「仕事で不幸になる人」をテクノロジーで救えるか?
山口周氏が説く、社会システムの理想像

Work as life #3/4

LivingTech カンファレンス 2018
に開催

テクノロジーによる「暮らし」の変革を志す、第一線の経営者・クリエイターが集う「LivingTechカンファレンス2018」が開催されました。2020年から5年後の社会のあり方を考える「POST2020」をテーマに、10以上のセッションを実施。その中のセッション「Work as life」では、「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」の著者・山口周氏、面白法人カヤック・柳澤大輔氏、リデザインワーク・林宏昌氏、Campus for H・石川善樹氏、ダイヤモンドメディア・武井浩三氏が登壇し、現代人の働き方の“これまで”と“これから”をディスカッションしました。

「どこでも働ける」は実現しつつある

武井浩三氏(以下、武井):まさに今の問い(物理的に離れていても、価値観の似ている人とテクノロジーで繋がれるか)が次の問3にありまして。これらの実現を可能にするテクノロジーは何か。テクノロジーについて少し語りたいなと思うんですけど。まさに今のお話ですけども、テクノロジーの中でも、具体的にどんなことがあるとか、みなさんがすでに取り組まれていることなど、いかがでしょうか?

林宏昌氏(以下、林):それらが何を指すのかというのは、今までの議論の中で、夜這いからいろんな派生があるので、ちょっと難しいですけど。もうどこでも働けるみたいなのは、相当進んできているなと思っています。

そのためのチャットコミュニケーションやテレビ会議の仕組みみたいなことは、だいぶ出てきているので。僕は比較的大企業の方々の改革のサポートをさせていただいているんですけど、結局最後の最後に変わらないといけないのは、人間のメンタリティみたいなことが、一番難しいなと思っています。

例えばAIみたいな話だって、結局、最終的には倫理の問題になるし。例えば、医療の人が人を作っていくクローンの問題も、結局倫理の問題になってくるみたいなのと同じように。じゃあ、本当にどこでも働けるようになっていくということは、テクノロジーで可能で、実際には問題ないじゃないですかといっても、いや何か隣にいてほしいと。

この感覚が変わっていかない限り、本当に自由になっていかないなというのがあるので。テクノロジー側でやろうとすると、ホログラムなのかちょっとわからないですけど。もう本当に隣にいるということが、会っているのと変わらないようなテクノロジーというのは、ナンセンスなんですけど、一方では人間のメンタリティ的に必要かなというのが、僕の今の感覚ですね。

なので、今でもそうなんですけど「会おうよ」と言った時に、「ああ、ごめんね。『物理的に会おう』っていう意味だったんだけど」と説明しないといけなくなるぐらいに、会うことがオンラインで会うという意味で「いや会ってるじゃんね」というようになって。

「ああ、『物理的に会う』という意味だったの?」と確認しないといけないぐらい、テクノロジーを使ってオンラインで会うことになっていくと、本当の意味で「いや、毎日会いながら仕事をしていますよ」となることが、結果的には、さっきの働くことの場所からの開放に繋がるんだろうな、と思っています。それらが何を指すのか、はあるんですけど。

柳澤大輔氏(以下、柳澤):その垣根はびっくりするくらい下がっていますよね。一方で、オンラインで会うことと、リアルで会うことには、やっぱりまだ差があるなとも感じます。五感で感じ取っているものが、まだこぼれ落ちてしまうところがあるから。技術が進化すれば変わってくると思いますけど。

「ランクアップ方式」の価値観は変わってきた

石川善樹氏(以下、石川):例えば「あなた、いくらほしいですか?」と聞いたら、「いくらほしいです」とか、ほとんどの人は答えられると思うんですよ。でも「あなたはどうやって暮らしていきたいですか?」って聞いたら、たぶん、あまりクリアなイメージを持っている人はいないんだと思うんですね。

一昔前なら「いつかはセダン」とか、ランクアップ方式ですよね。「いつかは一軒家」という、ある意味正解というか、シンボルがあった時代から、今はないというのがどうしてか、というのはすごく思うんですよね。

テクノロジーというのは、いろんなテクノロジーがありますけど。暮らしを最も変えてきたもの、生き方・働き方を変えてきたものは、やっぱり移動だと思うんですよね。移動スピードを速くする。新幹線なり飛行機なりということ。移動スピードをものすごく速くするということを、テクノロジーはがんばってきたんですよ。でも、なぜ東海道は五十三次もあったかというと、移動スピードがゆっくりだったからですよね。

移動スピードがゆっくりになると、文化が栄え、多様性が生まれるというのがあるんですけど、移動が速くなると均一化しちゃうんだと思うんですよ。そうすると選ぼうにも選べないというか。東海道は五十三次で、私はどれが好きみたいなのがわからなくなるというか。

だから何となくですけど、スピードを上げるというよりも、いかにスピードを落とすかというんですかね。スピードを落としながらも、移動のコストを劇的に下げるテクノロジーとかですね。

例えば、今週はちょっと巣鴨に住んでみようでもいいじゃないですか。ちょっと来週は鎌倉に行ってみようかなという時に、今は移動のコストがかかり過ぎているんですよね。それは不自由にしていて選べないと。

本当は多様性があるはずなんですよ。スピードを遅くして、かつ移動のコストを劇的に下げるテクノロジーなりサービスが出てくると。Airbnbはまだまだだと思うんですよ。あれはまだ高いですね。コストが高すぎる。そういうものが出てくると、暮らしや働き方や生き方が変わる気がしますけどね。

「幸せの尺度」をテクノロジーで可視化するということ

柳澤:さっきの問い2(今までとは異なる新しい価値観に対して、われわれはどう生きるべきなのか)から繋がっているんですよね。新しい価値観を実現するという意味でいくと、いわゆる今までは可視化されていなかったものを可視化して。人との繋がりがある人が幸せや、幸せ学とか見ると、川の近くに住んでいる人が幸せだという研究が出ていたりするから、やっぱり山と海の近くに住んでいる人のほうが、相対的には幸せ度が高いのかもしれないですね。

そういう幸せの尺度をお金以外の尺度でやる時に、やっぱり今まで可視化していなかったものを可視化するから、その物差しとして、おそらく今までのものではダメなので、そこはいろいろ知恵を使ったりという意味で、今まで可視化していなかったものを、可視化するというテクノロジーが役に立つんじゃないかと思って。

それで、さっきの資本主義なんかをやっているんですけど、それはそれでちょっと補足という意味では伝えていたんですけど。何か今ちょっとパっと思って、Livingtechみたいなところでいくと、鎌倉に田中浩也先生というSFCの研究所の所長が住んでいて。3Dプリントを日本に持ちこんだ人ですね。

Googleストリートビューの前身を作って、Googleから買いたいと言われて断ったというので、流行らなかったという感じの人ですけど。その人が家の鎌倉の庭で、100種類ぐらいの家庭菜園をやっているんですよ。普通、家庭菜園というと10種類ぐらいしかできないんだけど、テクノロジーを使って、ぜんぶの種ごとに水撒きを自動化したり、日照を上手く研究したり、全部自動化されたようなことをやろうとしていて。

おもしろいなと思ったのが、100種類同時に1人で家で育てられるというのは、これは何なのかなと思った時に、さっきの話とはきっと矛盾するんですけど、1つのことを突き詰めることで人は成長するんだけど、おもしろさみたいなところって、やっぱりいろんなことをやらないと、おもしろくないじゃないですか。

うちのエンジニアとかにもフルスタックを推奨しているから、性質上何か1つ突き詰めるというよりも、いろんなことをやりたいというエンジニアが多くて。「面白法人」って付いているので、おもしろいことを軸に考えているんですけど、いろんなことをやろうとするよりも、おそらくテクノロジーでそういうことがどんどん可能になるんですよね。

だからそっちのほうに使うというか、おもしろいのはどっちかというと、テクノロジーを上手く使ったほうが幸せになる気がしますね。生産性がどうかという話をしても、おそらくたどり着かないんじゃないですかね。

仕事で不幸になる人がすごく多い

:さっきのおもしろいという話と、今のブロックチェーンの話とかも含めて、やっぱり軸は資本主義はお金みたいなものがあって。尺度が強烈でシンプルに数字なのでわかりやすい。それと対抗する社会的な価値などは可視化できないので対抗できない。

あるいは幸せレベルは、別にポルシェに乗っているあなたよりも、カーシェアリングしている自分のほうが高いみたいなことが、そっちの違う軸で戦えないので、なかなか難しいということがあると思うんですけど。

何かやっぱり好きなものを突き詰めていくということで、還元できる世の中になったことが、けっこうおもしろいなと思っていて。さっきのこれもものすごく好きなんですみたいなことを、とにかく掘って発信はしていくと。そうするとSNSのフォロワーの数が増えてくる。

そうなるとクラウドファンディングという筋もあるので、この人すごくおもしろいねって、みんなから思われているニッチな人なんだけど。

じゃあ、このテーマで、さっきの図書館みたいなのを作りますとか言ったら、クラウドファンディングでお金が換金できるということになるので、好きみたいなものを突き詰めていくことによる、フォロワーやあるいは換金化するブロックチェーンを含めた技術、テクノロジー、あとはクラウドファンディングみたいなもののパッケージによって、この後のお金の価値観や考え方みたいなことを換金化できる社会になってきているので。

大きな企業で自分の価値観を殺しながら生きていくというよりは、自分の好きなことを前の世代とは違うんだけど、これが好きだというのを突き詰めていく。結果、換金化できる手段が出てきているというのが、おもしろい世の中だなとは思っています。

山口周氏(以下、山口):仕事で不幸になる人って今すごく多いんですよね。うちの会社って、一応僕はサラリーマンなので、組織調査とか売り歩いているんですけど、日本って仕事にやりがいを感じている人って1割ぐらいしかいなんですね。

僕がいた古巣も、ものすごくメンタルを病んじゃう人が多くて、仕事で不幸になる人がすごく多いと。プロセスを見ていくと、仕事を通じて不幸になっている自分をある日、突然発見するんですよ。

徐々に不幸になっていって悪化していって、「もうダメだ」と倒れるのではなくて、ある日突然、ベッドから起きられない自分を発見するんですよ。テクノロジーということでいうと、いろいろと外に向かうというのももちろんあるし、僕はお金以外の組織とかコミュニティの状態を計るのは、すごいキーだと思ういます。

もう1つ測らないといけないのは、自分がどういう状態なのかがわかると、けっこうおもしろいと思っているんですね。これが1週間続くと、あなたはベッドから起きられなくなる確立が統計的に8割です。もしかしたら(石川)善樹君なんかもそこは専門だと思うんですけど。どの仕事をやっている時に自分がものすごく上がっていたり、自分で気付いていないんですよ。

ほとんどの人が、自分がおもしろいと思った仕事とか、あることを聞いた時にすごくおもしろいと思っているというのを気付いてない。ここにいる人たちはその感度がすごく鋭いので、自分がおもしろいと思っていることの方向へどんどん行くんですけど、そこは微妙な感覚なので、アンテナをどんどん使わないでいると錆びちゃう。

例えば身体感覚や、多少呼気が上がることや、動悸が上がること、あるいはストレスを感じていることがわかってくると、自分がどういう時に上がって、どういう時にすごくまずい状態になって、これ以上いくとヤバくなるみたいなものを教えてくれるテクノロジーが出てくると、僕はけっこうおもしろいなと思ったんですけど。

ストレス感度の鈍化がシステム崩壊を引き起こす

山口:ノーバート・ウィーナーが言ったサイバネティックスもそうだけど、相手からいうとフィードバックがすごくポイントで、今のワーカーの人って、フィードバックがぜんぜん機能していないんですよね。要するに何をやっている時が楽しくて、何をやっている時がストレスなのか。ストレスの感度がぜんぜん鈍っちゃっているので、システム崩壊をいきなり起こすんです。

フィードバックリファーが働いているのに、信号が遮断されている状態なので、別のシステムで取ってあげて、ベッドで羽交い締めになって起きられなくなっちゃうとか、「今日会社行くな」とか、Suicaが使えなくなるとか、電車止まっちゃうとか、そのようになるとけっこうおもしろいかなと思ったんですけどね。

ストレス状態にあると、会社に行こうという方向に行こうとすると、車が勝手に海の方向に行っちゃうとかね(笑)。そういうのがあると、新しい実現的モードになるというか。

:一人ひとり個別最適なことがどんどん進んでいけるといいですよね。企業側も、本当はさっきの働いていい人と、いけない人とみたいなことがあって、僕もさっき自分で選んで働きたい人が働けばいいじゃんっていう表現をしたんですけど。まさに1番僕もその立場で悩むのは、自分がどれぐらい働いたらいきなり倒れてしまうということが、わからないということが1番のリスクなんですね。

そうすると結局、「あっ、これ以上やるとだめだな」ということを自分で制御してくれていれば、別に企業側も問題ないんだけど、そこがいきなり倒れちゃうので、全員一律でこの時間しか働けないとか、全員一律でこういう制度でやるんだとなる。本当は「もうあなたそろそろ危ないから、ここの1週間は早く帰りなさい」とかというのが、個別最適でできるようになっている社会のほうがよくて。

今はめっちゃ元気なのに、あっち側の元気がない人のために、私も帰らなければいけないとか。あるいは、自分は今日家でもできるのに、サボる人がいるから、私もその人に合わせて会社に行かなければいけないとか。一律みたいなことにならざるを得ないという組織の限界を、一人ひとり個別最適で測るテクノロジーが出てくると、そこがけっこう進むんじゃないかなと思ってます。

石川:測定とフィードバックというね。矢口さんがおっしゃった。

柳澤:武さん、ぜんぜん喋ってないね(笑)。

武井:いや、おもしろすぎて。

「なんかおかしい」という感覚が意味すること

山口:これは、場所の好き嫌いというのも感じる力が強い人と弱い人がいる感じが僕はしていて。最終的には僕はすごく不便なんだけど、葉山の海岸沿いに住んでいるんですけども。以前、世田谷のすごくいいところに住んでいたんですけど、なんかおかしいという感じがぬぐえなかったです。

柳澤:相性もありますよね。

山口:相性もある。これって別に良い悪いの問題だとか、まさに1つの物差しではなくて、その人に合うか合わないかで。クライアントで、なんかこのオフィスに行くと体調が悪くなるというオフィスが僕はあるんですよ。だからなるべく断るようにしちゃっていて。

そこもやっぱり生まれつきの感度みたいなものもあると思うし、やっぱり行くと、たぶん体温が下がったり、ちょっと心拍が上がったり、汗が出ていたりする微妙な反応をずっとやっていると、「どうもここはちょっと行かないほうがいいらしい」みたいなフィードバックが出ると思うんだけど、どうですか?

柳澤:今思い出したんですけど、うちのグループ会社に、鎌倉R不動産という会社があるんですよ。その社長が地元のオーナーの方に物件を紹介されたんですね。いろいろ話をしていたら「お宅には波動が合わないから頼まない」と言われたそうなんです。それを聞いた時に、「ああ、この断り方は意外に誰も傷つけないな」と思いました。「それはもうどうしようもないな」と思って(笑)。「そうか」ということになったんですけど(笑)。

(会場笑)

石川:採用の断り方も「弊社の波動とは合わないですね」って(笑)。

柳澤:なんかどうにもならないじゃないですか(笑)。

山口:それはよいことを聞きました。メールからも感じますよね。パッといただいても、なんかちょっとこれを受けると、自分の運気が逃れるんじゃないかとか(笑)。「いただいた文面から受ける波動が弊社と合わないような気がするので残念ですが」とかいうね。

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