来店頻度が月1〜2回のお客様と、いかに接点を持ち続けるか

杉浦克典氏:残り時間の許す限りということになりますけれど、セルフケア領域について少し考えているところを、最後にお伝えさせていただこうと思っております。

まずは健康の維持や未病予防。こういうところを推していこうかと考えております。次に処方箋調剤を含め、服薬などの軽医療の領域。最後は生活支援ですとか、介護などの領域。こういう感じで分けさせていただいて、これからの、弊社が考えるトータルヘルスケア戦略というものの一端を時間の許す限りお話しさせていただければと思います。

(スライドを指して)こちらがヘルスケア支援領域における生活者向け、一般のお客様に向けたこれからの接点、それからヘルスケアにおける支援の種類のあり方です。現在弊社がやっているのは1,159店舗で年間5,000億円近い売上なのですが、実はお客様との接点というのは、月に1回か2回くらいということになります。

つまり、お客様のご来店頻度は月1回から2回が平均ということになるわけです。それはレジを通過した方がそれだけということになりまして、お客様とそれだけの接点が毎日あるわけですが、全員とコミュニケーションをとれているかといえばそうではない。それを考えた時に、デジタルという技術を活用することによって、もっと接点をもつ機会を持ちたいということや、お店において提供できるものではないものも、それを通じて提供ができるのではないかという発想があります。

セルフケアの領域においては、なんといっても食事、運動、睡眠。こういったところをお客様にいかに適切にとっていただくかというのがキーになると思っています。そのうえで、まずは食事、そして運動。それについて、デジタルを介してお客様との接点の場にしていきたいと。そうして接点を増やせたのならば、さまざまな相談などをデジタルを使ってやれるようにしようと。

その中から、特定のお客様にはプログラムの提供ということも出てくるでありえます。そのようなことを見据えながら、構図のようなものを作っておりまして。「スギサポeats」「スギサポwalk」と我々は呼んでいるわけですが、「eats」に関しましては、既に一部ご紹介もさせていただいているという状況です。

子育てよりも介護への関心が高まるなかで

セルフケア支援の領域ということで、もう1つは一般消費者のお客様だけではなく法人にも目を向けて、これからご支援させていただけることがあるのではないかということで、法人向けサービスについても考えております。

少子高齢化で、生まれる赤ちゃんの数より亡くなる人の数のほうが多い。その比率はいまも残念ながら拡大をしている。

企業に勤める会社員の方々にとって、子育ての関心よりも介護への関心の方がだんだんと大きくなりつつある。そのような中で、介護で離脱されてももちろん困るわけですが、ましてやご本人が健康を害して、自分が退職せざるを得ないということになるのは非常に困る。いわゆる健康経営というものへの関心が相当高いという中でのご支援の在り方ですね。

(スライドを指して)A社、B社、C社と書いてありますが、それぞれの会社のステータスはおそらく違うと思っています。所属する社員の方が、病気と健康、どちらに関してのニーズが高いのか。それぞれ違うニーズを持つ会社に対して、別々のプログラムを提供できたらいいなと考えております。

下には提供できるであろうプログラムということでいろいろなものを載せているわけですが、こういうものを健康経営支援ということで法人向けに、あるいは自治体向けに。こんなようなことも考えていこうとしているのが、セルフケア支援領域の2つ目の話ということになります。

病気の重症化予防への貢献

続きましては、医療服薬領域について簡単に話をさせていただきたいと思います。こちらは先ほどのセルフケア支援のところに比べますと、より重症度が高いところです。どういうかたちでご支援させていただこうかということで、いま考えているものになります。

例えば糖尿病という病気について考えるとどうでしょうか。糖尿病にもいろんなステージがあります。模式図的に一番軽い症状から一番重いところまで考えますと、なんとか透析のステージにいかないように、またそのステージにいるのならばそのステージを維持できるように。

もっと言えば、そのステージから下のステージにいけないかなと。それぞれの層別に食事、運動、服薬があります。上の方にいきますと制限が入ってきて、運動制限や生活制限など、こういったプログラムの開発を行います。これに当社の薬剤師や管理栄養士も関わりながら、医師、看護師、フィットネスクラブトレーナーとの協業を見据え、いろんなプログラムを開発していきます。

重症化予防について協業の上で貢献させていただきたい。このようなことを考えているというのが、医療服薬領域における取り組みの1つになります。

もう1つはオンライン医療ということで、ここはかなりぼやっとした表現になっております。法規制がどういうかたちで緩和をされるかによって、相当大きな領域となるだろうということはわかっているわけですけど、今からの医療費の高騰や効率化、より必要とされている方へのリーチなど諸々のことを考えた時に、この領域は推進していかざるを得ないと判断しました。

こういったところについて、行政の方と組んで特区的に進めるのか、あるいはいろんなかたちでのアプローチや協業を見据えながら進めるのか。とくに我々の観点からいえば、オンライン服薬指導と電子処方箋の送信、もっといえば薬のデリバリーをどうするかについて、少し長い目で商機の視点を持ちながら、医療服薬領域の世界を作っていきたいなと思っています。

高齢化社会とは、病院に関わる人の多くなる社会でもある

最後に介護支援領域ということで、こちらは概念的なところをちょっとお話しさせていただくに留めさせていただきたいと思います。高齢の方がどんどん増えてくる世界においては、基本的には病院に関わらなければいけない方々の数が増えてくるということです。でも一方で医療費をなんとか押さえなければならない。

その中で、病院はいろんな機能に特化するような方向性になる。地域医療、地域包括ケアという言葉で、地域にそういう患者様がどんどん出ていく世の中になってくる。これを集約した時に一体何をやっておかねばならないのか。

病院に入院する方をなんとか支援できないか、病院から退院したら、その先にいろんな選択肢がある、そんなところを支援できないか。そういったところについて、多職種の連携あるいはリアル拠点の連携で、進めていこうと考えています。

以上、セルフケア支援、服薬医療の支援、生活支援。これらの話をザッと説明させていただきました。冒頭で申し上げましたけれども、我々は技術を紹介させていただくのではなく、あくまで構想として、何を考えているのかについてお話しさせていただきました。

リアル拠点を持ち、5,000億円くらいの規模を持っている会社が、専門家などを抱えながらどれだけリソースを持っていきたいのか。これからどんなリアル拠点のネットワークがあり得るか。その中でデジタルの活用がどうあり得るか。そこをどう集約させるか。

本日お越しのみなさまからもお知恵をいただきながら、作っていきたい世界があるということで、志を共にできる企業様とはぜひともいろんな話を進めさせていただきたいと思っております。

以上ですが、説明させていただきました。ありがとうございました。

(会場拍手)