくないのでザイロリックについての話をするんですが、ようは「尿酸値を下げるお薬ですよ」といった感じなんです。でも、この東原さんはコーヒーをよく飲まれる方みたいですね。すると「コーヒーをよく召し上がるようですが」といったかたちで、その人特有の話になります。
僕、中尾がザイロリックを飲んでも、こんな感じにはなりません。あと、脱水と尿酸値の関係の話をして、「水分が不足すると尿酸値が上がりやすいから、利尿作用のあるコーヒーを飲むときは、水をたくさん飲むのが大事なんですよ」とその人特有の会話を薬剤師さんと患者さんでしていただきます。
右、左目の症状の確認や残薬の確認をしたあとは、生活のアドバイスといったかたちにして、高血圧の薬も飲んでいる方ですから、「塩分を減らすときには香辛料をうまく使うといいようですから、奥さんに話をしてみてくださいね」など、生活に踏み込んだアドバイスをすることによって、患者さんに対して服薬指導している回数は年間8億回あるのですが、その8億回を患者さんが健康意識を高める習慣に変えていこうと僕らはしています。
中尾:これで服薬指導は終わりです。会計して「お大事にどうぞ」とやると「完了」が押されますが、この「服薬指導完了」すると、薬剤師さんは一から大量のカタカタカタをやったり、コピーアンドペーストかテンプレートを打たなければいけなかったのですが、このように服薬指導した直後に、業界でいうSOAP、プランのようなことも書かれるようになっていて、その人特有の指導などが、どんどん半自動的に、指導した分がスクリプトした文章に変わっていく。
経営改善ですごい残業もなくなり、空いた時間に患者さんに的確なアドバイスができようになるので、薬局としては経営改善につながる。薬剤師さんとしては働きやすくなり、患者さんとしては「ああ、そうなんだ」と薬剤師さんに話しながらいろいろ教えてくれる。
そうした体験を私たちのMusubiは提供しているかたちです。すごく早口になっちゃいましたが、こんなところになっています。
沼田:はい、ありがとうございました。今、中尾さんからご紹介のありましたシステムは、かなり薬剤師さんの業務負担が解消されるようですね。具体的に例えば、1人あたりの患者さんに対して、どのくらいの時間効率が改善されるのか。
中尾:そうですね、平均3分間くらいのところ、3、40秒くらいなので、だいたい導入した薬局、薬剤師さんは1日30分前後は必ず空きます。残業は、例えば1時間かかっていたものが必ず減るかたちになりますし、患者様などからも人気が高いのと、最近は、「Musubiが導入されている薬局に就職したいので教えてください」と薬剤師から連絡が来ます。
沼田:実際のところ、コスト的なことはどうですか? 薬剤師業務にかかる時間短縮というのは、もう1つコストの面ですね。
中尾:そうですね、残業と採用費の部分でよく言われます。残業はご覧の通りに減りますし、離職率が下がって採用コストがすごく減ったということで、たくさん社長からお礼の電話をいただきます。
沼田:ありがとうございました。非常に貴重なデモで、このあとのディスカッションでも参考にさせていただきたいと思います。中尾さん、ありがとうございました。みなさん、もう一度拍手をお願いいたします。
(会場拍手)
メドピア株式会社
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